« 寿宝丸@蕨 ~ 元祖寿宝丸味噌 | トップページ | 味味@三ノ輪 ~ 豚骨らーめん »

2021.05.23

【観戦記】21年第15節:浦和 2-0 神戸 ~ イニエスタ埼スタデビュー戦はほろ苦いものに(苦笑)

 序盤はボールを保持できずに自陣に押し込まれる時間帯が長かったものの神戸に与えた決定機は多くはなく、給水タイム以降徐々に反撃。後半頭から小泉&柴戸投入で大攻勢をかけて2得点というリカの「差しウマ体質」を遺憾なく発揮した完勝でした。

《スタメン》

・共にルヴァン杯から中2日。浦和はリーグ戦前節比で小泉→汰木、柴戸→敦樹とスタメン2名入れ替え。ルヴァン杯からの連闘は槙野と汰木のみ。ルヴァン杯第6節は必勝を期して小泉・柴戸共90分使ってしまいましたし、小泉はそもそも開幕以来使い詰め。神戸戦の後も中3日&中3日でリーグ戦が続くので、いったんスタメンを外したものと目されます。

・ルヴァン杯で復帰を果たしたデンがサブに入って、ベンチメンバーのポジションバランスは従前よりぐっと良くなりました。そのあおりで杉本はとうとうベンチ外に。

・神戸はリーグ戦前節比で前川→飯倉、中坂→イニエスタ、井上→リンコンとスタメン3名入れ替え。ルヴァン杯からの連闘はリンコン、山口、飯倉の3名。故障明けから後半途中投入続きだったイニエスタをついにスタメン起用したのがサプライズ。イニエスタは神戸在籍時どころか、バルセロナ在籍時の「さいたまシティカップ」を含めても負傷等々で埼スタに来たことがなく、この試合が埼スタデビュー戦。

・サンペールはコンディション不良でベンチ外。

Kobe2105004

《試合展開》

・浦和はかなりはっきりした4-4-2。神戸は前目の面子を代えてきたので出方が判りにくかったのですが、蓋を開けてみるとイニエスタはえらく前目にいて4-4-1-1ないし4-2-3-1といった塩梅。裏抜けが滅茶苦茶巧い古橋はなぜか左SHに配されていました。

・浦和は相手の出方を窺っているうちにペースを握り損ねたのかどうか、とにかく浦和の序盤はさっぱりでした。G大阪戦同様相手にボールを握られ、自陣に押し込まれて耐える時間帯が長く続きました。もちろん最初からリトリートして守備ブロックを敷く訳ではなく、それどころかユンカー&武藤で前からプレッシャーをかけてはいるもののこれが全くハマらず、逆にスカスカの中盤で簡単にボールを運ばれてしまう弊が目立ちました。

・またなんとか自陣でボールを奪ってもビルドアップに四苦八苦。小泉不在が祟って良いタイミングで前線にボールが出てこないので、いつも相手が守備ブロックを整えてから攻める羽目に。そして攻めきれずにカウンターを喰らいかかる始末。

・どう見ても序盤は神戸ペースでしたが、神戸も神戸ですっかり「FC古橋」になってしまって、敵陣にスペースがなくて古橋が裏抜けしようがない展開は苦手なのかも。せっかくイニエスタが復帰しても「ボールを回して相手を崩しきる」というリージョ→フィンク政権下での得意技はすっかり錆びついてしまったようで、ボールを握って相手を押し込んでいる割には決定機はさほど多くありませんでした。

・序盤の神戸の決定機は8分イニエスタFK→フェルマーレンがヘッドで折り返して古橋シュートは宇宙開発と、15分佐々木&山川で浦和左サイドを崩して、山川横パス→古橋シュートがわずかに枠外だった場面くらいでしょうか。その後も古橋は再三シュートを放っていましたが、なぜか悉く宇宙開発事業団と化していました。

・給水タイム後は浦和もようやくボールを持てるようになり、34分槙野縦パス→明本ボックス手前からシュートと流れの中からは初めての好機。そして37分相手を押し込んだ状態で汰木縦パス→明本が左サイド奥深くに侵入してクロスもわずかにユンカーに合わずに手前でGK飯倉キャッチとサイド攻撃もぼちぼち形になりはじめました。

