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2022.11.07

【補遺】リカルド ロドリゲス監督の監督職解除

 最終節福岡戦前及び試合終了後の記者会見で、リカがこの1年間の振り返りや監督職解除に至った経緯について結構ぶっちゃけた話を披露しまくったのが目を惹きました。良くも悪くも率直すぎるリカのことなんで保身のために滅茶苦茶脚色した話をしたとは思えないのですが、所詮解任された監督の言い訳めいた話でもあることを勘案しながら、「リカルド ロドリゲス監督最後の言葉」に関する感想をまとめておきます。

Fukuoka2211003
 
(1)とにかくロクな補強はなかった

「初日にチームにいたFWは木原 励1人でした。キャスパー(ユンカー)はクラブの許可をもらって少し長めの休暇を取っていました。そしてその後、入国できるタイミングでそれぞれ違った時期に新加入選手たちが入ってきました。」

「補強のところで不運でした。獲得したくてもできなかった選手がいたりします。年末は天皇杯のセレッソ大阪戦や大分戦の準備を進めているなかで、移籍マーケットに入っていくことが少し出遅れた部分もあったと思いますし、(ブライアン)リンセンももっと早い時期に来ることが理想でした。」

「プレシーズンでは若手の木原 励が唯一のFWだった、これは優勝を掲げる上で果たして現実的なのかと言われれば、決してそうだとは思いません。」

とリカはこれでもかこれでもか、とにかく今季は補強が上手く行かなかったこと、特に開幕時に使い物になるFWがいなかったことを批判しています。これはもっともな話で今季の戦績不振の主因といっても過言はないでしょう。シーズン序盤に最後に決めきれるFWがいないばかりに勝てる試合を落としまくったのが負の連鎖を産んだ可能性は極めて高いですし。

 さらにリカは「そもそもFWがいなかった」という量的問題に加えて

 「実際に構築していく中で、いい選手か悪い選手かという話ではなく、適切な選手なのか、そうではないのかというところが非常に大事な点だと思っています。そういった点ではメンバー構成のところでシーズンのはじめに、我々がこのスタイルをやっていく上で適切な選手を見つけていけたのかどうか、今いる選手が悪いと言っているわけでは全くないのですが、そこが果たされていたのか、それに関しては、タイトルを獲る横浜F・マリノスや川崎フロンターレと、我々との差だと思っています。やはり、プロセスが最大の違いなのかなと感じます。」

「いい選手はいますが、適切だったかどうかというところ、そしてプロセス、時間が足りなかったと思っています」

と質的な問題、すなわち「我々がこのスタイルをやっていく上で適切な選手」が揃っていなかったことにも触れています。これは半分はリカの言う通りで、ユンカーといい、数多いるサイドアタッカーといい、縦に速い&やたら忙しいサッカーに向いた選手が続々と補強されたのは事実です。

 ただこの話はかなり割り引く必要があります。浦和は2019年にフットボール本部を立ち上げた後は、従来のような「やりたいサッカーは監督丸投げ=補強する選手も監督の趣向に合わせる」という悪しき伝統をかなぐり捨てて、フットボール本部がある程度やりたいサッカーを提示し、それに応じて監督も選手も揃えてゆくスタイルに転換しています。かつてのように「徳島でやっていたサッカーを浦和でもやってくれ」という趣旨でリカを招聘しているわけでないので、補強される選手はリカのやりたいサッカーに合うとは限りません。
 
 今年浦和にやって来た岩尾は徳島でのリカと、浦和でのリカが随分変わっていることに気づいて「なんでここに呼ばれたんやろ?」としばらく悩んでいたようですが、悩める岩尾の言葉から察するに、要するにフットボール本部は「縦に早いサッカーもボールを大事にするサッカーも両方できるようにしてくれ!」という要求を掲げていた模様です。
 
 その注文がそもそも無理ゲーだったのかもしれませんし、リカの力量では手に余るものだったのかもしれません。さらに言えばフットボール本部の意向とリカのやりたいことの擦り合わせがちゃんと出来ていたのかどうか気になります。
 
(2)なぜか目標だけはやたら高い

「このクラブが掲げた期待値は非常に大きかったと思います。掲げたものが結局のところ、監督・選手たちに大きな代償を払わせる形になってしまったと思っています。」

「正直なところ、浦和レッズが今タイトルを獲れるかと言えば、そうは思いません。」

「もちろん、どういうふうにそこ(=川崎フロンターレとの29ポイントの差)を縮めていくのかを分析し、それを遂行するべきなのですが、分析が正しくできていない、現実的ではないところだったと思います。もちろん掲げるにあたって、私もその場所にいましたし、どういうふうに目指していくかという話もしました。誰かではなく自分も含めて、一つ大きなクラブとしてのミスだった、その期待値設定がよくなかったと思います」」

 フィンケがかつて「なぜ、毎年優勝しなければいけないと言われるのかが分からない。今はサッカースタイルの変換を試みている。浦和は昨季7位、現実を見る必要がある。今すぐ優勝すべきと書かれるのはおかしい」「レッズは初優勝まで13年かかった。リーグ優勝は1回しかない」」と言って袋だだきになったことを思い出さずにはいられません!!
 
