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2021.12.20

【観戦記】21年天皇杯決勝:浦和 2-1 大分 ~ 最初と最後、ACL出場権が置き土産

 リカの逃げ切り策が大失敗に終わってにわかに暗雲が立ち込めましたが、最後の最後で大分を突き放して3年ぶりに天皇杯を奪回。これが「持っている漢」の力なのか!! いやはや恐れ入りました。

《スタメン》

・浦和のスタメンは準決勝から宇賀神→小泉の一枚のみ入れ替え。ベンチに大久保が入って興梠がアウト。控えにFWが一人もいないとかポジションが被る宇賀神と西が共にベンチスタートとか、ベンチメンバーにはやや不可解な面があり、興梠はコンディションが良くなかったのかも。

・大分のスタメンは準決勝と全く同じ。

・なお今夏チームに加わった呉屋、増山、野嶽、梅崎はレギュレーションの関係(前所属チームで天皇杯出場済み)で出場できないので、片野坂監督は選手のやり繰りに苦労していた模様。一方浦和の江坂は幸いにも柏では天皇杯に出場していませんでした。

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《試合展開》

・大分の布陣はいつもの3-4-2-1ではなく、準決勝川崎戦同様中盤ダイヤモンド型の4-4-2(4-3-1-2)。一方浦和は一応4-4-2ですが、左SH小泉はかなり自由に動き、小泉がいなくなったスペースを明本が使ったり、江坂と小泉がポジションチェンジすることもしばしば。

・そして大分はいきなり前から厳しくプレスをかけに来ましたが、リカはアウェーで大分のプレスにたじたじとなってビルドアップが壊滅して内容的にクソミソに負けたことを反省したのか、準決勝C大阪戦同様スタメンには当たりに強い面子をずらずら並べ、ポゼッションにはあまり拘らずに強度勝負。一対一なり、狭い局面なりでのクォリティー勝負に持ち込んだ模様でした。

・その成果がいきなり出たのが6分の先制点。関根が右サイドから強引にカットイン。関根がボールを失えば小泉が奪い返し、小泉が失えばまた関根が奪い返すの連続でボックス内深くに侵入して大分守備陣を混乱に陥れ、関根が後方に下げたボールを江坂が狙いすましたようにズドン!!

・大分の4-3-1-2は攻守とも機能しているとは言い難く、12分左サイドから小泉→柴戸→敦樹と繋いで敦樹が際どいミドルを放つ場面も。

・また浦和が先制点を取った後は大分がボールを持つ時間が長くなりましたが、どう見ても大分は単にボールを持たされている状態。浦和を押しこんでサイドからクロスを上げる回数よりも、浦和に高い位置でボールを奪われてカウンターを食らう回数の方が遥かに多い惨状でした。

・ただボールを失った後の大分の攻守の切り替えも早く、浦和が良い形でボールを奪ってもシュートに結びつけられない何とももどかしい試合展開に。いつもなら給水タイムで何らかの修正を施しそうなものですが、決勝戦になって突然給水タイムが廃止されたのは少々祟った格好に。

・43分敦樹のボールカット&スルーパスからユンカーがCBエンリケと対峙し、ボックス内で足を引っかけられたようにも見えましたがPKはなし。

・後半立ち上がり、右サイドに流れた渡邉のクロスから町田がシュートを放つ決定機がありましたが、ここは岩波がブロックして枠外へ。大分はビルドアップ時に小林裕がCB間に下がる形を止めて、後半はダブルボランチにして、エンリケを真ん中にして下田が3バックの左に下りるような形に変えたのが奏功したのか、60分くらいまで浦和を自陣に押し込み続けましたが、それでも決定機は作れず。

・逆に浦和は63分江坂が高い位置でのボール奪取に成功してユンカーが枠内シュート、さらに70分西川のスローインを受けた関根が追いすがる相手を振り切って力強くドリブルで前進&スルーパス→江坂はボックス内でGKを交わして追加点間違いなしと思ったものの、体勢を立て直したGK高木がビッグセーブ!!

・そこで得た江坂CKからサインプレーで下がった位置にいたユンカーがシュート。そのこぼれ球をファーで岩波が押し込んだもののオフサイドの判定。

・その直後にリカはユンカーに代えて宇賀神を入れ、さらに大分が79分伊佐→長沢、小出→松本と代えて長身の長沢をターゲットにクロス攻撃を仕掛けてきたと見るや否や、83分小泉→槙野、関根→大久保と代えて5-4-1にシフトし、本格的な逃げ切り態勢に。

・しかし42分松本のクロスに対するショルツのクリアが小さくて渡邉に決定機を許したのがケチのつけ始め。90分かなり距離のあるところからのFKをGK高木がわざわざ出てきてちょん蹴りして角度を変えたのが効いたのか、下田クロスをペレイラが頭で合わせて大分が土壇場で同点に。クロスの先ではずっとペレイラを監視していはずの槙野が肝心なところでペレイラを離してしまう大失態。

・ところが最後の最後で全てを持って行ったのがその槙野。大久保CKをいったんGKがパンチングで逃れたものの、そのこぼれ球を柴戸が左足ダイレクトでボレー。そして槙野がヘディングで角度を変えてゴール!!柴戸のミドルシュートには高木が反応しているので槙野のヘッドがなかったらセーブされていたかもしれず、実に有意義なヘッドでした。

