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2022.10.13

【観戦記】22年第27節:浦和 1-1 札幌 ~ あれだけ決定機を外してはどうにもならん・・・

 序盤札幌に良いようにやられてしまいましたが、なんだかんだとさほど決定機は与えず、その後は浦和が決定機を量産。先制点こそ取られたものの、終盤の猛攻で一気に逆転してもなんら不思議はない試合内容でしたが、あれだけ決定機を外してはどうにもなりません!!

《スタメン》

・浦和のスタメンは前節鳥栖戦と全く同じ。故障明けで前節60分限定出場だったリンセンを中3日で再度スタメン起用したのが意外でした。リカは鳥栖戦の試合内容をよほど評価していたのか、あるいは単に消化試合であることを奇貨としてリンセンをチームに馴染ませることを優先したのか真相は不明。試合内容からすれば後者臭いのですが・・・

・小破していたモーベルグがベンチに復帰した一方、江坂がなんとベンチ外!

・札幌は福森→菅、西→荒野、 駒井→高嶺、興梠→小柏とスタメン4名入れ替え。

・小柏は前節は体調不良で欠場。高嶺は前節出場停止。さらに興梠は契約上浦和戦に出場できないと入れ替えの理由は様々ですが、札幌は相変わらず怪我人を量産していて、深井が故障で長期離脱中な上に前節駒井が故障。また試合後のミシャの弁によれば福森・宮澤・菅は怪我をおしての出場だったとか。

Sapporo2210001

《試合展開》

・浦和の基本フォーメーションは鳥栖戦同様かなりはっきりした2トップ横並びの4-4-2。

・一方札幌はいつもの3-4-2-1ではなく、高嶺を最終ラインに下げての4-1-4-1、あるいは浦和に合わせて4-4-2だったようですが、札幌は攻守ともその形でしっかりセットしていることはほとんどなくて、浦和のフォーメーションに合わせて「(ミシャ)最初は相手が2トップでしたので、岡村と高嶺が2トップについて、サイドハーフに菅と田中、そういう形になったというだけ」なので配置自体にそんなに意味はありません。

・序盤は札幌が一方的にゲームを支配。リンセン&ユンカーの2トップでは前プレは機能しないと諦めてか、浦和の守備は鳥栖戦同様リトリート主体と割り切った風でしたが、中盤のフィルターも機能せず、5バック気味に構えて大外の穴を防ぐわけでもなかったので札幌に簡単にサイドを抉られたり、鋭いクロスを何度も入れられたりして大苦戦。特に左サイドで大畑がスピードのある金子に苦戦していたのが目立ちました。

・ただ札幌も高速クロスをアホほど入れたところで中に合わせるターゲットがいる訳でもなく、シュートを撃ちまくってもブロックされてしまう場面が多くて、西川が多少なりともヒヤリとしたのは4分シャビエル→青木のシュートが枠の上だった場面と、30分青木のシュートくらい。好意的に見れば浦和守備陣は札幌のサイド攻撃なんて中央で跳ね返せばいいと割り切った風にも見えました。

・むしろ頭が痛かったのは攻撃面。ボールを奪う位置がそもそも低い上に、序盤は鳥栖戦のように素早く2トップへ蹴り飛ばしてしまう訳でもなく、多少なりともしっかり繋ごうとしていたように見受けられましたが、札幌の厳しいプレスを交わせずに結局アバウトに蹴るしかなくなり、簡単に札幌にボールを回収されてまた攻められるの繰り返し。

・さすがにこのままでは拙いと思ったのか、浦和は突如前ハメに転じて26分小泉が岡村の縦パスをカットした場面は決定機に至らなかったものの、27分ショルツが敵陣深い位置でのボール奪取からボックス内のリンセン→折り返しがわずかにユンカーに合わずと、この試合初めて良い形を作りました。

・そして先の30分のピンチを凌いだ後はついに浦和が攻勢に。36分左サイドスローインからの流れで岩尾ロングフィード→ユンカーループシュートはバーの上。その後は浦和が札幌を自陣に押し込んで攻め続ける展開になり、38分岩尾の浮き球パスがボックス内でフリーのリンセンに通るもシュートは枠外。さらに45分左サイドから小泉の浮き球パスがボックス内のリンセンに通り、リンセンは胸トラップ&反転シュートを狙うもこれまた枠を捉えきれず。

・後半も浦和が優勢。札幌は早くも運動量が落ち始めたのか浦和が球際で競り勝つ場面が目立ちだし、しかも思い出したように敢行する前ハメも機能し始めて、早々とスカスカになった札幌陣内で浦和が楽々とボールを運んで良い形を量産。しかし、52分岩尾ロングフィード→ユンカー折り返しはわずかにリンセンに合わず、53分小泉→リンセンの決定機はシュートモーションに入ったところでフェルナンデスのプレスバックが間に合って撃てず。そして57分小泉スルーパス→ユンカー→大畑→ボックス内でどフリーのリンセンという絶好機を作ったものの、リンセンのシュートはまさかの枠外!!!

