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2022.02.13

【TV観戦記】FUJIFILM SUPER CUP 2022:川崎 0-2 浦和 ~ 圧倒的じゃないか、我が軍は!!!

 限りなく賞金付きの練習試合に近い、非常にささやかなものだけれどもタイトルはタイトル。今季も最強の敵となるであろう、しかもほぼフルメンバーの川崎相手にほとんど決定機を許さない完勝で、監督も選手達も沖縄キャンプでやったことに自信を深めたことでしょう。
 
《スタメン》

・オフに選手が大きく入れ替わった浦和。キャンプ中の練習試合はたった2試合、しかも共に非公開だったのでスタメンは非常に読みにくかったのですが、蓋を開けてみれば新加入選手でスタメン起用されたのは岩尾と馬渡のみ。

・一方サブには犬飼、知念、宮本、安居、松崎と新加入選手がゾロゾロ名を連ねましたが、ユンカー&小泉&大久保がいずれもベンチ外で前目の選手が松崎しかいないというバランスの悪さが気になりました。浦和はキャンプ中に怪我人等アクシデントがあったという話は漏れ出ていませんが・・・

・川崎の新加入選手でスタメン入りしたのはチャナティップだけで、ほぼ現有のフルメンバーの構成。CBジェジェウが大怪我で長期離脱中なので車屋をCB起用。試合直前にコロナに罹患したトップチーム選手が複数人出たという報もありましたが、どうやら主力ではなかった模様。

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《試合内容》

・CHが本職の選手がスタメンに3人いるので浦和の基本フォーメーションは非常に判り辛かったのですが、基本4-4-2でしょうか。ただ左SH伊藤はしばしばかなり中に絞った位置にいてタッチ際に張っていることはほとんどありませんし、CHの片方が頻繁に前に出て相手(具体的にはシミッチ)にプレッシャーをかけてもいましたから、自陣でしっかり守備ブロックを作っている時間帯くらいしか4-4-2には見えないかも。

・一方川崎はいつもの4-3-3。

・試合の入りは浦和が圧倒的に優勢。ガンガン前から川崎をハメに行き、球際も厳しく当たって川崎に自由にボールを握らせず。川崎は苦し紛れにCFダミアン目掛けてロングボールを蹴らざるを得ず、しかもショルツに絡まれたダミアンがボールを収めきれずにすぐさま浦和にボールを奪回される場面が目立ちました。川崎は浦和の出方が判らないので様子見をしているうちにボコられたという要素が無きにしも非ず。

・そして早くも7分敵陣右サイドでのスローインからの競り合いで浮いたボールを拾った酒井が低いクロス→江坂がワンタッチで合わせていきなり先制!!川崎DF陣は明本に釣られて江坂がフリーになったのかな?

・たださすがにこの猛烈な前プレは長続きせず、15分過ぎくらいから川崎に押し込まれて自陣で4-4-2の守備ブロックを作って耐える展開に。とはいえ川崎はただボールを握っているだけで決定機らしい決定機は全く作れず、思い出したようにダミアンにクロスを入れるだけの単調な攻撃に終始。放ったシュートも浦和守備陣にブロックされて西川を脅かす場面は一つもありませんでした。

・左WGに起用されたチャナティップが酒井と対峙して全く何も出来ないので川崎の攻撃は右サイドに偏りがちでしたが、そこでは馬渡が善戦して家長に必死に食らいつき、伊藤も再三加勢して穴を空けず。

・押し込まれた時間帯を耐えた浦和はセットプレーで立て続けに決定機。35分岩尾CKは事前に仕込みに仕込んだであろう形でしたが、どフリーで受けた江坂はなぜかボールをミートしきれず。36分岩尾CK→江坂ヘッドのこぼれ玉に反応した伊藤のシュートはわずかに枠外。38分カウンターで江坂スルーパスを受けて右サイドを疾走する関根→伊藤の決定機はシュートにやや力がなくてGK正面。