・そしてリカは後半頭から武藤→小泉、阿部→柴戸と一気に2枚替え。「後半小泉&柴戸を投入してからが勝負、前半は塩試合やむなし、スコアレスでの折り返しなら万々歳」というのはリカが描いていたゲームプランでしょう。そしてそのリカの目算通り、この2枚替えを契機に前半途中から回復基調だった浦和のパス回し、特にそのスピードが一気に上昇。

・47分柴戸のパスを受けた明本が左サイドで佐々木&山川と対峙しながらタメを作り、佐々木らの背後を駆け抜けた汰木にパス→汰木が珍しく左足でクロス→ユンカーの背後で達也がヘッドで浦和先制!! フェルマーレン&菊池は長身のユンカーに気を取られ、達也は下がってCBから離れてどフリーに。それ以前に郷家の汰木への対応が緩慢過ぎて笑えるレベルですが。

・前半から怪しげだったGK飯倉がとうとうやらかしたのが53分。小泉に寄せられた飯倉の縦パスは敦樹の下へ。敦樹が自分で撃たずに小泉にパスを出したのが祟ってオフサイドになってしまいましたが、前半から諦めずに飯倉や菊池にプレッシャーをかけ続けたのが実りかかった一幕でした。

・50分くらいにFWリンコンがちょっと傷み、さらに右SH佐々木も故障したためか、神戸は56分にリンコン→ドウグラス、山川→初瀬、佐々木→マシカと一気に三枚替え。64分浦和を押し込んで初瀬→イニエスタのスイッチで浦和右サイド深い位置でイニエスタがどフリーで低いシュートという決定機を掴みましたが、彩艶がシュートを片手で弾き、そのこぼれ玉に反応したドウグラスのシュートは槙野がブロック!

・このピンチを見てリカはすかさず達也→関根、汰木→山中と代えて運動量を補充し、その後はほぼ一方的な浦和ペース。81分には岩波サイドチェンジを契機に山中→明本→小泉と左サイド奥深くでボールを繋ぎ、小泉折り返しをボックス内中央で関根シュートという絶好機がありましたが、ここは飯倉がビッグセーブ。

・しかし、85分CKからの流れ。古橋のクリアを拾った西がアバウトに放り込み→それに反応した岩波が菊池と競り合ったのが効いたのか、落下したボールをユンカーがボレーで叩き込んで浦和に待望の追加点。西が放り込んだ時点でユンカーがオフサイド臭いような気もしましたが、中村主審はVARと交信してゴール認定。

・そしてそもそもこのCKは初瀬のバックパスを飯倉が処理し損ねたところから、というのが笑いどころ。

・神戸は最後にフェルマーレンを前に上げてパワープレーを試みましたが、89分ボックス内で古橋がシュートを放ったくらい。それも岩波に難なくブロックされて何の紛れもなく試合終了。

Kobe2105002

《総評》

・後半小泉&柴戸を投入してからが勝負というリカのゲームプラン通りの試合展開で、さぞかしリカは笑いが止まらないことでしょう。また達也が試合後「(ハーフタイムに)ビルドアップにおける立ち位置の変更がありました」と明かしていましたが、それが具体的に何なのか気になります。

・一方三浦監督は試合後激オコプンプン丸(死語)。しかも試合後の弁がなかなか振るっていて「アラート」「気の緩み」を連発。「アラートさがない状況での失点」「今季取り組んでいるのは常にアラートにいこう」と、なんか都知事の「東京アラート」並みによく判らないお話の連続、お気持ち論の連続で、これを毎日聞かされる選手はたまったもんではないでしょうなぁ。イニエスタはよく契約更新する気になったなぁ、しかも2年も。

・ところがGK飯倉は最初の失点について「気の緩みよりもワンクッション入れられたことでボールウォッチャーになったことが問題。入りがすごぶる悪い感じはしなかったですね」と監督の弁をばっさり。おまけに「僕たちの距離感が悪くて、後半のスタートと同時に相手がプレッシャーを掛けてきた中で後ろで優位を作れなかったのが後半、ボールポゼッションがうまくいかなかった理由かなと思います。」と良くなかったところを具体的に指摘。うーん、これでは飯倉も辛かろう。

