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2021.05.10

【観戦記】21年第13節:浦和 2-0 仙台 ~ 絆ジャッジも何のその、SIEG ZION!!

 立ち上がりの浦和はズタボロでしたが彩艶の好守でなんとか凌いだのが大きく、その後は尻上がりに内容も良くなって後半2得点。終わってみれば完勝でしたが、浦和が強いと言うより仙台が弱すぎるといって然るべき試合でした。

《スタメン》

・共にルヴァン杯から中3日。浦和はリーグ戦前節福岡戦との比較では興梠→ユンカー、柴戸→敦樹、西川→彩艶と3名入れ替え。ルヴァン杯からの連闘はユンカー、阿部、槙野、岩波、彩艶の4名のみ。

・ルヴァン杯柏戦で浦和デビューを果たしたばかりのユンカーをリーグ戦でもいきなりスタメンで使ってきたのはともかく、リーグ戦でとうとう彩艶がピッチに立ったことには驚愕しました。リカは試合後「西川周作に関してですが、これまでが悪かったわけではありません」と庇っていましたが、前節福岡戦での凡ミスがGK交代の契機となったのは間違いないでしょう。

・浦和のGKは長らく実質的な競争がなく、「枠内に撃たれたらほぼアウト」という絶不調の時期ですら西川は代えられませんでしたから、彩艶がリーグ戦でピッチに立ったのは実に感慨深いものがあります。

・仙台はリーグ戦前節との比較では、真瀬→蜂須賀、赤崎→氣田と2名入れ替え。なお昨年キャプテンだったCBシマオマテって大怪我してからコンディションが戻らないのか、今はカップ戦要員でこの試合はベンチにも入れず。

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《試合展開》

・浦和の立ち上がりはとにかく最悪でした。仙台のフォーメーションはいつもの4-4-2ではなく、はっきりした西村1トップ。しかもその下に関口がいる4-2-3-1っぽいフォーメーションでした。関口がサイドではなく中央にいることに個人的には非常に違和感がありましたが、浦和はこの仙台の出方を全く予期していなかったかのように立ち上がりにパスミスを連発。

・前からプレッシャーをかけても全くハマらず、やむなくリトリートして耐えるしかなく、自陣深い位置でなんとかボールを奪ってもそこから前方へ展開出来ないという、まるで昨年の浦和に戻ったかのような醜態をさらし続けました。

・そして6分自陣深い位置での小泉の横パスが直接氣田に渡ってしまう大惨事。氣田→ボックス内の西村という絶好機を作られてしまいましたが、GK彩艶が巧く西村との間合いを詰めてビッグセーブ!! 彩艶は最初の守備機会でこの見せ場。彩艶自身これでしっかりゲームに入れただけでなく、一気に波に乗ったことでしょうが、それだけではなく終わってみればこのビッグセーブが浦和完勝をもたらしたと言っても良いくらいの大きな意味がありました。

・その後もミスだらけ、怪しい場面だらけの浦和がようやく反撃の糸口を掴んだのは15分小泉の縦パスをユンカーが胸で収めて左サイドの武藤へ展開→武藤クロスをどフリーでユンカーヘッドという決定機を得ましたが、ユンカーの体勢が伸びきった感じになってしまってヘッドはバーの上。

・この辺りからようやく浦和が安定してボールを支配し始めましたが、やや下がってボールを受ける武藤までボールは渡るもののユンカーには繋がらないという時間帯に。また浦和の怪しさもなくなったわけではなく、32分には敦樹のバックパス(?)が氣田に渡ってしまってヒヤリ。

・30分くらいからようやくユンカーがボックス近くでボールに絡み出し、34分武藤縦パス→アーク付近でユンカーポスト→敦樹シュートの良い形。39分明本クロスがCB二人の間でどフリーになっているユンカーに合うもユンカーは撃ち切れず。ユンカーの使い方を模索し続けて前半終了という感じでしたが、2度の決定機逸や彩艶のロングキックに対する対応を見ているとユンカーは高身長だがハイボールへの対応はあまり上手くない疑惑がフツフツと・・・

