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2021.08.26

【観戦記】21年第26節:浦和 1-0 広島 ~ 新戦力だらけで事実上の夏合宿みたいな

 狙い通りの形で先制したものの、またしても相手にボールを握られる時間帯が長い試合になってしまいましたが、新戦力がチームに馴染んでゆく様が手に取るように判ったのが収穫かと。

《スタメン》

・共に前節から中3日。浦和は汰木→槙野、達也→江坂、柴戸→敦樹と3人スタメン入れ替え。新加入の木下が早くもベンチ入りして、夏の移籍期間に獲得した選手が早くも勢ぞろい。コンディション不良が伝えられた小泉がベンチに復帰したものの、左脚がテーピングでぐるぐる巻きされていて非常に痛々しいのなんの。汰木と達也がベンチ外に。

・広島はエゼキエウ→浅野、青山→松本、柏→長沼とスタメン3名入れ替え。但し、広島は早々と天皇杯を失っている上に、8/14神戸戦が大雨で中止になったため浦和と違って過密日程というほどではありません。

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《試合展開》

・スタメンが発表された際は最終ラインにCBが3人並んでいたので「ついに3バックか?」との声も大きかったのですが、リカは試合前記者会見同様、スタメン発表で三味線を引き、相手の意表を突くようなことは全くしない監督。蓋を開けてみたらスタメン発表の並び通り、普段の4-2-3-1ないし4-4-2のFW縦並びみたいな格好でした。

・ただ試合後に槙野が「徳島戦が終わって、広島戦までの間に新しいシステム、3枚の形を練習してきて、練習の中ですごく手ごたえがありました。」と語った通り、ビルドアップ時にはCHは下がらず、その代わりに酒井を上げて3バック気味になっていたのが特徴的でした。左SBに回ったショルツはあまり攻め上がらず、久しぶりに左SHに回った関根に自由にやらせていた感じでしょうか。

・広島が前三人でプレッシャーをかけてくるのを嫌ってか、立ち上がりの浦和は鳥栖戦同様ロングボールを多用し、明本に再三広島最終ライン裏を狙わせていましたが、最初の決定機は敵陣でのスローインをきっちり繋いだもの。敦樹の縦パスをボックス内で受けた江坂がDFを背負いながら振り向きざまにシュートもGK大迫のほぼ正面。

・15分には敦樹のスルーパスを受けて関根が左サイドから裏抜けに成功。シュートは大迫に阻まれてしまいましたが、こぼれ玉にユンカーが反応して浦和先制。

・浦和は右SHながらもかなり絞り気味のポジションを取る江坂にボールが収まると攻撃で良い形を作りやすいようで、19分には江坂から斜めに縦パス→明本スルーでボックス内でユンカー受けるという良い形も。25分には右コーナー付近で江坂が粘ってクロス→ユンカーヘッドの決定機。

・守っては序盤は前プレがハマって広島に何もさせず。ただ運動量が落ちた30分くらいから押し込まれがちになったものの、4-4-2の守備ブロックを作って耐えて広島に決定機を与えず。懸念材料はお疲れなのか随所で当たり負けが目立つのと、ショルツにスピードがないのでその裏を狙われると気持ち悪いこと。さすがに目に余ったのか、最後は関根が下がって5バック気味に。

・後半に入っても引き続き浦和が押し込まれ続ける苦しい展開。広島もさすがに江坂を放置するとヤバイことに気づいたようで、浦和は江坂にボールが入ることもなくなってやむなくロングボールを多用。しかし、ユンカーはもとよりDFを背負ってのプレーは得意ではなく、明本もお疲れの身でJ1屈指の強度を誇る荒木や佐々木相手では分が悪いようで前線で全くボールが収まらないので浦和はすぐにボールを失ってしまい、最終ラインを上げるに上げられないという悪循環に。

・そこでリカは「中間点で受けさせるために江坂と小泉佳穂を2人並べ」ようとしたようですが、運が悪いことにその矢先に江坂が負傷。アクシデントに伴う形で65分江坂→小泉(小泉トップ下、明本右SHへ)、平野→柴戸の2枚替えを余儀なくされました。後者は守備強度に難がある平野が既にイエローをもらっていたことへの対応でしょう。だが、この交代も戦況を好転させるには至らず。

・1点ビハインドの広島は54分浅野→柏、サントス→ヴィエイラ、70分長沼→東、柴﨑→エゼキエウと早めに続々と選手を代えてきましたが、延々と単調なクロス攻撃を繰り返すだけでこれといった決定機を作れず。逆にビルドアップに苦しむ浦和がやや偶発的な形ながらもカウンターで敵陣に迫る不思議な試合展開に。67分には岩波のボール奪取&縦パスがいきなりユンカーに繋がる決定機も。

・この試合広島最大かつ唯一の決定機は77分野上の縦パスを契機に東&ヴィエイラのコンビネーションで浦和が人数だけはぐしゃぐしゃいる中央を割られ、ヴィエイラの際どい一発を浴びた場面。だが幸いにもシュートはわずかに枠の外。

・そこですかさずリカは79分ユンカー→木下、敦樹→大久保の二枚替えで柴戸アンカー、2列目に関根-明本-小泉-大久保と並べる4-1-4-1へ布陣変更。これはかなり効果があり、ようやく前からのプレッシャーがかかり始めて防戦どころか反撃に転じるまでに。広島は83分左サイドからのアーリー気味のクロスにヴィエイラがヘッドで合わせるも大きく枠を逸れてションボリ。

