【TV観戦記】21年天皇杯4回戦:京都 0-1 浦和 ~ 尻すぼみの内容でも勝てばいいのだ!!
追加点が取れなかったので終盤は京都の猛攻を浴びて気が抜けない試合展開になってしまいましたが、天皇杯は勝てばいいのだ。
《スタメン》
・浦和は前節鳥栖戦から中3日、さらに中2日でアウェー徳島戦が控えている厳しい日程でしたが、スタメンは西→宇賀神、達也→関根の2名入れ替えのみ。ベンチメンバーを含めて前節から新味なし。
・ユンカーが練習中に負傷(右頬骨骨折)して手術を余儀なくされたことが報じられ、小泉もコンディション不良から復帰できず。おまけに試合前日になってトップチーム選手1名が新型コロナウイルス感染症陽性判定を受ける等のアクシデントが重なって、使い物になる選手が少なくてメンバーを入れ替えたくても入れ替えられない結果なのかも。
・京都は先週末のアウェー松本戦が荒天のため中止になったので中8日と余裕のある日程でしたが、週末のリーグ戦を重視したのかスタメンは前節町田戦から中川と福岡以外9名入れ替え。浦和からレンタル移籍中の荻原はなぜか「浦和戦出場不可」の特約がなくてベンチ入り。
《試合展開》
・普段馴染みがないチームが相手な上に西京極のピッチがやたら水を含んでいてボールコントロールがしにくいせいか、浦和はかなり慎重な感じでゲームに入りましたが、7分に右サイドで平野のパスカットを契機に関根→酒井マイナスのクロス→大久保シュートで早速決定機。続くCKからの流れで大久保のシュートが李の広げた手を直撃していますが、ハンドの笛はなし。
・そして15分大久保CK→ニアサイドで岩波が相手に競り勝ってのヘッドが決まって早々と浦和先制。GK清水のパンチングで弾いたボールが三沢の背中に当たってゴールというややマヌケな形でしたが、ゴールはゴールで何の問題もありません。
・さらに32分セットプレーからの流れで江坂クロス→槙野ヘッド。GKが右手で辛うじてセーブしたこぼれ玉に岩波が詰めるもこれまたGKにセーブされて追加点ならず。ATにもセットプレーからの流れで平野クロス→槙野ヘッドもこれはGK正面。
・浦和は鳥栖戦と違ってさほど前からプレスに行かず、4-4-2でリトリート主体の守備。逆に京都は盛んに前から追ってきましたが、鳥栖と比べると強度や連動性で劣るせいか、浦和は楽々プレスを交わしてビルドアップ。流れの中からあまり決定機は作れませんでしたが、フィニッシュの一歩手前くらいまでの良い形は何度も作れていました。またボールを失った後の切り替えも早く、ほとんど京都には何もさせずに前半終了。
・後半に入っても47分カウンターから江坂ミドルシュートを皮切りに、53分深い位置からの平野縦ポンに反応した明本がCB本多に競り勝ってそのままボックス内投入&シュート、67分右サイドから本多&黒木2人を交わしてボックス内に突入した関根がシュート、72分ロングカウンターで関根が長い距離を走ってそのままシュートと何度も決定機がありましたが追加点ならず。いずれも攻撃に厚みがなく、かつ相手を崩しきっての決定機ではないので、ユンカー級のフィニッシュ精度がある選手じゃないと難しかったかも。
・雲行きが怪しくなったのは京都が62分にイスマイラを投入してから。今夏に獲得し、前節町田戦で45分使ったばかりの選手なので京都としてもイスマイラの使い方を試行錯誤している最中という感じはありありでしたが、ポストプレーに多くを期待できない李と違ってイスマイラはボールが収まるタイプのためか終始前がかり風の京都の圧力も増して、終盤は徐々に浦和が自陣深く押し込まれがちに。
・おまけに浦和の守るバイタルエリア辺りにやたら水が溜まっているのも厄介で危ないところでのボールコントロールがままならず、いかにも事故が起こりそうな臭いがプンプン。
・浦和の苦境に拍車をかけたのが76分に投入された興梠の大不振。最終ラインで粘り強く守ってなんとか最前線へボールを蹴りだしても興梠が全くボールを収められない上に、興梠はとにかく動けないのでフォアチェックも多くを期待できず、これでは怖くて浦和は最終ラインを上げるに上げられず。
・とはいえ、86分シュート態勢に入った荒木に対して岩波が体を投げ出してシュートコースを制限したのが効いてシュートが枠外となったのが一番危なかったくらいでしょうか。終了間際にはイスマイラが強烈なシュートを放つも角度が厳しくてサイドネットを叩いて試合終了。
《総評》
・シュート数12対6、CK10対5。終盤押し込まれる時間帯が続きましたが、結局のところ枠内シュートは京都に1本も撃たれておらず、スタッツ通りの浦和完勝でしょう。セットプレーを含めて何度もあった決定機をもう一つ決めていれば楽に勝てたはずなのに追加点が取れず、最後の最後まで気が抜けない試合になってしまいましたが、ノックアウト方式の天皇杯なので勝てば良かろう、しかも延長にもつれ込むことなく勝った以上何の問題もありません。
