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2022.03.14

【観戦記】22年第4節:鳥栖 1-0 浦和 ~ 一つ勝てば全てが上手く回り始める!!なんて幻想でした

 怪我人も続々と復帰して来たし、モーベルクも合流したし、試合前は「一つ勝てば全てが上手く回り始めるんや!これから浦和の大反攻が始まるで!!」と思ってましたが、それは幻想に過ぎないことを嫌というほど思い知らされた完敗でした。

《スタメン》

・浦和は前節湘南戦で故障した平野に代えて伊藤、さらに松崎→小泉とスタメン2枚入れ替え。ついに来日&チーム合流したばかりのモーベルクの帯同はさすがに見送られたようで、サブも含めて顔ぶれに特段新味はありませんでした。

・鳥栖は前節から故障した島川に代えて原田を起用した他、ファン→田代、藤原→宮代とスタメン3枚入れ替え。リーグ戦はスタメン固定気味だっただけにこの入れ替えはやや意外でした。

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《試合展開》

・浦和の布陣は4-2-3-1というか4-4-2で江坂&小泉が縦並び気味という感じ。左SHに明本を出した狙いはよく判らず。鳥栖はいつもの3-4-2-1。でも選手が大幅に入れ替わり、個人的にはスタメンで顔と名前が一致するのはGKパク・イルギュのみ。

・リカが試合前に「守備の時間が長くなる可能性もあります」と語っていた通り、立ち上がりから鳥栖がボールを支配する時間が長い試合展開に。浦和は自陣深くに押し込まれた訳ではありませんが、とにかく前プレがハマらないのには参りました。また鳥栖伝統の「ファウル上等の激しいプレー」に気合負けしたかのように球際で競り負ける場面も目立ち、特に酒井が左WB岩崎にしばしば競り負けているのには驚きました。

・鳥栖の最終ラインは極端に高いので、当然ながらその裏は狙いどころ。ところが浦和は良い形でボールが奪えないのでカウンターはままならず。なんとかボールを奪い返しても鳥栖の前プレがとにかく厳しくてビルドアップはままならず。深い位置からロングボールで局面打開を図ろうにもハイボールは鳥栖CBに対して悉く競り負け。おまけに最終ライン裏へ出したボールに対してはGKパク・イルギュがジャジャーーンと飛び出して処理してしまうという、前半はまさに八方塞がり状態でした。

・チーム全体の出来が低調なので誰が一人を責めても仕方ありませんが、とりわけ小泉の出来は芳しくありませんでした。途中投入された湘南戦同様、持ちすぎて囲まれてボールロストの繰り返し。鳥栖にボールの奪いどころとして狙われていた感がありありで、この辺については試合後記者から「前半、パスの出しどころとなる岩尾憲選手と小泉佳穂選手へのチェックがかなり厳しかったように見えたが、そこを潰されてしまうと攻撃の形はなかなか作りにくいのか?」と厳しい質問が投げかけられていました。

・鳥栖が優勢に試合を進めている割には決定機が作れず、この辺が今季リーグ戦ここまで3引き分けに終わっている原因かな?と思っていたのですが、36分ついに鳥栖に決定機。右サイドを右WB飯野が突破してクロス→逆サイドから走り込んだ岩崎が頭で合わせるも惜しくも枠外。さらに37分鳥栖が高い位置でカットしたボールが偶発的に最前線にいた堀米に繋がり、堀米シュートがポストを直撃!!前半終了間際にはCKからの流れで、こぼれ球を拾った福田がミドルシュートを放つ見せ場がありましたが、これはGK西川の正面。

・前半の浦和の決定機らしい決定機は41分こぼれ球を拾った伊藤縦パス→明本が繋いで江坂シュートくらいでしょうか。

・内容はさっぱりわやながらも無失点で前半を終えたことを奇貨としたリカは後半頭から選手は代えずに布陣を変更。具体的には関根を左SHへ回して、明本&江坂の2トップ気味に。小泉を右SHへ配して、攻撃時は小泉が中へ絞って酒井をかなり前に押し出す形としました。

・この策は一定の効果があり、47分左サイドを深く抉った関根のグラウンダーのクロス→ファーの明本に決定機が生じるも明本シュートは鳥栖DFがブロック。こぼれ球を回収した岩尾がミドルシュートを放つもわずかに枠外。52分には深い位置からのサイドチェンジが高い位置にいた酒井に通ってダイレクトの折り返しがわずかに明本に合わない場面も。

・54分には大畑が無理にボールを奪いに行って失敗し、右WB飯野に豪快に裏を取られる大失態。飯野のクロスがアーク付近でどフリーの堀米に通ってしまう大ピンチがありましたが、全力で戻った酒井がスライディングでなんとかブロック。

・ただ鳥栖の前プレ強度は目に見えて落ち、ボールを支配する時間は明らかに浦和が長くなっていたのは確か。そこで川井監督は63分宮代→垣田、菊地→小野と2枚替えを敢行して運動量を補充。試合後の会見で記者から「後半に前線の守備強度が落ちる課題があった中で、前線の選手たちが復帰してきて、今日は後半に前線の選手をうまく入れ替えることができたと思います。」というコメントが出ていた通り、この2枚替えが妙手で再びゲームはイーブンに。

・一方リカは68分関根→大久保、大畑→馬渡の2枚替え。大畑の交代はコンディション云々ではなく足が攣ったのが主因のようですが、残念ながら鳥栖の2枚替えとは対照的にこの交代で戦局は好転しませんでした。

・何より謎だったのが不振をかこっている小泉を早めに下げなかったこと。案の定というかなんというか、71分伊藤とのパス交換にしくじって右サイド深い位置でボールロスト。岩崎&堀米の連携で右サイドをがっつり崩され、堀米クロス→垣田ヘッドで失点。