・リカは念には念を入れて88分関根に代えて宇賀神を投入して5-4-1へシフト。VARの介入もなく、怪我人が多発したわけでもなく、どこから沸いてきたのかさっぱり判らない7分ものATを無難に凌ぎ切って逃げ切り勝ち。

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《総評》

・またしても相手にボールを握られる時間帯が長い試合になってしまいましたが、もう今は理想からはほど遠い試合内容であろうとも勝ち点3を積み上げたことで良しとする他ありません。

・この試合のスタメンでは酒井・ショルツ・平野・江坂と夏に獲得したばかりの選手を一挙に4人も起用。しかも中断期間中にチームに合流して長い時間練習出来たのは江坂だけで、他の3人はほぼぶっつけ本番で起用されている状態。特にオフ明けのショルツはコンディションが十分に整っていないかもしれません。おまけに小泉や西といった中断前は浦和のビルドアップの中核を握っていた選手が離脱中。これでは中断前に出来ていたことが今は出来なくなっているのも仕方ないでしょう。

・従ってリカが「新加入選手がチームに合流して試合に出たりして、今までできていたこと、それからお互いが分からない状態でもあるので、そこをすり合わせていきながらやっていきたいです。」と語っているように、今の浦和は実戦形式でお互いの特徴を知り、連係を深めながらチームを仕上げる「夏合宿」をやっているのと大差ない状態だと思います。

・そしてその過程で組み合わせの良し悪し、最適な使い方がちょっとずつ判ってゆく。徳島戦&広島戦で言えば、現状攻撃時の酒井はタッチ際の上下動しかしないので、その前にいるSHとしてはサイドに張りがちな達也との相性は最悪な一方、中へ絞れる江坂との相性が良いのが丸わかり。ただそれは達也が悪いのではなく、達也と相性が良いのは中へ入ってプレーできる西だというだけの話。こんな発見を積み重ねている時期なのでしょう、今は。

・中断期間前に出来ていたことを取り戻すまではもうちょっと時間がかかりそうですが、幸い小泉が曲がりなりにもピッチに戻ってきましたし、どんなに不格好であっても勝ち点3を積み上げて、怪我人等の復帰=本格反攻開始を待つことにしましょう。

・なおこの試合で浦和が幸いだったのは、広島は基本的にカウンターが得意なチームで、ボールを握って積極的に相手を崩すのは苦手なこと。ボール支配率で優位に立った、あるいは立たされた試合の戦績は非常に悪く、一点が遠くて負けるor引き分けに終わることは日常茶飯事。浦和は意図的に相手にボールを渡した訳ではないのでしょうが、結果的に広島を追い詰める最善手を取ったようで。

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《選手評等》

・新加入選手のスタメンへの組み込み、そして選手交代に伴う配置転換やフォーメーション変更で足りなくなってしまったポジションに「明本」と書きこむのがリカ流(苦笑)。もう明本はGKとCB以外はどこでも出来るとリカに思われているような。「ボールと明本は疲れない」のがリカの格言。この試合も超蒸し暑い中で90分酷使され、誠にお疲れさまでした。

・酒井はさすがにお疲れっぽくて対面の藤井のドリブルの切れ味に大苦戦。でもほぼ抜かれかかっているのに、最後はドリブルコースへの読みとフィジカルの強さで強引に藤井を潰した姿は頼もしいのなんの!!

・大久保はスタメンでも途中出場でも必ず一回は見せ場を作るのが凄い。スタメンだと消えている時間が結構多いので現状途中出場向きとは思いますが。

・木下は意外にスピードがあってカウンターで相手に脅威を与え、かといって無理目なシュート等で相手にカウンターのチャンスを与えるような具は犯さず、守っては広島の最終ラインに盛んにプレッシャーをかけ、ボールをキープして時間を潰す等、勝っているチームが終盤に投入するFWとしては十分な仕事をしていたと思いました。コンディションはまだまだなのか、空中戦だとかポストプレーとか「電柱型FW」っぽい見せ場はありませんでしたが、案外拾い物かも。

・左右のSBが出来る宇賀神が勝っている時の逃げ切り要員=「ピッチャー鹿取」として活躍の場を見出しているのが地味に凄い。ベテランのあるべき姿。スタメンでの出番が少なくなって来てもチームのために出来ることはいくらでもある!!

・駒場のメインスタジアムには解説福田のバカでかい声と実況八塚の甲高い声が鳴り響いてうるさいのなんの。チケット代高いんだから、こういう騒音問題はなんとかならんのかなぁ・・・

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-----ユンカー------
関根---明本---江坂
---敦樹--平野---
ショルツ-槙野--岩波-酒井
-----西川-----

(得点)
15分 ユンカー

(交代)
65分 江坂→小泉(故障による交代)
65分 平野→柴戸
80分 伊藤敦→大久保
80分 ユンカー→木下
88分 関根→宇賀神

-----サントス-----
--柴崎----浅野--
藤井-松本--ハイネル-長沼
-佐々木-荒木--野上-
-----大迫-----

(交代)
54分 浅野→柏
54分 サントス→ヴィエイラ
70分 長沼→東
70分 柴﨑→エゼキエウ
80分 松本→土肥

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