【観戦記】21年第8節:清水 0-2 浦和 ~ 塩試合で終わると思ったらとんでもないスーペルゴラッゾががが!!!
公式記録では浦和のシュートはたった2本(苦笑)。だが清水の決定機も僅少で、陽が沈むと急速に冷え込む春の夜に相応しい塩試合でしたが、最後の最後に目が覚めるようなスーペルゴラッソが飛び出してピッチ内外はお祭り騒ぎ!!
《スタメン》
・浦和は前節から中3日、清水は中2日と日程面では浦和が有利。但し、浦和は4/3(土)にトップチーム所属選手1名に対し新型コロナウイルス感染症のPCR検査で陽性の可能性が高い結果となり、翌4/4のトレーニングは中止。全体練習が再開したのは試合前日の4/6になってからというアクシデントがあったのが懸念材料。そのせいかどうかは全く判りませんが、浦和はスタメンどころかサブまで前節と同じでした。
・一方清水はエウシーニョ→原、福森→奥井、河井→宮本、西澤→中村、金子→中山、後藤→ディサロと前節からスタメン6人を入れ替え。なお清水は左SB片山が故障離脱中。
《試合展開》
・立ち上がりから前半一杯にかけて浦和がボール支配率で優位に立ちましたが、ただそれだけでリカが言うほど「試合を支配できた」ようには見えず。清水の守備ブロックは全く崩れる気配はなく、試合後にロティーナが語るように「前半は拮抗した内容だったと思います。浦和のほうが少しボールを支配して、攻める時間が多かったと思いますが、その中でもチャンスをほとんど作らせず、良いディフェンスをしていました」という総括がより妥当だと思いました。
・ロティーナは中2日と短い時間ながら、徳島・浦和とたまたま似たタイプとの連戦となったことを活かし、徳島にホームで0-3とボコボコにされた守備をそれなりにテコ入れしたように伺えました。
・特に徳島戦で中途半端に前からプレーシャーをかけに行って、最終ラインと2列目の間がぽっかり空いてしまった徳島戦1失点目の愚を大いに反省したのでしょう。この試合では基本守備時4-4-2ながらも前から強くプレッシャーをかけに出ることはなく、コンパクトな布陣を敷くことに専念していたように見受けられました。
・ロティーナも試合後「前節は(プレスが)不明確なところがあってスペースを与えてしまったが、今節はよりコンパクトで、行くべきところと行かないところ、というチームとしての連動ができていたと思います」とここは満足げ。
・また強度はさしたることはありませんが、時折右SH中山を加えて3トップ気味に前プレを仕掛け、両CB+柴戸でビルドアップを試みる浦和の手口を粉砕しようという企図もちらほら。
・33分西川が柴戸を超近くに呼び寄せてのビルドアップ=「柴戸チャレンジ」を試みるも西川のパスがディサロに引っかかってショートカウンターを浴びる場面がありましたが、これがロティーナの目算通りかも。但し中山のシュートはわずかに枠外。
・ビルドアップに苦しむ浦和は鹿島戦と違って武藤が最終ラインと2列目の間でボールを受けて前を向く場面なんてあまりなく、それどころか小泉や武田が頻繁に降りてビルドアップを助けざるを得ず。しまいには武藤まで清水2列目辺りまで降りてくる始末で、ボールは保持しているものの清水守備ブロックの周りでぐるぐるボールを回しているだけという状態からなかなか抜け出せず。
