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2021.04.04

【観戦記】21年第7節:浦和 2-1 鹿島 ~ リカ桜、遅まきながらついに蕾膨らむ!!

 驚愕のスタメン、そして驚愕の試合内容。荒木主審の迷裁きに悩まされながらも90分間鹿島にほぼ何もやらせず、点差以上の完勝!! リカがやって来たことが芽を出し始めた瞬間を目撃したような好ゲームでした。

《スタメン》

・共に週央に試合が無く、中6日の一戦。浦和はルヴァン杯柏戦からGK彩艶→西川と入れ替えたのはともかく、興梠→武藤、杉本→小泉、涼太郎→山中、達也→関根、敦樹→武田と大胆に6人もスタメン入れ替え。

・また小破したのか先週末のルヴァン杯もエリートリーグも欠場した金子や練習は別メニューだったと伝えられた阿部がベンチ外なのはともかく、ユースの工藤が2種登録でベンチ入りしたのにも驚きました。

・一方鹿島は今節出場停止のCB犬飼に代わって関川が入った他、CH舩橋→三竿とルヴァン杯福岡戦から2名入れ替えのみ。MF和泉&土居が故障離脱中なので、サブがちょっと寂しくなった感じ。

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《試合展開》

・布陣は明らかにいつもの4-2-3-1ではなく、小泉は後ろに柴戸を残して前に出っ放し。一方武藤はCFらしく最前線に張っているわけではなく鹿島の最終ラインと2列目の間で遊弋気味で武田と並んでいる時間帯も多く、事実上ゼロトップといっても良い感じ。記者会見では4-1-4-1という話も出てきましたが、4-1-5-0のほうが実態に近いような印象を受けました。守備時はいつものはっきりした4-4-2。

・そしてこのスタメン、この布陣が立ち上がりから見事に機能して浦和が安定的にボールを支配。またボールを失った後の攻守の切替の早さ、奪回へ向かうスピードは圧巻で、鹿島にビルドアップを許さず。鹿島が苦し紛れにハイボールを上田へ放り込んだ際には槙野が待ってましたとばかりに迎撃。鹿島は浦和のスタメン及び布陣に戸惑ったのか、全く何も出来ず、早くも苛立ちを露わにする選手もちらほら。

・とはいえ、浦和も鹿島守備ブロックの周りでボールを動かしているだけでなかなか決定機を産み出せないのはいつも通り。シュートらしいシュートは10分関根クロスが弾き返されたこぼれ玉を山中、さらにそのこぼれ玉を明本が撃ったのが初めてかな? それでもCKや好位置でのFKが得られるようになった辺りに多少の進歩が感じられました。

・給水タイム後は鹿島がボールを握る時間帯も増えはじめましたが、危なそうなところでも守備陣が身を挺して流れの中からは鹿島にこれといった決定機は与えず。ただ困ったことにCKの守備がこの試合を通じてやや不安定。28分には永戸CKが直接枠を襲ってヒヤリ。

・しかし、ゲームの流れを変えるには至らず、浦和は31分小泉が自陣深い位置でのパスカットからのカウンターで、武藤クロス→ファーの小泉ヘッドの決定機。そしてさらに37分左サイド自陣深いところから小泉がサイドチェンジ→ハーフライン付近からの西のアーリークロスが裏抜けに成功した明本に通ってついに浦和先制!!

・勢いづいた浦和は39分小泉のボール奪取から武藤がゴール目掛けて突進。たまらず上田がアーク付近で後方から武藤を倒してしまい、決定機阻止で一発レッド!!と思いきや、荒木主審の判定はなんとイエロー止まり。VARと交信したものの判定は変わらず。そこで得た武田FKで見せ場を作るもGK沖の好セーブで得点ならず。

・浦和押せ押せの流れに水を差したのが前半終了間際のマヌケな失点。深い位置からの永戸FKをいったん槙野が弾き返したものの、ほぼ真上に上がったボールに対して武田が関川に競り負けというかロクに競ってもいない形になってしまい、関川がヘッド。しかもそのヘッドがループ気味に枠内へ飛び、なぜかやたら前に出ていた西川の頭上を越えてゴール。むむむむ・・・