・芳しくない前半を受けてリカが打った手はビルドアップのやり方。前半は最初はCB二人だけ、途中から敦樹が最終ラインに下がって後ろ3枚でのビルドアップを試みていましたが、後半は敦樹ではなく西を下げて「左肩上がり」のビルドアップに代えました。

・この意図についてリカは試合後も「ビルドアップのところをよりハッキリさせたくて修正しました。前半の途中からもそういった場面は見受けられていたのですが、後半はハッキリと、どういったところにどういった立ち位置を取るのかについて細かい話をしました」と抽象的な話しかしてくれなかったのではっきりとしたことはよく判らないのですが「今日も途中でやり方を変え、それは全く練習していないやり方ではあった」ことは驚きでした。

・両SBを高く押し上げて、SH&SBが相互にレーンを変えながら攻めるような形を目指していたのを諦めて、SH&SBのコンビネーションによる崩しは左サイドのみ。右は専ら関根に打開させる感じに割り切ったのかもしれません。それがいきなり奏功したのか、47分槙野縦パスから明本→武藤→小泉に決定機。小泉はボックス内で後方から削られているように見えましたが・・・

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・そして先制点が生まれたのが58分武藤→小泉→武藤のワン・ツーによる中央突破から。武藤が仙台守備陣をアホほど引き付けたおかげで最前線でユンカーがどフリー。ユンカーは至近距離にいるGKにぶつけることなく冷静に左足で流し込むようにゴール!! ルヴァン杯のゴール同様、地上戦ならユンカーの決定力は輝くようです。

・リカが興梠の準備を始めていただけに、代えられる前にちゃんと結果を出すとは現金といえば現金ですが(苦笑)。ユンカーは64分に興梠と交代しましたが、これはコンディションを考慮した半ば予定通りの交代でしょう。

・序盤の絶好機を逃して以降全く攻め手がない仙台は64分加藤→マルティノス、64分関口→赤﨑と2枚替え。浦和最終年で妙に人気が出たマルティノスの登場で埼スタがそのワンプレー、ワンプレー(特にやたら痛がる場面)毎に笑いが巻き起こる始末。まだ1点リードでしかないのにスタジアムの雰囲気が緩んでしまうってどうなのよ??? そしてそれこそがマルティノスの魔力なのか・・・

・マルティノスは相変わらず誰とも噛み合わず、しかも縦は「対マルティノス決戦兵器」と化した明本に封じられて基本的には何の役にも立っていませんでしたが、突然カットインしてきた時の突破力だけは抜群でした。でもただそれだけ。とにかく誰とも噛み合わないので自分一人で打開してシュートを撃つしかない。

・またそもそもそのマルティノスを活かそうにも、仙台はこの時間帯になると浦和からボールを奪うことすらままならず。とにかくボールの奪いどころが定まらないのでビハインドなのに浦和にボールをぐるぐる回され続けるって屈辱的だろうなぁ・・・

・68分関根→興梠→阿部→明本と繋いで明本がボックス内に飛び込んだところでCB平岡に後方から引っかけられているように見えるのですが、これも何故かPK無しよ。しかもVARすら発動せず。70分にはCKの流れから槙野バイシクルシュートの見せ場も。

・73分自陣深い位置からのサイドチェンジを契機に関根のパスを受けてCB吉野と入れ替わろうとした小泉がファウルゲット。そのFKを阿部が直接決めて追加点。GKスウォビィクは阿部から見て妙に左に寄った位置に立っていたので、右ポストぎりぎりに飛んだ阿部のFKには触れることすら出来ず。やや珍妙な場面で、ひょっとしてスウォビィクは阿部が高精度のFKが蹴れることを知らなかったのかも。阿部は長年FK蹴ってなかったし。

・追加点を取られた仙台は77分松下→中原、氣田→真瀬と2枚替えて絶望的なバンザイ攻撃風に前からボールを追い始めましたが、浦和も77分小泉→汰木、武藤→杉本、83分関根→達也、阿部→金子と順次代えて運動量を補充して防戦。

