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2022.09.11

【観戦記】22年第29節:浦和  4-1 柏 ~ ほら、シャルキー、もひとつ、シャルキー!

 コロナ禍直撃で普段の控え選手だらけで臨んだにも関わらず、上位にいるのが不思議なくらい内容がない柏を終始圧倒!!完封勝ちを逃したことだけが残念でした。

《スタメン》

 前節鹿島戦では試合後故障したことが明らかになった酒井はともかく、西川、モーベルグ、江坂、大久保、馬渡と謎のベンチ外が相次ぎましたが、案の定というかなんというか、9月1日から7日にかけて五月雨的にトップチームの選手6人、スタッフ1人の計7人が新型コロナウイルスの陽性判定を受けたことが公表されて浦和の選手繰りは一段と窮屈に。

 残念ながら浦和はJリーグの覚えがめでたくないので、某チームのように対戦相手の迷惑も顧みずに勝手に試合を延期するわけでもいかず、残存兵力をかき集めて試合に臨んだ結果、ユンカー→シャルク、小泉→大久保、岩波→知念、大畑→明本と前節からスタメン4人入れ替え。
 
 江坂がベンチに戻ってきたものの、前節出場していた小泉・岩波・大畑はいずれもベンチ外。酒井はもちろん西川、モーベルグ、馬渡はなおもベンチ外。なお前節ベンチ外だった大久保はコロナ禍とは関係なく、単にACLで小破した後に大事をとって鹿島戦を回避したことがMDPで明らかに。また江坂はベンチに戻って来たものの、ロクに練習していなかったことが試合後の監督会見で明るみに。

 柏は前節出場停止だったCB上島が田中に代わってスタメンに復帰した他、武藤→細谷、川口→三丸とスタメン3名入れ替え。

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《試合展開》

 柏はいつも通り基本3-1-4-2、守備時5-3-2で最終ラインを高く押し上げて2トップを先頭に前からプレスをかけてくるものの、これが笑えるくらいに全くハマらない。浦和は両CB&岩尾で柏2トップのプレスをいとも簡単に無効にして立ち上がりから安定的にボールを支配して攻勢に。フリーになりやすい両SBを基点にサイドから柏のやたら高い最終ライン裏を狙う展開が数多く見受けられました。
 
 7分の先制点は中央突破ながら柏の最終ライン裏狙いが決まったもの。知念の縦パスを最終ラインの前で受けて前を向いた大久保が、慌てて食いついてきたCB染谷をあっさり交わして無人の野を突進してボックス内に突入した松尾へスルーパス。松尾は追いすがるCB古賀を全く苦にすることなく左足で流し込んでゴール!!

 その後も浦和が柏を圧倒。危ない形、不用意な形でボールを失わないので浦和はボールを失った後の攻守の切り替え&奪回への動きも実にスムーズ。柏はそもそもビルドアップが上手いチームではないのでカウンターチャンスが失われるとボールを奪った後の挙動に迷いが生じがち。苦し紛れにロングボールをドウグラスへ蹴ったところでその先にはショルツが待ち構えていてどうにもならず。その結果前半半ばまでの浦和のボール支配率は75%に達していた模様。もちろん「ボールを持たされていた」形ではなく。
 
 浦和の追加点はこれまた柏の最終ラインの裏狙い。最終ラインにいた岩尾縦パス→センターサークル内で受けた伊藤がスルーパス→シャルクのシュートはいったんGKがセーブしたものの弾きどころが悪く、こぼれ玉をシャルク自ら詰めて浦和加入後リーグ戦初ゴール。

 給水タイムを挟むとさすがにネルシーニョは無為無策のままではなく、椎橋を前に出して岩尾をけん制したり、30分過ぎくらいから細谷のポジションを下げて守備時5-4-1、さらには5-2-3のような形で前プレをかけ出して反撃開始。浦和も大久保が相手の厳しい当たりに抗しきれずに倒されて危ない形でボールを失ったり、しょーもないパスミスが目立ち始めたものの、柏は決定機を作れず。
 
 むしろこの時間帯ですらカウンターやセットプレーで浦和が3点目を取る可能性の方が高かったくらい。ATにはCKからショルツや明本に惜しい場面も。

 柏は後半頭からドウグラスに代えて武藤を投入し、はっきりと守備時5-4-1ないし5-2-3にシフト。一時は柏の前プレがハマって試合が忙しくなったもののやはり柏は決定機を作れず、逆に52分には知念のロングフィードからシャルクが裏抜けに成功→折り返しがわずかに関根に合わないという惜しい場面も。

 さらに柏は55分サヴィオに代えて小屋松を投入するもやはり戦局に大きな変化を与えるほどではなく浦和の攻勢が続き、57分岩尾CK→明本がどフリーで左足アウトサイドで合わせ、そのままでもゴールになりそうなところをファーサイドで知念が押し込んで決定的な3点目。
 
