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2021.05.28

【観戦記】21年第16節:広島 2-2 浦和 ~ 危うく月に代わってお仕置きされるところでした

 ATに川辺のスーペルゴラッソを喰らっての悔しいドローでしたが、内容は終始やや押され気味。勝てた試合でしたが勝ちに値する試合ではなく、残念ながらドローは妥当な結果でしょう。

《スタメン》

・浦和は前節から中3日なのに対し、広島は中2日とコンディション面では浦和がやや有利な一戦。浦和は前節から武藤→小泉、阿部→柴戸とスタメン2名入れ替え。

・広島は前節から森島→エゼキエウ、浅野→長沼、青山→柴崎、川辺→ハイネル、柏→東とスタメン5枚入れ替え。広島はどちらかといえばスタメン固定気味なので、5枚もの入れ替えは窮余の一策なのでしょう。

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《試合展開》

・浦和の基本フォーメーションは小泉トップ下の4-2-3-1で守備時4-4-2。

・一方広島は前節同様3-4-2-1。リカは試合後「前節広島は形を変え、あまり多くの情報がない中でしたけれども」と語っている通り、広島はルヴァン杯最終節で控えメンバーだらけで臨んだ一戦だったとはいえ、仙台にまさかの大敗を喫してGS敗退が決まったのを契機に今年取り組んできた4バックベースをとうとう放棄し、前節C大阪戦から3-4-2-1に変えてきました。

・ただ広島は元々3-4-2-1で闘っていたチームなので、広島の選手達はもちろん見ている当方もなんら違和感はないのですが、昨年までの広島を見ていないリカだけが「あまり多くの情報がない」のかも。

・むしろやや意外だったのは広島の守備。守備時はリトリート主体で5-4-1でどっしり構えるのではなく、最終ラインの形こそ5バックなものの、最終ラインをかなり押し上げて前からガンガンプレッシャーをかけてきました。よって中盤より前の配置はかなりグダグダ。見ようによっては5-2-3に見えないこともない感じでしょうか。

・広島は中盤の面子をほぼごっそり入れ替えたからこそ出来た策で、浦和は結構これに悩まされてビルドアップはスムーズさを欠き、ボールは保持しているもののユンカーまでボールが届かない時間帯が長く続きました。リカは試合後「彼らは我々に対して1対1ではめてくるようなディフェンスをしてきて、そこでなかなか違いを作れなかったところはありました。」と率直に苦戦を認めています。

・ところが浦和は15分最初の決定機をいきなり決めて先制。小泉の縦パスで高い広島最終ラインの裏に抜け出した達也がワンタッチでクロス。これはユンカーに合いませんでしたが、逆サイドで拾った汰木のクロスを体勢を立て直したユンカーが押し込んでゴール!!ユンカーに付いている荒木が左右からのクロスに対してどちらもずっこけて何の役も立たず、実に良い味を出しています。

・これで浦和ペースで試合が進むと思いきや、23分ハイネルのCKが直接決まって早い時間帯に同点に。彩艶は頭上を抜かれた格好になってしまったので試合後「自分のミス」と反省しきり。彩艶はそもそもハイネルが直接狙ってくるのを全く予測していなかったのか、若干なりとも予測はしていたのだがボールの落下点を読み違えたのか。

・試合は振り出しに戻ったこともあってか、再び浦和は広島の厳しい前プレに対して苦戦気味。ボールを握っている時間帯こそやや長いものの縦パスを入れた先で相手にガツンと当たられてロスト→ショートカウンターをくらいかかる場面が目立ちました。普段の小泉なら寄せてきた相手からくるりと身をかわして縦パスを出すのが超得意なはずなのに、お疲れなのかこの日はそんな場面なんてとんと見られず。これでは浦和のビルドアップが手詰まり気味なのも道理。

・また20分の岩波へのイエローは妥当だと思いましたが、その後の広島の再三のラフプレーにたいして今村主審が全くイエローを出さないのも浦和にとって難儀でした。ゲームキャプテンの槙野は「怪我人出ますよ!!」と声を荒げていましたが・・・

・先制後の浦和はこれといって良いところがないのに対し、広島はスピードがある右WB藤井が結構面倒な存在で何度も浦和左サイドを脅かし、38分には藤井のクロスから柴崎に決定機。

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・後半は開始早々汰木がセンターサークル付近でボールを奪ったのを契機に汰木→ユンカー→汰木の良い形を作ったものの、それ以降はあろうことか後半は広島に一方的に押し込まれる苦しい展開に。しかも広島が先に動いて58分柴﨑→川辺、長沼→浅野と代えて一気に攻勢。53分浅野ヒールパス→ボックス内でエゼキエウがシュート(敦樹がなんとか寄せて枠外)。56分野上スルーパス→川辺シュート(彩艶正面)、64分川辺スルーパス→ボックス内で浅野シュート(彩艶が間合いを詰めてセーブ)と決定機を量産しましたが、得点ならず。

・リカは63分に敦樹→山中、達也→関根と投入して4-1-4-1に布陣を変えたもののさしたる効果はなし。74分岩波縦パス→ユンカーフリック→柴戸スルーパス→明本が広島最終ライン裏に飛び出すもわずかにオフサイドになったのが惜しかったくらい。

・ただ78分岩波縦パス→ユンカー→関根クロスで終わった場面を含め、この時間帯になると広島の前プレを逆用するような形=相手が食いついてきたところでボールを離して相手の前プレを空転させ、スカスカの中盤でボールを繋ぐことが連続的に出来るようになっていましたし、しかもその過程に小泉があまり関わらなくてもボールが回るようになったのは今後の試合へ向けての明るい材料でしょう。

