【DAZN観戦記】ACL2022 GS MD6:山東 0-5 浦和 ~ 控え組も頑張ったけど2位通過で終了
普段の控え組主体のスタメン構成ながらも大量得点、しかも多種多様な形で得点を上げてグループステージ終了。首位通過はなりませんでしたが収穫も大きかったかと。
《スタメン》
・浦和は前節でグループステージ突破を決めていますが、首位通過はもはや他力本願状態。しかもラウンド16は中立地での一発勝負なので一縷の望みをかけて首位通過に拘る必要もあまり感じられず、リカが試合前の記者会見で「この試合では、ここまでなかなか出場機会を得られなかった選手たちが出場できるようにと考えています。」と語った通りの面子で試合に臨みました。
・具体的には明本と西川を除くスタメン9人入れ替え。工藤は今年公式戦初出場(昨年2種登録でルヴァン杯に出ていますが、プロ契約後としてもこれが初出場)。CBは知念&工藤とも左利きという珍しい形に。
・さらに今年未だ公式戦で出番がない牲川と木原はベンチスタート。
・前節ベンチ外だったユンカー・大畑・酒井はこの試合もベンチ外だったので小破したのかも?と思っていたら案の定、ユンカーは大邱との第1戦で右手薬指を負傷したのが「右第4指基節骨骨折」との診断。大畑は大邱との第2戦で味方同士で交錯して負傷したのが「左眼窩底骨折、頬骨骨折」と診断され、共に既に帰国して手術済とのこと。酒井の状態は不明。
《試合展開》
・早い時間帯から5-4-1の布陣で自陣に引き籠る山東相手に、前回対戦時同様一方的に浦和がボールを支配。浦和は山東との前回対戦時でもスタメンで出ていた選手が半分程度を占めているせいか、山東の手口ももはや「勝手知ったる」風。攻撃時は両SBを高く上げるのはもちろん、CHを一枚下げることなくほぼ2バック状態で山東を自陣に押し込み続け、かつ知念や工藤も時折ボールを持ち上がって縦パスズバズバ。
・しかし先制点は相手を崩しきるのではなくちょっと意外な形から。13分高い位置でボールを奪い返した安居がいきなりミドルシュート!!これが決まって先制。試合後の安居コメントではトレーニングが実を結んだものなんだとか。前に出てこない相手に対してミドルシュートを試みる形はその後何度も見受けられました。
・34分にはCKからの流れで右サイドから江坂クロス→前残りしていた知念が相手最終ラインを破り、軽く左足で合わせて2点目。知念はこれが浦和加入後初ゴール。
・前半を通じてSH&SBの連携によるサイド攻撃は左右とも詰まり気味。両サイドとも独力で仕掛けて対面の相手をぶっちぎれるほどの能力はなく、連携で相手を崩しきれるほど仕上がってもいない状態。しかも詰まって逆サイドに振っても相手の修正が間に合ってしまう残念さでしたが、ようやくサイド攻撃が実ったのが45+1分。
・岩尾スルーパス→江坂が右サイドを深く破っての折り返しをニアに走り込んだ松尾が流し込んで3点目。サイド攻撃なのにSHもSBも一切絡んでいないのには苦笑せざるを得ませんが、形としては見事なものでした。
・3点差付いたものの、意外にも後半頭からの選手交代はなし。
・48分岩尾FK→工藤ヘッド、52分岩尾スルーパス→右サイドから宮本クロス→惜しくも松尾に合わず、57分岩尾ミドルシュートが枠内を襲うもGKが辛うじてセーブと惜しい場面がありながらも追加点は取れず、62分になってようやく大久保→木原、西川→牲川の2枚替え。しかもこの交代直後から現地は激しいスコールに。
・69分松崎が最前線に飛び出してシュートこそ撃てなかったものの山東GKがクリアしきれず、そのこぼれ玉を松尾が叩き込んで4点目。
・さらに70分明本→馬渡、松尾→関根、74分江坂→伊藤と交代。。
・スコールはますます激しくなってピッチに水が浮き出したところで浦和はCKで立て続けに決定機。82分馬渡CK→知念ヘッドはポスト直撃。85分馬渡CK→知念が競ったこぼれ玉を岩尾シュートはポスト直撃→その跳ね返りに反応した知念が押し込んで5点目。
・あまりの豪雨と強風でさすがに最後はプレーが雑になってしまいましたが、控え組中心でそれなりにリカっぽいサッカーをやって大量得点&無失点と内容・結果とも文句なしの試合でした。
《総評》
・山東相手に大勝したものの、同時刻に開催された試合で大邱がライオンシティを2-1で破り、浦和と大邱は勝ち点13で並ぶものの直接対戦結果で勝る大邱が首位通過。浦和は2位に留まりました。
