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2022.11.01

リカルド ロドリゲス監督の監督職解除

・横浜Mに惨敗した翌日(10/30)から堰を切ったように「リカ退任」の話がスポーツ各紙からどっと流れていましたが、昨日(10/31)浦和から「リカルド ロドリゲス監督と、2022シーズンをもって監督職を解除することに合意いたしました」との公式発表がありました。

・同時に発表された小幡コーチ兼通訳については「来シーズンの契約を更新しない」と単なる契約満了なのが明らかなのに対し、リカは「監督職を解除することに合意」という見慣れない表現を使っているのが気になります。

・率直に読めば「契約満了」ではなく、かといって「浦和フロントの都合で一方的に契約を解除(=当然契約上の違約金が発生する)」した訳でもなく、「契約を双方合意の上で解除した(=合意内容次第ですが、違約金は無しorかなり少額で済む)」のでしょう。

・この点について唯一デイリースポーツが「ロドリゲス監督とは来季以降の契約延長で合意に達してたため、事実上の解任となる。」と突っ込んで書いていますが、デイリーは機関紙スポニチのように「浦和関連情報に強い!」という定評は特にありません。いったん契約延長の方向で動いていたのは間違いないのでしょうが、「合意解除」なのでリカが投げ出した可能性も少なくなく、「事実上の解任」とまで踏み込んで書いたのは単にデイリーの先走りなのかもしれません。

・「監督職を解除することに合意」という珍妙な表現になっている件については機関紙スポニチ等、もうちょっと信頼性の高い筋からの情報や後日公表される「3年計画の振り返り」を待つこととしたほうが良いでしょう。

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個人的にはリカの「合意解除」については、「あっても不思議はないシナリオの一つが発生したに過ぎない」と冷静に受け止めています。少なくとも「3年計画で新しいことにチャレンジしますが、リーグ戦の結果・内容ともズタボロだった監督は継続します!」みたいな全くもって理解に苦しむ決断でもなんでもありませんし。

・当然ながらフットボール本部が「3年計画」でやろうとしたことについて、リカにどういう役割を期待し、その期待に対してリカの2年間をどう評価した結果「合意解除」に至ったのか、そしてリカの後任がそれまでの3年計画でやろうとしたことと合致しているのかどうかについてフットボール本部は多大な説明責任はあります。

・今は山道&中村時代のようなサッカーの内容は「監督丸投げ」ではないので、フットボール本部の「やりたいサッカーの継続」は直ちに「監督の継続」を意味しません。従って、新監督招聘に至った理由がそれなりに説得力があり、ポリシーの一貫性が感じられるものなら特に不満はありません。逆にそこに何の説得力も感じられないのなら、それこそ「これまでの浦和の負の歴史の繰り返しじゃねぇか!!!」と大いに吹き上がるかもしれませんが、それはまた後日の話。

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・横浜M戦の観戦記でも少し触れましたが、リカのこの2年間での積み上げは思いのほか乏しかった、2年目にして頭打ち状態になったのは否めないと思います。

・ミシャ解任からの数年間を経てビルドアップの「ビ」の字も無くなってしまった廃墟状態のチームが試合を重ねる毎に成長してゆく様がはっきりと観て取れたリカ1年目は、最後に天皇杯奪還でフィニッシュしたこともあってほぼ満点の出来だったと思います。

・ただ「強度マシマシでガツンとプレッシャーをかけてくる」相手がどうにも苦手で、その傾向はチームがある程度形を成した1年目の終盤ですら顕著。2年目でもとうとう解消できないままC大阪&広島相手に大敗を喫して、これが「合意解除」の引き金になったものと目されます。

・もっとも2年目の停滞はリカだけの責任ではないのも確か。ユンカーの故障が長引いてCF不在のままシーズンインだとか、外国人選手の補強は五月雨的かつ満足に稼働しないといった辺りはフロントの責任のほうが問われて然るべきしょう。また2度にわたってチームにコロナ禍が直撃したのは不運といえば不運ですし、序盤戦にのど輪一発とか馬鹿げた退場が相次いで勝ち点を落としまくったのもこれまた不運に近いでしょう。

・さらに言えばコロナ禍に伴う入場料激減でとにかく金がないので、実績はあってもコスパの悪い選手は切らざるを得ず、補強はまたしても「J2オールスターズ」に留まったのは、フロントとしても「他にどないせいっちゅーねん???」と言いたくなるでしょう。ただその割には3年計画でリーグ優勝なんて掲げた目標がデカすぎた感は否めせんが。

・従って2年目の停滞はリカの責任ではなく、補強を筆頭に医療面・トレーニング面でのサポート体制の不備による面が大きかったとフットボール本部が率直に認めてリカにもう一年託すシナリオも十分あり得たと思います。

・しかし、リカ続投のシナリオは潰えて「監督職の合意解除」というちょっと変わった決着になったのは、(ほぼ邪推になりますが)ACL決勝進出後の成績不振の過程でリカの求心力が急速に衰えたためでしょう。横浜M戦の観戦記でも少し触れましたが、試合後に漏れ出てくるコメントからも主力選手の何人かからは信頼を失っているようにも伺えましたし、その前に広島戦の大敗後に江坂が「理想のサッカーだけじゃ勝てない」と監督批判と受け止められても仕方がない話をしていました。

・言葉尻を捉えるようですが、リカはどんな相手に対しても「理想のサッカー」を貫くタイプ(=ミシャが典型)ではなく、むしろ相手に応じて出方を変えるタイプの監督なので江坂の批判は的外れです。しかし、今年は序盤に思うように勝ち点が積み上げられなかったのが響いてリカが焦ってしまったのか、相手の出方に応じて出方を変えるというより単に迷走しているようにしか見えない試合も少なくなく、広島戦の大敗のように「最もやってはいかんことをやってしまった」結果、選手の信頼を大きく損ねてしまったような気がします。

・少なからずの選手達からの信頼を失ったことはリカも自覚したので、フロントから「すまんけど、あの話はなかったことに」というオファーに対して、リカも「もう選手が付いてこないから、来年続けるのは無理やな」とばかりに投げ出してしまったのが「合意解除」の真相ではないかと個人的には邪推しています。

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・内容は期待を大きく下回った上に、結果は天皇杯1つに留まりましたが、浦和という内外とも何かとややこしいクラブにリカが2年間真摯に向き合って頂いたことには感謝しています。特に負け試合の後には先頭を切ってスタジアムを周回して頭を下げる姿には胸を打たれました。今後はもうちょっと時間がもらえるクラブ、分不相応に高い要求を突き付けて来ないクラブでのご活躍をお祈りします。在任期間中に「南越谷阿波踊り - 浦和レッズ連」が実現しなかったのが心残りですが、2年間ありがとうございました。

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