【DAZN観戦記】21年第23節:札幌 2-1 浦和 ~ 伝説の「夕張キャンプ」を思い出さざるを得ない中断明けの惨敗
試合前の記者会見でリカが連発していた弱気コメントの通り、浦和は長い中断期間中に戦術的な上積みが出来なかったどころかそもそも闘えるレベルにすら達していない模様でした。
《スタメン》
・浦和は東京五輪開催に伴う中断期間明けでほぼ1ヶ月ぶりの試合。前節大分戦からユンカー→興梠、小泉→江坂、汰木→宇賀神、達也→関根と4名入れ替え。新加入の江坂はいきなりスタメン出場。
・デンを含めて五輪組が全員ベンチ外なのかともかく、小泉&達也がベンチ外なのは全くの予想外。天皇杯相模原戦で故障した山中も依然ベンチ外。代わって福島、阿部、大久保がベンチ入り。
・札幌は順延されていた第4節G大阪戦を7/30に消化して中9日。G大阪戦からジェイ→宮澤、荒野→深井、高嶺→菅とスタメン3名入れ替え。
《試合展開》
・試合感の無さが案じられた浦和。試合の入り自体は悪くはなく、前ハメで札幌をそれなりに困らせてはいましたが、最初に与えたCKでいきなり暗転。8分福森CKに対して後方から走りこんだ深井がほぼフリーの形でヘッドでズドン。ゾーンで守る浦和は福森のキック精度とそれに合わせた深井を褒めるしかない、やむを得ないものと片付けて良いものかどうか?
・これ以降浦和の出来はズタボロ。前ハメは簡単に剥がされ、長い時間自陣に押し込まれる苦しい展開に。ドン引きにはならず、最終ラインこそなんとか高く保とうとしてはいましたがボールを奪う位置がとにかく深く、やっとこさボールを奪っても札幌の厳しい前プレに苦しんでビルドアップはままならず。非常にパスミスが多く、しかも前に運んだところで関根を筆頭に簡単にボールを失う場面が多すぎました。
・21分に小柏のシュートがポストを直撃した場面が前半の浦和の苦戦ぶりの象徴かな? 後ろ向きにボールを受けた柴戸がチャナティップに後方からボールを攫われたのが契機となった大ピンチですが、このような後ろからボールを攫われる場面が頻発したのには参りました。
・札幌にアホほど決定機を与えたわけではないが、それ以上に浦和に全くいいところがないという内容で試合を折り返し、後半立ち上がりに浦和はようやくチャンスメークに成功。48分柴戸が敵陣深い位置で駒井からボール奪取。ところがこぼれ玉を拾った興梠がなんとも中途半端なループシュートを試みた挙句、ボールは力なくGK菅野のもとへ。
・56分には札幌のプレスを上手く交わして後方からボールを繋ぎ、左サイドから明本クロスの良い形。さらに57分関根が右サイドから切り込んで自らシュート。
・しかし、浦和の反撃ムードをばっさり断ち切ったのが58分の失点。敵陣で前後から挟まれそうになった柴戸が長考に沈んでいるうちに後方からボールを突かれてロスト。すかさずチャナティップがロングボールを放り込んだ先では槙野が小柏にあっさり交わされてしまう大失態。小柏のシュートは西川が少し触るも及ばず。
・それでも浦和は興梠に代えてユンカーを投入して反撃。66分CKからの流れで左サイドから関根クロス→ボックス内で岩波折り返し→明本シュートが決まって1点差に。さらに70分西川ロングフィードからのカウンターで関根のクロスに敦樹が合わせるも、ここは菅野がセーブ。
・給水タイムを挟んで両者盛んに選手を入れ替えるも、効果的だったのは明らかに札幌のほう。84分アーク付近から金子シュート、92分途中投入の高嶺がボックス内突入と決定機を作るもダメ押しならず。
・運動量を補充して勢いづいた札幌に対して浦和は動けない選手が続出。後方からのビルドアップは最後までままならず、自陣から抜け出せない惨状。試合終了間際には左サイドから汰木クロス→ユンカーヘッドがわずかにポストを掠めたのが終盤唯一のチャンスらしいチャンスでした。
《総評》
・リカは試合前(8/6)の定例記者会見で、中断期間中の積み上げについて「私が期待したほど積み上げることができませんでした」「満足のいく形にはなりませんでした」「トレーニングでも最初にプランニングしていたものができなかったということがありますので、心配です」「2週目に入ってからは、新型コロナウイルスの状況で満足のいくトレーニングはできませんでした」と弱気コメントを連発。