・松尾を用意していたのが判った時点でてっきりリンセンを「ちょうど時間となりました」とばかりに交代するのだろうと思いましたが、63分最初の交代で下げられたのは意外にもユンカーのほうでした。

・まあスピード系FW同士の入れ替えという趣旨なのでしょうし、これで浦和の前ハメが一層効果的になり、65分には伊藤が高い位置でボールを奪ってそのままシュートという見せ場も。

・さらにリカが明本&柴戸を用意していたところで、70分まさかの失点。左サイドからフェルナンデスが巻いて放ったシュートが見事にファーサイドに突き刺さりました。これはもうフェルナンデスを褒めるしかないスーペルゴラッソ。随所で一対一が発生しやすいマンマーク主体の相手に「選手の質で上回る」ことで勝機を見出すのが浦和の基本戦略になるかな?と思いながら試合を見ていたのですが、まさかその「質の違い」がこんなところで飛び出すとは・・・そして選手交代を用意していた矢先に失点するって先日大敗した広島戦でもあったような・・・

・失点直後にリンセン→松尾、伊藤→柴戸と代えてガス欠が顕著の札幌相手に猛攻を仕掛けるも、これが笑えるレベルで決まらない。74分ロングカウンターで小泉→松尾のシュートはポスト直撃、跳ね返りを拾った酒井のシュートは菅にブロックされてゴールならず。80分にはロングボールに反応した松尾がと途中投入のCB福森からボールを掻っ攫い、明本がGKと一対一になったところまでは良かったものの、明本のシュートはなんと枠外。

・しかし、85分大久保がカットインから放ったシュートが福森のL字形に広げた腕に当たってハンド=PKに。札幌の執拗な抗議&VARとの交信で長時間試合が止まりましたが、89分 ショルツが冷静かつ豪快にPKを決めてなんとか同点に。

・リカは最後に大畑→関根、大久保→モーベルグと代えましたが、7分もあったATには特に見せ場なく試合終了。

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《総評》

・試合後の赤者の感想は概して芳しくないようですが、シュート数は互角ながらも決定機はどう見ても浦和のほうが多く、個人的にはそんなに悪い試合とは思えませんでした。「アホほどあった決定機を決めきれずに勝てる試合を引き分け、さらには負けてしまう」という展開は今年前半にそれこそアホほど見た訳で、その結果が14にも及ぶ引き分けの山。

・「シーズンも大詰めになってまたこれかよ!!」という意味合いでこの試合に不満が出るのは理解できますし、決定機をそんなに与えてはいないとはいえ序盤のあんまりなサンドバッグ状態に嫌気が差した方が多いのかもしれません。まあ上述のように序盤は守備はともかく、ボールを奪ってからの攻めが全然出来なかったのは事実で、「2年かけてこれかよ!!」という感想を持たれる方も少なくないでしょう。

・ただ試合を大局的に見れば、

 ○札幌は極端なマンツーマン守備で「相手選手と選手の間に適切なポジションを取ることで勝機を見出す」というリカのプランAが原理的に通用しない相手なので、頻繁に発生する一対一でリンセン&ユンカーという「選手の質の違い」で殴り勝つことに勝機を見出す

 ○札幌が元気な時間帯はリトリート主体の守備でとにかくやり過ごす

 ○札幌は確実に終盤電池切れになるので、選手交代で一気に勝負に打って出る

という対札幌戦スペシャルっぽい闘い方が繰り広げられていて、その結果1点こそ失いましたが、決定機の数では優に札幌を上回っており、個人的にはそんなに悪い試合でもなかったように思います。「相手の土俵で試合をしない」「相手の嫌がることをやる」というリカの基本思想に沿った試合だったと評価しても良いでしょう。試合後の小泉も内容に全く悲観的ではないどころか、やろうとしていることをチーム内で共有出来たことを評価している風ですし。まぁその辺がバラバラだった広島戦の惨敗がよほど堪えたのでしょうけど。