・劣勢の川崎は後半頭からシミッチに代えてマルシーニョを投入。マルシーニョ左WG、チャナティップ左IH、大島アンカーとはっきりと左サイドをテコ入れ。これはチャナティップの活性化という点では多少効果があり、チャナティップから右サイドへ振ってファーでフリーの選手に通りかかる場面が2度ありましたがそれでも決定機には至らず。この時間帯、浦和は江坂が左サイドを埋めるかのように中盤まで下がって守備に回る場面が増え始めて事実上4-5-1に。

・川崎が最も浦和ゴールに迫ったのは67分。浦和の前プレを川崎らしいパス回しで立て続けに交わしに交わして最後はチャナティップがアーク付近からシュートを放つものの運悪くマルシーニョを直撃。

・川崎は71分ダミアン→知念、脇坂→瀬古、77分チャナティップ→小林と相次いで選手を代えたものの、依然としてボールを握っている時間が長いだけで決定機は作れず。

・自陣で我慢する時間帯が長かった浦和でしたが、81分明本が後方から瀬古に絡んでボールを奪ったところからロングカウンターが炸裂。伊藤のロングフィードが最前線の明本に通り、明本がCB車屋を背負いながらもなんとかボールキープ→走りこんだ江坂がCB谷口を交わして股抜きシュートで追加点!!

・決定的な2点目を取ってからようやくリカは選手交代に動き、5バック気味にした直後に知念に際どい一発を許してしまう場面がありましたが犬飼が足を出してシュートコースを制限しているためか、そのシュートも枠外。最後は簡単にボールを外に蹴りだしてしまうという勝利への執念がビンビンに感じられる泥臭い守り方の連続で難なく逃げ切り勝ち。結局川崎は西川を脅かすシュートは一つも撃てませんでした。

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《総評》

・どちらも長期キャンプ明けでコンディションは万全に程遠いでしょうし、冒頭に記したように正直「限りなく賞金付きの練習試合」という性格の試合なので過大評価は禁物ですが、そうは言ってもタイトルはタイトル。「練習試合だから内容が良ければ結果は度外視でも可」という姿勢で試合に臨んで、その言葉通りに負けてしまった結果がゼロックス杯4連敗じゃないかと・・・

・しかし、今年の浦和は明らかに違いました。球際はとにかく厳しく、攻守両面にわたって気迫に満ち溢れた強度モリモリのプレーを連発。そして勝ちが見えた時間帯では「ええ格好」をせずに泥臭くプレーを切りまくり。これが西野TDの言う「勝利への飢え」なのかと。

・その結果、リカも言うように「展開としてはボールをより握りながらやっていきたくて、それにチャレンジしていきたかったのですが、なかなかそうしたことができず、相手にかなり深くまで進入されてしまったところがありました」とリカの理想にはほど遠い試合になってしまいました。

・でも本職CHの選手を3人起用した辺り、リカはそんな展開になるのも半ば織り込み済。川崎や横浜Mのような「現時点では浦和がボールを支配できる展開にはまずならない」相手への闘い方を試運転して、それが見事に奏功したと前向きに評価して差し支えないと思います。またプレー強度マシマシな選手を前からズラズラっと並べた辺り、昨年後半にプレー強度の差で惨敗した神戸や鹿島あたりもかなり意識している気も少々。

・言い換えればリカの理想通りに浦和がボールを握れる展開のパフォーマンスはこの試合では全く判りませんでした。ユンカー、小泉、大久保、松尾とそういう試合向きの選手は悉くベンチ外(おそらくコンディションの問題なのでしょうが)で、そんな試合を見ないことにはリーグ優勝を云々できません。また強度マシマシな試合は連戦や夏場には不向きですから「選手をある程度入れ替えながらどの程度強度を確保できるか」もおいおい課題となるでしょう。

・ただ空中戦はショルツが、地上戦は柴戸が広範に制圧している上に、酒井が控える右サイドは全くやられる気がせず、川崎相手にここまでやれるなら「今年の浦和の守備は恐ろしく固い」ことだけは間違いないかも。この試合を見たら、キャンプ中の練習試合で鳥栖や大宮相手にバカ試合を演じていたのが不思議でなりませんが(苦笑)。

