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2021.03.15

【DAZN観戦記】21年第4節:横浜M 3-0 浦和 ~ 縦横斜め、どこから見ても差があり過ぎた完敗

 新入幕の力士が優勝経験のある元大関に真っ向勝負を挑んだら、完膚なきまでに叩きのめされたような試合でした。チームの熟成度も個々人の能力も大差があり、現時点では全く歯が立ちませんでした。

《スタメン》

・共に前節から中3日。浦和は試合前の記者会見でリカが「今は同じメンバーで継続性、連続性をもたせて自分たちのサッカーを浸透させようとしています」とわざわざ明言した通り、前節と全く同じスタメン。また前節のように試合開始時の立ち位置で岩波と槙野の左右を入れ替えたり、小泉と明本の位置を入れ替えたりといった奇策(?)も見られませんでした。

・また同じ記者会見で興梠についてリカが「10分プレーした姿を見て、まだ少し足りないと感じました。彼のチューニングの時間はもう少し掛かるかもしれません」と語った通り、あの状態では実戦投入は時期尚早と判断してベンチ外となり、代わりに涼太郎がベンチ入り。武藤が2試合連続ベンチ外なのが気がかりです。

・横浜M(以下「鞠」)は前節から高野→ティーラトン、渡辺→岩田と2名入れ替え。

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《試合展開》

・浦和は相手の出方を見定める暇もなく、立ち上がりから鞠の猛烈な前からのプレッシャーを受けて大苦戦。3分左サイドで詰まったところで汰木がボールロスト。縦パスを受けたM・ジュニオールがくるりと反転してあっさり阿部を交わし、がら空きの浦和左サイドを仲川が疾走して低いクロス。西川は外へ弾き切れず、快速の前田が飛び込んでいきなり先制。

・いたるところで「浦和はなんとかならんかったのか?」という気がする失点シーンですが、この試合とにかくサイドで詰まってボールを失う場面が頻出したような気がします。言い換えれば鞠は浦和をサイドに追いやってボールを奪うハメ方が非常によく機能したということなのでしょう。

・鞠の前プレは非常に厳しくて浦和はビルドアップに四苦八苦。なんとか最終ラインへの前プレを剥がしても高い位置にいるSBへボールを運ぶのが精一杯で最前線へボールを運べず。そして先述のようにサイドでボールを失いがちなので、だんだん怖くなってかCBへ戻すの繰り返し。何度か山中からクロスの形を作るものの誰にも合わず。ボールを持つ時間こそ長くても完全に持たされている状態で、これではいくらボール支配率が高くても何の意味もありません。

・26分には自陣深い位置で強いプレスをかけられて、岩波の縦パスを受けた敦樹が扇原に詰められてボールロスト。絶望的なショートカウンターを食らってM・ジュニオールのクロス→前田で失点。岩波は序盤から完全に鞠に狙われていて、岩波がボールを持った時には鞠のプレス強度が一段と上がるのが丸わかりでしたし、23分には西川の目の前で敦樹が扇原に絡まれてしまう場面もありましたから、この失点もアクシデントではなく、鞠の狙い通りだったと思います。

・その後も浦和が無理に攻めようとしてカウンターを食らう場面が目立ちましたが、30分過ぎぐらいから幾分鞠のプレス強度が落ちたためか徐々に鞠を自陣に押し込み出し、39分には敦樹縦パス→明本のスルーパスで裏抜けに成功した杉本に決定機。さらに43分には敦樹縦パス→左サイド深くに侵入した汰木のクロスから明本に決定機がありましたが共に決まらず。

・J2上位チームがJ1のスピードと強度に戸惑っている間に2点取られてしまったものの、それらに慣れるに従って徐々に反撃という天皇杯にありがちなここまでの試合展開でしたが、良い感じになってきたところでリカは後半頭から阿部→金子、敦樹→田中とCHを共に交代。

・過密日程の中で無理使い出来ない阿部はもちろん、敦樹も出来は良くなかったので2枚替えは判らなくもないのですが、結果論からすればこの交代は大失敗で浦和は掴みかかった流れを手放すどころか傷口を広げる羽目に。

・阿部の交代は致しかたないにせよ、敦樹に代わって達也を右SHへ投入(明本がトップ下ないし2トップ気味に)して小泉をCHに下げたのが大失策で、浦和は前がかりになってからの守備力が大幅ダウン。疲労もあってか攻→守の切り替えが緩慢になり、浦和の攻撃はほとんど形にならないにも関わらずカウンターばかり食らいがちになって後半はほとんど試合になりませんでした。

・49分右サイドから攻めきれずにカウンターを食らってヒヤリ(仲川→前田へのラストパスを槙野が辛うじて寸断)。52分ロングカウンターで自ら長い距離を運んだ松原スルーパス→前田に決定機(シュートは西川の正面)。そして55分またもやカウンターで岩田スルーパス→M・ジュニオールがボックス内で低いクロス→ファーに小池が詰めて鞠3点目。

