【TV観戦記】23年第2節:横浜M 2-0 浦和 ~ これでも開幕戦よりはマシか・・・
昨年王者にがっぷり四つで挑んだものの、浦和がやりたかったであろうことを相手にやられる格好でものの見事に粉砕されました。ただ超格上の横浜Mに思ったほど ボコボコにはされなかったどころか明らかに良い時間帯もあったので開幕戦よりはマシな試合だったと前向きに捉えることもできましょう(と無理やり前を向く)。
《スタメン》
・浦和のスタメンは前節を全く同じ。サブも大畑→荻原と入れ替えたのみ。開幕戦で失態続きだった松崎もしぶとくベンチ入り。
・開幕戦の完敗を受けてスタメンはともかくサブは多少弄ってくると予想していただけに、入れ替えが一人だけだったのはやや意外でしたが、試合後スコルジャは「0-2で負けた後、同じスタメンでスタートしたのは少し変だと感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも、選手たちに自信を持って戦ってもらうために、同じスタメンにしました。シーズンがスタートしているところで、ミスを1回犯したことによって外される、ということを避けたかったのです。」と説明。
・横浜Mもスタメンは前節と全く同じ。サブもCBエドゥアルド→實藤と入れ替えたのみ。
《試合展開》
・浦和は目先の勝ち点に拘ることなく横浜M相手にハイライン&ハイプレスというスコルジャ流で試合に入りましたが、中盤での激しいプレスの掛け合いとなるとやはり横浜Mに一日の長というか5年くらいの長があり、3分には松原スローインから始まる一連の攻撃であっさりプレス網を突破されて永戸に決定機。浦和左サイドに相手を閉じ込めきれずに逆サイドへ展開されてしまうという、この試合の「負けパターン」の萌芽がここに。
・浦和守備陣はこれでびびったのか、あるいは相手が時折ロングボールを混ぜてくるのに混乱したのか、浦和のプレスは全然かからなくなってCKを与えまくった挙句、7分にはショートコーナーからいかにも仕込みに仕込んだっぽい松原のミドルシュートが枠内を強襲。さらに14分にはCKからの流れでエウベルのシュートがポストを直撃!!
・そして18分浦和のアバウトなクリアボールを喜田に拾われたところから始まる相手の攻撃を浦和左サイドに閉じ込められず、ロペスにポスト&ターンを許して永戸へサイドチェンジされたのを契機に永戸クロス→西村と左右に大きく振られて、西村のダイレクトの折り返しをロペスのヘッドで横浜M先制。ああ、スコルジャもこれをやりたいんだろうなぁ、と感服するしかない見事な崩しでした。
・その後も浦和は横浜Mのハイプレスを受けてビルドアップもままならず。リカの遺産はどこに行ったんや???と思ったのですが、リカ時代からハイプレスを仕掛けてくる相手は案外苦手(しかもドン引きの相手も苦手)だったので、そんな相手に対してビルドアップが急に上手くなるわけはないから仕方ないか・・・
・しかし、33分左サイドで明本のボール奪取&クロスの形が出来た辺りから浦和もようやく高い位置でのボール奪取ができるようになって遅まきながら反撃。西川のロングキックで横浜Mのハイプレスをすっ飛ばすのも有効で、36分には西川のロングキックをリンセンが収めたところからモーベルグ→右サイドを激走する酒井へ展開する良い形。ただ浦和が何度かサイドから良い形を作ってもクロスは誰にも合わず。相手の高い最終ラインの裏を狙って長い距離を酒井が何度も激走したのが悉く無駄骨に。
・浦和が多少良くなってきたところで44分横浜Mが反撃に転じ、エウベル→ロペス→エウベル→松原と左サイドから右サイドにうまく展開し、最後は右サイドでどフリーの水沼クロスが酒井のオウンゴールを誘ったように見えましたが、VAR介入でロペスがオフサイドとなり浦和は命拾い。でもこれもプレス網を掻い潜られて逆サイドへ展開されてしまうという同じやられパターンですなぁ・・・特にロペスを全然潰せてないのが辛い。
・良くも悪くも何の見せ場もないまま前半を終えたリンセンをスコルジャは早々に見切って後半頭から興梠を投入。そしてこの選手交代の効果は絶大で、興梠が引いてボールを収めて前方へ展開する形で浦和がついに決定機を作り始めました。
・しかし52分伊藤&岩尾のプレスでロペスからボール奪取→小泉スルーパスでモーベルグが裏抜けに成功し、ボックス内まで突入するも追いすがるCB角田を振り切れず、GKオビを交わすことも出来ずに最後は転倒。さらに57分には中盤に下がってボールを収めた興梠が前方へ浮き球のパス→酒井が裏抜けに成功しかかるもやはり角田を振り切れないでいるうちに複数人に囲まれ、最後は後方から走り込んだ小泉に託するも小泉のシュートはわずかに枠外。
・引いて受ける興梠が浦和の攻撃のキーなのは明々白々なためか相手の対策も早く、64分に松原に代えて本職CBの上島を投入した辺りから浦和の反撃は再び手詰まり気味に。スコルジャは不振を極めるモーベルグをとうとう諦めて66分に関根を投入するも、関根にキレも何も無くて交代の効果は全くなし。横浜Mは浦和の攻撃を遅らせ、浦和にボールを渡してしまう形にさえ持ち込めば浦和に横浜Mの守備ブロックを崩す力はないので試合は完全に膠着状態に。
・さらに横浜Mは70分エウベル→マテウス、水沼→井上、84分ロペス→マルコス、喜田→藤田と先手先手と選手を代えて早々と交代枠を使い切った一方、浦和はビハインドなのに85分になってようやく伊藤に代えて松崎を投入しただけで、まざまざと選手層の厚さの違いを見せつけられることに。スコルジャがせっかくベンチに入れた荻原を特攻起用しなかったのが謎。
