・昨日(1/12)西 大伍選手の契約満了が公式発表されました。
・西の移籍は出所不明の噂話こそ昨年末から燻っていたもののスポーツ紙等では全く表面化しなかったので2022シーズンも浦和にいるものと思っていたところ、昨朝になって急遽”機関紙”スポニチや報知から一斉に「契約満了に伴い昨季限りで退団」と報じられました。
・報道によると西は昨年末から移籍先を探してきたものの依然去就は未定。浦和は西の去就が決まってから契約満了を発表する腹だったと思われますが、残念ながら昨日は浦和の新体制発表日。新背番号に西の名前がないことは隠せないので、時間切れで各紙に情報をリリースしたものと思われます。

・西は昨冬のオフにヴィッセル神戸から完全移籍加入したばかり。当時の浦和は何せ本職の右SB/WBがおらず、本職CBの橋岡やデンを転用して凌いている状態でしたし、さらに大卒2年目の岩武は結局使い物にならずに放出したばかり。おまけに橋岡がおいおい欧州へ流出するのも視野に入っていたでしょうから、即戦力=西を補強したのは非常に理に適っていました。
・ただ西は獲得時既に33歳のベテラン。そこでJ1での実績十分な西といえども単年契約に留める辺りがいかにも西野TD流。シュータンなら景気よく複数年契約を結んでいたでしょうなぁ・・・
・で、背番号8を与えられて獲得時は大いに期待された西でしたが、残念ながら西が期待通りの働きを見せた時期はあまり長くありませんでした。
・キャンプで故障して出遅れたのがケチのつけ始めで開幕時の右SBは宇賀神に譲り、西が浦和での初出場は3月末のルヴァン杯第2節柏戦から。しかし、リーグ戦初出場となった第7節鹿島戦でいきなりアシストを記録(ハーフライン付近からの西のアーリークロスが裏抜けに成功した明本に通る形)して以降は西がついに本領を発揮しはじめました。
・西はSBとしては極めて異例なくらい動かない選手で、走行距離はいつもCBと大差ないレベル。とにかくポジション取りの巧さ、攻守ともいて欲しいところにいてナンボの選手で、SBだけれどもタッチ際に張りっぱなしではなく、絞った位置でCHであるかのようにてビルドアップを助けることもしばしば。そして本当にヤバイ時だけ全力で走る。そんな変わったSBでした。タッチ際を激走する達也は西にとって一番相性が良かったSHでしょう。
・しかしキャンプでの出遅れが祟ったのか梅雨時になると西のパフォーマンスは次第に低調なものに。内容的に惨敗を喫したアウェー大分戦では西の失態が敗戦に直結してしまいましたし、また守備強度が足りないと思われる場面も目立つようになってしまいました。
・西にとって最大の不幸は酒井の加入。酒井は西と違ってタッチ際を盛んに上下動するタイプですが、タイプの違いなんでどうでも良くなるくらい攻守両面で西とは基本性能が違いすぎ、必然的にリカは右SBにはどんなにヘロヘロであろうとも酒井を重用しつづけました。
・酒井獲得時には「西を後方からの組み立て役としてCHに転用するのでは?」という観測も流れましたが、これまた夏に獲得した平野がその役目を担うCHとして早々とフィット。このため西の出番は非常に限られたものとなり、ルヴァン杯等酒井不在時にスタメン出場する以外は終盤での途中投入だらけになってしまいました。
・西が最後の輝きを放ったのは第36節横浜M戦。終盤全然ファウルを取らなくなった佐藤主審に対して酒井が2回ブチ切れていたのに対し、その傾向を見て取った西は後ろから手をかけて相手を止め、しかも西の思惑通りイエローなんて出ない。鹿島仕込みらしい西のしたたかさには感服させられました。
・出番は減っていたとはいえ西は天皇杯決勝までベンチ入りしているので来シーズンも浦和にいてもなんら不思議はないのですが、西が出場機会を求めて早々と移籍を探り始めたのかもしれませんし、浦和フロントも高給取りのベテランをベンチ要員として抱えておけるほど懐に余裕はないのでやむなく契約満了としたのかもしれません。そして西の契約満了が既定路線となった時点で馬渡獲得に動いたと考えれば色々辻褄が合います。
・残念ながら高給取りのベテランを抱える余裕がないのはいずこも同じなのか、西の移籍は難航している模様。10月になぜか神戸在籍時の女性スキャンダル問題が暴露されたのも移籍の支障になっている可能性も無きにしも非ずですが、序盤苦労したリカが4月以降急激に勝ち点を積み上げられるようになった一因は間違いなく西の活躍でしょう。たった一年の在籍でしたが、リカルド浦和の創業期を支えた功労者として西を記憶しておきたいものです。