・ただリンセンやユンカーへ向けての御膳立てにいかにも工夫が足りず、ただ蹴りだすだけになっていたように見える場面が多かったのか確か。これもまたこの試合の評価が悪い一因でしょう。
 
・そしてなにより頭が痛かったのはあんまりな決定力不足。松尾や明本の決定機逸はもう「J2オールスターズだから仕方がない」と諦めもつきますが、リンセンが決定機を決められないとはなぁ・・・ 個人的には監督が出来るのは決定機の数を増やすことまでで、点を取るのは選手個人の質で解決するしかないと考えていて、その「質の問題」を解決してくれるはずのリンセンがなぁ・・・

・浦和も浦和で問題山積ですが、札幌はそれ以上の惨状な模様。ボールを支配して攻めに攻めている割には半ば選手の質の問題で仕方ないとしても、極端なマンツーマン守備&ハイプレスが災いして終盤電池切れになるのはともかく、年から年中故障者を量産しているのは苦笑を禁じえません。これはもうフィジコだとか医療体制だとかそんな問題ではなく、闘い方そのものに起因しているので来年もそのまんまでしょうなぁ・・・ミシャは試合後90分通して戦える選手が少ないことを嘆いていましたが、そりゃ自業自得というか因果応報というか・・・

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《選手評等》

・ユンカーやモーベルグみたいな「名刺代わりの一発」がなかったどころかまさかの決定機逸だったリンセン。やっぱあの「出オチ芸」での中破離脱がでかくて、なんとか身体は動くようになったものの試合勘がないのかも。期待感がでかかっただけに、失望もまたでかい。しかも相性が良さげに見えたユンカーとのパスが相互に乱れまくってどうにもならず。

・冒頭でも記したようにコンディションが十分ではないリンセンを中3日でスタメンに使ったのは、消化試合であることを奇貨としてリンセンをチームに馴染ませることをリカが優先した可能性が高く、まさかの決定機逸はその無理ゆえに起こるべくして起こった事態なのかも。

・柴戸のボックス内スルーはホンマ謎でした。まるで浦和の栗田艦隊。柴戸には何が見えていたのか。

・不死身の明本はすっかり出番が減って「不死身」感はなくなってしまいましたが、射撃が下手なのは相変わらずで悲しいのなんの。尾形はおらんのか、尾形は・・・

・ショルツの「モーゼ攻撃」はまたしても無駄玉に・・・

・シャビエルがおもっきし酒井を突き飛ばしているのにイエローが出ないのを見て、個人的には谷本主審=クソ確定でした。ショルツすら激怒する主審って、ガンジーも助走して殴る主審みたいなもんでしょうに。そして菅が故障してピッチ外に倒れている状況で主審が試合を止めるのはまだしも、菅がヨロヨロしながらわざわざピッチ内に入って来てそこでまた治療ってなんやねん???遅延行為そのものでしょうに!!

・笑ったのは福森へのイエロー。福森は主審に説明を求めてはいるが抗議しているようには見えず、イエローを出すなら小泉を突き飛ばしている高嶺だと思ったのですが、なんで福森がイエローなのかは謎。終始多少の交錯には流しまくりのジャッジでしたが、巧く試合をコントロールしていたとは言えず、甚だ残念な主審でした。

・平日の割にはびっくりするくらい札幌サポが埼スタに詰めかけていました。札幌目線だと「勝てた試合をPKで引き分けに終わった」という試合内容だったにも関わらず、試合後は盛大に歓声が。J1残留が決まったのかな?と思いましたが、どうもそうでもなかったようで・・・

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---ユンカー--リンセン---
小泉-------大久保
---岩尾--伊藤---
大畑-ショルツ--岩波-酒井
-----西川-----

(得点)
89分 ショルツ(PK)

(交代)
63分 ユンカー→松尾
71分 リンセン→明本
71分 伊藤→柴戸
88分 大畑→関根
88分 大久保→モーベルグ

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-----シャビエル----
フェルナ-青木--小柏-金子
-----荒野-----
菅--高嶺--岡村-田中
-----菅野-----

(得点)
71分 フェルナンデス

(交代)
71分 小柏→キムゴンヒ
77分 荒野→宮澤
77分 菅→福森(故障による交代)
88分 シャビエル→西

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