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2022.09.26

【観戦記】22年ル杯準決勝第2戦:浦和 0-4(計1-5) C大阪 ~ 事実上今季終了のお知らせ

「0-0狙いではいけない」なんて思っていたら、攻守ともに全く良いところなく、スコアレスどころかまさかの大敗。スタメン、試合の入り、そして選手交代まで謎だらけ。今季積み上げたものが瓦解しかねない悲惨な試合でした。

《スタメン》

・浦和のスタメンは第1戦からモーベルグに代えて松崎が入っただけ。モーベルグがいきなりベンチ外になった理由については試合後誰も触れていないので仔細不明ですが、このところドリブルもシュートも精彩を欠き、おまけにガス欠が酷いありさまだったので、おそらくコンディション不良によるものでしょう。

・それはともかく、その代わりに関根を右SHに上げるのではなく、今季たいして試合に出ていない松崎をいきなりスタメンに据えたのには驚きました。

・また第1戦ではベンチ外だったユンカーがベンチに復帰したものの、同じくベンチ外だったシャルクは復帰ならず

・一方C大阪はGKキム・ジンヒョンがスタメンに復帰したのみで、こちらはフィールドプレーヤーは第1戦と全く同じ。

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《試合展開》

・第1戦でアウェーゴールを一つ許したC大阪は少なくとも第2戦で1点は取らないといけない立場。それゆえリーグ戦&第1戦のように4-4-2の堅固な守備ブロックで自陣で待ち構え続ける訳にはいかず、どこかで前に出ざるを得ません。その「どこか」がいつなのかが問題でしたが、C大阪が突きつけた解は「頭から全力」でした。

・小菊監督は試合後「われわれはキャンプから、ハイプレスから攻撃につなげる。そういった守備の構築も全員で共有してきました。」と語っていましたが、この出方は意外でもなんでもなく、むしろこちらのほうがプランAじゃないかと思われるくらい他の試合でもまま見られます。

・浦和もこの相手の出方は容易に想像できたはずで、しかも試合前には「前に出てきてもらった方がやりやすい」と語っていた選手すらいたくらいでしたし。ところが、C大阪の出足の鋭さ&強度は浦和の選手達の予想を遥かに上回っていたのか、浦和のビルドアップは全く体をなさず。

・ボールを失った浦和も前ハメで逆襲に転じましたが、これまた全くと言っていいほどハマらず。GKがキム・ジンヒョンに戻った効果は絶大で、ロングキックこそ普段より精度を著しく欠いていましたが、ビルドアップ時の安定感はさすがとしか言いようがありません。

・従って序盤はC大阪がボールを支配する時間帯が長くなるというまさかの展開に。とはいえ、C大阪はボールを保持しての攻撃にはあまり観るべきものがないのは確かなので、浦和よりはマシだが得点の気配は特にしないま塩試合の様相でま時間が徒過。

・このまま時間が経てば経つほど浦和が有利になるという奇妙な状態で試合が進みかかったところで、23分いきなり試合が動きました。スルーパス一発でダイナミック毎熊が明本の裏を取ったところで勝負あり。毎熊の折り返しがブロックに入った明本に当たってオウンゴールというでの失点でしたが、「不運」とは言えない失点でした。

・C大阪が先制したことで、第1戦で得たアウェーゴールの優位が帳消しになっただけでなく、先制点を与えるととにかく面倒なC大阪にまたしても先制点を与えてしまったという事実が浦和の選手達に重くのしかかった模様。失点直後に岩尾から西川へのバックパスがズレてしょーもないCKを与えてしまった辺りに浦和の選手達の動揺を象徴していた感も。

・そして案の定というかなんというか、30分にC大阪が追加点。左サイドで山中縦パス→為田クロス→ボックス内で加藤スルー→後方から走り込んだ奥埜がゴールという見事な崩し。試合前から懸念されてはいましたが、この場面は松崎・関根とも何の役にも立っておらず、哀れなくらいC大阪のパス回しに翻弄されてしまいました。

・その後も浦和はC大阪の厳しい前プレに苦しんでビルドアップもままならず。ATになってようやくC大阪を自陣に押し込みこそしたものの、好機で関根がシュートを撃てず。

・前半のうちにアウェーゴールを2つも許して、残り45分で少なくとも3点を奪う必要に迫られた浦和は「怒りの3枚替え」でバランスもへったくれもなく、超前がかりで攻めに転じるかと思いきや、リカの交代はなんと松崎→馬渡の1枚だけ。