・79分汰木→武藤、ユンカー→興梠と代えて4-4-2に布陣変更。おいおい広島の守備は大決壊を迎えるだろうと思いながら試合を見ていましたが、浦和の2点目は非常に意外な形から。84分山中のアーリークロスを興梠がヘッドで折り返したところ、ボールが荒木の腕に当たってボックス内ハンドを誘発。荒木がボールを腕で止める意図なんて微塵も感じられませんでしたが、腕の位置が不自然すぎました。VARチェックを経て見事にハンド認定。興梠は難なくPKを決めて、ようやく今季初ゴール。

・しかしなぜか7分もあったATで広島が猛攻。リカは阿部を投入して防戦を図りましたが、引きすぎたのが仇になって川辺の豪快なミドルを喰らい、逃げ切りならず。藤井→浅野へのスルーパスが槙野に当たってこぼれたところを川辺にぶち込まれた形でしたが、ぶち込んだ川辺以上に前半から厄介だった藤井に最後までかき回された印象が強く残った同点劇でした。

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《総評》

・2度リードしたにも関わらず、ATに入ってから同点に追いつかれてしまったドローゲーム。しかも広島の2得点は共にスーペルゴラッソとしか言いようがない見事なもの、悪く言えば再現性のない偶発的なものだったので「勝てた試合」を引き分けに持ち込まれた印象を抱く方も多いかもしれません。

・ただ得点の経過とは裏腹に試合自体は広島ペースだったのは明らか。勝っても負けても浦和のシュート数が相手より少ない(浦和5:広島11)のは通常運転なのであまり気にする必要はありませんが、決定機の数も広島のほうが多く、城福監督が試合後「われわれから見たら勝点3にふさわしいゲームができたなと思っています」「ほとんど進入されることなく、われわれの方がチャンスが多かったと思います」と盛んに負け惜しみを語るのは無理もありません。いや負けてはいないのですが。

・リカも試合後「相手が我々に対して激しく強くディフェンスをした、そういった相手のプレーがよかったところがまず一つにあると思います。そういったところを強く来られて、なかなかうまくプレーできなかった」と苦戦を率直に認めています。日程面では浦和が有利だったにも関わらずどう見ても浦和の方が身体が重そうで、「半分ターンオーバー」が奏功した広島の前プレに苦しめられ続けました。特に小泉が。よって「勝てた試合」だったが「勝つに値する試合」だっとは思えず。

・開幕以来酷使されっぱなしの小泉を気遣ってリカは神戸戦前半はベンチスタートにする等、それなりに手を打ってはいるようですが、小泉がいないとボールがうまく回らないのは相変わらず。そしてとうとう小泉が擦り切れてしまったのか、この試合では小泉がいてもボールがうまく回らないようになってしまいました。

・リカはこれまで複数のフォーメーションなり選手の組み合わせなりを試行してきましたが、そのいずれもが小泉の存在を前提に成り立っていたようなもの。まだまだ続く連戦を前にいよいよ小泉がいない時の「プランX」を考える必要に迫られたような気がしてなりません。この試合の78分に見せたパスワークは小泉なしでもなんとかなりそうな気配を十二分に漂わせていましたが・・・

・またもうちょっと長い目で見た場合、相手の出方に応じてリカは4バックと3バックを切り替えるプランを温めているかもしれません。今は信頼できるCBが2枚しかいないので、相手の出方とは関係なく4バックを採用していますが、デンの復帰に加え本職CB&CBも出来るSBの獲得が噂されている以上、五輪中断明け辺りで3バック併用に転じている可能性は十分あり得ます。

・一方広島も城福監督が力説するほど「勝点3にふさわしいゲームができた」とも思えず。なにせ広島はシュート数で相手を大きく上回りながら一点も取れずに負けることがよくあるチーム。「ボックス内に入るまでに体力を使い過ぎて、最後の最後で精度を欠いてしまう」とか何か構造的な要因があるような気がしてなりませんが、この試合でも決定機の数こそ多いものの浦和守備陣を崩しきったものはそれほどなく、広島サイドから見てもドローは妥当ではないかと。

《選手評等》

・柴戸が劇的に成長してるせいか、開幕時は高評価だった敦樹が相対的に小さくまとまってしまってストロングポイントを見出しにくくなってる気も。もちろん大卒新人としては十分な出来なのですが。そしてその敦樹を超えられない金子はどうしたんや??

・この日は試合中に「スーパームーンの皆既月食」が見られるはずだったのですが、広島は後半から雨で皆既月食どころではなく、首都圏も曇り空。こちらも試合内容同様、思い通りに行きませんでした(´・ω・`)ショボーン

Hiroshima2020001


-----ユンカー-----
汰木---小泉---達也
---敦樹--柴戸---
明本-槙野--岩波--西
-----彩艶-----

(得点)
15分 ユンカー
84分 興梠(PK)


(交代)
63分 田中→関根
63分 伊藤敦→山中(山中左SB、明本IHの4-1-4-1へ)
79分 汰木→武藤(明本左SHに転じて4-4-2へ)
79分 ユンカー→興梠
89分 小泉→阿部


-----サントス-----
--エゼキエウ---長沼--
東--ハイネル--柴崎-藤井
-佐々木-荒木--野上-
-----大迫-----

(得点)
23分 ハイネル
90+2分 川辺 駿

(交代)
58分 柴﨑→川辺
58分 長沼→浅野
67分 ハイネル→森島(故障による交代)
76分 エゼキエウ→茶島

※写真は試合とは全く関係がありません

 

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