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2021.04.22

【観戦記】21年ル杯GS第3節:横浜FC 1-2 浦和 ~ 今季初の逆転勝ち!!

 先制点を取られた後のドツボの時間帯を彩艶の好守で凌ぎに凌いだのが終わってみれば最大の勝因に。前半給水タイムを挟んで戦闘態勢を立て直した浦和のクロス攻撃がハマりだして一気に逆転。若手の躍動も垣間見られたまずまずの試合でした。

《スタメン》

・浦和はリーグ戦第10節から中2日と厳しい日程ゆえか、浦和のスタメンは前節から岩波と敦樹を除く9名を入れ替え。ユース在籍中で2種登録の工藤がついにトップデビュー。またしばらく戦列を離れていた金子がしれっとスタメン復帰。同じく戦列を離れていた阿部もベンチ入りと薄かったCHの陣容がようやく元に復したのは好材料。

・横浜FCはリーグ戦から中3日と若干コンディション面では横浜FCが有利でしたが、こちらはスタメン全員を入れ替え。松尾はベンチにもおらず。横浜FCは4/8に下平監督を更迭してユース監督だった早川を内部昇格させたばかりなので選手の序列が入れ替わっている可能性がありますが、リーグ戦で比較的コンスタントに出場しているのはCHの手塚&安永くらいで、こちらも控え組主体のスタメン構成でした。

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《試合展開》

・リカはスタメン発表で小細工しないことを公言していましたが、この試合では福島がMF、汰木がFW登録。つまり見かけ上3-4-3となっていたのが気になりましたが、蓋を開けて見ると基本4-4-2でした。ただ攻撃時に宇賀神・岩波・工藤の3枚でビルドアップを試み、かつ汰木が中へ、そしてそのスペースへ福島を押し出す3-4-3っぽい形が頻出。ゆえにリカの選手登録は全くの三味線という訳でもありませんでした。

・一方横浜FCの布陣はいつもの4-4-2。コンパクトな布陣で最終ラインを目一杯押し上げて浦和に前からプレッシャーをかけてきましたが、この策に対して浦和はビルドアップに苦しみ、なかなかボールを落ち着かせられず。特に右サイドからのビルドアップは壊滅的でした。浦和の決定機は12分金子の縦パスを最前線で興梠が受け、アーク付近で杉本→汰木(!)と繋いで興梠のシュートで終わった場面くらい。

・横浜FCも浦和に自由を与えていないとはいえ、こちらも浦和の素早い攻守の切り替え&強烈なプレッシングに苦しんでこちらも良いとは言い難い出来でしたが、先制したのは横浜FC。14分伊藤翔の縦パスに反応して右サイドを駆け上がったマギーニョに対して工藤が安易に飛び込んで交わされてしまい、しかもマギーニョのクロスの先ではクレーベがどフリーという目も当てられない形で先制点を取られてしまいました。

・この場面、工藤の安易な飛び込みもさることながら、ずっーーーとボールウォッチャーでクレーベを全然見てない岩波の罪のほうがでかいかと。GKと左SBはユース卒の新人、左CBはユースと最後尾は若手だらけなのに中堅の岩波が失態を晒してどうする???

・それから給水タイムまでの10分は見るも無惨。特に失点にがっつり関与してしまった工藤は動揺ありありでミスの連続。また福島&工藤のコンビで右SHマギーニョに対峙させるのは相当無理があってこの「魔の10分間」は大苦戦を余儀なくされました。

・15分右サイドを疾走する岩武に福島が抗しきれずにボックス内までボールを運ばれ、折り返しをペナ角から手塚がミドルシュート。19分汰木のクリアボールを手塚に拾われ、手塚のヘッドでの浮き球パスに工藤がマギーニョと競り合って入れ替わられる大失態→こぼれ玉を伊藤翔がシュート。20分右サイドから手塚クロス→ここでも岩波がボールウォッチャーと化してクレーベへの対応が遅れる失態があり、クレーベヘッドと大ピンチの連続でしたが、それらを悉く防いだのが彩艶。ここで追加点を取られていたらそのまま良いところなく惨敗していた可能性が高かっただけに価値あるスーパーセーブ連発でした。

