【観戦記】22年第1節:京都 1-0 浦和 ~ メンバーが足りません!!
スーパーカップでもコンディション不良のためか前目の選手が多数欠場していた上に、その後チーム内でコロナが猛威を振るって選手&スタッフとも大打撃。それでもなんとか選手をかき集めて開幕戦に臨み、それなりに試合にはなっていたものの決定力の差に泣く結果に。
《スタメン》
・スーパーカップで強敵川崎相手に完勝したものの、今週になって浦和を取り巻く環境が一変!!2/15(火)から五月雨的に新型コロナウイルス感染症の抗原検査およびPCR検査で陽性判定を受けた選手&スタッフが続出。結局開幕を目前にして選手5名とスタッフ5名が陽性判定で欠場となってしまいました。
・スーパーカップですらユンカー・小泉・大久保・松尾と前目の選手がコンディション不良のためかベンチ外になっていたところにコロナ禍が猛威を振るって浦和は選手&スタッフとも壊滅状態。
・やむなく浦和は試合前日(18日)にユースの選手4人を2種登録したのみならず、西野TDや土田SDを含む懐かしのメンバーをコーチとして追加登録。Jリーグ規約に定めるエントリー下限人数(GKを含む13人)を満たさない事態を回避して、何が何でも試合を成立させるとの意気込みで開幕戦に臨みました。
・その結果、出来上がったスタメンはスーパーカップからショルツ→犬飼、岩尾→安居と2名入れ替え。しかしサブを見ると小泉がなんとかこの試合に間に合ったのが幸いなだけで、ユースの早川(なんと16歳!)とか大怪我していたはずの大畑がベンチ入りとか苦しい台所事情がありあり。スーパーカップに出場していた岩尾・平野・宮本が揃ってベンチ外なのはまぁアレなんでしょうなぁ・・・
・また試合前の練習にはメンバー入りしていない牲川の姿もあり、練習を滞りなく終わらせるに必要なコーチの頭数も足りない模様。
・12年ぶりのJ1復帰の京都は、契約上浦和戦には出場できない左SB荻原の代わりに本職CB麻田を起用したのが意外だったくらい。
《試合展開》
・前目が壊滅状態の浦和はスーパーカップに続いてCHタイプを三人起用したため基本フォーメーションが非常に判りにくかったのですが、どう見ても安居はCHではなく明らかに前目で、時に江坂と2トップを構成。明本はFWではなくはっきりと左サイドに張っていて、4-2-3-1とも4-1-4-1とも取れる感じ。一方京都はいつもの4-1-2-3でした。
・前半の浦和はコロナ禍で満足に練習出来なかったのかスーパーカップとは打って変わって動きが悪く、出足でも球際でも京都に完敗。キジェ流にどっぷり浸かった京都が「死なば諸共」とばかりに強烈に前からプレスをかけてくることは判り切っているはずですが、立ち上がりの浦和はちょっと受けに回り過ぎた印象を受けました。
・しかも2分犬飼のクリアミスに象徴されるように序盤は自陣での危険なミスが目立った上に、少し引いてボールを受けるウタカの巧みすぎるボールキープに柴戸が手も足も出ず、7分には豊川に決定機。ただ京都は良い形を何度か作りながらもシュートプロックされる場面が目立ったのは確か。
・前半京都は最も浦和ゴールに迫ったのは26分柴戸→江坂への縦パスをカットしてからのショートカウンターから松田シュートで終わった場面。GK西川の弾いたボールに武富が詰めるもシュートは枠外。
・また京都はやたら走り回るだけと思っていたところ案外パス回しも上手くなっていて、浦和の前ハメは京都に上手く交わされた挙句前半終始空回り気味だったのも劣勢に拍車をかけた感も。
・京都の激しい、激しすぎる前プレに苦しめられて安定的にボールを保持できない浦和はロングボールを多用して両サイドから京都最終ラインの裏を突くシンプルな攻撃が目立ちました。リカも試合後「ウインガーを張らせてダメージを与えるのが狙いでした。京都はハイプレスをかけてボールを奪おうとするチームなので、立ち上がりでそれを避けるようなプレーをしました。」と語っているので、苦し紛れにロングボールを蹴ったわけではないのでしょう。
