【DAZN観戦記】22年第33節:横浜M 4-1 浦和 ~ この2年間とは何だったのか・・・
監督、強化本部、医療スタッフ等のサポート体制、そして選手の個人能力、あらゆるものが横浜Mに遠く及ばないことを実感させられた惨敗でした。そしてこの2年間に積み上げたものが非常に薄いものでしかないと思えたのが辛すぎました。
《スタメン》
・浦和は前節札幌戦からリンセン→江坂、小泉→松尾とスタメン2名入れ替え。
・リンセンについてはリカが試合前の会見で「リンセン選手の現在のコンディションはあまりよくはありません。」「怪我からは復帰したもののフィジカル的に状態が整っていないと思います。ですので、攻守にわたるプレーの連続性をまだ取り戻せていないと思います。」と語っており、スタメンどころかいきなりベンチ外に。
・札幌戦で最後にちょっとだけ出場したモーベルグは再びベンチ外に。代わって馬渡&松崎が久しぶりにベンチ入り。
・なお関根が10/17に右足関節遊離体に伴う手術を行って全治6週間と公表されたので、当然ながら今季残りは全休。また長期離脱中の犬飼が大原に戻ってきているものの、リカは「今シーズン、彼が出場することはありません。」と明言されました。
・横浜Mは前節磐田戦から仲川→エウベル、レオセアラ→ロペス、藤田→喜田とスタメン3名入れ替え。
《試合展開》
・戦前予想通り立ち上がりは横浜Mが一方的にボールを支配。浦和は大久保を最終ラインに下げて5-4-1の守備ブロックで防戦して横浜Mに決定機らしい決定機を与えず。また浦和の守備は徹底して5-4-1のリトリートという訳でもなく、ある程度マンツーマン気味に前からハメに行く志向も見せていて、序盤は前ハメもそこそこ機能してそんなに悪いゲームの入りではなかったと思います。
・16分には江坂が右サイドから上げたクロスが相手に当たってこぼれ、そのボールにどフリーで大畑が反応するもシュートは枠外。序盤からオープン気味な展開になる中でいきなりカウンターを食らい、渡辺縦パス→水沼右サイドからのクロスがショルツに当たってコースが変わったのが災いして、ファーに飛び込んだエウベルが押し込んで横浜M先制。
・この場面、横浜Mの攻撃はゴールキックから始まっているので浦和の攻→守の切り替えが緩慢過ぎたとも言えますし、浦和の中途半端な前ハメ志向が完全に破綻したとも言える、なんともマヌケな失点でした。
・その後はほぼ一方的な横浜Mペース。浦和は深い位置でボールを奪ってなんとか縦に早い攻撃を仕掛けたいようでしたが、横浜Mの素早い攻守の切り替え&プレッシングのためか、浦和の縦パスは雑になりがち。35分ようやく深い位置からの大久保縦パスを基点に松尾→ユンカーと縦に早い攻撃の形が出来たものの、ユンカーは独力でシュートまで持ってゆけずにディレイを強いられ、最後は伊藤が攻撃参加するもミドルシュートはバーの上。
・前回対戦でユンカーが立て続けに3点を取った時の横浜Mの最終ラインは畠中&松原とは守備の波乱要員がいましたが、畠中に代わってエドゥアルドが入るとさすがにユンカーも「一人で出来た!!」連発とはいかない模様。ピッチ状態が良くなくてふんばりが効かない風にも見えましたが、いずれにせよ頼みのユンカーが独力打開できないなら、守備の残念さを押してまでスタメンで使う意味はないんだよなぁ・・・
・浦和が好機を逸した一方、横浜Mは37分永戸CKがファーへ流れてエウベルがカットイン。エウベルに対峙したユンカー&江坂の守備がなんとも軽くてエウベルはいとも簡単にボックス内に突入&シュート。シュートはいったん西川が防いだものの、ロペスがこぼれ玉に詰めて追加点。
・リカは後半頭から松尾&ユンカーの2トップ+江坂トップ下の3-4-1-2に布陣を変更して反撃を試みるも、横浜Mのきついプレッシングの前にビルドアップが全く体をなさず。攻撃が出来ないならまだしも57分自陣深い位置で江坂が渡辺に絡まれてボールを失ったことを契機にショートカウンターを食らい、エウベルがショルツと岩波の間を綺麗に割って3点目を取られる始末。解説戸田さんは「江坂へのサポートがない」と江坂を庇っていましたが・・・