・開幕戦といい、先日のルヴァン杯柏戦といい、勝てそうな試合なのにセットプレー一発で勝ち点を失う試合が目立つ今年の浦和。ちょっと嫌な空気が流れ始めた後半立ち上がりに柴戸の縦パスをカットされたところから被カウンター。ボックス内に侵入したエヴェラルドへ岩波渾身のスライディングもあっさり交わされてしまうピンチがありましたが、その間に西川がすかさずエヴェラルドとの間合いを詰めて至近距離のシュートを見事にブロック。終わってみれば鹿島の流れの中からの決定機らしい決定機はこれだけだったかも。

・浦和はしっかりボールを繋いで試合のペースを取り戻すことには成功し、粘り強く好機を伺い続けるもなかなかシュートを撃たない、撃てないのは相変わらず。しかし、63分鹿島のゴールキックを跳ね返したところからのカウンターで、武藤の縦パスに反応してボックス内(と断言するには微妙な位置でしたが)に入った明本を右SB常本が倒してしまってPK。常本は明治大卒の新人のようですが、どうもJ1レベルにはほど遠いようで終始明本&山中にボコボコにされていたような気が(笑)

・阿部も興梠も杉本すらもおらず、「誰がPKを蹴るのか???」と言わんばかりにスタジアムがどよめく中で、ゲームキャプテンの槙野が颯爽とPKスポットへ向かい、かつしっかりPKを決めて追加点。槙野って「口だけ番長」でPK戦を蹴りたがらない等々、何かと肝心な場面での悪評が付きまといますが、もう出場メンバーは若者だらけになってしまったことを受けて槙野なりに覚悟を決めたのでしょう。この日の槙野の出来はパーフェクトでした。

・なおも優勢の浦和は70分鹿島のゴールキックを槙野が弾き返したところからカウンターが発動。山中・明本・武藤で鹿島右サイドを蹂躙し、山中クロスにファーで関根が飛び込んで3点目!と思いきや、どうも蹂躙の過程で武藤にハンドがあった模様で、VAR画面チェックの上でゴール取り消し。ううう、手に当たってはいるけれども偶発っぽくてハンドと言ってしまうには微妙な気が・・・・

・またまた嫌な雰囲気が流れ出したところで、リカはすかさず武田に代えて敦樹を入れて守備強化。さらに74分に武藤→興梠、小泉→杉本と代えて前線の運動量を補充。

・鹿島は52分に白崎→松村、77分には荒木→ファンアラーノ、レオシルバ→遠藤、三竿→舩橋と三枚替えを敢行しましたが、これが笑ってしまうくらいに全く効果が無い。怪我でもないのに両CHを代える羽目になるって何なん???

・88分ビルドアップに苦しむ鹿島の窮状に乗じ、興梠が舩橋に襲い掛かってボール奪取。杉本に絶好機が転がり込みましたが、杉本は前に出てきたGKにシュートをぶつけてしまう大失態。GKを交わす余裕もあったでしょうに・・・(´・ω・`)ショボーン

・しかし鹿島は反撃の糸口すら見出すことは出来ず、さしたる紛れはなく浦和は楽々逃げ切り勝ち。
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《総評》

・失点場面がマヌケすぎましたし、それ以外にもセットプレーで怪しげな場面が散見されましたが、流れの中からは鹿島にほぼ何もさせず。一方浦和はついに流れの中から点を取り、かつVARで取り消されたものを筆頭に流れの中からの決定機もぐっと増え、点差以上の完勝だったと断言して良いでしょう。

・過去の対戦成績はともかく(苦笑)、メンタル的には「宿敵中の宿敵」である鹿島を内容的にはコテンパンにしての勝利は実に有意義。鹿島に勝つというのはリカへの批判勢力を黙らせるにはこれ以上ないスペシャルな特効薬。しかも偶然転がり込んだ1点を守りに守っての勝利という再現性皆無な泥臭い勝利ではなく、予めリカが設計した通りのペースで試合が進んでの勝利でしたから、否が応でもリカへの信頼度はうなぎ上り。