・しかし、この攻撃でフィニッシュに至ったのは15分西川ロングキック→明本カットイン→安居が後方から走りこんでシュートの場面くらいでしょうか。
・後半立ち上がり早々、右サイドでの安居のボールロストを契機にここまでアシスト役に徹していたウタカがこの試合初めて決定機を掴んだものの、犬飼がなんとかシュートブロック。その直後にカウンターで明本に決定機が訪れましたがシュートはやや力がなくてGK上福元がキャッチ。
・忙しい展開になったところでついに先制したのは前半からやや押し気味に試合を進めていた京都。49分右サイドからのスローインでアンカー川﨑が突如スルスルっとボックス内に入って来たことで意表を突かれたのか、浦和DFラインがズルズルっと下がってしまい、あろうことがウタカがどフリーという大失態。川﨑はその隙を見逃さずにマイナスに折り返し、ウタカはウタカでこんな美味しい場面を逃すはずもありませんでした。
・京都が先制したとはいえ、オープンな試合展開は一向に収まる気配はなく、52分犬飼持ち上がってスルーパス→左サイドで明本が白井を対峙しながら低いクロスが江坂に通るも江坂のシュートは僅かに枠外。
・リカはたまらず61分に安居に代えて小泉を投入。小泉投入効果は絶大で、早くも63分関根が麻田と競り合いながらも右サイドを深々と抉って決定機を作るものの、どフリーの江坂がまさかの宇宙開発事業団(つД`)
・その後も浦和は安定的にボールを保持して京都を自陣に押し込みながら猛攻に継ぐ猛攻。京都は傷んだ選手や足を攣った選手が出たこともあって矢継ぎ早に選手を替え、運動量を補充しようとするものの前半のように前に出てゆけなくなり、最後は自陣で5-4-1の守備ブロックを作って耐える展開に。
・72分ボックス内で江坂がボールキープ→押し返しを後方から走りこんだ酒井がシュートを放つもののGKを直撃! そこで得たCKの流れから関根シュート→酒井が角度を変えるもブロックされて枠を捉えきれず、最後は明本クロス→酒井ヘッドもGKが辛うじてキャッチ。79分右サイドで裏抜けしかかった明本からの折り返し→小泉がアーク付近からシュートを放つもののコースが甘くてGKセーブ。
・しかし、相手が割り切って自陣に引き籠ってしまうとそれを崩す手立てが今の浦和にはありませんでした。なにせベンチメンバーで前目の駒は小泉と松崎のみで選手を代えようにも駒がありません。また最前線にポツンと残っているウタカが極めて面倒で、柴戸がウタカに簡単に振り切られてしまう場面もあったせいか、後ろを削ってまで思い切り良くリスクをかけられなかった感じ。
・最後はコンディションが万全ではない小泉が早々と電池切れ臭い上に、ATにあろうことか酒井が傷んでしまい、故障明けというか、本当に明けているのかどうか定かでない大畑を入れざるを得なくなった時点で事実上万事休す。リーグ優勝を今季の最大目標に掲げている浦和なのに、昇格チーム相手に黒星発進という極めて残念な結果に終わってしまいました。
《総評》
・冒頭に記したように浦和はコンディション不良やらコロナ禍やらで前目を中心にごっそり選手を欠いており、ユースの選手やいつもなら試合に出せるコンディションではない選手までベンチ入りさせざるを得ない苦境に立たされています。それにも関わらず残ったメンバーで試合に臨んでシュート数で京都を上回ったのみならず、枠内シュートやボックス内からのシュートの数でも京都を上回りました。極論すれば西川の脅威となったシュートはあの一発だけで、何かと忙しかった上福元とは対照的でした。
・従ってリカが試合後「相手にはほとんどチャンスをつくらせない中でワンチャンスで決められてしまって、決定力の差が出てしまった試合だったかもしれません。」と語るのは強弁でもなんでもないでしょう。そんなに悪い内容の試合ではなく、限られた面子でやれること、やるべきことはやった。選手が続々と復帰して来れば上積みが見込めると前向きに捉えることも出来ましょう。
