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2021.07.08

【観戦記】21年天皇杯3回戦:浦和 1-0 相模原 ~ またしても90分で勝てば良かろうなのだ

 一方的にボールを支配しながら相模原の堅陣を攻め倦み、あろうことかポスト直撃のシュートを撃たれるテイタラクでしたが、途中投入のユンカーが相手のミスを突いてウノゼロの勝利。富山戦以上に「90分で勝てば良かろう」としか言いようがない試合内容でしたが、それでいいのだ。

《スタメン》

・共にリーグ戦から中3日の一戦。浦和は前節仙台戦から西川、槙野、柴戸以外スタメン8人入れ替え。デン、彩艶、武田が五輪絡みで離脱中なので、CB工藤が久しぶりにベンチ入り。

・相模原も前節北九州戦からCB川﨑・白井、CH川上以外スタメン8人入れ替え。なおこの試合はSC相模原創設以来初のJ1クラブとの公式戦なんだとか。

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《試合展開》

・相模原の基本フォーメーションは3-4-2-1。浦和が最終ラインにボールを下げた時は一応3-2-5みたいな形で前プレを仕掛けてきますが有効とは言い難く、すぐに5-4-1の守備ブロックを作ってリトリート主体の守備に切り替え。

・浦和は試合開始早々関根のパスを受けた武藤が相手に囲まれながらも耐えに耐えて興梠へスルーパスと非常に良い形を作り、さらに12分大久保クロス→興梠が地面に叩きつけるようなヘッドという決定機を産み(GKがセーブ)、試合の入りは上々でしたが、前半良かったのはここまで。

・ほぼ一方的に浦和がボールを支配しているものの、守備ブロックの周りでボールを回しているだけで、FWまでボールが渡らず、SHまでボールを進めて見たけれども詰まってやむなく後方に下げ、サイドを代えてSHまでボールを進めたがそこでも詰まってボールを下げ、またサイドを代え・・・という眠くなるような工程を延々と繰り返しているだけに。

・FW&SH&SBのコンビネーションでサイドを縦に突破するでもなく、SHが単騎仕掛けてサイドを破る訳でもなし。また興梠が裏抜けする訳でもない。また興梠へのマークがきついこともあって興梠がなかなかボールを収められない上に、そもそもSHから興梠へのパスがしばしばカットされてしまってどうにもならず。

・相模原は後方からのビルドアップが怪しいせいか、浦和は2トップ&SHで相模原の3バックに対して盛んに前からハメに行っており、一応高い位置でのボール奪回に成功してはいるので全く無意味という訳ではないのですが、ショートカウンターを発動させるには至らず。

・悪いことは重なるもので、34分山中が故障してやむなく34分明本を投入。

・ハーフタイムにリカの熱血指導が入りまくったのか、後半に入ると浦和は動き出しといいパススピードといい鋭さマシマシで、ボックス内に入る回数も急増。しかし今度はフィニッシュが残念。46分アーク付近から関根スルーパス→ボックス内で興梠シュートがブロックされたのはまだしも、48分大久保カットイン&クロス→興梠はボックス内で上手く相手のマークを外しながらも豪快に空振りしたのには参りました。

・また御厨主審は球際の競り合い等ではあまりファウルを取らないタイプのようで、50分ボックス内で興梠が後方から押し倒されているように見えるのになぜかノーファウルでPK無しよ。

・58分には関根が鋭い切り返しで相手をかわしてクロス→相手のクリアボールに反応した興梠がミドルシュートを放つもGK正面。GKが弾いたこぼれ球に武藤が詰め切れず。

・相変わらず1点が遠い試合展開でしたが、この時間帯は関根の単騎突破あり、裏狙いのロングボールあり、槙野の攻撃参加ありと攻め手も多彩になってこの試合を通じて最も良い時間帯だったかと。

・リカは業を煮やしたのか、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、あるいはお膳立てが整ったと判断したのか、ついに66分興梠→ユンカー、武藤→小泉と二枚替え。ところが不思議なことにこの交代で良くなりかかった流れをかき消してしまって戦況は元の木阿弥に。

・逆に高木監督が67分に平松に代えて投入したガチムチ系FWユーリが結構面倒で、74分前プレがハマらずにカウンターをくらい、76分には小泉の縦パスをカットされたのを契機にカウンターをくらってしまいましたが、いずれも槙野がブロックしてシュートは枠外へ。77分CKを西川パンチングで逃れるものの、こぼれ玉を拾った梅鉢ミドルがポストを直撃!!

