【観戦記】22年第26節:浦和 0-1 C大阪 ~ 虚無、実に虚無
実にくだらない形で先制点を与えてしまい、その後はC大阪の堅陣を前に手も足も出ず。さりとてC大阪に見所があった訳でもなくスコアレスドローで終わって然るべき超しょっぱい試合でしたが、先に失点してはどうにもなりません。
《スタメン》
共に前節から中3日の一戦。
浦和のスタメンはGKを彩艶から西川に代えたのみ。但しベンチに岩波、モーベルグ、小泉が戻っただけでなく、なんと肉離れで故障していたはずの酒井までベンチ入りしたのはびっくり!! 一方ACL以降あまりコンディションが良さそうに見えなかったユンカーがベンチ外に。
浦和はコロナ陽性判定を受けていたと思われる選手がちょろちょろ復帰してきたものの、ロクに練習もしていないのでその選手達はコンディションが万全であろうはずがありません。よって柏戦の快勝を受けてスタメンを弄らなかったというより、柏戦同様他に選択肢がなくてこのスタメンになったと思われます。
またユンカーのベンチ外は中2日で湘南戦が控えているので、そこでのスタメン起用を睨んだものでしょう。
C大阪のスタメンはFWタガードに代えて山田が入っただけ。タガードはなんといきなりベンチ外に。C大阪はなぜか浦和同様消化試合が少ない上に天皇杯準々決勝も闘っていたので浦和以上に過密日程を強いられていますが、ほとんどスタメンを弄ってこなかったのは意外でした。。
《試合展開》
浦和のフィールドプレーヤーの顔ぶれは柏戦と同じでしたが、配置は全く違いました。柏戦でトップ下起用が当たった大久保の位置はどう見ても左SH。でもビルドアップ時には岩尾が最終ラインに降りる代わりに明本を高く押し出す形を取っていたので大久保はえらく中に絞った位置にいることが多く、あまりSHっぽい感じはせず。
試合後の岩尾の弁によると松尾トップ下で「中盤をダイヤモンドにして、中盤の数的優位を生かしてボールをうまく運びたい」という意図があったようです。
しかし、策士策に溺れるというか、これが全く機能せずに浦和は立ち上がりからビルドアップに四苦八苦。C大阪が4-4-2の布陣をコンパクトに保ったまま前から厳しくプレスをかけてきたのに対してサイドに逃れるというか、サイドに押し出される場面だらけで高い位置で浮いている選手に縦パスがズバッと入る場面はほとんどありませんでした。
C大阪の高い最終ラインの裏狙いも何度か見せていましたが、多少なりとも可能性があったのは7分大久保縦パス→松尾左サイドからのクロスがシャルクに合わずに逆サイドへ流れた場面くらい。あとは最前線との呼吸が合わないとか、ボールが流れてジンヒョンに処理されてしまう場面だらけ。
もっともC大阪も守備こそ盤石なものの攻撃は浦和のプレッシングに苦戦してあまり上手く行ってはおらず、ボールを奪ったらシンプルに2トップに当てるだけに終始。共に何も起こらないという実にしょっぱい試合模様に。
20分過ぎくらいからようやく浦和がボールを握ってC大阪を自陣深くに押し込み出しましたが、好事魔多しというかなんというか、24分実にくだらない形で失点。
自陣深い位置での素早いリスタートから為田がドリブルで持ち上がってクロス→ファーに加藤が飛び込んでゴールという形でしたが、C大阪が素早いリスタートに成功したのはなんと攻撃参加していた宮本がわざわざ相手にヒールでボールを蹴って渡していたからだったとは!!いやはや人が良いにも程があるだろう・・・そして自分がいない右サイドを為田に蹂躙される大失態。
あんまりな形での失点で浦和は動揺したのか、26分には岩尾の横パスを受けた知念の縦パスが目の前のダイナミック毎熊に引っかかってしまってショートカウンターに。幸い加藤のシュートはバーの上。
先制したC大阪は序盤から一転してほとんど前からボールを追って来なくなり、4-4-2でリトリート主体の守備に転換。そのため浦和のボール支配率はぐぐっと上昇しましたが、まさにボールを持たされているだけに。頼みのセットプレーも33分知念ヘッドがジンヒョンの正面に飛んだ場面に僅かに可能性があっただけ。
あんまりな前半の内容を受けて、リカは後半頭からシャルク→小泉、宮本→酒井、関根→モーベルグと怒りの3枚替え。しかし、さすがにロクに練習もしていないであろう3選手を45分も使うのは無理があった模様。試合後リカも「まだフィーリングの部分や、コンディションが上がりきっていないところがあったのかなと思います。」「頭でやろうとしていても体が追いついてこない、という部分はチーム全体として、特に離脱していた選手についてはフィーリングの部分などで欠けているところはあったと思います。」と反省しきり。
この3選手の中では小泉が一番マシで、酒井とモーベルグは気合が空回りして「頭でやろうとしていても体が追いついてこない」のが顕著。特にモーベルグは細かいボールコントロールのミスが多くて半ばブレーキになってしまいました。岩尾のいう「やっと来たチャンスで個の力頼みなシーン」でモーベルグがブレーキみたいな場面が多々あったかと。
よって終始相手を自陣深くに押し込んではいるものの、相手守備ブロックは全く崩ぜず。決定機どころかシュートさえ撃てずに時間が徒過。岩尾は試合後「ジャブは打つものの、なかなかいいストレートが入らないというような試合展開」と評していますが、個人的にはジャブにすら至っていない印象でした。