・槙野は加入初年度にリーグ最終戦で強烈なFKを決めてACL出場権を引き寄せ、浦和での最終年、しかもそのラストゲームでは天皇杯優勝という形で再度ACL出場権を引き寄せるとは何という強運。これこそ持っている漢。良くも悪くも槙野は最後の最後までエンターテイナーでした。

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《総評》

・ロジカルに得点の可能性を高め、失点の可能性を低めるのが好きなチームであっても所詮あんまり点が入らないゲームなので、なんだかんだと理不尽な形で点が入って勝敗を分けることがままあるのがサッカー。だから面白い。サッカーの面白さが詰まりに詰まったラスト5分でした。

・これで浦和は2018年大会以来4度目(三菱重工サッカー部時代を含むと通算8度目)の天皇杯優勝。

・トーナメント、しかもその決勝なので内容なんてどうでも良くて結果しか意味がありません。酒井は試合後「無失点優勝したかった」「100パーセントうれしいかと言われたら、まだまだ悔いは残るトーナメントだった」と語ったように失点の仕方がマヌケすぎて画竜点睛を欠いた気がしないでもないのですが、まぁそこは今の浦和では経験値がぶっちぎりに高い酒井の貪欲さの表れということで。

・鹿島に負けてリーグ戦でACL圏入りの目がほぼなくなった時点でリカは狙いを天皇杯一本に切り替え。具体的にはリーグ戦終盤で神戸や鹿島に強度不足を突かれてボコボコにされたことを踏まえ、そもそもボールを握れそうにない横浜M相手ならともかく、ボールを握れそうなC大阪や大分相手でもポゼッションには拘らず、強度の高い面子をズラズラっとスタメンに並べたのが見事に奏功しました。

・相手に応じて、あるいは状況に応じてやり方を変えられる柔軟さがリカの取り柄。最後は悪く言えば「ポジショナルサッカーを諦めた」と見られても仕方がないくらいの転換だったと思いますが、それはリカの本意ではないでしょう。またまた選手を入れ替え、キャンプでじっくり仕込んだ2年目からがリカ流の本番かと。

・川崎相手にシュートを撃たれまくりながらも最後の最後までスコアレスで凌いだ大分の実力は伊達ではなく、浦和相手ならたいしてシュートを撃たせず。片野坂監督が試合後に語ったように序盤の作戦負けが祟った感じで、そこはアウェーでボコボコにされたリカの修正が一枚上だったかと。この試合内容なら1年でJ1に復帰できそうな気がしますが、残念ながら片野坂監督の退任が決まっていて一から出直しだんだよなぁ・・・

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《選手評等》

・20年近くプロでやっていたのにタイトル無縁でサッカー人生を終える選手が少なくない一方、浦和加入初年でタイトルを掴む選手がおるとは!!特に全くの新人だった敦樹や大久保は感慨深いかも。また昨年までは金がなくて将棋アプリの課金を躊躇していた選手が今や浦和の主力としてタイトルホルダー!!

・小泉が一時のドツボ状態から吹っ切れたのは何より良かった。やはり準決勝でのゴラッソで自信を取り戻したのかも。また大久保が短時間で何か爪痕を残そうと頑張っていて、それが大久保CKからの決勝点に繋がったのも好印象。逆にユンカーが終始ややブレーキ気味。グロインペインの影響だとかなり心配ですが・・・

・劇的なゴールを決めた選手が興奮のあまり(イエロー覚悟で)ユニフォームを脱ぐという場面はよくありますが、ユニフォームは脱いでもキャプテンマークは巻いたままというのはあんまりおらんかもw

・表彰式が一段落した後に平野が謎の踊り。森脇とは違った意味での優勝セレモニーの裏主役になる才能ありあり。そしてその先輩を引き立てる明本もGJでした。

・MDPで清尾さんが「3年計画の進捗状況は遅れ気味」という認識なのには少々驚きました。リーグ戦でACL圏に届かなかったからかな? でも進捗遅れの責任はリカにはないからなぁ。一年目が虚無だっただけで。

・荒木主審のファウル判定ブレブレには参りました。ユンカーはなんとか我慢していましたが、明本は終盤ヤンキー丸出しでブチ切れwww ビッグマッチにこのレベルの主審を出さざるを得ないとは、Jリーグの審判団は相当な人材難なようで。

・飲水タイムがなぜか決勝になって突如廃止。JFAは事後法適用で浦和を処罰するくらいですから、直前のレギュレーション変更くらい朝飯前でしょう。

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---江坂--ユンカー---
小泉--------関根
---柴戸--伊藤---
明本-ショルツ--岩波-酒井
-----西川-----

(得点)
6分 江坂
90+3分 槙野

(交代)
72分 ユンカー→宇賀神
83分 小泉→槙野
83分 関根→大久保

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--小林成--伊佐---
-----下田-----
-渡邉--小林裕-町田-
三竿-トレヴィ-ペレイラ-小出
-----高木-----

(得点)
90分 ペレイラ

(交代)
72分 小林成→野村
79分 伊佐→長沢
79分 小出→松本

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