・ジャイアントキリング臭がプンプンする展開になってしまいましたが、相模原の好機はこの3分間だけ。80分過ぎから再度浦和が猛攻。80分明本→関根への斜めのパスを契機に関根縦パス→ユンカーポスト→関根シュートの良い形。83分小泉スルーパス→関根がボックス内で受けてシュートも相手DFを直撃。そこで得たCKがファーでどフリーの岩波に通ったものの、岩波はボールを上手くコントロールできず(苦笑)。

・そして試合の結末は実にあっけないもの。87分相模原がボールを最終ラインへ下げた際にユンカー&小泉で前プレ。ユンカーの誘導が巧みなのか、CB白井の縦パスを見事にカットしてそのままゴールへ突進&ゴーーール!! 最初の決定機をいきなり決める辺りがさすがユンカー。まぁ前半から何度も試みていた前プレがようやく結実したとも言えますが、複数人での囲い込みはあまり上手く行かず、ほぼユンカー単騎での前プレがハマるというのがなんとも。

・最後は相模原のパワープレーやセットプレー対策を兼ねて杉本を投入して難なく逃げ切り勝ち。

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《総評》

・一方的にボールを支配していた割には浦和のシュートはたった5本。シュートブロックされたものが非常に多かったのでそのスタッツほど浦和はシュートを撃たなかった、撃てなかった印象はないのですが、浦和が苦戦したのは確か。

・藤原がレンタル移籍してすぐにスタメン起用された北九州戦の前半を見た限りでは、高木監督は守備の再建を最優先にしていて攻撃の仕込みはまだまだこれからという印象を受けましたが、この試合もその相模原の現状を如実に表したものに。ただその守備は予想以上に堅くて参りました。前半は12分の決定機を逃した後は文字通り手も足も出ず。

・相手が全員自陣に入ってガチガチに守り、こちらもGK以外全員敵陣に入っているハーフコートゲームっぽい様相を呈してスペースなんて全然ありませんでした。普段のリーグ戦だとここまで極端に守備を固めてくる=露骨に勝ち点1だけを狙いに来るチームはまず考えられず、そういう意味ではカテゴリーが下のチームと対峙した時のカップ戦らしい難しい試合だったと思います。そしてそんな難しい試合をなんだかんだと90分で勝ち切った以上、内容がかなり残念なものであったとしても別に構わないかと。

・また終始前がかりでカウンターを食らいやすく、ちょっとでも集中を切らすとジャイアントキリングになりやすい状況だったにも関わらず、リスクマネジメントを怠らなかったのは好印象。特に間一髪で相手の決定機を阻止した槙野。

・試合後関根が苦戦の原因を具体的に語っているのが実に面白い。前半の苦戦の主因を「5枚の相手に対して用意してきた中で、相手が全然思いどおりに動いてくれませんでした。ワイドを引き出しながら空いたスペースを狙いにいきたかったのですが、5枚がキレイに並んだまま我慢強く守っていたので、そこが前半うまくいかなかった原因かなと思います。」と語っていますが、これが位置的優位で相手を崩しに行くリカ流が行き詰まる時の典型例かと。

・後半関根が右サイドを深く抉ってのチャンスメークがやたら目立ちましたが、これは端的に言えば「位置的優位でゴールに迫るのを諦めて、単に質的優位で殴ることに切り替えた」ということなのかも。下位カテゴリーのチーム相手ならこれで十分と割り切ったみたいな。

・また後半について関根は「立ち位置(の変更)だったり、さらに焦らずに揺さぶろうという話をしていました。」と語っていますが、立ち位置の変更とは金子が最終ラインに下がる代わりに槙野を押し出して時折攻撃参加させたことかな? 前でなかなかボールが収まらないのでCHのどちらかを攻撃参加させるのはリスキーすぎて、サイドで圧力を増すしかないので槙野を突っ込ませたのかも。こちらは奏功したというレベルには至りませんでしたが。

・4回戦の相手は京都サンガに決定。今の京都は森脇・李・武富とやたら浦和OBが多く、しかもレンタル中の福島&荻原はなんと浦和戦出場不可という特約はついていない模様。新旧浦和だらけの対戦になるかも!!

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《選手評等》

・3度あった決定機を決められず、うち一回は豪快に空振りという興梠。相手のマークも厳しいとはいえ、最前線での「鬼キープ」もままならなくなった興梠。これは厳しい。衰えなのか、昨年末の故障でオフにロクにコンディションを整えられなかったのが未だに響いているのか判りませんが、非常に残念な出来に終始。

・でも悪目立ちしている興梠はまだマシで、ほぼ消えていた武藤は今後どうなるのかなぁ・・・

・五輪絡みで3人も選手が離脱している中でリカが大胆なターンオーバーを敢行したにも関わらず、ベンチにも入れなかった選手の今後の去就が気になります。阿部は先週の練習で別メニューだったと聞いていますし、福島はユース卒の新人なので仕方ないとしても、涼太郎はどうするのかな? → と思っていたら翌日水戸へレンタル移籍になってしまいました(つД`)

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---興梠--武藤---
大久保-------関根
---金子--柴戸---
山中-槙野-岩波-宇賀神
-----西川-----

(得点)
87分 ユンカー

(交代)
34分 山中→明本(故障による交代)
66分 興梠→ユンカー
66分 武藤→小泉
90+3分 大久保→杉本(杉本FW、小泉が左SHへ)


-----平松-----
--星-----清原--
舩木-梅鉢--川上-石田
-川﨑--白井--クンデ-
-----三浦-----

(交代)
67分 平松→ユーリ
67分 舩木→夛田
87分 清原→中山

 

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