【観戦記】第44回皇后杯4回戦:浦和L 3-1 AC長野 ~ 初めてのカンセキスタジアムとちぎ
1失点は余計すぎましたが、それ以外は実力差通りの完勝でした。
《スタメン》
・前節故障した柴田に代えて栗島をスタメン起用したほか、清家に代えて植村がスタメンに。またリーグ戦開幕後ずっと戦線を離脱していた佐々木がベンチに復帰。
《試合展開》
・浦和の基本フォーメーションはリーグ戦でずっと採用している4-4-2ではなく、どう見ても島田が右SH、猶本トップ下の4-2-3-1。
・5分遠藤からの縦ポンに反応した菅澤が右サイド深い位置で粘り、菅澤をインナーラップした猶本へ横パス。猶本がそのままボックス内へ運び、かつ自ら豪快にゴールマウスをぶち抜いて先制。
・18分には栗島の縦ポンで裏抜けした菅澤がそのまま独走して追加点。35分にはまた縦ポンで菅澤が裏抜けし、どフリーで併走する猶本に折り返す決定機がありましたが、猶本のシュートはGKの守備範囲内。
・試合後の菅澤の弁によると「相手のラインが結構高くなるところとディフェンスラインに少しばらつきがある」あたりを事前にしっかりスカウティングしていたようで、長野の高い最終ラインの裏を突く攻撃が見事にハマりました。
・それでも長野はやたら高い最終ラインを必死に維持しているので、浦和はほぼ一方的にボールを保持していても相手を自陣に押し込む場面はほとんどなく、押し込んでからの決定機は27分バイタルエリア中央の猶本が右サイドへ展開して遠藤のシュートで終わった場面だけだったかな?
・まぁ少々退屈な試合内容ながらもリードしているので変なボールの失い方さえしなければ何の問題もありませんし、長野に全く何もやらせないまま前半終了と思っていた矢先、珍しく長野に押し込まれた前半終了間際ぽっかり空いたバイタルエリアから奥津にミドルシュートを叩きこまれて、最初の被シュートで失点。長野サイドからすれば頑張って高い最終ラインを維持していたご褒美みたいなものに。
・前半両サイドとも攻撃面では完全に沈黙していたのを反省してか、後半に入ると左SH植村をやや高い位置に押し出したのが奏功。植村自身の動きも良くなって52分初めて左サイドを抉った形から決定機。さらに高い位置でのボール奪取から何度か決定機を掴んだ後、60分最前線で栗島の縦パスを受けた菅澤がCBに競り勝ち、ループシュートでGKを交わして三点目。
・その後はほぼ一方的な浦和ペースで、63分カウンターっっぽい形から猶本→植村の決定機があったものの追加点ならず。
・浦和が危なかったのは75分ぽっかり空いた浦和右サイドにサイドチェンジされてからのミドルシュートだけで、それもGK福田が難なくセーブ。そして後半の長野のシュートはこれ一本だけ。
・最後は故障明けの佐々木や若い西尾&丹野を投入する余裕も見せて楽々逃げ切り勝ち。
《総評》
・長野とは今季リーグ戦開幕戦で既に対戦済で、その際は浦和が「鋼鉄のザルっぷり」を遺憾なく発揮してやらずもがなの2失点を喫して無駄に競った試合になってしまいましたが、今回はしょーもない失点は1つのみ。得点はリーグ戦同様の3得点。しかもリーグ戦では個人技でのごり押しっぽい得点だらけだったのに対して、今回は相手の特徴をしっかりスカウティングして作戦通りの3得点なので内容も格段に向上。実力差通りのスコアでの快勝と評して差し支えないと思います。
・この試合で4-2-3-1を採用した理由について、楠瀬監督は試合後「猶本はトップ下でボールを引き出したりしてくれるので、そういう方が猶本の良さも出るかなと思いました。彼女は決定的なことができますし、サイドに置いていると彼女もいろいろやりたがってフラストレーションがたまるところもあるので、今日は思い切ってやってもらおうと思いました。」と説明。そしてその狙い通り猶本が獅子奮迅の活躍を見せてくれました。
・その反面割を食ったのが右SHに回った島田。スピードがある訳ではなく、ドリブルでカットインが持ち味でもなく、高精度のクロスが上げられる訳でもない島田をSHに回しても意味がないかと。島田は浦和の若手ではぶっちぎりにフィジカルが強く、最前線に出してナンボの選手で、島田を活かそうとするとリーグ戦で採用している4-4-2が最適なんでしょう。わざわざ4-2-3-1を採用した真意は作戦のオプションを増やすための試行錯誤だと思います。
・前半のやらずもがなの失点について、監督は「少し詰めが甘かったところがあって、先週の試合でINAC神戸レオネッサさんにやられたときも詰めが甘いところがあり、今週はそういうところを結構厳しくやっていたのですが、そこでやられてしまいました。」と反省しています。でもI神戸戦は詰めが甘いというより相手の狙いにずっぽりハマっての失点なので、甘さという意味では今回のほうが酷いかと。失点時に塩越が右サイドの守備に引っ張り出されてたような記憶が・・・
《選手評等》
・長期離脱から復帰した栗島はしばらく左SBでの途中出場が続いていましたが、この試合でついに本職のCHでスタメン出場。如何せん長期の故障明けなので、フィジカルコンタクトが多くならざるを得ないCHでいきなり使うのを避けていたのかもしれませんが。
・試合後は栗島本人としてはそれなりに手応えを感じているようですが、傍目には塩越との相性はあまり良くないように見えました。柴田&塩越だと比較的柴田が後ろで塩越が前に出る関係となり、右SHなのに中へ入りたがる猶本と前に出た塩越が両IHとなり、事実上柴田アンカーの4-1-2-3っぽい布陣となって結構いい感じ。塩越&栗島のコンビは役割の整理に時間がかかるかも。仕方ない話ですが。
・「カンセキスタジアムとちぎ」は初体験。2020年開場の最新鋭スタジアムで、全周2層式&全周屋根付きな辺りは長崎とそっくり。陸上競技場兼用の割には見やすいほうだと思いましたが、長崎よりはちょっと高さが足りない気も。ただ地方のスタジアムには珍しいことに鉄道駅から楽に歩いて行ける点は高く評価できます。また昼間だとメインスタンドは日影になるので、冬はバックスタンドでの観戦がベター。
-----菅澤-----
植村---猶本---島田
---栗島--塩越---
水谷-安藤--石川-遠藤
-----福田-----
(得点)
5分 猶本
18分 菅澤
45+1分 奥津(長野)
60分 菅澤
(交代)
81分 植村→西尾
84分 栗島→佐々木(佐々木が左SB、水谷がCHへ)
84分 島田→丹野(丹野が左SH、西尾が右SHへ)
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