・86分マルティノスが単騎カットイン&ミドルシュートという見せ場を作ったものの、ここも彩艶が好セーブ。マルティノスがあそこから撃ってくるのはミエミエなので、身長が低いGKならともかく彩艶にはそんなに難しい場面ではなかったような気も。昨年アホほどマルティノス相手に練習していたでしょうし。

・あとは変にオープンな展開になることもなく、大分戦のようにパワープレーに苦しむこともなく、楽々逃げ切り勝ち。

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《総評》

・とにかく浦和の試合の入りは最悪でした。手倉森監督は「構えたときに拓真と並列になるのはやり方として持っていて、プレスをかけたときは2人が縦関係になってアンカーを1人が消していくというやり方は、浦和に対して準備してきた」と語っていて、確かにそれが巧くハマっていたような気もします。ただ仙台が優勢だったのは最初の15分だけ。そしてちょっと強いチーム相手なら浦和はその15分間に複数失点を食らってそのまま負けていたことでしょう。

・ただ残念ながら仙台は優勢だった時間帯に一点も取れず。しかもその後はマルティノスの一発までほとんど攻撃の形を作れませんでした。ゆえに大分のように最後の精度に問題があって勝てないのではなく、そもそもそんなに決定機を作れていないので勝てない状態のように伺えました。よって最初の15分の好機を逃した後は浦和の貧打に助けられてスコアレスドローの目はあったかもしれないけれども、勝ち目はほとんどなかったかと。

・浦和も何度も決定機を作れたわけではないので完封勝ちとはいえとても褒められた内容ではなく、端的に言えば「浦和が強いと言うより仙台が弱すぎる」といって然るべき試合でした。ただ実戦の中で正しいユンカーの使い方を学ぶのに前半45分を費やした末になんとかゴールに結び付け、さらに彩艶が堂々のリーグ戦デビューを果たしてついに浦和GKに本格的なポジション争いを持ち込む等、長い目で見れば大きな成果があった試合、エポックメイキング的な試合だったともうちょっと後になってからふり返る日が来るのかもしれません。

《選手評等》

・ユンカーの正しい使い方を模索し続けたような試合で、前半二度の決定機逸を始めユンカーの出来自体はさほど良いとは思いませんでしたが、それでも好機に点が取れるFWが現れたのは誠に慶事。なにせ今年の浦和は2列目を含めて「点が取れる選手」がいませんでしたから、それ以外が少々残念であっても点が取れる選手は非常に貴重。地上戦なら任せろ!とばかりの決定力。いやはや恐れ入りました。

・ただ高身長なのに空中戦は残念すぎたのもまた確か。イケメン高身長だが空中戦は強くないってまるで永井の後継者。ハイクロスはともかく、ゴールキックに対する競り合いを見ていると素早く落下点に入るのが下手っぽい。外野を守らせるとバンザイしやすい系。

・途中でユンカーの高身長は全く意味がないことを悟ったのか、CK時にはユンカーがショートコーナーの最初の受け手とか、アーク付近でこぼれ玉を拾う役とか、普通小さい選手がやる仕事を任されていたのは全米が泣いた!!

・高山主審はやたら笛を吹いて難儀。最も笑ったのは前半終了間際、西村が下がって西にぶつかっただけなのになぜか西がファウルを取られた場面。あれにはさすがに西も怒っていました。かと思えばボックス内で西村の阿部に対する乱行はお咎めなし。PK臭い場面ではVARで確認すらせず。久しぶりに「絆ジャッジ」という言葉を思い出しました。手倉森監督躍進の原動力だったんだよあ、あれが(苦笑)。

 

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---ユンカー--武藤---
小泉--------関根
---敦樹--阿部---
明本-槙野--岩波--西
-----彩艶-----

(得点)
58分 ユンカー
75分 阿部

(交代)
64分 ユンカー→興梠
77分 小泉→汰木
77分 武藤→杉本
83分 関根→田中
83分 阿部→金子


-----西村-----
氣田---関口---加藤
---松下--上原---
石原-平岡-吉野-蜂須賀
-----スウォビク----

(交代)
64分 加藤→マルティノス
64分 関口→赤﨑
77分 松下→中原
77分 氣田→真瀬
87分 石原→フォギーニョ

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