【TV観戦記】21年第34節:川崎 1-1 浦和 ~ 今は言わせておく。by 西野TD
ユンカー謎のベンチ外には心底驚きましたし、前半の決定機逸にもがっかりしましたが、それでも前後半通じてみればフルメンバーの川崎相手にほぼ互角の内容で結果もドロー。チームの成長が実感できた一戦でした。
《スタメン》
・共に天皇杯から中6日。浦和は天皇杯G大阪戦と全く同じと思いきや、なんとユンカーがベンチ外で代わりに小泉がスタメン。興梠が久しぶりにベンチ入り。ユンカーがベンチ外になった件についてはなぜか試合後記者会見で質疑すらなく真相不明。
・川崎はたまたまリーグ戦→天皇杯で清水と中2日で連戦になっていて、天皇杯ではほぼフルターンオーバーを敢行して主力をごっそり休ませ(それでも清水を内容ではボコボコにして完勝)て、今節はリーグ戦前節と全く同じスタメンに回帰。
《試合内容》
・立ち上がりから川崎がほぼ一方的にボールを支配。試合開始早々ダミアンが猛然と岩波に突進してきたことに象徴されるように川崎の前からのプレッシャーは凄まじく、浦和は最終ラインでボールを失う愚こそ犯さなかったものの、「相手にボールを持たれて深いところまで押し込まれ、奪い返しても彼らが素早い切り替えで奪い返しに来て、そこで失ってしまうという循環」とリカが試合後に説明した通りの展開に陥ってしまいました。
・浦和がボールを握る理想的な展開にはならなかったものの、危険な形でボールを失う場面もないので川崎にボールを支配されながらも浦和は自陣で粘り強く対応して川崎に決定機どころかシュートすら撃たせず。川崎の初シュートはなんと22分。
・むしろ浦和が高い位置でボール奪取して良い形を作りかかる場面が目立ちましたが、6分小泉スルーパス→汰木がボールコントロールに失敗してシュート撃てず、11分関根が登里に絡んで敵陣深い位置でボールを奪うもクロスは誰にも合わず、12分ハーフライン付近でボールを奪取するも小泉のスルーパスは江坂に合わず、19分ジェジエウの縦パスを汰木がカットするも川崎の素早い帰陣で潰されると、いずれも好機をフィニッシュに繋げられず。
・給水タイムを挟んでついに決定機を掴んだのは浦和。珍しく最終ラインからスムーズにビルドアップに成功し、小泉とのワンツーで右サイドを突破した酒井が登里をなぎ倒しながら折り返し。ボックス内で汰木のシュートはほぼ空振りに終わったものの、これが半ばフェイントのような格好になって江坂がどフリーでシュート!! しかしシュートは山根を直撃。さらにこぼれ玉を拾った関根のシュートはゴールマウスをカバーしていた谷口がクリア。ああ、G大阪戦を髣髴させるような浦和2列目の残念すぎる決定力・・・
・大ピンチを凌いだ川崎は一転して攻撃の圧力がマシマシとなり、31分には家長の縦パスを契機に脇坂、マルシーニョと西川の目の前でシュートを撃たれかかるピンチがあったものの、相手がボールコントロールに手間取る間にショルツ&岩波が対応してシュートを撃たせず。
・しかし33分CKの流れから山根クロス→江坂一人に対してダミアン他3人が競り合っている格好になってしまい、こぼれ玉をジェジエウが押し込んで川崎先制。ルヴァン杯に続いてまたしても川崎相手にセットプレーで失点・・・
・その後は裏抜けあり、カットインありのマルシーニョに再三右サイドを脅かされ、52分には右サイドを深々と抉られる危ない形を作られたものの、ここはなんとか岩波がクリア。
・また後半になるとようやく浦和がボールを握る時間も増え始め、山中が高い位置を取る形も見られ始めて49分には山中アーリークロスがボックス内に走りこんだ汰木に通る決定機を作りましたが、汰木は柏戦でのドッペルパックは夢幻だったかのようにここでも不発。
・若干浦和ペースになりかかったところで運悪く柴戸が故障。やむなくリカは58分柴戸に代えて敦樹、さらに不振の汰木に代えて大久保を投入。早速60分ショルツ縦パス→江坂フリック→大久保が左サイドからクロス、最後は平野のミドルシュートで終わる良い形。72分には小泉浮き球のパスがボックス内で江坂に通りかかるものの、江坂はシュートまで持ち込めず(つД`)
・鬼木監督は浦和に決定機こそほとんど許していないものの、浦和にボールを支配される展開は本意ではないのか、75分ダミアン→小林、登里→車屋、マルシーニョ→大島と三枚替えを敢行。しかし選手交代には全く定評がない鬼木監督らしく、この三枚替えで試合の流れは変えられず。
・リカは78分平野→興梠、山中→宇賀神の交代で勝負に出て自陣深くに押し込んだ川崎相手にミドルシュートを撃ちまくる珍しい展開に。しかしそのシュートはことごとく川崎守備陣を直撃。
・鬼木監督は86分脇坂を下げて山村を入れ5バックにすると思いきや、なんと中盤の構成を弄っただけ。それでもなんだかんだと浦和の攻勢を凌ぎ切るかと思われたものの、89分ついに川崎守備陣が決壊。自陣深い位置での川崎スローインから浦和がボール奪回→江坂の意表を突いたヒールパスでどフリーになった敦樹がミドルシュート→GKチョン・ソンリョンは遠くへ弾き切れず、酒井が倒れ込みながら押し込んで同点ゴール!! そしてルヴァン杯に続くソンリョンのナイスアシスト!!!
