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2022.05.19

【観戦記】22年第11節:浦和 3-3 横浜M ~ 良くも悪くも浦和の何かが壊れた試合かも

 結果・内容とも無残だった前半から一変、後半はリスクを度外視したような撃ち合いを挑んで、なぜかそれにお付き合いする横浜Mを圧倒。良くも悪くも浦和の何かが壊れたような気がしてなりませんが、興行的には最高の試合でした。

《スタメン》

・前節広島戦から中4日の浦和は前節からモーベルグ→ユンカー、伊藤→柴田とスタメン2名入れ替え。中2日でホーム鹿島戦が控えるためか、江坂と伊藤は完全休養。岩尾と大久保が久しぶりにベンチ入り。

・横浜Mは前節湘南戦から中3日&次節アウェー福岡戦まで中2日と浦和よりさらに日程が厳しいせいか、前節からロペス・水沼・喜田・畠中・高丘を除くスタメン6名を入れ替え。最終ラインを3人も入れ替えられるのが浦和との決定的な違いですが、下衆の勘繰り的には浦和を組みやすしとばかりに舐めてかかったような気も少々。

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《試合展開》

・横浜M相手に昨年の第2戦のような名ばかり4-3-3、実質4-5-1で臨むかも?と予想したのですが、この試合の布陣はどう見ても4-2-3-1、守備時4-4-2のごくごくノーマルなリカ仕様。面子的にも相手とボール支配を巡ってがっぷり四つに組むプランAを指向したのだろうとは思いましたが、早々に相手にボールを支配されたせいかピッチ上に現出したのはどう見ても4-4-2で自陣に構えてカウンターを狙うプランBでした。

・それでも立ち上がりは悪くはなく、4分平野の縦パスがユンカーに通って決定機を作りかかる場面もありましたし、それ以降も横浜Mの強烈なプレッシングを上手く交わしてフリーで平野や小泉が前を向く場面も散見されましたが、ラストパスの精度を欠いて決定機を作れずじまい。

・そして守っては終始右サイドが大炎上。12分渡辺が大きく左サイド高い位置にいる宮市へ展開。宮市をオーバーラップした小池龍の低いクロスは緩いゴロ性でしたか、これがなぜかスルスルっとファーまで抜けてゆき、ファーで詰めた水沼が難なくゴール。

・さらに19分角田縦パス→宮市左サイドからクロス→ロペスヘッドで失点。高い位置にいるWGにボールが入ったら、そこから一気呵成にゴールを狙うのは横浜Mの定番中の定番で、それゆえ4-4-2で守るチームは大外に浮きがちな横浜MのWGにどう対処するかが課題になるはずですが、残念ながらリカはこの点あまりにも無為無策でしたし、宮市に対峙する小泉の守備強度はあまりにも残念でした。

・ゲームプランが大崩壊した浦和は関根を最終ラインに下げて5-3-2気味でやおら前からプレッシャーをかけに行きましたが、プレッシング強度がいかにも中途半端で横浜Mのビルドアップを阻害するどころか、逆に裏返される始末。30分ショルツ縦パスをシャルクが収められなかったことからカウンターを食らい、ボックス内に突入した宮市が対峙するショルツを巻いて交わすようなシュートで3点目。西川はショルツがブラインドになってシュートが見えなかったのかな???

・浦和の攻撃はほとんど体をなさず、34分ユンカーが右サイドを突破してのクロスがわずかにシャルクに合わなかったのが惜しかったくらいでしょうか。

・攻守とも何の見所もなく、後半頭から「怒りの3枚替え」があっても何ら不思議はなかったのですが、非常に意外なことに選手交代は一切なし。「このゲームは捨てて、次節を考えて控え選手の無駄遣いは止めよう」とリカは考えたと見られなくもないのですが・・・

・47分相手ゴールキックをセンターサークル付近で受けた岩波がいきなり縦パス→裏抜けに成功したユンカーがゴール! これを契機に浦和は何かがブチ切れたかのようにリスクコントロールもへったくれもなく、ガンガン前から相手をハメにハメて直線的にダイレクトにゴールへ迫り始めました。当然ながら浦和も無傷ではなく51分はCKでヒヤリ、さらに61分素早いリスタートからの水沼シュートに西川が逆を突かれた格好になり、片手で辛うじて掻き出す場面も。

・56分カウンターの好機を主審が流さない(柴戸へのファウルで西村にイエロー)とか、62分ロングカウンターでユンカーがボックス内で畠中に後ろから押されて倒されたようにも見えるのにPKなし(VARも不介入)とか、またしても判定に泣かされるのか??と思われた場面が続いたところで、リカは69分にシャルク→大久保、馬渡→松尾の2枚替え。大久保が左SH、松尾が2トップの一角に入ったのはともかく、関根が右SBに入ったのには心底驚きました。

・同じタイミングで横浜Mも一遍に3枚替えましたが、浦和にとって幸いなことに横浜Mは監督を含めて誰一人としてゲームを塩漬けにする、ゲームをぶつ切りにして落ち着かせてしまう嗜好を持ってないようで、この交代でも戦況になんら変化はなく、双方中盤スカスカの陣形でやたら殴り合うオープンな展開に。

・77分平野→岩尾、関根→モーベルグと交代した直後に、途中投入の吉尾にボックス内から決定機を許すもここも西川がセーブ。モーベルグは一応右SBなのでしょうが、高い位置にいることが多くて事実上この辺りから浦和はほぼ3バック状態に。

・81分岩尾の縦パスを松尾が最前線でフリック→裏抜けに成功したユンカーが決めて一点差!!そして89分左サイド深い位置からのスローインを受けた大久保がゴールライン際で吉尾と松原をドリブルでぶち抜き、大久保の低いクロスをユンカーがちょこんと合わせてついに同点!!