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・この失点場面はもとはといえば槙野が敵陣にまで入ってM・ジュニオールを潰しに行ってファウル。その直後の鞠の素早いリスタートからカウンターを食らったもの。失点直後に西川が槙野へ向けて「なんで戻らないんだよ!!」と珍しく声を荒げているのが哀れを誘います。大ピンチのきっかけを作った槙野がジョギングしているせいでM・ジュニオールがどフリーでボールを受けられたといっても過言ではないからなぁ。とにかく後半顕著だった攻→守の切り替えの遅さが凝縮されたような失点場面でした。

・勝利を確信したポステコグルー監督は次節を考えてか早くも62分に前田→オナイウ、仲川→水沼、ジュニオール→渡辺と3枚替え。一方リカもこの試合を諦めて次節に備えたかのように66分汰木→関根、杉本→涼太郎と2枚替え。

・選手層が分厚い鞠は選手を代えてもなんらクォリティーが落ちない上に、3枚替えによって一度落ちかけたプレスの強度&スピードを再向上させたのに対し、浦和は選手を代えれば代えるほどやりたいことが形にならなくなり、当然のようにカウンターの雨あられを浴びる始末。4点、5点と取られてもなんら不思議はない試合内容で、正直正視に堪えませんでした。これではリカが過密日程であってもスタメン&交代投入の選手を固定せざるを得ないのも道理。

《総評》

・鳥栖戦同様、前から厳しくプレッシャーをかけてくる相手を上手く掻い潜れるほど浦和のビルドアップ能力は向上していない。これだけなら時が解決する問題だと思いますが、この試合で顕著だったのは選手個々人の能力差。もうパススピードが全然違う上に、プレー強度も段違い。一対一では歯が立たない選手が鞠にはゴロゴロして、これは監督の力ではどうにもならない。

・浦和は如何せん「戦術的には何ら見るべきものはないけど、選手個々人の能力で勝ち点を積み上げる」ようなサッカーに慣れ親しんだ時期が長いので、それとは真逆の現実(=戦術的にはモダンな雰囲気を醸し出しているけど選手がしょぼい)を受け入れるのは辛いものです。

・おまけに戦術理解がある程度浸透した「使える選手層」も非常に薄い。致し方なくリカはスタメンや途中投入の選手を固定して過密日程に臨んでいますが、そんな「毎日チャーハン」は早くも疲労の色が濃くてこの試合の後半は露骨に電池切れ。だからといって他のメニューは開発されていないという辛い状況です。上位を狙うにはやはり質・量とも選手層が厳しいことを思い知らされた試合内容でした。

・もっとも鞠も2015年に始まるモンバエルツ時代からチームコンセプトに合わない選手は大功労者であってもバッサリ切るという「大量出血を伴う大手術」を厭わずに選手を大幅に入れ替え、チームコンセプトに沿った選手を徐々に揃えたからこそ今日がある訳で。鞠とは対戦成績で長らくホームで負けてアウェーで勝つという五分五分の関係にあったはずですが、シティー傘下になってから大量出血しながら継続的な強化をしている鞠と、ミシャ解任以降大迷走している浦和とでここ数年の間に一気に差が付いた感じ。

・しかも鞠はシティーのネットワークを活用してそれなりの外国人選手を連れてきてもなおポステコグルー一年目では攻守のバランスが悪すぎて死にかかりました。浦和ならおそらくポステコグルーは一年目で解任の憂き目に遭っていたことでしょう。

・鞠と比べて外国人補強ルートが決定的に弱い浦和は鞠以上に茨の道を歩むことになるかもしれません。もっとも茨の道を早々に諦めてリセットボタンを押したら、今度は道すらはっきりしない泥沼が待っているだけですし。リカと共に茨の道をかき分けて進めるように、それなりの器材・道具をフロントが揃えてくれると良いのですが・・・

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《選手評等》

・一応チームに復帰したものの、ただのローストチキン屋になってしまった興梠はもちろん、故障明けの関根も戦術理解が全然ダメなのか汰木の代わりになるには時間がかかりそう。西・デンを含めて「大駒4枚を欠いているのでリカの苦戦はやむなし」と思っていたら、現状うち2枚は駒ですらなかったというのは結構ショックでした。

-----杉本-----
汰木---明本---小泉
---阿部--敦樹---
山中-槙野-岩波-宇賀神
-----西川-----

(交代)
HT 伊藤敦→田中(田中が右SH、小泉がCH、明本がトップ下or2トップ気味に)
HT 阿部→金子
65分 汰木→関根
65分 杉本→伊藤涼
76分 小泉→柴戸

エウベル---前田---仲川
----ジュニオール-----
---扇原--岩田---
ティラトン-畠中-マルチンス-小池
-----オビ-----

(得点)
3分 前田
26分 前田
55分 小池

(交代)
25分 ティーラトン→小池(故障による交代)
62分 前田→オナイウ
62分 マルコス・ジュニオール→渡辺
62分 仲川→水沼
80分 エウベル→天野

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