・川崎はATになって知念を投入。AT+4分大島クロス→ファーで旗手ヘッドで折り返しの決定機を作られたものの、その折り返しを小林がなんとほぼ空振り。AT+5分には大島に際どい一発を撃たれたがここは西川が凌いでドロー。
・川崎に敗れて目の前でJ1優勝を決められてしまう最悪の展開こそ阻止したものの、同時刻に2位の横浜Mが敗れてしまったので浦和奮戦の甲斐もなく結局川崎の優勝を見届ける羽目に。
《総評》
・Jリーグで今なおぶっちぎりに強い川崎相手にドロー。試合後の弁を見ると「前半は難しい展開になってしまったと思います。ボールを持ちながら相手陣内に行く回数や時間が少なかったと思います。」「後半に関しては、前半よりもボールを持てる時間は増えましたし、大きなチャンスは作れませんでしたけど、相手のゴール前に迫っていく回数は前半より増えたと思います。」とリカは若干川崎優勢の試合だったと見ており、勝ち点1で満足している風。
・強敵川崎相手に勝ち点1に終わり、同日ACL圏入りを争う神戸・名古屋・鹿島が全て勝ったため浦和は6位まで後退。しかも直接対決がない3位神戸との勝ち点差が5(しかも得失点差で大きく差を付けられているので実質5.5差)に広がってしまい、残り4試合での3位入りはかなり難しくなってしまいましたが、それでも残り4試合に向けて大いに勇気づけられる試合内容・試合結果だったと言っても良いでしょう。
・今年最初の対戦では前半終了間際までほとんど川崎に何もやらせなかったものの最初の失点後は守備が大決壊して大敗。ルヴァン杯では怪我人続出の川崎相手に2試合ともドロー。そしてこの試合ではフルメンバー相手の川崎に対して浦和はユンカー抜きでドロー、かつ内容もほぼ互角。勝ち点3は奪えませんでしたが着実に浦和は進歩しており、事実上チーム再建初年度であることを考えればこの試合内容は大躍進といっても良いくらい。
・川崎戦のドローを受けてリーグ戦残り4試合で浦和は4位に滑り込み&天皇杯決勝進出でACL圏入りというシナリオが現実的になってきました。さらに言えば残り4試合は来年浦和がACLに出る資格があるのかどうかを名実ともに問われるものとなりました。
・鹿島・横浜M・名古屋と上位相手に勝ちまくってリーグ戦で4位に滑り込み&天皇杯決勝進出なら堂々と胸を張ってACLへ行ける。川崎相手に互角の闘いを演じた今の浦和ならその可能性は十分ある。逆に終盤上位相手に一つも勝てずに終わったけれども天皇杯優勝でACLというのは、明らかに力不足のチームが半ばフロックでACLへ出たに過ぎず、来年の浦和は今年と大差ない過密日程で疲弊した挙句おそらくロクでもない結果に終わると思います。
・川崎相手に掴んだ手応えは残り試合の結果に結びついてこそ意味がある。柴戸やユンカーの状態が気がかり(ひょっとすると酒井も?)な中で難しい試合が続きますが、来年へ向けて希望の光が明々と灯るような試合であって欲しいものです。
《選手評等》
・川崎相手に勝ち点3を望むには少ないチャンスをものにする力が浦和にはあまりにも不足していました。試合前リカが「最終的に勝負が決まるのは、ペナルティーエリアの中」と話していた通りの力が。26分の決定機逸はその最たるもので、浦和2列目の残念過ぎる決定力不足がG大阪戦に続いてクローズアップされることに。SHはおそらくオフの最重要補強ポイントになると思います。
・この試合最大の好材料は久しぶりにベンチに入った興梠が途中投入なら十分使い物になることが判ったこと。リカも「時間ではなく試合の流れ、相手のゴール前に迫る回数が増えてきたところで、中で合わせられる選手、背後のスペースを生かせられる選手ということで、興梠慎三を投入する決断をしました。(中略)ペナルティーエリア内で違いを出せれば、という狙いを込めていましたし、勝ち点1を取るのに大きく貢献してくれた選手の1人だったと思います」と絶賛。最前線でちゃんとボールが収まる興梠なんて久しぶりに見たからなぁ。
・前回FC東京戦でのゴール時はVAR判定が挟まってしまい、今回は本人が傷んでセレブレーションどころではないという、変なところでツキがない酒井。でも実に頼もしかった。26分登里をなぎ倒しての折り返しは圧巻。あれがワールドクラスの力技なんでしょう。ゴール時のみならず、62分にも右足を痛めてピッチに倒れてしまう場面があり、ちょっと心配。
-----江坂-----
汰木---小泉---関根
---柴戸--平野---
山中-ショルツ--岩波-酒井
-----西川-----
(得点)
89分 酒井
(交代)
58分 柴戸→伊藤
58分 汰木→大久保
78分 平野→興梠(江坂&興梠の2トップに。小泉がボランチに下がる)
78分 山中→宇賀神
90+1分 関根→西
マルシ-ニョ--ダミアン---家長
--旗手----脇坂--
-----橘田-----
登里-谷口-ジェジエ-山根
-----ソンリョン-----
(得点)
33分 ジェジエウ
(交代)
75分 ダミアン→小林
75分 登里→車屋
75分 マルシーニョ→大島(旗手が左WG、大島がIHへ)
86分 脇坂→山村(山村&大島のダブルボランチによる4-2-1-3へシフト)
90+1分 橘田→知念(小林&知念の2トップによる4-4-2?)
※写真は試合とは全く関係がありません。
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