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2020.12.20

【観戦記】20年第34節:浦和 0-2 札幌 ~ 大槻浦和最後の闘いはバルジ大作戦というより、レイテ沖海戦だったか・・・

・浦和の残存兵力は僅かでした。レオナルド、関根、柏木、伊藤、デンが故障。前節マルティノスと長澤が負傷し、さらに槙野と青木は故障明けでこの日なんとかベンチ入りできただけというレベル。特にただでさえ手駒が少ないSHがとうとう壊滅したのが痛手で、いつもの4-4-2のフォーメーションを組もうにも組めなくなってしまいました。

・おまけに前節から中2日という厳しい試合日程。ゆえに連闘が効かない選手もおり、大槻監督がやれることは一層少なくなりました。

・そこで大槻監督が苦肉の策として採用したのが3-1-4-2のフォーメーション。札幌の3-4-2-1とある程度噛み合わせが良いようにいう前向きな観点ではなく、「後ろの方の選手がサブも含めて多い、4-4-2でやると後ろの方の選手しかサブにいないという状況で、どういった解決策を見いだそうかというところで、このシステムを選択しました。」という甚だ情けない理由による大胆なフォーメーション変更でした。

・もっともスタメンが発表された際にはそんな情けない事情なんて知る由もなく、残された兵力をかき集めて昨年、いや一昨年の暫定監督時に採用した「3-4-1-2」のフォーメーションで「夢よもう一度」とばかりに乾坤一擲の大勝負に打って出る、さながらナチスドイツ軍のフィナーレを飾った「バルジ大作戦」みたいなものを妄想して埼スタへ向かう私は妙にワクテカに。もう脳内で「パンツァー・リート」が鳴り響くのなんの。

Sapporo01

・しかし、たちまち現実に打ちのめされる羽目に。浦和はほとんど前からハメに行かず、両WBが最終ラインに下がって5-3-2の守備ブロックで防戦に努めているようでしたが、このやり方だと当然ながら福森や田中へはプレッシャーがかからず相手のやりたい放題に。クロス攻撃こそターゲットのジェイに自由を与えないことでなんとかやり過ごしていましたが、14分には前に出てきた福森のミドルシュートを浴びてヒヤリ。

・守備はまだしも、悲惨極まりなかったのが攻撃。前節からわずか中2日なので、このフォーメーションの練習なんて出来るわけがなく、ビルドアップなんてハナから諦めたかのうように、ボールを奪ったらアバウトに前に蹴って興梠の鬼キープで時間を稼いでいるうちに他の面子がサポートしようという単純極まりないもの。

・しかし、いくら興梠のボールキープが巧みでも限界はあり、運よくFKが取れれば御の字。あとは山中の一発が炸裂すれば!と思ったものの、この日の山中FKは全く枠を捉えられず。大槻監督がいくら「パンツァー・フォー!!」と繰り返し叫べども、練度の低さはどうにもなりませんでした。

・悪いことは続くもので、30分興梠が故障。たった1両だけ残っていた、札幌の堅陣をぶち破れるかもしれない虎の子「ティーガー重戦車」が故障して、大槻監督はやむなく予備兵力から汎用性は極めて高いがいささか旧式化していていかにも火力不足の4号戦車(武藤)を投入し、フォーメーションもはっきりした3-4-2-1に変更して完全に札幌とミラーゲームとなり、前半は札幌やや優勢ながらもスコアレスで終了。とはいえ、4号戦車が激しく上下動してなんとか戦線を維持しているありさまでしたが。

・そして48分に訪れたこの試合最初で最後の絶好機。素早いリスタートからのカウンターで山中のクロスの先にどフリーでいたのが岩武だったとはなぁ・・・ 札幌のマークは照準が壊れている杉本に集中していて、大外から飛び込んでくる岩武はどフリーでしたが、まさか肝心要のところで最前線に躍り出てくるのが4号戦車どころかパンツァー・ファウストを手にしただけの国民突撃隊だったとはなぁ・・・ もうなんとかクロスに合わせようとした岩武の身体が吹雪の日の雪だるまマークみたいに斜めになっていて泣けました。

・浦和と違って週央に試合がなかった札幌はハナからその予定だったのか、後半になってあからさまにプレス強度がぐぐっと上がり、50分には駒井が柴戸をなぎ倒すかのようなボール奪取からショートカウンター。ここはロペスのシュートがポストを直撃して難を逃れるも52分とうとう浦和守備陣が決壊。

・52分浦和左サイドで意味もなく人数をかけて攻め込んだところでものの見事にカウンターを食らい、たちまち2対3の絶望的な状況に。ロペスはどフリーの駒井へいとも簡単にクロスを送って、駒井は仕上げるだけ。もうボールを奪った後の前にボールを送るスピードと精度が浦和と段違いというか、浦和がもはやJ1レベルにないというか・・・