・とはいえ、清水は良くも悪くも守備に全集中しているためなのか、先述の33分の決定機以外に攻め手無し。浦和の前からの厳しいプレッシャー&鋭いプレスバックを受けてボールを前に運べず。やむなくサンタナへロングボールを入れても、その先では槙野が万全の態勢で迎撃。それでもなんとかサイド奥深くにボールを運んでサンタナへクロスを送ろうとしてはいましたが、そのクロスの質がお話にならず。ボールが来ないせいか、とうとうサンタナがサイドに流れ出す始末で、これでは得点なんてまず無理でしょう。
・春の夜の日本平は急激に冷え込むことを熟知しているのかダウンジャケットを着ている方もちらほらいる中、昼間の延長で薄着のままスタジアムに来ている方は凍死しそうな塩試合でしたが、ゲームは40分山中CK→岩波ヘッドという意外な形で動きました。
・浦和は両CB以外ちびっ子だらけなので安直にCKを蹴りこんでも得点に繋がる可能性はほとんどないせいかショートコーナーを多用していましたが、この試合を通じてそれらは全部スカ。ところが、この40分の場面は山中が珍しくストレートにCKを蹴り、高速で飛んでくるボールを岩波がほぼフリーでヘッド。 岩波には一応竹内が付いていたようですが、何の役にも立たず。どうも今季の清水はセットプレーで何度も失点しているようで。
・思わぬ形でビハインドとなったためか、ロティーナは54分ディサロ→後藤、ヴァウド→エウシーニョ(エウシーニョが右SB、原が右CBへ)、さらに62分中村→鈴木唯、竹内→河井と早めに選手を代えて反撃開始。60分過ぎからややオープンな展開となり、清水がボールを握る時間帯も徐々に増え始め、63分サンタナが追いすがる柴戸を振り切ってペナ角付近から強引にミドルシュート(しかし枠外)。
・リカも68分武藤に代えて興梠を投入したのを皮切りに、76分武田→杉本、関根→宇賀神(宇賀神が右SB、西が右SHへ)と代えては見たものの、これが全く機能せず。先述のアクシデントが響いてまともなトレーニングがほとんど出来なかったせいか、あるいは単に中3日で全く同じスタメンなのが良くなかったのか、浦和の運動量は急激に落ちて防戦一方に。特に小泉の消耗が酷くて浦和は中盤で劣勢に陥りました。前線で杉本がボールをキープ出来れば少しは休めるのに、残念ながらそれも叶わず。
・69分中山のクロスが後藤に合いかかってヒヤリ。さらに78分なぜか山中がふらふらと前に出た隙をエウシーニョの縦パス一本で突かれ、中山に浦和左サイド奥から深々と侵入されるピンチ。続けざまにこれまたエウシーニョの縦パス→後藤がアーク付近でポスト→鈴木唯がミドルシュートというピンチも。
・ただ何だかんだと危ない場面では中盤も含めてわらわらと浦和の選手達が寄り集まって清水攻撃陣に自由を与えず。鈴木唯の決定機でもシュートコースが制限されていたせいか、西川はそんなに危ないとは思っていなかったのかも。
・リカも手当てする順番&箇所を間違えていたことに84分になってようやく気付いたようで、西→汰木、小泉→敦樹と代え、炎上寸前のところでなんとか鎮火に成功。
・そして90分宇賀神スローインから始まる浦和の攻撃。興梠の横パスがエウシーニョにカットされて終了と思いきや、汰木が珍しくエウシーニョに競り勝ってヘッドでボールを繋いだのがミソ。再度興梠がボックス目掛けて全力疾走する敦樹へ縦パス→敦樹のふんわりクロスの落ち際を杉本が走りこみながら豪華にボレーで叩き込むスーペルゴラッソ炸裂!!
