ギオルゴス・ギアクマキス顛末記
浦和が獲得を検討していたセルティックFCのギリシャ代表FWギオルゴス・ギアクマキスが、オランダに渡って浦和加入に向けたメディカルチェックを受けて「合格」したところまで行きながら、移籍ウィンドウクローズ直前になってMLSのアトランタ・ユナイテッドFCに掻っ攫われるという、なんとも腹立たしい案件について、今後のために備忘録を記しておきます。
もっとも浦和の暗黒史を振り返ればこの案件はまだマシなほうで、最大級の屈辱は移籍交渉中だった外国籍選手がプレハブだった旧クラブハウスを見て「私にもプライドがある!!」と吐き捨てて即刻破談になってしまった件かなぁ・・・獲得したはいいがホームシックですぐに退団した選手っちゅーのもなかなかに酷いけど・・・とにかくお恥ずかしい話には事欠かないのが浦和です。
浦和がギアクマキス(28)の獲得に動いていることが判明したのは1/8の報知&スポニチの記事が嚆矢。この時点では「関係者によると交渉は順調に進んでいる」「すでにオファーを提示し、交渉は大詰めを迎えている」とあり、その後の大波乱を予感させるものは何もなかったのですが・・・
1/17には移籍市場に詳しいファブリツィオ・ロマーノ記者から「浦和レッズはセルティックとギオルゴス・ギアクマキスの移籍で合意に達した。 総額400万ユーロ(5億6000万円)だと理解してください。個人的な条件はまだ浦和と話し合っており、その間、MLSのアトランタはまだ選手との契約を試みている」とのツイートがあって、ここでアトランタがライバルとして登場。
その後ギアクマキスとアトランタはいったん個人間で移籍に合意したようですが、1/27のスコットランドのタブロイド「デイリー・レコード」によると、アトランタがセルティックに提示したオファーは「期限付き移籍+買い取りオプション」で浦和の条件をあまりに下回っていてセルティックが突き返したため、浦和の優位は動かず。
1/27夜にはギリシャメディア「SDNA」、スコットランドメディア「スコティッシュ・サン」は、ギアクマキスが浦和への加入に備え、飛行機でオランダの首都アムステルダムへ向かい、メディカルチェックを受けたと報じました。
ところが、1/28アトランタは浦和の400万ユーロ(5億6000万円)を上回る、移籍金470万ドル(約6億1000万円)&完全移籍のオファーを提示(別メディでは「アトランタが380万ユーロ(約5億3000万円)プラス、ゴール数や試合出場数に応じたボーナス90万ユーロ(約1億2000万円)での完全移籍のオファーとも)し、セルティックも容認したため浦和への移籍は夢幻に終わってしまいました。
ギアクマキスは185センチの長身を武器に20-21年はオランダ1部・VVVで得点王(26点)を獲得。セルティックに加入した昨季は14得点で優勝に貢献した実績十分な選手とはいえ、今季はFW古橋にレギュラーを譲る試合が続いているという立場。セルティックはギアクマキス売却を前提に韓国代表FWオ・ヒョンギュを推定移籍金250万ポンド(約4億円)で獲得しており、何としてもギアクマキスを高値で売りたいのも道理。アトランタが最初に提示したレンタル移籍を一蹴したのは当然でしょう。ところが純然たるマネーゲームに持ち込まれると浦和はMLSのクラブに勝ち目はありません。
セルティックの動きは狡猾とはいえ非常に判りやすいので個人的には気にならないのですが、どうも胡散臭いのはギアクマキス個人のほう。浦和とセルティックがクラブ間合意に達した後にサクサクと浦和とギアクマキス間で個人合意に達すれば何の問題もなかったのですが、それ以前にギアクマキスはセリエAのUCサンプドリアと個人合意に達したもののクラブ間交渉で浦和の提示する移籍金に到底及ばずに頓挫した経緯があったり、「『家族の事情』で日本行きを躊躇っている」との報があったりして、どうも浦和行きはあんまり乗り気ではなかったような気配がチラホラ・・・なんか獲得したところでモチベーションが上がらずにさっぱりワヤという気も少々(ほぼ負け惜しみですが)。
得点が期待できる(=これ超重要!!)電柱型FWって浦和には久しくおらず、それどころかなんでこのタイプを取りに行かないのか不思議だったのですが、ようやく獲得できそうな目途が立った!!と思ったらまさかの破談。今オフで前目はユンカー・江坂・松尾を放出した反面、補強は髙橋と興梠に留まっており、高橋はJ2オールスターズ、興梠も通年での稼働は難しいと思われることを勘案すると全く補強になっていません。浦和フットボール本部はこの破談劇を想定して二の矢を放てるのかどうか。プランBがないと稼働できるCFが木原しかいなかった昨年同様、補強失敗と評されても仕方ありませんなぁ・・・
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