・リカがいかに理想を掲げ、筋の通った話をしつづけたとしても結果が出なければどうしても内外から不協和音が出てきがち。そんな危ないコースにハマる寸前のところでリカは勝利を掴み取り、全方面からの信頼を得るのに成功しました。

・そしてこの結果&内容を見た後だと、西野TDの「今回は若い選手、もしかしたら通常であれば出番がなかったかもしれない選手をしっかりと使う機会にできると思います」というのも急に説得力が出てきます。何もかもが好循環。

・また川崎相手ですら前半42分に失点するまで全く何もやらせておらず、ルヴァン杯柏戦でもセットプレー一発で沈みこそしましたが流れの中からやられる気配はありませんでしたから、不調の鹿島(というかザーゴ監督就任2年目でこの出来とは(笑))相手なら90分何もやらせずに試合を終えたのは偶然でもなくでもなく、リカの設計図通りでしょう。ただ浦和が点が取れるかどうかはまた別の話だっただけで。そしてこの日ついに流れの中からゴールが生まれ、追加点の絶好機も複数掴みました。

・それにしてもこの日のスタメンには驚きました。故障明けの西はともかく、武藤・武田・柴戸とこれまでリーグ戦ではあまり出番がなかった面子がズラズラ。正直、中3日で続く清水戦&徳島戦、特に残留争いのライバルである徳島戦での必勝を期すことから逆算してこのスタメンを選んだ、ぶっちゃけこの三連戦で最も勝ち点が取れそうにない鹿島戦を捨てたと試合前には勘ぐっていたくらい。

・ところが、試合前日の記者会見でリカが「非常に多くのポジティブなものが見られました。戦術的なところも含め、前日のルヴァンカップ、そしてエリートリーグの札幌戦でいろいろ試すことができました。90分プレーできた選手もいますし、良いパフォーマンスを見せた選手もいました。また、若手の中でも興味深いプレーが見られた週末でしたし、非常に実りのある、多くの情報を得ることができた週末でした」と語っていたのは控え組へのリップサービスでも何でもなく、この言葉の額面通りルヴァン杯&エリートリーグで得た手応えをこの試合に生かそうとしたのがこのスタメンでした。

・そしてこの試合でかつての輝きを一気に取り戻し、監督の期待に応えたのが武藤。武藤がハーフスペースなり、最終ラインと2列目の間に潜り込んでボールを引き出し、すぐに前を向いてパスを出す姿って、ミシャ時代のシャドーで使われていた武藤の動きそのものじゃないかと気がしてなりませんが、ひょっとしたらリカはミシャ時代の武藤を知らず、武藤の特性に気づくのに時間がかかったのかなぁ?? とにかく杉本や興梠のように「CFらしくCBを背負ってポストプレー」みたいな仕事なんてリカは武藤には全く求めておらず、事実上ゼロトップっぽい動きに専念させ、それが見事にハマリました。

・当然ながら事実上ゼロトップなので誰かが前に飛び出さないと点が入りません。そこで武藤に代わって前線に躍り出たのが明本で、1ゴール&PK奪取の大活躍。相手最終ライン裏への飛び出しって別にゼロトップではなくてもSHに求められそうなものですが、残念ながら汰木も達也もそんな動きは少なくて足元でボールを受けたがる中、明本が豊富な運動量をベースにそのタスクを完遂。SHのポジション争いで頭二つくらい抜けた感じがしました。

・とはいえ、札幌みたいにマンマークでしっかり武藤を掴みに来るような相手ならこのやり方はすぐに手詰まりになるでしょう。武藤が復調したのか、リカが武藤を発見したのかは定かではありませんが、相手に応じて起用すべきCFのバリエーションが増えたのは慶事以外の何物でもありません。据え膳級の絶好機を決められなかった杉本の出番がいよいよ怪しくなってきましたが、それもまた健全な競争の結果なので仕方ない。杉本も天を仰がずに走れ!撃て!!