・シュートをGKにぶつける等々、絶好機で失態に次ぐ失態を繰り広げてきた杉本がこんなに難しいゴールを決めるとは、「難しいものほどよく決まる」点では興梠以上なのか??? 杉本が点を取れないことについてチームメイトも気に病んでいたのか、得点後は杉本のところへベンチ内外から選手が続々駆け寄って来てお祭り騒ぎ。さてこの時に浦和はセンターサークルに誰が立っていたのでしょう(何かを思い出して苦笑)。
・冒頭に記したように浦和のシュートはたった2本。DAZNの集計だとシュート8本なので、ブロックされたシュートがかなり多く、それをどうカウントするかで大きな差が生じたものと思われますが、いずれにしても浦和の決定機は2回だけでした。しかし、清水のシュートもたった6本(DAZNでは8本)と少なく、こちらもこれといった決定機はあまりなく、端的に言って塩試合だと思います。
・前節鹿島戦ではリカが初めて繰り出した秘技4-1-4-1に対してザーゴが最初から最後まで無為無策すぎて浦和が点差以上の完勝となりましたが、さすがにロティーナ相手では少々勝手が違った模様。「策を打つ→対策を練られる→その対策への打開策を練る→その打開策への対策を練られる・・・」という輪廻に早くもハマって鹿島戦ほどには秘技4-1-4-1は機能しませんでした。
・もっともリカにとって秘技4-1-4-1はむしろオプションっぽい位置づけですから、この試合の苦戦をもって浦和が早くも手詰まりに陥った訳でもなんでもありません。鹿島&清水のような基本4-4-2ではない次節徳島相手にはまた違った姿を見せてくれることでしょう。
・また終盤急激に運動量が落ちてくるまでは浦和がしっかりボールを保持し、33分の自爆を除けば清水にこれといった攻撃の機会を与えないことには成功。運動量が落ちた終盤に至ってもそんなに危ない場面はなかったことをもって「試合を支配できた」とポジティブに捉えることも出来ましょう。
・これまであまり見たことが無い終盤の運動量低下は前節から中3日、かつコロナ禍でとはいえロクにトレーニング出来なかった影響がでかかったのかなあ?? 単に全く同じスタメンに無理があったのなら、今後も続く過密日程をこなす上でちょっと気がかりです。
《選手評等》
・MOMは塩試合で勝利を手繰り寄せるのに必須のセットプレーで大仕事をし、かつ守備もなんら破綻の兆しを見せなかった岩波かな?清水の左サイドからの攻撃が何もなさすぎるのにも助けられた気もしますが、こんな時くらいMOMに挙げないと挙げる機会なんでまずない選手ですし(苦笑)。
・鹿島戦ほど上手くいかない苦しい戦況の中で柴戸も悪戦苦闘。柴戸は清水2トップのちょっと後ろでボールを受けようとはしていましたが、相手も柴戸に自由にやらせるとヤバイことは先刻承知。柴戸へのプレッシャーは鹿島戦よりずっときつかったことでしょう。でも相手がボールを奪いに来ても安易に後方へ返さず、狭いスペースでなんとかくるっと前を向く小泉ターンみたいなことに懸命に取り組んでいる姿には感銘を受けました。
・日本平に来たのはなんと2007年以来14年ぶり!! もっとも2009~2015年の清水ホームゲームは基本エコパ開催だったからこんなに間が空くのは不思議でもなんでもないのですが。
・杉本のスーペルゴラッソが炸裂した直後に清水サポがどっと席を立ったため、こちらが試合終了後にそそくさと離席したにも関わらずバス乗り場には早くも長蛇の列が!!! そして少なからぬ清水サポが「つまらん」と口にするのが印象的でした。昨年の清水は「追いつかない程度の反撃」というヤクルトみたいなゲームがやたら多かったですが、ロティーナのやり方だと先制されると往々にしてそのまんま終わってしまうので、そりゃ「つまらん」って言われるのも道理。清水はロティーナのやり方にいつまで耐えられるかなぁ・・・(もはや他人事)。
-----武藤-----
明本-小泉--武田-関根
-----柴戸-----
山中-槙野--岩波--西
-----西川-----
(得点)
40分 岩波
90分 杉本
(交代)
68分 武藤→興梠
76分 武田→杉本
76分 関根→宇賀神(宇賀神が右SB、西が右SHへ)
84分 西→汰木(汰木が左SB、明本が右SHへ)
84分 小泉→伊藤敦
---ディサロ--サンタナ---
中村--------中山
---宮本--竹内---
奥井-鈴木義-ヴァウ--原
-----権田-----
(交代)
54分 ディサロ→後藤
54分 ヴァウド→エウシーニョ(エウシーニョが右SB、原が右CBへ)
62分 中村→鈴木唯
62分 竹内→河井
82分 奥井→西澤
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