・リカは76分になってようやく小泉を下げてユンカーを投入するも、川井監督も81分堀米→荒木と代えて前目の運動量を再チャージ。前目の選手を続々と替えて運動量を確保する鳥栖の前プレに対して浦和は再びビルドアップが怪しくなり、ロングボール&ハイクロスに頼りがちに。しかし浦和はハイボールに強い選手が最前線にいる訳ではないので鳥栖CBに淡々と弾き返されるばかり。なんとか作った折り返しは飛び込んだ選手にわずかに合わずの連続。

・リカの最後の勝負手は犬飼大作戦ではなく、89分伊藤→松崎、岩尾→柴戸というなんとも意味不明なもの。いずれにせよ全くロジカルではない偶然頼みというリカらしくない攻撃では決定機すら作れず、そのまま試合終了。

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《総評》

・試合後の会見でリカは「試合を通しての感想としては、どちらに結果が転んでもおかしくなかったと思います。」と語っていましたが、京都戦・G大阪戦・川崎戦の敗戦と違って勝てる要素は何一つなく、運よく引き分けるのがせいぜい。事前の準備から試合中の修正まで今日のリカは冴えがなく、今季最悪の内容で負けるべくして負けた試合でした。質疑応答で記者から「ここまでの試合の中で、勝てなくても内容が良かった試合が多かったと思うが、今日はいいところがあまり作れなかったように見えたが?」と厳しい質問が投げかけられたのも当然でしょう。

・徳島在籍時にリカは愛媛在籍時の川井監督と何度も対戦している上に、鳥栖もリーグ戦を3試合消化しているので「相手の出方がまるで判らなかった」訳はないと思いますが、それにしても前半の試合内容は残念すぎました。試合後「相手が強くプレスをかけてきていたので、プレーするのがなかなか難しい状況」「相手のディフェンスが人に対してはっきり来るような形ではあったので、プレーするのが簡単ではなかった」と語っているので鳥栖の前プレの強度が予想以上にきつかったのでしょう。

・鳥栖は経営難ゆえ昨オフでごっそり選手が入れ替わり、おまけにパワハラ問題で監督まで入れ替わったにも関わらず、凄まじいプレス強度だとかファウル上等のガツガツした当たりだとかは綿々と引き継がれていました。あれはもう鳥栖というクラブに根付いた伝統であり、カルチャーなのでしょう。こういうのを持ってるクラブはJリーグではそんなにありません。少なくとも浦和にはないと思いました。

・そんな相手なので、スーパー杯のようなCH型を3人並べた「強度マシマシ」型のスタメンが最善手だったような気がします。少なくともそんな相手には最も向かない小泉をスタメン起用したのは(ほぼ結果論ですが)失策でした。

・ただスタメンがやや不可解なことにしても、選手交代がなぜか遅れがちなことにしても、今の浦和は使い物になる選手が予想以上に少ないがゆえの話なのかもしれません。平野と木原を除いた全員が一応大原でフルメニューをこなしてはいるようですが・・・

・試合後リカが「ただ、みなさんもご存じの通り、なかなかいいプレシーズンを送れなかったところが一つあった」と語っていることから察するに雨天続きな上に怪我人まで多発して、コロナ禍以前に沖縄キャンプがあまり上手く行かず、今日のコンディション不良に繋がっている疑惑がモクモクと。勝てないときの犯人探しみたいでアレですが・・・・

・またさらに言えば、このオフに大量に獲得した選手で馬渡以外がちょっと物足りないのも確か。そもそも浦和の昨オフの大幅な選手入れ替えはコストダウン色がめっちゃ強く、ちょっと物足りないのはそこから来てるのかも。金ないんだからリーグ優勝とか無理はよそうぜ、体に悪い(チャンチキおけさ風)。浮かんでは消え、消えては浮かぶ「9番補強」が難航しているのも要するに金がないからかと・・・

・「内容は良いが勝ち点が付いてこない」から「内容も悪くて当然のように負ける」まで退化してしまった以上、著しく気が短い方(笑)から監督解任論が吹き上がるのもはもはや浦和の恒例行事。その辺西野TDは信頼できる方なので、外野が何を言おうとアホなタイミングでリセットボタンを押す可能性はほぼゼロなことだけは安心できます。ちょっと前まではアンポンタンなフロントがいつも自爆ボタンに手をかけてたからなあ。しかも後先何も考えずに・・・

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《選手評等》

・意外に早い鳥栖凱旋となった大畑には選手紹介時鳥栖サポカら盛大な拍手が。でも残念ながら大畑は低調なチームの出来に引きずられるようにいいところなし。

・清水主審(俗称「さいたま市長」)は激しい競り合いでもあまり笛を吹かない(イエローなんてたった一枚だけ)ことで一貫していたので悪い印象は皆無。でもこの笛が鳥栖に有利に働いたのは確実でしょう。

・試合前は近隣の商業施設への違法駐車についてスタジアムDJが平謝りの上で注意喚起しているかと思えば、ハーフタイムにはなぜか鳥栖サポが公開プロポーズの連続と相変わらず癖が強いスタジアム運営でした。鳥栖名物の焼酎コーナーも健在。

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-----江坂-----
明本---小泉---関根
---岩尾--伊藤---
大畑-ショルツ--岩波-酒井
-----西川-----

(交代)
68分 関根→大久保
68分 大畑→馬渡
76分 小泉→ユンカー
89分 伊藤→松崎
89分 岩尾→柴戸

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-----宮代-----
--堀米----菊地--
岩崎-小泉--福田-飯野
-ジエゴ--田代--原田-
-----パク-----

(得点)
71分 垣田

(交代)
63分 宮代→垣田
63分 菊地→小野
81分 堀米→荒木
89分 飯野→中野

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