・ルヴァン杯でイマイチだった選手とエリートリーグで良かったと思われる選手を入れ替えたのは、控え組のモチベーションアップになりますし、控え組だったはずの選手がリーグ戦スタメンで結果を出したとなると、それまで固定気味だったスタメン組にも一気に危機感が広がる。実に良いことづくめです。

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《選手評等》

・MOMは武藤でも良いかな?と思いましたが、新加入で1ゴール&1PK奪取という結果に敬意を表して明本を選出。もともと体幹がしっかりしていて小柄の割には当たりに強い選手ですが、J1の強度に慣れて一段とパワーアップ。また先述のように裏抜けの意識の高さゆえにSHのポジション争いでは頭二つくらい抜けた気がしました。明本が右SHならともかく、左SHに入った例は記憶にありませんが、山中との連携も意外に良く、代わって山中との連携の良さがウリだった汰木がちょっとしんどくなった気も。

・ヘッドで叩き込んだはずの3点目が幻に終わってしまいましたが、関根の復調も顕著。怪我で出遅れたこともあってコンディションを上げるのに苦労した旨を鹿島戦のMDPで吐露していましたが、エリートリーグで90分出場して自信をつけた模様。関根らしい1対1でのぶち抜きで見せ場を作ったことで、ぶち抜けない達也にポジション争いで大きく差をつけたかな?

・阿部&金子の小破離脱から転がり込んだかもしれないチャンスを柴戸はちゃんと活かしました。控え組はやっと巡ってきたチャンスをきっちり掴めるかかどうかでその後が全然違います。課題のパスはまだまだ改善の余地大と思いましたが、とにかく柴戸がリカのもとで使い物になるレベルまで上がってきたのはホンマ良かった。

・この日は西川にあまりロングボールを蹴らせないどころか、わざわざパス出しが巧いとは言い難い柴戸を西川の前に立たせ、柴戸から繋ごうとしていた場面が目立ちました。ある意味「柴戸チャレンジか??」とも思いましたが、こういうのが撒き餌となるのか、79分西川がいきなり左サイド奥深くにロングボールを蹴って、それを明本が全速力で追いかけて拾い、山中のクロスに繋げる場面も。こういうオプションは西川ならでは。

・この試合の難敵は鹿島ではなく荒木主審。22分岩波へのラフプレーを皮切りに、ピッチサイドで槙野を投げ飛ばすなど乱暴狼藉を繰り返すエヴェラルドにイエローカードが出ないのが不思議でなりませんが、それ以外にも疑問符つきまくりの判定が多々。そしてそれらが往々にして浦和不利の判定になってしまいました。

・こういう浦和が審判と喧嘩しているような試合は伝統的に鹿島ペースで、なんだか訳のわからないうちに負けてしまいがちでしたが、そういう悪しき伝統を打破出来たのもちょっと感慨深いかも。

・また再三のVAR介入も難儀。個人的には不可解な判定で煮え湯を飲まされる経験をアホほどしているせいか、VAR導入自体は賛成なのですが、主審がVARで何の件を交信しているのか観客にはさっぱり判らないのが困りもの。その点「物言い」があった後に親方が検討内容&結果をを場内説明してくれる大相撲は親切ですなぁ(往々にして親方の日本語能力に問題があったとしても)。

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-----武藤-----
明本-小泉--武田-関根
-----柴戸-----
山中-槙野--岩波--西
-----西川-----

(得点)
37分 明本
66分 槙野(PK)


(交代)
68分 武田→伊藤敦
74分 武藤→興梠
74分 小泉→杉本
86分 関根→宇賀神(故障(足が攣っただけ?)による交代。西が右SH、宇賀神が右SBへ)


--エヴェラウド-上田---
白崎--------荒木
---三竿--レオシルバ--
永戸-町田--関川-常本
-----沖------

(得点)
45+2分 関川

(交代)
62分 白崎→松村
77分 荒木→ファン アラーノ
77分 レオ シルバ→遠藤
77分 三竿→舩橋

 

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