・この大失態を受けたのかどうか、江坂は即座に小泉へ交代を命ぜられ、同時に大畑に代えて明本を投入。しかし、流れはすぐに変わることなく、65分水沼CK→西村ヘッドの決定機こそ西川が辛うじて防いだものの、その次の水沼CK→ニアでエドゥアルドが逸らしてロペスヘッドで致命的な4点目を取られてしまいました。
・67分にはようやく西川のロングキックを基点に縦に早い攻撃=右サイドで大久保スルーパス→ユンカーがGKの股を抜いてゴールという当初の狙いっぽい形で1点を返したものの時すでに遅し。その後は79分に大久保のシュートがわずかに枠を逸れたのが惜しかったくらい。思い出したようにユンカーにボールが渡っても横浜守備陣にディレイさせられればたちまち浦和の攻撃は行き詰まってしまい、横浜Mの守備ブロックが整った状態でも点が取れるだけの力は今の浦和にはありませんでした。
・というか4点目を取られた時点でこの試合への興味は完全に失われ、自動降格圏に再突入したチームの阿鼻叫喚を見ながらニヤニヤしていたのが正直なところですが(^-^;
・首位横浜Mは浦和に快勝したものの、同時刻の試合で2位川崎も勝ったので勝ち点2のまま優勝決定は最終節まで持ち越しに。浦和は目の前で胴上げが繰り広げられる惨事こそ免れましたが、監督や選手達にはゴール裏から容赦ないブーイングが。そしてそれも当然と思われる酷い内容での敗戦でした。
《総評》
・この試合だけを取り上げてみれば、リカの作戦負け。ユンカー&江坂をスタメンで起用した時点で、大敗したC大阪&広島同様前からのプレスがきつい横浜M相手にボールを握る志向のプランAで臨むのは諦めたのは明々白々。相手にボールを持たれることを前提に徹底して相手の最終ライン裏を狙うプランBで臨むものと思ったのですが、どうもそうでもなかったようで・・・
・リカが選択したのはいったん5-4-1に構えてからのマンツーマン気味前ハメというプランCみたいな何か。しかし2週間の準備期間があったにも関わらず、これがほとんど機能せず、最初の失点では笑ってしまうレベルで簡単に剥がされてしまいました。試合後には酒井が「奪いにいく守備はなかったという感覚」と吐き捨てているところを見ると、もうリカの指導に対する選手の信頼感が完全に損なわれていて、いくら準備期間があっても意味がないのかも。
・またマンツーマン気味の守備なら当然ながら球際での強さが求められますが、残念ながら今の浦和は横浜Mに球際で惨敗。この点については試合後厳しい質問が飛んでいましたが、リカの答え「一つある部分としては、プロファイルの部分もあると思います。局面のところでF・マリノスの強度の高さは、そうした構成でできています。我々はよりテクニカルなところが秀でている部分があると思いますが、一方でそこの強さに欠ける部分もあると思います。」は「そもそも浦和は巧い選手は揃えたが、強度の高い選手を揃えてないやん!!」と言いたいのかなぁ・・・
・試合後岩尾が「攻守の切り替えやボールが止まっているスローインやFKの際の相手のトランジションの速さは非常に目立っていました」「なかなか出し手と受け手のタイミングが合わなかったり、もう少しつなげられるかなというところで狙い過ぎてしまったり、起きている現象や判断がチグハグになってしまいました」と語るように、攻守の切り替えの早さやパス精度、球際の強度などリカの作戦云々以前のところで浦和は横浜Mに大きく差を付けられていてどうにもならず。
・とにかく、リカの2年間の積み上げの乏しさを実感させられた大敗でした。そしてこの大敗を受けて翌朝には当然ながら監督人事がスポーツ各紙を飾ることに。
・そもそもビルドアップなんて概念がなかった大槻さんの2年を経た後のリカの仕事は困難を極めたことでしょう。従って最初の3カ月で横浜M相手に虐殺されたことに象徴されるように浦和がビルドアップに苦しんだのは見ていて非常に辛いものがありました。しかし、それでも試合を重ねる毎に浦和の選手達が上手くなっているのが判り、結果はなかなか出ませんでしたがそれなりに嬉しかったことを思い出します。