・CB菊池は迎撃能力こそJ1トップクラスなものの足元がかなりヤバイのか、浦和は菊池がボールを持つように誘導し、菊池のところで囲い込む策を多用していましたが、この辺りが飯倉の悩みとちょっと符号している気も。

・点が入らなかったことについても三浦監督は「しっかりシュートを枠に入れる、ゴールを取るんだという気持ちで練習をしていくしかない。」とシュート精度の問題、そして気持ちの問題(笑)としているのに対し、イニエスタは「相手ゴール前での動き出しだとか、精度というところが足りなかった。ラストパスだったり、最後の動き出しで精彩を欠いて、それがゴールにつながらなかった理由」とシュート以前の問題点を指摘して、ボールを保持していても決定機自体多くはなかったことを考えるとイニエスタの話のほうがしっくり来ます。

・また一番点が取れそうな古橋が、一番懸命に前プレしているのって何か設計がおかしいような・・・ これでは肝心な時にシュート精度を欠くのも当然。浦和はあんまり得点を期待されてない武藤にその役を振っているのと対照的。

・外国人FWが続々戦線に加わって、イニエスタも復帰してきたため、三浦監督はここまでそこそこ好成績を収めてきた「FC古橋」からの転換を図っているのかもしれません。その過程で数多いる外国人選手の使い方・最適配置に悩みに悩んで残り半年が終わってしまうかも・・・ 後半途中投入のマシカは寄せ手を振り切りまくっての突進が驚異的でしたが、リンコンは何もできないままでしたし。

Kobe2105001

《選手評等》

・左サイドからのクロスに対して逆サイドから突っ込むのは達也の得意技ですが、この試合の得点はボックス内中央で待ち構えているところから。しかもヘッドでの得点。「ヘディングという自分でもビックリする形」だったそうですが、ユンカーをデコイというかCBの寄せを防ぐ盾に使ったかのうような絶妙なポジション取りでのゴールでした。

・達也が得点という非常に判りやすい形で結果を出しまくっているので同ポジションの関根はかなり焦っているかもしれません。それだけに81分の絶好機を逃したのは痛恨。もっとも達也と関根は同ポジションでもプレースタイルが全然違うので、相手に応じてリカが巧く使い分けると思いますし、焦り過ぎてコンディションを崩す愚だけは避けてほしいものです。

・ユンカーのシュート精度はとにかく驚異的。撃てばほぼ枠内。相変わらずハイボールはどうにもなりませんでしたが、スピードがあるので地上戦でのフェルマーレンとの競り合いは見応えがあり、菊池程度なら吹き飛ばして前進!

・今日も無失点の彩艶。U-24日本代表に飛び級選出されて注目度急上昇ですが、この試合は40分に汰木目掛けての超ロングスローで見せ場を作った反面キックミスが目立ち、また64分のイニエスタのシュートも遠くへ弾き切れずにドウグラスに詰められているのを本人も反省している模様。よって彩艶がこのままリーグ戦で起用され続けるかどうか。リカも良い意味で悩ましいことでしょう。

Kobe2105003


---ユンカー--武藤---
汰木---------達也
---敦樹--阿部---
明本-槙野--岩波--西
-----彩艶-----

(得点)
47分 田中
85分 ユンカー

(交代)
HT 武藤→小泉
HT 阿部→柴戸
66分 田中→関根
66分 汰木→山中(山中が左SB、明本が左SHへ)
90分 ユンカー→興梠


-----リンコン-----
古橋---イニエスタ--佐々木
---山口--郷家---
酒井-フェルマ--菊池-山川
-----前川-----

(交代)
56分 リンコン→ドウグラス
56分 山川→初瀬(初瀬が左SB、酒井が右SBへ)
56分 佐々木→マシカ
83分 郷家→増山

|

« 寿宝丸@蕨 ~ 元祖寿宝丸味噌 | トップページ | 味味@三ノ輪 ~ 豚骨らーめん »