岩波、まさかの浦和残留
フットボールクラブには3つの坂があります。 「上り坂」「下り坂」、そして「まさか」です。
ギアクマキスが浦和加入に向けたメディカルチェックを受けて「合格」したところまで行きながら最後の最後でアトランタに掻っ攫われた話も衝撃的でしたが、カタール1部アルサドへの移籍交渉のため沖縄キャンプにはハナから参加しなかった岩波がどういう訳か最終的には合意に至らず、浦和残留が決まったという話もこれまた衝撃的でした。これについても備忘録を残しておきます。
岩波の移籍話が表面化したのは今オフでも非常に早く、12/2には報知が「J1浦和のDF岩波拓也(28)がカタール1部の強豪アルサドに移籍することが1日、濃厚となった。」と報じています。報知によると「浦和で5年目のシーズンを終え、国内外の移籍を模索する中、今季から元神戸監督のリージョ氏(54)が指揮するアルサドから白羽の矢が立った。」とあって、浦和FB本部が積極的に岩波を放出したのではなく、岩波が移籍を模索した結果のようです。
その後長らく続報がなく、そのまま移籍話は立ち消えと思われたのですが、年明け1/11になってスポニチから「浦和のDF岩波拓也(28)がカタール1部アルサドに移籍することが10日、濃厚となった。海外移籍を模索しており、11日からの沖縄キャンプには参加しないという。」という続報が入り、同日浦和も「岩波拓也選手は、現在海外クラブと移籍交渉を進めているため、本日1月11日から実施するトレーニングキャンプには参加いたしません。」とスポニチの報道を追認しました。
そして岩波の移籍が確実視されたことから浦和FB本部は早々と岩波の後釜探しに動き、1/17にはノルウェー1部のFKボーデ/グリムト所属のマリウス ホイブラーテン選手を完全移籍で獲得しました。
ところが岩波の移籍話は1月も終わろうとする時期になっても続報がなく不審に思っていたところ、1/30になって突如報知とスポニチが「カタール1部の強豪・アルサドへの移籍交渉のためチームを離れていた浦和のDF岩波拓也(28)が残留する見通しであることが29日、分かった。」「交渉は順調に進んだとみられたが、最終的にはまとまらず、契約合意には至らなかった。岩波は急転、近日中に浦和へ再合流する見込みとなった。」と報じ、翌1/31には浦和も「岩波拓也選手は、海外クラブと移籍交渉のためチーム活動を離れておりましたが、明日2/1(水)からチームに合流することになりました」と確報を出しました。
岩波の移籍がなぜ破談になったのか確たる情報はありませんが、「アルサドが岩波を獲得する場合は外国籍枠の整理が必要だったにも関わらず、その整理が全然進まなかった」という話が流れています。破談の主因は判然としないにせよ、代理人が相当マヌケか、アルサドが結構なワルというだけの話であって岩波には特段の責任はありません。
岩波を責めるのは酷ですが、浦和FB本部としてはギアクマキス&岩波の「ダブル破談」は衝撃以外の何者でもなく、結果的に「前目が薄くてCBがやたら余っている」という歪な選手構成になってしまいました。またこれまた確たる情報はありませんが、岩波は浦和との契約が残っていてアルサドから移籍金が結構もらえるという話も出ていました。もっとも「ダブル破談」により浦和への財務的なダメージは(移籍金的にも年棒的にも)ほとんどないどころか無駄に金が余ってしまう可能性のほうが高いでしょうが。
問題はやたら余っているCBをどうするか。ショルツが鉄板中の鉄板なのは間違いないとして、新加入のホイブラーテンはビザの関係で来日が遅れてとうとう沖縄キャンプには間に合わず、コンディションだとか戦術理解という点では実は岩波とホイブラーデンは大差がないといか丙丁つけ難い状態のように思われます。
ただホイブラーテンは「左利きで、スピードもあり、長短のパスでゲームメイクもできるセンターバック。」というのが浦和フロントのウリ文句。コンディションだとか戦術理解という点で現時点では大差がないとしても、ウリ文句を額面通りに受け取れば基本性能は岩波を上回りすぎている上にスコルジャ監督のハイライン志向にも即しているように伺えます。さらに開幕してしばらくはコンディション&戦術理解面で先行する犬飼の後塵を拝する可能性が高いでしょう。
またチーム構想に全く入っていなかった岩波をスコルジャ監督がどう思うか。まぁ岩波の出来がよほど傑出しているとか、犬飼がまた長期離脱したとか、ホイブラーテンがポンコツだったとか、ポジティブであれネガティブであれ、何がしかのサプライズがない限り岩波の立場は結構辛いものになろうかと。さらに言えば辛いのは岩波一人ではなく、知念も相当辛いと思いますが・・・
| 固定リンク