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2021.05.02

【TV観戦記】21年第12節:福岡 2-0 浦和 ~ 凡ミスによる失点で自ら試合を難しくするの巻

 立ち上がりこそ上々だったものの、西川まさかの凡ミスで失点した後は福岡の守備ブロックを前にほとんど手も足も出ず。リカ得意のブレイクタイムでの指示や選手交代の甲斐もなく、終始福岡ペースで試合は進んで終盤に追加点を取られるという全く見所の無い完敗でした。

《スタメン》

・共にルヴァン杯から中2日。そのため両チームともルヴァン杯ではいったんほぼフルターンオーバーしているので、その前のリーグ戦とのスタメン比較だと、浦和は大分戦から杉本→興梠、山中→敦樹と2名入れ替え。故障明け後もなかなかコンディションが上がらない興梠はこれがリーグ戦初スタメン。

・一方山中がリーグ戦でスタメンから外れるのは今季初で明本が左SBへ。これは大分戦後半で得たインプリケーションなのか、あるいは右SBサロモンソン対策なのかは判りませんが、いずれにしても開幕当初は攻撃面での大黒柱だった山中がスタメン落ちしたのは浦和が何か違うフェーズに入った印象を受けました。

・ルヴァン杯湘南戦の内容がさっぱりだったことを受けてか、ベンチ入りメンバーは全く新味無し。この辺は非常に判りやすい監督です。

・福岡は広島戦から金森→クルークスと右SHを入れ替えたのみ。クルークスは元ベルギーU19代表だそうですが、直近はオランダ2部のクラブ在籍で、しかもコロナ禍を受けてチームへの合流が遅れ、試合に出たのは第10節になってから。しかし、これが大当たり臭いのが浦和にとって誤算といえば誤算でした。

Fukuoka004

《試合展開》

・浦和の基本フォーメーションは4-2-3-1というか4-4-2ながらも興梠・武藤の縦並びっぽい感じでしたが、そんなことより攻撃時は福岡の2トップに対し、敦樹が槙野の左へ降りて3バックのような形でビルドアップ。左SB明本を極端に前に押し出し、小泉がかなり中へ絞る形になっていたのが目を惹きました。

・もっとも福岡の2トップは大分と違ってあまり前から追ってこないので、この形のビルドアップが効果的だったかどうかはまた別の話(浦和の両CBが自ら持ち運んで福岡2トップを追い越さないのが謎とか)になりますが、とにもかくにも浦和が立ち上がりから福岡を自陣深くに押し込み、ボールを失ってもすぐに回収して福岡を自陣に釘付けにすることに成功。とはいえ決定機には至らないというお馴染みの展開でしたが、立ち上がりは非常に良かったと思います。西も試合後の弁では「はめようと来ていた中で全くはまらないボール回しができていました」と手応えを感じていた模様。

・ところが好事魔多しというかなんというか。8分志知のクロスは西川がジャンプして楽々キャッチと思っていたところ、西川が着地しようとしたところで下にいた明本と交錯してまさかのファンブル。ブルーノ・メンデスがこぼれ玉を拾ってゴール。

・極めて残念な形で失点してしまいましたが、これで一気に試合が壊れたわけでもなんでもなく、なおも浦和は福岡を押し込み続けて攻勢。13分関根のクロスをアーク付近で受けた興梠が左サイドの小泉へ展開→小泉クロスからファーの関根がシュートと初めて決定機を作り、15分ショートコーナーの流れから武藤シュートがDFに当たったのが幸いしてループ気味にゴールマウスを襲う見せ場も。しかしここはGK村上の好守に阻まれてしまいました。

・しかし、終わってみれば浦和が良かったのはここまで。その後浦和の攻勢は急激に尻すぼみになり、逆に福岡のカウンターの脅威に晒される場面が目立ち始めました。23分浦和が攻めきれずに福岡DFが跳ね返したボールをメンデスが拾ってロングカウンター発動。メンデスは追走する槙野&柴戸を簡単に振り切って右サイド深い位置からクロス→渡がどフリーでバイシクルシュート!! ここは西川の好守に救われましたが、渡に対して敦樹や岩波は何でぼっーーーーとしているのか。

・24分にはセンターサークル付近で柴戸が後方から渡に絡まれてボールロスト。ボールを拾った田邉がそのまま前方進出して際どいミドルシュートを撃たれてヒヤリ。

・この時間帯から福岡は浦和が縦パスを入れてくるところで厳しくガツンと当たる場面、中盤でまごついている選手にがっつり食いつく場面が目立ち始め、浦和はただ福岡の4-4-2の守備ブロックの前でボールを持っているだけで攻め倦みの様相に。40分敦樹の縦パスが珍しく福岡最終ラインと2列目の間がぽっかり空いてフリーになった小泉に通り、バイタルエリアでどフリーになった小泉から左サイドの明本へ展開→明本クロスがわずかに興梠に合わず、が惜しかった程度。

・後半頭から柴戸に代えて山中を投入し、山中左SB、明本左SH、小泉CHと配置転換。これは戦術的な交代ではなく「彼は痛みがあって、大事に至らないようにということで交代」したとのこと。福岡の度重なる厳しい当たりというか単なるラフプレーじゃないかと思われるような行為で柴戸は前半終了間際に足を痛がる素振りを見せていたのでやむを得ない交代なのでしょう。ただ戦術的な意図をもった交代ではなく、アクシデントによる交代だったためか、この配置転換は戦況を好転させる効果は全くありませんでした。