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《選手評等》

・新加入の馬渡は両サイドSBが出来るという触れ込みながらも得意なのは明らかに右。でも右SBには酒井がいるので、キャンプ中からずっと左SBでの出場機会を窺っていて、その希望通りに左SBでスタメン起用されましたが、結果はまずまずの出来。豪快に裏を取られるという「山中あるある」みたいな場面を連発するのではないかと案じていましたが、家長には実に粘り強く対応して破綻無し。これなら初期山中や左SB西よりずっとマシで、故障離脱中の大畑が戻ってくれば左SBの頭数は問題ないでしょう。

・馬渡が左SBで十分使えることが判ったので、明本を本職のFWで起用できる目途が立ったのはさぞかしリカも嬉しいことでしょう。長い時間相手に強いプレッシャーをかけ続けられ、体幹が強くてボールキープが巧みで、上背がない割にはハイボールにも強い明本。とにかくFWの頭数がいない今の浦和ですが、ユンカー&小泉のコンディションが整うまでは江坂&明本がファーストチョイスになるというか、それしかないような。

・同じく新加入の岩尾はもう「何年浦和におんねん???」と言わんばかりの馴染みよう。さすが徳島でリカと長年やっていた実績は半端なく、リカが浦和の監督に就任して以来「岩尾のような選手が欲しい」と願ってついに岩尾本人を取ってくるという荒業に出るのも納得。

・とはいえ岩尾はボール奪取だとか「そこを見ていたのか!!」と驚かされるようなボール展開だとか、そういう素人目にも判りやすいプレーで凄さを感じさせるCHではなく、「ピッチ上での監督力」みたいなものが凄い。その凄さは試合後のコメントを読んでようやく判るのが素人の悲しいところですが(自嘲)、相手の出方、そしてその変化を見極めるのがとにかく上手い。昨年まで給水タイムでリカが修正していたことを岩尾が試合中に修正するんだろうなぁ。平野はそこで岩尾に差を付けられた格好ですが、平野は逆に岩尾に何で差をつけるか。ここのポジション争いは見ものです。

・逆に川崎新加入のチャナティップはほとんど見せ場なし。特に左WGで起用された前半は悲惨きわまりなく、後半IHに転じてややマシになりましたが、それでも5億円弱と言われる移籍金には全く見合わない出来のような・・・川崎もシュータン級の壮大な無駄遣いで欧州移籍組が残した莫大な資金を溶かしてくれるとありがたいのですが(苦笑)。

・川崎が補強すべきだったのは長期離脱中のジェジェウに代わるCBでしょう。谷口&車屋だと今日の2点目みたいなのを食らいまくるような。補強ポイントがずれているのも「シュータンあるある」です。

・この試合の主審は笠原氏。昨年のアウェー鳥栖戦で岩波の頭目掛けてライダーキックをかました選手になぜかイエロー止まりだったことに象徴されるようという価値判断がとにかく謎過ぎる主審で、この試合も案の定少々の交錯は流しまくり。それはまだしも、謎過ぎたのは75分の判定。伊藤とのワンツーで明本が川崎最終ライン裏に抜け出しかかった場面で大島が明らかに明本に後方から手をかけて引っ張っているのにDOGSOで一発レッドどころかファウルですらないという謎っぷり。

・スーパーカップって歴史的にはJリーグを代表するレベルの主審が担当していたはずですが、それが今や主審はこんなレベルだからなぁ・・・審判の人材難はホンマ深刻。それがこの試合の最大の懸念材料かも。

・試合後の表彰式で松崎が「とんでもないところに来てしもうた!!!」みたいな顔をしていたのには思わず苦笑。小さいけれど加入していきなりタイトル獲得だからなぁ・・・


---明本--江坂---
伊藤--------関根
---岩尾--柴戸---
馬渡-ショルツ--岩波-酒井
-----西川-----

(得点)
7分 江坂
81分 江坂

(交代)
82分 明本→松崎
82分 伊藤→犬飼(5-4-1へシフト)
86分 関根→宮本
86分 江坂→平野(平野左SH、松崎CFへ)

チャナティプ--ダミアン--家長
--大島----脇坂--
-----シミッチ-----
登里-車屋--谷口-山根
-----ソンリョン-----

(交代)
HT シミッチ→マルシーニョ
71分 ダミアン→知念
71分 脇坂→瀬古
77分 チャナティップ→小林
82分 大島→塚川

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