・ところが前半の給水タイムでたちまち戦闘態勢を立て直せるのがリカの凄いところ。給水タイム後は浦和がようやくボールをしっかり握って左右からクロス攻撃で良い形。27分岩波(?)の縦パスを杉本が収めて右サイドへ展開→宇賀神クロスは僅かに興梠に合わず。32分工藤→福島から興梠への斜めのパスを興梠がスルーしてその背後の杉本に付け、杉本が右サイドを疾走する達也へ展開→達也クロスを汰木ヘッド。

・そして浦和のサイド攻撃がついに実ったのが45分。宇賀神のサイドチェンジから福島がどフリーでクロス→杉本ヘッドが炸裂!! 杉本は細かく動き直して相手の視界から消えるというFWらしい動きをしていて実に頼もしい。というかCB韓はボールウォッチャーになって肝心なところで杉本を見ていないという残念さでしたが(苦笑)。早川監督は浦和のサイドチェンジに対して守備ブロックのスライドが間に合わずにフリーでクロスを入れられるのはやむを得ないとしても、中でマークを掴めないのが問題とお嘆きの様子。

・リカは後半頭から岩波→槙野、金子→阿部と2枚替え。前者は疲労を考慮して、後者は故障明け同士という試合展開とは無関係の当初予定通りの交代でしょう。

・浦和はなおもボールをしっかり握って攻勢。48分敦樹の縦パスの跳ね返りを宇賀神が最前線で粘りに粘ってキープしたところから興梠シュートも六反セーブ。49分CKからの流れで左サイドから槙野クロス→興梠ヘッドも手塚と競り合って枠外。

・そして浦和の追加点はまたしてもサイド攻撃から。57分福島のクロスは興梠に合わせようとしたようですが、興梠には合わずに逆サイドへ。拾った達也はすかさずクロス→杉本ヘッドとやや偶発的な要素を含みながらも横浜FC守備陣を見事に左右に揺さぶっての素晴らしいゴールでした。

・70分引いてボールを受けた杉本が汰木に縦パス→左サイドに展開して福島クロス→杉本ヘッドで追加点のチャンスがありましたが、無情にもシュートはバーの上に。

・浦和は72分ロングボールを槙野がヘッドへ跳ね返したものの、それがマギーニョへのプレゼントパスになってしまう場面があるなど致命傷になりかねないミスが散見された上に、右SHマギーニョには最後まで悩まされ続けて82分にはボックス内から際どいシュートを撃たれてヒヤリ。そのピンチを招く契機となった福島は84分とうとう足を攣ってしまい、80分にFWへ投入したはずの明本を左SBへ回して手当てせざるを得なくなりました。

・89分にはバックパスを受けた彩艶の縦パスが相手に渡ってしまう場面もありましたが、残念ながら横浜FCは浦和の数々のやらかしに付け込み、傷口を広げるだけの力なし。それどころか横浜FCもミスが多く、浦和は途中投入の涼太郎が積極的に追加点を狙いに行くものの、こちらも決めきれずと最後の最後まで落ち着きがない試合展開で試合終了。

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《総評》

・ルヴァン杯グループステージ第3節にしてようやく初勝利。浦和が入ったC組は今季ここまでのリーグ戦の順位で最上位なのが10位の浦和で、明らかに頭一つ実力が抜けているクラブがいないという「低レベルの死のグループ」のせいか、一つ勝っただけで一気に2位に浮上。

・リカはルヴァン杯タイトル奪回を至上命題とされてはいないようで、明らかに控え組のテストの場として割り切っている臭いのですが、それでも第3節で負けてしまうと早々とルヴァン杯は消化試合と化してしまい、「真剣勝負でのテスト」という意味合いが薄れてしまいがちなのでこの試合の勝利は有意義だと思います。しかも「内容はともかく、とりあえず勝った」のではなく、狙い通りの形=ボールをしっかり握ってからのクロス攻撃連発で得点を奪っての勝利でしたからリカもそれなりに満足でしょう。