・さらにリカは62分前半イエローカードをもらった関根に代えて汰木を投入し、汰木左SHはともかく、武藤右SH、明本トップ下という奇策(?)を打ちましたがなおも戦況は一向に好転しないどころか、汰木&山中のベニヤ板2枚重ねで脆弱になった浦和左サイドを右SHクルークスに蹂躙されかかる始末。浦和はボールこそ保持しているものの急所にボールはほとんど入らず、当然ながらシュートも撃てず。多少形になったのは67分山中のクロスがファーで西に合いかかった場面くらいでしょうか。

・それでも辛抱強く攻撃を仕掛けていれば、ボールを回され続けて終盤電池切れが予想された福岡相手になんとか同点に追いつく可能性はあるだろうと思いながら見ていたところ、珍しく福岡が浦和を押し込んで波状攻撃を仕掛ける中で86分志知のクロスを途中投入のジョン・マリがトラップ&反転シュート!! 西川は弾き切れずにボールはゴール内へコロコロ。マリのシュートはエムボマを髣髴させる豪快なものでしたが、対峙していた槙野は見たことが無いFW相手に間合いを図り損ねて対応しきれなかったのかどうか。

・決定的な2点目を取られてからリカは杉本を投入するも、これはもうリングにタオルを投げ入れたも同然でした。

Fukuoka002

《総評》

・公式記録ではシュート数6対10。浦和は勝った試合ですらシュート数は相手より少ない試合がほとんど(シュート2本で勝った試合も!)ですからシュート数が少ないこと自体はあまり気にする必要は無いかと思いますが、その少ないシュートで決定機を全くといっていいくらい作れなかった。GK村上を脅かしたのは15分ショートコーナーの流れからの武藤の一本だけだったような気がします。

・ボールは70%程度浦和が支配しており、CK8対2で象徴されるように相手を押し込んでいる時間帯も長かったのですが、リカが言うほど「全体をコントロールできていた」ようには見えず、時間の経過と共に福岡の守備ブロックの後方でボールを回しているだけで、「押し込んだ後のところが改善点として残る」どころか押し込む以前の問題にすら思えるように。

・また押し込んだ後の改善点として西が「確率と、たまに強引にというか確率を無視した攻撃を織り交ぜながらできればいいかなと思います」と語っているのも重要かと。リカは明らかに点が取れる可能性がより高いプレーを選択するよう推奨する監督で、特に小泉はそれを忠実に守っているのでしょうが、攻撃に意外性が無いと相手も次第に馴れて対応しやすくなりますし。

・さらに言えば昨年J2最少失点だったことに象徴されるように元来守備的な福岡相手に、西川の凡ミスで早々と失点したのが試合を難しくしたのは明らかで、あれがなかったら試合の様相は全然違ったものになったかもしれません。しかし、それだけが敗因だったのかどうか。

・特にこの試合を通じて浦和の球際の弱さは気になりました。福岡といい、同様に完敗を喫した鳥栖といい、一対一でガツガツ来るような相手には浦和は実に弱い。鳥栖はガンガン前から来るのに対し、福岡はリトリート主体ながらも縦パスの受け手に対してガツンと来るという違いはありますが、その「ガツン」に対して浦和は脆さを呈し続けました。村上主審が後方からのガツンに対してほとんどファウルを取らないのが福岡には幸いし、浦和は柴戸負傷退場という形で露骨に不利に働いたのですが、ここまでやられ続けると主審のせいにするのも虚しいかと。

・また2点目のジョン・マリのゴラッソに象徴されるように、浦和が福岡に選手の質で負けている、浦和が福岡に外国人選手の個の力で殴られる側に転落していることに目を背けてはいけないでしょう。サロモンソン→クルークス→メンデスと繋がる福岡の右サイドからのシンプルな攻撃は結構強烈でした。もっとも福岡は大金を叩いて外国人選手をかき集めた訳ではなく、長谷部監督の要求仕様に当てはまる「お値打ち品」を上手く使っているだけなのでしょうが。でも外国人選手が8人もいるとマネジメントが難しそう。

・一方浦和はコロナ禍に伴う経営難を受けてコストパフォーマンスが悪すぎる外国人選手の整理を先行させざるを得ず、「お値打ち品」路線への転換が立ち遅れた結果、福岡に選手の質で殴られる羽目になったのでしょう。逆に言えば次回対戦時にはデンやユンカーが加わった浦和が福岡とどう闘うかが見ものです。

・またこれでリカは対長谷部3連敗。さらに言えば徳島も今年福岡に負けていて、リカ流合計4連敗。さすがに長谷部水戸時代は選手の質の差が大きかったようで3勝1分と無敗でしたが・・・

Fukuoka001

《選手評等》

・福岡の外国人選手以外で目を惹いたのが左SB志知。志知は水戸時代に長谷部監督の下で急成長したものの、昨年横浜Cではイマイチ。しかし再度長谷部監督の下へ戻って輝きを取り戻し、この試合ではとうとう対面の関根を途中交代に追い込みました。これはもう監督との相性としか言いようがありません。ちなみにCH前、GK村上、CB宮も水戸時代からの長谷部チルドレン。長谷部監督のそんな情け容赦ない水戸からのぶっこ抜きが就任初年度でのJ1昇格をもたらしたわけで。

・一方昨オフ渡井獲得に失敗したリカは来オフこそ徳島からのぶっこ抜きを敢行するかなぁ・・・特にCB福岡とかCHチマとか・・・

Fukuoka003
-----興梠-----
小泉---武藤---関根
---敦樹--柴戸---
明本-槙野--岩波--西
-----西川-----

(交代)
HT 柴戸→山中
62分 関根→汰木
87分 興梠→杉本

---渡---メンデス---
石津--------クルクス
---田邉--前----
志知-グロリ--奈良-サロモン
-----村上-----

(得点)
8分 メンデス
86分 マリ

(交代)
59分 石津→金森
77分 渡→重廣
82分 メンデス→マリ
82分 クルークス→湯澤

※写真は試合には全く関係ありません

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