 これで勝負ありと見たリカは66分シャルク→江坂、大久保→松崎と交代。柏も67分染谷→北爪、椎橋→加藤と代え、その直後からなぜか柏が大攻勢に。68分敵陣深い位置からのスローインからの流れで加藤が左サイドへ展開→どフリーで突っ込んできた左WBの強烈なシュートは彩艶がセーブ。
 
 69分加藤が浮き玉で縦パス→細谷ヘッドで折り返し→武藤シュートは彩艶の正面を直撃。さらに自陣深い位置で宮本が関根へ繋ごうとしたところでボールを失い、関根からボールを奪った加藤がそのままシュートを放つも、これまた彩艶が好セーブ。

 楽勝ムードが一変しかかったところで、リカは71分松尾→ユンカー、伊藤→柴戸と代えて再度攻勢に。ただ良い形は何度も作るものの、3点差という気楽な状況が悪い方に作用したのか、松崎といい関根といい、強引にシュートを撃ってしまう場面がやたら目立ってしまいました。
 
 しかし、浦和の攻勢が結実したのが83分。知念ロングボールの跳ね返りを拾った関根が左サイドからボックス内に突入。関根の折り返しが柏のハンドを誘発してPKゲット。現地ではVARが介入したもののオン・フィールド・レビューにまで至らなかったので何がなんやら判りませんでしたが、どうも関根の折り返しが北爪の広げた手に当たった模様。85分PKをショルツが難なく決めて4点目。
 
 89分柏の絶望的な反撃をボックス手前で防いでひと安心と思いきや、ボールを奪い返しに来た小屋松のプレスに対して柴戸がまさかのボールロスト。武藤のシュートはいったん彩艶が防いだものの、細谷に詰められてせっかくの大勝なのに完封を逃す格好に。

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《総評》

 コロナ禍と故障が相まって、全北現代戦のスタメンでこの試合でもなおスタメンで頑張っているのはなんと松尾・伊藤・岩尾・ショルツの4人のみ!!ACLノックアウトステージの3試合でいったん固まったかのように見えた「鉄板のスタメン」がこんな形で脆くも崩れ去り、控え選手だらけで柏戦に臨まざるをえない羽目に。
 
 厳しい日程を考慮して浦和はルヴァン杯から岩波と宮本以外のスタメン9名を入れ替えて臨んだリーグ戦アウェー名古屋戦でボロ負けを喫した記憶も新しいだけに、正直試合前は不安感でいっぱいでした。
 
 リカもさすがに自信がなかったのか、試合前は「J1リーグでは昨季より高い順位で終わらせることを目標としています。」「J1リーグではできるだけ高い順位で終わらせたいと思っていますので、そのような気持ちを持って明日の試合に臨みたいです」と目標を大幅に引き下げるような話をしてしまい、一部の赤者の不興を買うことに。
 
 ところが蓋を開けてみたら柏に全く何もやらせずにあっという間に2点先制。その後さすがに柏は多少修正してきたものの戦局は浦和優勢のまま推移し、完封勝ちを逃したことだけが残念無念という圧勝ぶり。いやはやこれには恐れ入りました。
 
 リカが試合前に「コンセプトの理解が深まっていますので、メンバーが変わっても理解しながらプレーできると私は思っています。もちろん選手それぞれの特長やクオリティーの違いはありますが、チームとしてメンバーが変わってもパフォーマンスを維持することが我々のチャレンジです。」と語っていたのも、この試合結果そして試合内容を見ればあながち強弁ではなさげ。
 
 「誰が出てもそれなりに同じことが出来る」のではなく、選手を代えたら代えたでその選手の特徴を活かしながらプレーできるレベルで選手間のコンセプトの理解が深まっているという感じでしょうか。
 
 この試合で具体的に言えば、モーベルグとは対照的に全然サイドアタッカーっぽくないシャルクをSHに置き、逆にずっとサイドアタッカー扱いだった大久保をトップ下に配したのがズバリ当たりました。とにかくメンバーが揃わないので直近は練習メニューも限られていたでしょうに、普段の練習の積み重ねで相互理解が深まったのがようやく試合結果として実を結んだのかも。
 
 また前回の柏との対戦では、途中から江坂をハードマークされて手も足も出なくなってしまいましたが、今の浦和はその頃とは一変。そもそも江坂がスタメンを外れ勝ちになっただけでなく、今の浦和の攻撃は江坂とか、昨年の小泉とか「こいつだけ潰しておけばOK!」というやり方では対応しきれないレベルに上がっているのかも。
 