Sapporo5

・点は入る気配がほとんどない浦和は先制された時点でほぼ試合終了。その後両チームとも相次いで選手を替え、ややオープンな展開になりながらもさしたる見所もないまま(照準が壊れている戦車が派手に枠外にぶっ放していた気も)時間だけが流れていましたが、悪い意味で試合が動いたのは76分の武田&宇賀神投入から。

・前節川崎戦同様武田をトップ下に配した4-2-3-1「武田スターシステム」を試みたようですが、大笑いしたのが宇賀神左SB・山中左SHという縦並び。こんなの大戦末期の兵員不足の象徴以外の何物でもないでしょうに。

・そしてこのフォーメーション変更は攻撃をなんら活性化させることはなく、守備だけが一層弱くなった感じに。85分ガラガラのバイタルエリアを悠々と福森に横へ運ばれ、前に出てきた田中がどフリーでミドルシュートをズドン。うーん、川崎戦の一点目にも似た光景・・・90分には福森ハイクロス→ロペスが競り勝ってこぼれ玉に白井が飛び込むという札幌得意の形からの決定機も。

・終わってみれば浦和の見せ場は48分の一回こっきり。史実の「バルジ大作戦」は一応連合軍を慌てさせるところまでは行ったのですが、この試合はぐうの音も出ない完敗。それゆえ残存兵力をかき集めて最後の大勝負という点では「バルジ大作戦」ではなく「レイテ沖海戦」のほうがどう見ても例えとしては的確な試合内容&結果でした(つД`)

・TL上ではこの試合の評価は厳しいようですが、個人的には闘う気力が全く見えなかった鹿島戦が最悪で、今日はまだマシなほうと思いました。まぁ、その辺は生観戦とDAZN観戦の差があるかもしれませんが。如何せん練度と一部選手の個人能力が足りなさすぎてこの試合もボロ負けだったのは確かですが、選手は「なんか一生懸命やろうとしている」と感じられただけマシだったかと。

・今年はクラブ経営を維持するために全日程を消化すること自体が半ば以上自己目的化していたので、本来は成績も「追い風参考記録」みたいな扱いになって然るべき(だから降格がない)と思いますが、それでも成長が感じられるクラブとそうでないクラブがありました。残念ながら後者の代表が浦和。大槻監督も昨年末に無理やり続投を余儀なくされたのであれば気の毒だとは思いますが、この一年は得るところが非常に乏しかったと評価せざるをえません。

・また個人的にはキャリア上トップから下部組織まで目線が広い大槻さんが病気療養中の土田SDに代わってSD代行に就任するのがベストと思いましたが、MDPで大槻さんは「クラブを離れる」と明言しており、残念ながらその線はなさそう。ちなみに戸苅本部長の弁では土田SDも順調に回復しているようです。

・試合後はいつの間にか恒例行事となった社長挨拶。社長はなにやら激しく絶叫するばかりで、中身のない話に終始したので当然赤者の評判最悪なのですが、個人的にちょっとだけ光明を感じたのは浦和は経営面で大打撃を避けられそうだという雰囲気を社長が醸し出していたこと。

・コロナ禍で入場料収入が壊滅的な打撃を受けて10億円赤字という話すらあった浦和が、スポンサー収入の維持&過去に積み上げた利益準備金のバッファ等もあって経営的に大ダメージは避けられそうなら、今年の社長の仕事としては合格点と思います。たとえどんなに中身のないシャウト系であったとしても。もっともこの辺は決算の数字が明るみにならないと何とも言えませんが。

・個人的にこの日最大の噴飯ものは社長の挨拶ではなく、「浦和を背負う限り毎シーズン優勝を求めろ」というダンマクかなぁ(苦笑)。

Sapporo04


---杉本--興梠---
--汰木---エヴェルトン--
山中---柴戸---岩武
-岩波--鈴木--橋岡-
-----西川-----

(交代)
30分 興梠→武藤(故障による交代)
65分 エヴェルトン→阿部
65分 鈴木大→青木(阿部がCB、青木がCHへ)
76分 岩武→武田
76分 汰木→宇賀神

Sapporo03

-----ジェイ-----
--駒井----ロペス--
フェルナン--深井-宮澤-金子
-福森--キムミンテ--田中-
-----菅野-----

(得点)
52分 駒井
85分 田中

(交代)
60分 キム・ミンテ→高嶺
67分 駒井→D・オリヴェイラ
67分 L・フェルナンデス→菅
76分 金子→白井
77分 ジェイ→早坂

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