・ただ同時に馬渡左SB、大久保右SH、明本左SHと大規模な配転を行ったのが効いたのか、C大阪が一時的に混乱に陥って、後半開始早々馬渡のミドルシュートが枠内を襲ったり、48分GKジンヒョンのパスを小泉がカットしてシュート→DFに弾かれたボールを拾った松尾が狙ったシュート(しかし枠外)とちょっとは良い感じに。

・しかし、この試合で曲がりなりにも浦和が良かったのはこの後半5分くらいだけ。51分には山中どフリーでクロス→ファーで加藤が馬渡に競り勝ってヘッドでゴールというC大阪定番中の定番の形で試合を決定づける3点目をゲット。この場面、なんで加藤に対して馬渡が競る羽目になっているのが実に不可解でした。

・これでいよいよリカは破れかぶれの手を打ってくるかと思いきや、リカがユンカー&江坂を投入したのはなんと残り時間が20分強しかない67分になってから。

・松尾&ユンカーの2トップに江坂トップ下、岩尾アンカーの4-3-1-2みたいな布陣を敷いたように見えましたが、70分に自らボックス内左に突入した小泉の折り返しをユンカーが放ったシュートがわずかに枠を捉えきれなかった場面があっただけで、後は大きなビハインドを負っているせいか、およそ通りそうにないリスキーなパスをひたすら前に蹴るだけで全く決定機は作れず。

・それでもオープンな展開だったうちはまだマシで、76分にパトリッキを投入した辺りからC大阪も自陣に引き始めて、いよいよ浦和は手詰まりに。しかも80分自陣で岩波→岩尾へのパスを途中投入の北野にカットされ、スルーパスを受けたパトリッキが独走。悲惨な試合の幕切れを飾るに相応しい、実にお粗末な形で4点目を献上して試合終了。

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《総評》

・攻守とも全くいいところなく惨敗。しかもホーム埼スタで。「ホーム&アウェー方式のトーナメントで第2戦をホームで迎えられるのは有利、少々ビハインドでも埼スタでの第2戦ならひっくり返せる」なんて考えていた時期が僕にもありました。埼スタの神話が粉々に打ち砕かれた歴史的な惨敗といっても良いでしょう。

・まぁ、よくよく振り返れば忌まわしきチャンピオンシップでの敗戦など、埼スタには苦々しい思い出も多々あり、埼スタの神話なんて所詮は「弱いものが縋りがちな幻想」に過ぎないことをまたしても実証したことに。

・今年C大阪とは4試合闘って一つも勝てなかった上に、最後は力の差を見せつけられたような大敗を喫してしまいました。

・リカは試合後「前半で相手に持っていかれた形となってしまいました。彼らは前から素晴らしいプレッシングをかけてきて、我々のやりたかったことを完全に消されてしまった前半だったと思います。もしかしたら選手たちの中に疲労などもあったかもしれませんが、言えることは、彼らが我々を上回ってやるべきことをしっかりやって我々を抑えた、我々からしたらやりたいことが全くできなかった前半になった、ということです。」と完敗を認めていますが、C大阪の出方が全く読めなかったかのように前半ボコボコにされた責任の大半はさすがにリカが負わざるを得ないでしょう。

・ACLベースの鉄板スタメンを組んで、しかも全員コンディション良好ならかなり良い試合が出来る。でも諸般の事情で選手が複数人入れ替えざるを得ない、あるいはコンディションが良くない際のオプションがないまま、とうとうシーズン終盤まで来てしまった結果がこの惨敗。

・端的に言えば、ACLの鉄板スタメンからどこまで抜いてもOKか試したところ、酒井・大畑までは辛うじてセーフでしたが、モーベルグを抜いたらとうとう家屋が倒壊した感じでしょうか。でも酒井の穴を関根で埋め、モーベルグの穴を松崎で埋めるのはさすがに無理がありすぎました。

・第1戦を見て「関根右SBは副作用もデカく、常用不可。酒井不在&馬渡が使えない際の窮余の一策の域を出ない」という感想を抱きましたが、関根右SBを常用しただけでなく、その前に今季ほとんど試合に出ていない松崎と併用するとはなぁ・・・昨年左サイドでしばしば見られた、守備があまり得意ではない山中&汰木の併用を「ベニヤ板の二枚重ね」と形容していましたが、それより酷いものを今年見る羽目になるとは!!