・しかし浦和の成長曲線は案外頭打ちが早く、リカ監督就任から2年経ってもたいして進歩せず、前プレのきつい相手に粉砕されてしまう試合が続きました。残念ながらリカの2年間の成長速度は期待を下回ったと言わざるを得ません。ACL準決勝後に苦しい試合が続いた後に漏れ出てくるコメントからも主力選手の何人かからは信頼を失っているようにも伺え、こうなってしまうとリカが今季限りになってしまうのは致し方ないでしょう。重要なのはコンセプトの継続であって監督の継続ではありません。
・ただショルツ以外の外国人選手の稼働率が低い、補強選手がイマイチ等監督ばかり責めても仕方ない点があるのは確かで、それがリカの評価をややこしくしています。西野TDが「フロントの力不足でした」とACLがあるのにリーグ優勝なんて狙わせた割には戦力面でのサポートが弱かったのがリーグ戦不振の主因と認めてリカ続投ならそれはそれでアリと思いましたが、フロントはリカに責任を押し付ける道を選んだようです。
・横浜MはCFG傘下で「コンセプトの継続」という点では浦和より遥かに先を行っています。浦和もそこだけはブレてはいかんでしょう。監督候補として名前が挙がっている方の中にはもうコンセプトの継続もへったくれもなく、何のための監督交代なのかさっぱり判らんないただのガス抜き=浦和の過去の過ちの繰り返しとしか思えないのが気になりますが・・・
・一応安易にJ1監督経験者から選ばずにそれなりに真面目に監督候補を探しているようで、欧州→OB→欧州→OBの輪廻に陥った鹿島よりは少しはマシかもしれませんが、監督人事関連の噂話を聞く限り横浜Mに追いつく目は残念ながら遠のいたかなあ・・・CFGというはっきりした評価軸、ロールモデルを持っているところとそれがないところの差はでかすぎかと。
・監督人事、そして今季の反省共々最終節終了後の土田SD,西野TDの説明責任は重大です。そこんところよろしくお願いします。
《選手評等》
・リンセンはともかく、モーベルグがベンチ外だったのには驚きました。横浜Mの外国人選手がコンスタントに複数人稼働しているのと比べると、浦和は通年で稼働しているのがショルツだけで、外国人選手の稼働率の差がそのまんま今季の戦績の差になって顕われていると言われても仕方ないでしょう。
・ユンカーはグロインペインに苦しだまま。リンセンもモーベルグもコンディションが上がらずと浦和は医療スタッフやトレーニングコーチはどうなってんねん??と訝しいことだらけ。おまけにシャルクに至ってはもう何のために獲得したのかさっぱり判らない有り様で、こんなところまでリカに責任を負わせて強化部は知らぬ顔はないわなぁ・・・
・リカが試合後選手の強度不足を嘆いていましたが、これは浦和がこの2年間で「J2オールスターズ」的な補強に甘んじたためでしょう。それはコロナ禍→入場料収入激減が主因でしょうからやむを得ないと思いますが、その割にACLだとかリーグ優勝だとか目標が高すぎました。ゆえに入場料収入が少しは回復した今オフの補強はJ1.5的な選手からJ1の選手への入れ替えがあるでしょう。特に今季出番が少なかったJ1.5的な選手には厳しいオフになると思います、世知辛い話ですが。
・今季序盤は全く代えの効かない存在だった江坂がそうこうしているうちにコンディションを崩してしまい、終盤には別にいなくても良い選手になってしまうとはなあ。しかも江坂が外れたことでチームのパフォーマンスが上がった訳でもないという不可解さ。
・最終節終了後、社長だけはあんまりブーイングされる謂れはないでしょうなあ。コロナ禍にも関わらず、法人営業が頑張って黒字を確保している以上。
-----ユンカー-----
--松尾----江坂--
大畑-岩尾-伊藤-大久保
-ショルツ--岩波--酒井-
-----西川-----
(得点)
67分 ユンカー
(交代)
61分 江坂→小泉
61分 大畑→明本
80分 伊藤→柴戸
エウベル---ロペス---水沼
-----西村-----
---渡辺--喜田---
永戸-エドゥ-岩田-小池龍
-----高丘-----
(得点)
17分 エウベル
37分 ロペス
57分 エウベル
65分 ロペス
(交代)
74分 水沼→仲川
74分 エウベル→マテウス
80分 喜田→藤田
※写真は試合とは全く関係ありません。
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