・主力をごっそり欠いていた京都は、前節の鳥栖と比べるとプレスのスピードはともかく強度や連動性が格段に落ちるせいか、浦和は先制点を奪った後は京都の前プレを簡単に交わしてボールを前へ前へと運んでいました。久しぶりに4バックが相手というのもあったかもしれませんが。
・その様子を見てリカも「相手の特徴である前からプレスをかけてくるところ、そういった場面で彼らが狙いたいのは真ん中でボールを奪ってからの縦に速い攻撃だったと思いますけど、そういった場面を前半は作らせなかったところが、良かった点だと思います。」とご満悦。
・曺監督は試合後「相手のボールになった時に狙いをつける予測や判断も少し慎重になりすぎたのか、我々らしくない時間帯がありました」「前半のあの時間帯は後ろ向きなプレーが多かったので、ちょっとした相手のバックパスや隙を突いて、ラインを押し上げてコンパクトにするに至らなかった」と表現していましたが、自分なりにプレスをかけにいても「引き付けられて交わされる」の連続では前に出るに出られないのでしょう。ちょっと前の浦和が神戸や大分にアウェーでボコボコにされた時の姿が目に浮かびます。
・しかし京都がイスマイラを投入した後は戦況が一変。浦和はほぼメンバー固定で中3日なのが響いて、とにかく運動量だけは豊富なキジェ流に押しまくられがちな上に、リカも指摘するように西京極のピッチ状態が良くなく、特に浦和側のバイタルエリア辺りがやたら水を含んでいて細かいボールコントロールが難しいのが響いたと思います。さらに興梠の大不振が火に油を注ぐ形に。
・追加点さえ取れていれば終盤に胃が痛くなるような試合展開に陥らずに済んだはずですが、何だかんだと言っても「次のステージへ進む」という唯一無二のタスクを完遂した以上何の問題もなく、おまけに平野&酒井と新加入選手を実戦でチームに馴染ませるというおまけまで付いてきたと前向きにこの試合を評価したいと思います。
《選手評等》
・デビュー戦で鳥栖相手に苦戦を余儀なくされた平野は京都相手だと見慣れた奴らだとばかりにノビノビとプレーし、中盤の底でのコンダクターとして機能。その様子を見て相方の敦樹まで輝きを取り戻す好循環。一方74分ボックスわずかに外のところで平野がイスマイラを倒してしまった場面に象徴されるように、押し込まれる展開になってしまうと守備面での平野の頼りなさが見え隠れ。小泉復帰までは平野に頼らないとビルドアップがままならないが、やはりその副反応も今のところ小さくはなさげ。
・興梠はもはや「どうしてこんな状態になってしまったのか???」と首をかしげたくなるような惨状で、これではユンカーが負傷してもスタメン起用されないのは仕方ありません。鳥栖戦でAT含めて20分程度しか出ていないのに全然動けないし、ボールもロクに収められないし・・・前節鳥栖戦で逃げ切り要員としてすら起用されず、交代枠を一つ余らせて終わったのも納得。このままでは高年俸が祟って今季限りになってしまうかも。
・試合後浦和の選手達が西京極のピッチ上でクールダウンしている様子が放映されていましたが、中2日で迎える徳島戦へ向けてそのまま関西に滞在するのかな?
・解説の那須は普段YouTubeで見せる姿とは対照的によく言えば落ち着いた、悪く言えばテンションが低すぎる話ぶりでびっくり。
-----明本------
大久保--江坂---関根
---敦樹--平野---
宇賀神-槙野-岩波-酒井
-----西川-----
(得点)
15分 岩波
(交代)
65分 大久保→田中
76分 江坂→興梠(興梠がCF、明本トップ下へ)
76分 伊藤→柴戸
89分 明本→ショルツ(5-4-1へシフト)
89分 関根→汰木(汰木が左SH、田中が右SHへ)
荒木---李----中川
--中野----福岡--
-----三沢-----
黒木-本多--長井-白井
-----清水-----
(交代)
62分 中野→川﨑
62分 中川→イスマイラ(イスマイラがCF、李が右WGへ)
69分 李→曽根田
80分 黒木→荻原(白井が左SB、荻原が右SBへ)
80分 福岡→松田
・荻原はなぜか普段の左SBではなく、右SBへ投入。たぶん対面に酒井がいる左サイドに入れても無意味だからでしょうなぁ。
・福島・武富・李・森脇といった旧浦和組は今季ほとんど出番がないのか・・・ キジェ流だとベテランは体力的にしんどいとは思いますが・・・
※写真は試合とは一切関係ありません
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