・あんまりな前半の出来を見ると、関根SBは浦和にボールを持たせるスタンスのチーム相手ならアリなんでしょうが、この試合みたいに浦和に余裕を与えないスタンスで臨まれたら一発でアウト。リカの作戦負けを象徴するようなスタメンで、なんで関根右SH、馬渡右SBでスタートしなかったのかなんとも不可解でした。馬渡が90分使えるコンディションになかったと言われればそれまでですが、それより「ペラ紙2枚重ね」のほうがマシとは思えないんですが・・・

・馬渡は「とにかく点を取るしかない」という状況で投入されたので、その思い切りの良さを存分に発揮できて好印象。江坂もかなりコンディションが良くなっているように見受けられ、相手の出方の変化に対してリカがスタメンから選手交代から下手を打ちまくって惨敗を喫したという気がしてなりません。

・5-4-1にせよ、4-4-2にせよ、タイトな守備ブロックで自陣にどっしり構えられるとダメ。かといって強度マシマシの前プレを仕掛けられるとこれまたダメ。今年リカが積み上げたものは前述のように「ACLベースの鉄板スタメンを組んで、しかも全員コンディション良好ならかなり良い試合が出来る」という2重の条件付きプランだけで、当然ながらそれは実に壊れやすい薄っぺらいものでしかありませんでした。

・たとえどんなに薄っぺらいものであっても今年積み上げたことが無駄ではなかったことをルヴァン杯という目に見える形で後世に残せればよかったのですが、それも叶わず。

・リーグ戦残り5試合で完全に目標を見失って腑抜け状態になった浦和は第33節に目の前で横浜Mが優勝、最終節福岡が辛うじてJ1残留を決めて埼スタで小躍りという惨事になりかねませんなぁ・・・今季無冠が確定してぼちぼち来季の契約更新話も始まるでしょうし、ACL決勝へ向けてのチーム再建という一大目標へ向けて再出発というのもなかなか難しいでしょうなぁ・・・

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《選手評等》

・シャルクはまたしても故障離脱なのかなぁ?獲得時に案外故障が多いという話が出ていましたが、その懸念が現実に。またリンセンはとうとうルヴァン杯に間に合わず。PSG戦での「出オチ」ギャグの代償は予想以上にデカかったようで・・・もうリーグ戦で無理をさせる必要は皆無なので、ACL決勝で再デビューなのかなぁ・・・

・明本SBってビルドアップがあまり上手くないとか、クロスが残念とか攻撃面での残念さはともかく、守備は安定しているのがウリと思っていましたが、ダイナミック毎熊に、まるでかつての山中のように豪快に裏を取られたのはショックでした!!

・チーム全体がクソだったので、松崎個人を責めても仕方ないとは思いますが、超久しぶりにスタメンで出場機会を得た松崎が良くも悪くもギラギラしたところがなく、淡々と45分を消化してしまったように見えたのが極めて残念でした。

・埼スタで攻守ともに全く見所のない惨敗を喫した後に「ACL決勝は埼スタで!」と言っても説得力皆無になってしまいました。署名活動等、ACL決勝埼スタ開催へ向けての運動には敬意を表しますが、結果的になんかいろんなものが上手く噛み合わない今年の浦和を象徴する格好に。もう開催地云々以前に、浦和がACL決勝で恥ずかしくない試合が出来るレベルになることが先でしょう、こんな試合を見せられると・・・

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-----松尾-----
大久保--小泉---松崎
---岩尾--伊藤---
明本-ショルツ--岩波-関根
-----西川-----

(交代)
HT 松崎→馬渡
67分 関根→江坂
67分 大久保→ユンカー
83分 小泉→柴戸

Cosaka220925002

---加藤--上門---
為田--------毎熊
---鈴木--奥埜---
山中-鳥海--ヨニッチ-松田
-----ジンヒョン----

(得点)
23分 オウンゴール(明本)
30分 奥埜
51分 加藤
80分 パトリッキ

(交代)
67分 加藤→北野
67分 上門→清武
76分 為田→パトリッキ
83分 毎熊→中原
83分 奥埜→メンデス

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