・そしてリカがこの試合内容にどこまで満足したかは、中3日で控える大分戦でのベンチ入りメンバーに反映されることでしょう。その辺は非常に判りやすい監督です。

・ルヴァン杯はリーグ戦で出番のない選手の出来不出来を見るのが楽しみの大半なので、その辺は「選手評等」に譲ります。

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《選手評等》

・ユース在籍ながらもついにトップチームデビューを果たした工藤。工藤は失点後の「魔の10分」こそドツボでしたが、いつまでも失敗をズルズル引きずらずに給水タイムを契機にスパっとメンタルを立て直すのに成功。若き日のGK西部とかGK加藤とか一つの失敗が連鎖的に失敗を生んでしまう例を見てきただけに、こういうメンタルの切り替えが出来るのはプロ向きだと思いました。リカもその辺を評価したのか、工藤を前半だけでお役御免とせずに我慢して90分間起用。

・2点目の契機は工藤から汰木への縦パスから。工藤は前半から盛んに前線へのズバッと縦パスに何度もトライしてて、それが見事に2点目に繋がりました。ああいう縦パスを入れる能力は槙野にも岩波にもない。守備がまだまだなのは見ての通りでリーグ戦で使うには程遠い感じですが、リカ好みのCBなのはよく判り、藤原を押しのけてベンチ入りしているのも納得。

・逆にルヴァン杯初戦で負傷という不運もあって工藤に追い抜かれた藤原は悔しいだろうなぁ。でも巡って来たチャンスを一発で活かすかどうかでその後の人生が大きく変わってしまうのがプロの世界。

・エリートリーグ水戸戦ではIHで起用された汰木。この試合でも基本左SHながら攻撃時には随分中に絞った位置にいて、2点目は汰木→福島のフリックで得点に関与。70分福島クロス→杉本ヘッドの決定機でも、その前に汰木が絞った位置から福島に展開。あんまり得意ではないことをなんとかこなそうとしている辺りは好感が持てて、それがスタメンから外れた涼太郎や大久保との差になったのかも。惜しむらくはIHで本格起用するにはシュート意識が低くて、かつ精度もないけど、リカのやってほしいことをやろうとはしている。リーグ戦でベンチ入り出来るくらいの評価はされたかな?

・「魔の10分間」で好セーブ連発で、個人的には文句なしのMOM彩艶。でも神がかったセーブもさることながら、CBをヘルプすべくビルドアップに加わる際に恐ろしく高い位置に出てくるのが目を惹きました。横浜MのGKとか、フィンク時代の神戸でよく見られた光景。こういうのもリカ好みのはずで、何かの拍子に西川を抜いてしまうかも。

・汰木とは対照的に終始サイドに張りっぱなしの達也。チーム戦術的にそれで可とされているのでしょうが、「田中達也」という名前は「全力で空回りする」強力な因子でも埋め込まれているんかなぁ・・・そういう悪いところが先代にそっくりでした(つД`)

・興梠は「ローストチキン屋がピッチで徘徊しているだけ」の状態からなんとか脱してだいぶ動けるようになってきましたが、まだ得点感覚がが戻らない様子。この試合も何度か決定機がありましたが、いずれも決まらず。ただあまり機能した試しがない興梠&杉本の2トップに「相互にスルーをかませる」など連携らしきものがチラチラし始めたのは好材料。

・久しぶり出場の金子&阿部。どちらも試運転の域を出ませんでしたが、試合感という意味では金子より阿部のほうがヤバかった気が。でも阿部の場合は年齢が年齢なので故障なりコンディション不良なりで長期離脱してしまう可能性があったので、とりあえず試合に出られるまで回復したことで良しとすべきかも。

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---興梠--杉本---
汰木--------達也
---敦樹--金子---
福島-工藤-岩波-宇賀神
-----彩艶-----

(得点)
45分 杉本
57分 杉本

(交代)
HT 岩波→槙野
HT 金子→阿部
74分 汰木→伊藤涼
80分 興梠→明本
84分 福島→大久保(足が攣ったため。明本が左SB、大久保がFWへ)


---クレーベ--伊藤---
杉本-------マギーニョ
---手塚--安永---
高木-韓---高橋-岩武
-----六反-----

(得点)
14分 クレーベ

(交代)
65分 手塚→瀬古
76分 高木→武田
76分 クレーベ→ジャーメイン
86分 杉本→中塩(故障による交代)

 

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