 メンバーが揃わず、練習メニューも限られる中でリカが仕込みに仕込んでいた臭いのがセットプレー。今年のスタッツを見ると柏はセットプレーからの失点が多いのは一目瞭然なので、浦和はそこを徹底的に研究し、練習時間を割いたと思われる気配がムンムン。3点目同様、前半ATにもCKから同じような位置で明本がフリーでシュートを撃っていたのがその傍証です。ショルツの惜しいヘッドも2度ありましたし。
 
 一方全く良いところなく大敗を喫した柏。なんで浦和より順位が上なのかさっぱり判らない試合内容でしたが、端的に言えば浦和は今季前半勝てそうな試合を引き分けor負けにしたのに対し、柏は僅差で勝ちを拾いまくったのが今の勝ち点差。だから順位の割には得失点差が小さい。
 
 今年は柏は「試合内容に特に見るべきものはないのになんか知らんけど勝っている」という意味ではかつての宮本ガンバとか三浦神戸と似ていて、シーズン終盤になってようやく化けの皮が剥がれたなぁという印象です。このところ広島に3失点、F東京に6失点、そして浦和に4失点と中上位チームに大量失点を重ねていますし、最下位磐田にすら2失点を喫してドローゲームに。
 
 ネルシーニョはボロ負けの原因を「相手をリスペクトしすぎだ」「個人の責任感によるものだと思います」と選手に押し付けていますが、そもそも前からハメに行って一対一で相手を潰すことくらいしか仕込めてない監督の罪のほうがデカいと思ったけどなあ。そして相手にボールを回されて潰せないから守備が後手後手に回ってイエロー続出。あれじゃミシャの守備と変わらんでしょうに。

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《選手評等》

 シャルクは浦和加入後リーグ戦で初ゴール!! よほど嬉しかったのかゴール後興奮しすぎて駆け寄った松尾がドン引きする一幕も(苦笑)。シャルクは長らく正しい使い方がよく判らず、そうこうしているうちに故障離脱。当然ながらACLでは外国人枠に入れずと苦しい日々を送っていましたが、故障明け後も腐らずに真面目に練習している姿をリカはちゃんと見ていたのでしょう。左SH起用が大当たり。
 
 シャルクはサイドアタッカーというより明本に代わる無限プレス要員かつ明本より点が取れるという感じでしょうか。またシャルクはドリブルのキレで勝負するタイプではなく、またそんなに足が速そうには見えないのに、なんだかかんだと左サイドで裏抜けに成功していたのが不思議でした。しかも守備時はプレッシングをさぼらない。ホンマええ仕事してました。

 トップ下起用が当たった大久保。大久保へのファウルを佐藤主審は途中から全然取ってくれなくなりましたが、厳しく言えばあそこでもうひと踏ん張りできるかどうかがトップ下大久保の課題と思いました。でも後半ファウルを受けても踏ん張って前を向いて、その直後のファウルを取ってもらえなかったのはさすがに主審どうなのよ?と思いましたが。
 
 名古屋戦で大失態を犯し、大敗の主因となった知念。この試合でもダメだったら浦和ではもう出番はないと悲壮な決意だったでしょうに、そこで変に小さくまとまったり、無難なプレーに終始したりせず、できること、やれることをのびのびやって堂々の汚名返上。

 一方久々に出場機会を得た松崎。気持ちは判るけど、独力で点を取りに行く気持ちが迸りすぎてて良くなかったかと。どフリーのユンカーが手を挙げているのに自分で撃って枠外っちゅーのは監督の心象悪いと思いますが・・・
 
 テレ玉の解説は珍しく啓太。最後の失点の主因となった柴戸のしょーもないボールロストを啓太は結構厳しく批判。せっかくの出場機会でアレだとますます出番が遠のいてしまう。啓太もベンチ要員だった時期がそれなりにあったからこその苦言でした。

 試合後は久しぶりにサポだけでWe Are Diamonds。最後にキャプテンマークを巻いていた関根が「次の節目の試合まで取っておこう」と選手達に声掛けしたのかも。We Are Diamondsは「勝ったら必ず選手一同で歌うようなものでもない」ということを知っている世代の生き残り。実に良い傾向です。

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-----松尾-----
シャルク---大久保--関根
---岩尾--伊藤---
明本-知念--ショルツ-宮本
-----彩艶-----

(得点)
7分 松尾
24分 シャルク
57分 知念
85分 ショルツ(PK)

(交代)
66分 シャルク→江坂
66分 大久保→松崎
71分 松尾→ユンカー
71分 伊藤→柴戸
84分 岩尾→安居

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--ドウグラス---細谷--
--ドッジ---サヴィオ--
三丸---椎橋---大南
-古賀--上島--染谷-
-----佐々木----

(得点)
89分 細谷

(交代)
HT ドウグラス→武藤
55分 サヴィオ→小屋松
67分 染谷→北爪
67分 椎橋→加藤

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