・90分には途中投入のレオ・セアラに2度裏を取られ、一度目はレオ・セアラの折り返しをなんとモーベルグが弾き返し、二度目はレオ・セアラの西川がセーブ。浦和にもFKの好機が二度ありましたが、いずれも枠を捉えきれずにドローが精一杯。

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《試合展開》

・絶体絶命、崖っぷちに追い込まれた状態から何かが吹っ切れたかのように猛然と反撃に転じてのドローゲーム。逆転勝ちなら120点でしたが、ドローでも十分でしょう。興行的には文句なし。今年初めて埼スタが沸き返った試合でした。やっぱ赤者は皆「浦和保守本流」=やたら縦に速いオープンな試合が好きだよなぁ、ホンマ。

・昨年ユンカーが加入したばかりの頃に良く見られたようにリカは別に縦に早いシンプルな攻撃を否定している訳でも、厭うている訳でもありません。だから試合後の記者会見で出た「リカルド監督のサッカーは非常に分かりづらいと思う。今日の得点のようにシンプルなサッカー、得点が生まれるようなサッカーを見せてもらうことはできないのか?」という質問は甚だ的外れだと思います。

・シンプルな縦に速いサッカー、オープンになりがちなサッカーは往々にして予めリスクがコントロール出来ないアクシデントが起こりやすくてコンスタントに勝てないし、相手に引かれて手詰まりになることもしばしば。だから「縦に速いサッカーも出来るよ!」というプランBを持ちつつも、基本的にはボールをしっかり保持してリスクをコントロールし、相手の守備陣を動かしながら勝ちに行こうとするのがリカの哲学だと思います。

・ところがこの試合はそのリカの哲学に沿っていたものだったのでしょうか? リカは試合後「リスクを冒して前から行くやり方」「相当なリスクをかけながらの攻撃、やり方」と語っていますが、コントロールされたリスク量を上げたようにはとても思えず、単にリスクを度外視して点を取りに行ったようにしか見えませんでした。負けたら終わりのカップ戦でありがちなことですが。

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・「あえて分の悪い賭けに出るナカヤマフェスタ状態。」というよりも、どちらかと言えば負けが混んで帰りの電車賃まで大穴にぶち込んでいる末期的なギャンブラーのように。

・よってこのドローゲーム、ハーフタイムを挟んで良くも悪くも浦和の何かがぶち壊れた気がしてなりません。今後リカがやりたいことをいったん棚上げして浦和保守本流に大きくベクトルを振るかもしれませんし、縦に速いサッカー中毒になった選手らを抑えきれずにリカが「こんなんワシがやりたいこととちゃう!!」とばかりにチームを投げ出してしまうかもしれません。どの方向にぶれるのか想像はつきかねますが、浦和が劇的に変化する契機になるような気がします。

・そして劇的なゲームでうっかり忘れがちなことですが結果はまたしてもドロー。そして前半のあんまりなやられっぷり、あんまりな無為無策ぶりからすればもう今季はJ1残留で御の字でしょう。次節鹿島戦で浦和が劇的な変化を見せ、残留争いから抜け出す光明を見いだせればそれに越したことはないのですが。

・浦和はもう失うものがない状態だったのでカオスの海で勝負に出るしかなかったのですが、それにわざわざお付き合いして絶対に勝てる試合をドローに持ち込まれた横浜Mのダメージはデカいでしょうな。優勝を狙うチームとしては大失態。勝っている試合の試合運びの拙さもさることながら、最終ラインの面子を大きく弄ったのがここで祟るとは(苦笑)。

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《選手評等》

・昨年後半から明らかにシュート精度が落ちていたユンカーがようやく復調したのはこの試合の最大の収穫。これだけははっきりしている!!!

・岩尾は「もう徳島でのリカではないんや!!」とやっと気づいて2点目にがっつり関与。

・シャルクは全く機能せず。正直松尾投入まで一人少ないのと変わらんと思いました。前でボールを収めてくれるわけではないので、トップ下ないし2トップに置く意味はほとんどありませんでした。1トップ向きではないのも既に明らかになっており、今のところ使い方が難しい状態かと。

・あとボールをしっかり握れない状態で小泉をSHに置くのはもう有害無益の何ものでもないかと・・・

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-----ユンカー-----
関根---シャルク---小泉
---柴戸--平野---
明本-岩波--ショルツ-馬渡
-----西川-----

(得点)
47分 ユンカー
81分 ユンカー
89分 ユンカー

(交代)
69分 シャルク→大久保
69分 馬渡→松尾
77分 平野→岩尾
77分 関根→モーベルグ

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宮市---ロペス---水沼
-----西村-----
---渡辺--喜田---
小池龍-角田-畠中-松原
-----高丘-----

(得点)
12分 水沼
19分 ロペス
30分 宮市

(交代)
69分 宮市→仲川
69分 渡辺→岩田
69分 水沼→吉尾
77分 ロペス→レオ セアラ
81分 西村→ジュニオール

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