CKは山のように取りましたが、これまた全く決定機に繋がらず。ショートコーナーを多用する等工夫は見られましたが全般にセットプレーがしょっぱかったのは、来週ルヴァン杯でC大阪と2試合闘うので手の内を隠したんじゃないかという気が・・・
81分になって伊藤に代えて江坂を投入したものの、小泉をCHに下げる訳ではなく、むしろ江坂がえらく深い位置にいて全く意味不明。そしてこれまた意味不明なクロス攻撃の連続。
札幌戦や天皇杯広島戦では終盤に立て続けに点を取られたC大阪。C大阪は基本的に縦にも横にも陣形をコンパクトにして相手ボールホルダーに圧力をかける守備なので終盤の電池切れが著しいと思っていたのですが、この試合では相手にボールを持たせる守備をしている時間が長かったせいか、あるいは早め早めの選手交代が効いたのか、顕著な失速は最後まで見受けられず。
終了間際には超前がかりになったところでカウンターを食らい、メンデスの一発を浴びてしまいましたが、西川がわずかに触ったのが効いてクロスバーを直撃。決定的な追加点こそ取られませんでしたが、浦和に点が入る気配は全くなくそのまま試合終了。
失点後は最後までC大阪ペースの試合。とはいえ、C大阪の決定機も僅少で本来スコアレスドローで終わって然るべき、非常にしょっぱい試合でした。
やることなすことまるでダメ。全く良いところなくホームで敗戦。消化試合が同じC大阪との勝ち点差を縮めるどころか、逆に勝ち点差9まで開いてしまいました。浦和の残り試合は6。消化試合が一つ多い3位広島との勝ち点差は11もあるのでリーグ戦でのACL圏入りは絶望的になってしまいました。
まぁC大阪に今季ダブルを食らった上に負け方が非常に悪かったのでショックを受けている方も少なくないようですが、もともと浦和の立ち位置はリーグ戦の残り試合を全部勝って、しかも広島以下の上位陣が総崩れしないとACL圏には入れないという「超他力本願」状態。この試合の負けでもともと無理っぽい話がほぼ無理になっただけで、この敗戦自体にそんなに大きな意味はないと思います。今季リーグ戦前半に勝てなさすぎて残留争いさえ見え隠れしていたのがACL圏入りにほど遠い結果に繋がったのであって、反省するのはまずそこからでしょう。
とはいえ、負け方が非常に惨めだったのもまた事実。リカは試合後「チーム全体に疲労があると感じているか?」と聞かれて、「疲労は走るなどのことだけでなく、それ以外の神経系の、目には見えないところにも影響していると感じます。特に何人かは、フレッシュさという部分ではおっしゃるように欠けている部分がありました。」と率直に疲労感を認めていましたが、ACLノックアウトステージ決勝進出に伴う代償は殊の外大きかった模様。
そこにコロナ禍が再び来襲して過密日程をもともと疲労色の濃い限られた選手でこなさざるを得なくなったのがこの塩敗戦の主因でしょう。岩尾は試合後「パッと顔を上げたときに3人目を使えるオーガナイズができていれば怖がらずにパスを出せますが、あまりそういう感じには見えませんでした。」と嘆いていますが、選手の頭が疲れていたのでしょう、たぶん。敦樹がいう「普段取れている立ち位置が取れていなかったり」も同じかと。
また先述のようにアホほどあったCKが非常にしょっぱかったのは、おそらく来週のルヴァン杯で向けて手の内を隠したと思います。一般論としてリーグ戦>>カップ戦なのは当然ですが、現時点ではACL圏入りなんて超他力本願状態の浦和が、より現実味のあるルヴァン杯奪還に重点を置くのは当然でしょう。ACLには繋がりませんが、タイトル獲得という結果を残すのは重要です。ミシャがリーグ戦で毎年好成績を残しながら結局ルヴァン杯一つで終わったことをある意味反面教師にしないと。
昨年はC大阪が浦和にリーグ戦で負けて得た教訓をルヴァン杯で活かしましたが、今年は逆になるとええなぁ・・・
《選手評等》
ACLで負傷(右ふくらはぎ肉離れ)した酒井がなんと鹿島戦・柏戦と2試合欠場しただけでいきなりベンチ入り。かつ後半頭から元気に出場。出場しただけでも驚きなのに、負傷したのは準決勝のラストプレーではなく準々決勝だったとか、「肉離れはやりながら治す」とか、もう岡野or那須ばりの「伝説」が続出。「今は代表より浦和」とは言うものの、代表復帰を焦っての無理じゃなければいいのですが・・・
試合後ネットでボロカスに叩かれている宮本。プレーのミスではなく、緊張感がないと言われても仕方がないやらかしなので、名古屋戦での知念よりも罪は思いでしょうなあ。おまけにやらかした後はすっかり縮こまったようなプレーに終始。酒井が戻って来た上に、大原に馬渡が戻っているのは浦和公式インスタで確認されているので今季はもう出番がなくても不思議はないかと。
-----シャルク-----
大久保--松尾---関根
---岩尾--伊藤---
明本-知念--ショルツ-宮本
-----西川-----
(交代)
HT シャルク→小泉
HT 関根→モーベルグ
HT 宮本→酒井
81分 伊藤→江坂
---加藤--山田---
為田--------毎熊
---鈴木--奥埜---
山中-鳥海--ヨニッチ-松田
-----ジンヒョン----
(得点)
24分 加藤
(交代)
58分 山田→清武
74分 為田→パトリッキ
74分 加藤→メンデス
90+1分 毎熊→中原
| 固定リンク