・しかし、いやしくもリーグ優勝を今年の最大目標に掲げるチームが12年ぶりにJ1に昇格したばかりのチーム相手に勝ち点ゼロで終わってしまったのも事実。昨年はとにかく残留争いを演じているチーム相手に取りこぼしが多かったのがリーグ戦でのACL圏入りを逃した主因であり、色々と言い訳はありましょうが今年もまたその愚を繰り返すのかと思うとモヤモヤ感は晴れず。前日川崎がしょっぱい試合内容だったにも関わらずセットプレー一発で勝ち点3をもぎ取ったのを見たばかりだったせいかもしれませんが。
・欠場した選手のことをあれこれ言っても仕方ないのですが、岩尾&平野と特性が似ている=後方から広範囲にパスを繰り出せる選手が両方とも欠場したのが最もダメージがでかかったと思います。前半散見されたロングボール一発で明本に相手の最終ライン裏を突かせるような攻撃は最終ラインなり西川なりとボールの出し手が限定的だと相手にも読まれやすいでしょうから、本来なら中盤の底からも繰り出したかったところ。
・また小泉投入後の浦和の攻撃が俄かに活性化したのは確かですが、小泉は引いた位置でボールを受けがち、回しがちなために相手が割り切って自陣に引き籠ってしまうと、ボールだけは良く回るものの敵陣を崩しにはあと一押しが足りない感じになりがち。これって平野加入以前の浦和にありがちだった光景で、その意味でも岩尾&平野のダブル欠場は響きました。
・陽性判定を受けた選手は次節神戸戦にはまず戻ってこれないでしょうし、そうこうしているうちにコンディションを崩してしまう選手も出るでしょうから開幕戦から神戸・G大阪・川崎・湘南と中2~3日で続く5連戦のやり繰りは極めて厳しいものとならざるを得ないでしょう。スーパーカップで完勝した時には「圧倒的ではないか、我が軍は!!」と高揚感MAXだったのに、わずか1週間でこんなに暗澹たる思いをする羽目になろうとは!!
《選手評等》
・幸いなことに浦和の最終ラインは無傷。そこで過密日程を考慮してか、リカはショルツをベンチスタートにして犬飼をスタメン起用しましたが、残念ながらこれが仇に。犬飼は試合開始早々クリアミスで悪目立ちしたせいか終始安定感に乏しかったような。もっとも52分明本クロス→江坂の決定機に繋がった犬飼の持ち上がり&縦パスという見せ場もあり、守っては感じなところでシュートブロックも見せるなどまるでダメだったわけではありませんが、鹿島で基本右CBだったのを左に持って来たのが無理があったのかも。
・明本は対面の相手を振り切りそうになって、相手はやむなくファウル紛いのプレーで止めているにも関わらずイエローどころかファウルにすらならず、明本が傷むだけに終わる場面が目立って気の毒でした。
・こんな形で浦和デビューとなった大畑。一応ベンチに入ったものの出番があるなんて思っていなかったでしょうなぁ、絶対・・・
・久しぶりにJ1の舞台に戻って来たウタカ。もう38歳ですがキジェ流がよほど体質に合っているのか全く衰えていないのにはビックリ!!明らかに規格外で、柴戸がウタカに全く歯が立たないのはとにかく衝撃的でした。
・試合前の練習ではマルティノスが岩波と旧交を温める場面も。浦和を去ってからたった一年しか経っていないのにマルティノスが浦和で知っている選手はかなり少なくなったからなぁ・・・
-----江坂-----
明本-伊藤--安居-関根
-----柴戸---
馬渡-犬飼--岩波-酒井
-----西川-----
(交代)
61分 安居→小泉
86分 関根→松崎
86分 犬飼→ショルツ
90+2分 酒井→大畑(大畑が左SB、馬渡が右SBへ)
豊川---ウタカ----武富
--松田----武田--
-----川﨑-----
麻田-メンデス--アピア-白井
-----若原-----
(得点)
49分 ウタカ
(交代)
61分 白井→長井
61分 豊川→大前
74分 武富→福岡(福岡がIH、松田左WG、大前右WGへ)
78分 川﨑→荒木(足が攣ったため。荒木が左WBに入って5-4-1へシフト)
78分 松田→木村
| 固定リンク