・リカは三味線を引く、情報戦を仕掛けるような老練な監督ではないどころか真っ正直すぎるくらいのコメントを発する方なので、中断明け初戦の札幌戦は難しい試合になるだろうと覚悟はしていましたが、残念ながら浦和のパフォーマンスは予想を大きく下回りました。一方札幌は中断期間中にさしたるアクシデントもない上にG大阪相手に一叩きした分、コンディション面でも試合勘でも浦和より有利だったのが結果に直結した感も。
・デンと彩艶が五輪から戻ったばかりで不在。夏の移籍ウインドウで獲得した選手で中断明け初戦から使えるのは江坂だけ。また武藤・杉本・武田の移籍はリカにとって少し予想外だった模様ですし、さらに「違和感などを抱えてトレーニングができなかった選手」がいる上に、コロナ陽性判定の選手まで出てしまい、過酷な真夏の連戦を前にそもそも使える手駒が減っているのはリカにとって頭が痛いところ。中断前に故障した山中はともかく小泉と達也がベンチ外だったのには心底驚きました。
・またコロナ禍で満足なトレーニングが出来ない時期があった影響が思いの他大きかったのか、終盤になると浦和は動けない選手が続出。長い中断期間明け初戦で試合感が鈍っているのは仕方ありませんが、身体はリフレッシュするどころか、まるで長期連戦の最後のほうみたいなヘロヘロ状態に。どう見てもコンディション調整に失敗したとしか思えないんですが・・・
・試合内容からチームとして中断期間中に積み上げがなかったのも明らか。引いて5バックでしっかり守ってくる相手を崩せないどころか、それ以前に前からガンガンプレッシャーをかけてくる相手を上手く交わしてビルドアップ出来ないという、積み上げどころか後退していると見られても仕方がない惨状で90分を終えた気も。
・札幌の守備はマンツーマン気味に徹底して前からハメにくるというかなり特殊なスタイル。ゆえに札幌を攻める側には「相手の嫌がる位置に立つ」=ポジション優位というものが原理的に存在しない代わりに、相手を一人剥がせば札幌の守備は連鎖的に破綻しがちという難点を抱えています。しかし、浦和の後ろ目にはこの「一人剥がす」というのが出来る選手がほとんどおらず、これでは対札幌で分が悪いのも道理。
・浦和は特に両CBがビルドアップが苦手。おまけに西も柴戸も絶不調。なんとか前に運んでも関根がロストしまくりというありさまではどうにもなりませんでした。そもそもFWまでボールを運べないんだから、FWなんて補強してもあまり意味はなく、SB、CB、CHを優先的に補強するのは実に理にかなっていることを実証したような試合だったと言っても良いでしょう。
《選手評等》
・小泉は平川引退試合にも出なかったので小破なのかも。一方達也はがっつり出ていたので、この試合の欠場は非常に不吉・・・
・江坂は小泉とは全く持ち味が違うので小泉の代わりを求めるのは無理があり過ぎるのだけれども、江坂が盛んに降りてくるのは「小泉の幻影」を求めている面子が多かったのかも。まぁCFどころか江坂までボールが行かないので、江坂が降りざるを得なかったのでしょうが。江坂自体は悪くなかったがチームで江坂を活かせたとは言い難く、この辺も中断期間中の積み上げの無さを実感。
・興梠はボールを収められるようになっただけ中断前よりマシと思いました。でもあのへなちょこループシュートを見たら今年はもう点取れないかもという絶望感もそこはかとなく・・・
-----興梠-----
明本---江坂---関根
---敦樹--柴戸---
宇賀神-槙野-岩波--西
-----西川-----
(得点)
66分 明本
(交代)
62分 興梠→ユンカー
76分 宇賀神→汰木
76分 江坂→大久保(明本が左SB、大久保左SH、汰木トップ下へ)
88分 西→阿部
-----小柏-----
--チャナティップ--金子--
菅--深井--駒井-フェルナ
-福森--宮澤--田中-
-----菅野-----
(得点)
8分 深井
58分 小柏
(交代)
72分 深井→高嶺
72分 フェルナンデス→荒野(金子が右WB、駒井がシャドーへ)
82分 宮澤→柳
82分 チャナティップ→岡村(田中がCB中央、岡村が右CB、柳が右WB、金子がシャドーへ)
85分 菅→青木
※写真は試合に全く関係ありません
| 固定リンク