 リカはフィンケと違ってマスコミに敵は作らず、おまけにシーズン途中で不用意な発言もしなかったので炎上らしい炎上もなく2年を終えましたが、フットボール本部のあんまりな要求に少々腸が煮えくり返ったこともあったでしょう。
 
 (1)で述べたようにとにかくロクな補強はなされなかったにも関わらず、そして今季はACLを併行して闘って、しかもどちらかといえばACLに力点を置きがちなクラブ体質にも関わらず、浦和がリーグ優勝という目標をリカに課したのは正直個人的にも馬鹿げていると思います。
 
 ただその目標は「達成できないとクビ」という「必達目標」だった訳でもないでしょう。とはいえ、「3年」計画とか「リーグ優勝」とか達成したかどうかが判別しやすい目標を掲げてしまうフットボール本部のやり方にはどうかと思います。もちろん何がしかの目標を立て、その達成へ向けて監督や選手を揃え、その結果を検証して達成度合いの検証、達成できなかったことの原因分析は必要ですが、それは定性分析重視で結構で、定量的な目標をバーーーンと掲げて自分で自分の首を絞める羽目になるのはいかがなものかと。
 
(3)「クラブのフロントにも変化があった」とは何だろう?

「クラブのフロントにも変化があったりするなど、私も続投の難しさを感じていました。このプロセスを別の方と続けることは少し前からクラブは決めていたのかもしれません。」

 ここが「リカのぶっちゃけ話」で最大の謎の部分。これだけでは何のことだかかさっぱり判りませんが、浦和公式サイトではカットされたものの"FOOTBALL ZONE"には以下のようなコメントが掲載されていて、波紋を呼んでいます。

「これを言って問題になるとは思わないが、西野さんと私はかなり近いサッカー観があった。土田さんは少し違う見方があった。いろいろな考え方があっていい。重要なのは全員で忍耐強く、敗戦があった場合も分析しながら進んでいくこと。土田さんはその立場にいてこのような決断を下したが、彼との人間関係は素晴らしいものがある。それぞれの立場で決断している。」

 いやぁ、薄々と感じていましたが土田SDと西野TDのサッカー観に違いがあることがここで明るみになるとは(苦笑)。いや、サッカー観に違いがあること自体は別に構わないのですが、「クラブのフロントにも変化があった」ことを考えあわせると少々イケずな見方が生じるのも自然なことだと思います。
 
 土田SDは2020年11月20日に当面病気療養することが公表され、2020年末の強化&編成については戸苅フットボール本部長と西野TDが対応し、その後もしばらく西野TDがフットボール本部の考えを表に発信し続けてきました。リカの招聘やその後の補強も専ら西野TD主導でなされたものと目されます。
 
 ところが、土田SDは今年6月にフットボール本部の仕事に完全復帰し、「速い攻撃を意識的に取り入れてゆく」ことをリカと話し合った旨をMDP(No.638 C大阪戦)で明らかにしています。サッカー観の異なる方が途中から主導権を握るようになったことをリカが「クラブのフロントにも変化があった」と感じるのも無理はないでしょう。
 
 これでは「土田SDが病気でしばらく休んでいる間に西野TDがサクサク進めていた人事。土田SDはそのままフェードアウトと思っていたらまさかの復帰!しかも西野TDの仕事ぶりを気に入らずにフットボール本部は大混乱!!って土田SDは『暗殺されなかった源頼家』じゃないのか!!」なーーんて陳腐なシナリオがまかり通りかねませんなぁ・・・

Fukuoka2211004  

 フットボール本部の内部、及びリカとの間に何があったのか、外野から逐一詮索してもあまり生産的ではありません。しかし、リカにここまでぶっちゃけ話をされた以上、この1年の総括=何が出来て、何が出来なかったのか、出来なかった原因は何か、そして後任の監督に何を期待して招聘したのか、その招聘理由はフットボール本部の掲げる目標に合致しているのか、等々表舞台に復帰した土田SDには大いに説明責任があると思います。これまでその辺の仕事は西野TDがこなしていて、一定の評価は得ていただけに。

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