・浦和はグループステージ突破という最低限のタスクは果たしたものの、この組で最も手強いと目された大邱に一点も取れずに直接対戦で負け越したという事実は重く受け止めざるを得ません。それゆえ、目下大苦戦中のリーグ戦も依然楽観視できない状態かと思います。
・とはいえ、高温多湿という厳しい環境下で2週間ちょっとで6試合をこなしたACLグループステージは「一応勝ち抜けはしたけど、それ以上に疲れただけ」というネガティブな評価に留まった訳でもないでしょう。
・何分、今年の浦和は新加入選手がやたら多い。特に今後主力になるであろうモーベルグやシャルクは加入して日が浅い状態。松尾も怪我から復帰してひと月足らず。
・試合後リカが「チームにアレックス(シャルク)やダヴィド(モーベルグ)といった選手が入った中、チームとして成長していくべきこと、コンセプトの理解を深めることができたと思います。今回は加入後初出場の選手もいましたが、そのチャンスを彼らが得たことにより、チームとしてもモチベーションを保ちながら進めることができると思っています」と総括していましたが、明らかに格下が2チームいたとはいえ実戦を通じて新加入選手の特徴を掴み、連携を確認できたのは収穫でしょう。ACLでは経験できなかった「前プレのきつい相手」にどこまで出来るかという課題はあるにせよ。
《選手評等》
・やっぱり控え組主体のスタメン構成でしたが、その中でも普段コンスタントにリーグ戦に出てる選手とそうでない選手には明らかに差がありました。ただその中では安居と柴戸、知念と岩波はそんなには差がないという印象を受けました。頭数は多いCHはともかく、犬飼長期離脱でCBは頭数不足なので、知念はリーグ戦3連戦の時に出番あるかも。
・一方松尾、大久保、松崎のSH陣ではもう完全に松尾がぶっちぎり状態。大久保はプレーがかなり消極的だったように見受けられ、試合後「個人的には仕掛ける部分なども少なかったので」と反省しきり。松崎は積極的に仕掛ける場面が多いものの、いかにも独善的でチームとしてたいして有効ではない感じ。
・松尾をCFとして試用したのはユンカーの負傷を受けたものかどうか。シャルクはCF向きではなさそうだし、松尾にしても常に相手最終ラインと駆け引きして裏抜けを狙うタイプでもなさげで、形式上CFでも事実上シャルク共々ゼロトップっぽい感じになりそうですが。
・岩尾は相手を押し込み続けて、手数も人数もかけて相手守備陣の隙を突くという「徳島型リカ流」だと俄然輝く印象。奇しくも外国人選手が全く出場していない状態でその形が実現しているのが皮肉と言えば皮肉でしたが。
・木原は68分江坂のパスを受けてゴール前に迫るもシュートを撃ち切れず。さすがに高卒一年目だとフィジカルが弱すぎてひょろいかなぁ?一方木原と同年齢の工藤が知らん間にえらくがっしりしてCBっぽい体格になっていたには驚きました。
・山東戦の前に、ジョホールvs蔚山を観戦。この組はなぜかジョホールのホームスタジアムで集中開催されていて、当然ながら蔚山には完全アウェー状態。ジョホールサポの熱狂の前に蔚山どころか主審まで飲まれてしまって蔚山はありえないミスを連発し、主審は露骨にホーム寄りにジャッジ。そして試合終了間際に蔚山GKのネコパンチが祟って蔚山のオウンゴールでジョホールがグループステージ突破を決めるという劇的な幕切れに。Jリーグからすっかり失われてしまった熱狂と興奮がそこにありました。
・実は浦和が全く勝てなかった大邱はブリーラム・ユナイテッド(タイ)をプレーオフで下してグループステージに出てきたもの。ブリーラムがプレーオフを勝ち抜け、しかもブリーラム集中開催で闘うことなったら浦和は大変だっただろうなとは思いますが、それはそれでそんな浦和を見たかったというのも正直なところ。完全アウェーなんで浦和はそうそう体験できませんし。
-----松尾-----
大久保--江坂---松崎
---安居--岩尾---
明本-工藤--知念-宮本
-----西川-----
(得点)
13分 安居
34分 知念
45+1分 松尾
69分 松尾
85分 知念
(交代)
62分 大久保→木原(木原がCF、松尾が左SHへ)
62分 西川→牲川
70分 明本→馬渡
70分 松尾→関根
75分 江坂→伊藤(伊藤が左SH、関根がトップ下へ)
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