・この交代で浦和の布陣は4-1-4-1(岩尾アンカー、小泉&大久保IH、関根左SH、松崎右SH)に変わったようですが、これがさして意味をなさないどころか松崎投入で傷口を広げてしまったのは開幕戦と全く同じ。一点差で耐えていればセットプレー一発かなんかで勝ち点1をもぎ取る可能性もなくはなかったのですが・・・
・そして案の定というかなんというか、89分に試合を決定づける追加点。明本の縦パスを対面の上島がカット→マルコスがフリック一発でホイブラーデンを剥がしたのが効いて西村→マテウスと完璧な形で仕上げ。マテウスがどフリーなのは酒井が戻りきれていないのが主因ですが、酒井は故障をおして無理に出場している上に、前半の激走が文字通り無駄走りに終わって体力を大きく削ってしまったのが祟ったかと。
《総評》
・新監督がチームづくりの過程で横浜Mと対戦するという意味では、リカの初年=2021年第4節とほぼ同じ。その時は浦和は相手にビルドアップの拙さを突かれて3分でいきなり失点し、その後も全く良いところなく結局0-3の完敗を喫しました。そして2年経ってもそのチームの成長スピードは期待値を大きく下回り、翌年第33節では1-4とボロ負けを喫しました。
・再び新監督を招聘しての横浜M戦。開幕戦で相性最良のFC東京相手ですら完敗を喫した浦和ですから、近年すっかり相性が悪いどころか往々にして屈辱的な大敗を喫してしまう横浜M相手に苦戦は免れないだろうと誰もが思ったことでしょう。
・そして試合の結果は案の定負け。しかも開幕戦と同じスコアでの完封負け。でも戦前予想よりも試合結果・内容とも悪くはなく、相手との力量差を考えれば少なくとも開幕戦よりはマシと思いました。
・序盤からハイプレス一辺倒で飛ばしに飛ばして後半顕著にガス欠に陥った開幕戦と違って前から行くところ、行かずにいったん守備ブロック作るところの使い分けは30分くらいから出来ていましたし、攻撃もいたずらに相手最終ラインの裏を狙うのではなく、縦に急ぐところ、じっくりボールをキープするところの使い分けも出来ていました。
・しかし、またしても無得点。興梠投入効果は絶大でしたが、57分の決定機のように興梠が中盤にまで引いてボールを受けることで初めて浦和の攻撃が活性化するとなるとこれはもう事実上ゼロトップ。そうなると興梠に代わって最前線に飛び出す選手が点を取らないと話にならず、現時点では頼みのモーベルグが不振を極めているのが祟っています。小泉はシュート意識こそ上がっているようですが、彼に得点を期待するのは酷かと・・・よっておいおい興梠&リンセンの縦並び2トップをやり始める気がしてなりません。
・なお当然ながらモーベルグをスタメン起用している件は試合後の記者会見でも突かれ、スコルジャは酒井共々故障明けでプレシーズンキャンプの間フルで全ての練習には参加できなかったのでコンディションは良くなく、試合に出しながらコンディションを戻していると説明していました。
・またチャンスメークを大ベテランの興梠に頼ってしまうのはどう考えても長いシーズンを乗り切るのは無理がありすぎ。スコルジャも「慎三の場合は、何分プレーできるのかが分からない」と語っているので興梠の無理使いはしないでしょうが。
・さらに言えば、今の浦和の決定機は手数をかけずに相手最終ラインの裏を取れた場合に限られ、しっかりボールを握ったというか持たされた格好では点が入る気がしませんし、しかもこの点は昨年からなんら変わっていません。浦和のボール保持は現状単に休むのが主眼になっている格好。選手達も「試合後チームとしてフィニッシュまでどう行くかということが明らかに乏しい」「ボールはもってペナ付近までは行けているけれども、最後の質の所であわなかったりという所があった」と同じような感想を持っているようです。
・フィニッシャーとしてリンセンに期待していたのですが、「あとはリンセンが決めるだけ!!」という形は今のところほとんど出来ていません。というか、それ以前にリンセンに何を期待しているのか、リンセンをどう使いたいのか、今一つはっきりしないようにも伺えます。このままでは昨年シャルクが加入してリカが何試合かテストしたものの結局最適解が見つからなかったのと同じコースを辿る悪い予感も少々。リンセンは典型的なCFではなく、ギアクマキス獲得失敗がモロに響いた格好に。
・守備面では開幕戦ではSBとCBの間を突かれ、横浜M戦ではプレス網を掻い潜られて逆サイドへ展開されてしまうという、ひと試合の中で同じやられ方を繰り返したのが少々気になりました。
・スコルジャの記者会見は腑に落ちることだらけ。試合前は前の試合の問題点とそれを踏まえて今週の練習で取り組んできたこと、次の対戦相手のストロングポイントの説明等を要領良く説明し(次の対戦相手の弱点・狙い目に触れないのは仕方ないけどw)、試合後は良かった点、悪かった点をこれまた納得できる形で話し、記者の質問にも誠実に答えています。チーム作りの様子、その過程で苦しんでいるところもがよくわかるだけになんとか頑張ってほしいものです。
・期待した外国人選手が不振に陥っているだけでなく、今オフの補強は補強になっていないどころか、前目が却って薄くなってしまうテイタラク。こればかりはスコルジャは如何ともし難く、カネがないクラブでもないのに今年も駒の質的不足で成績不振に陥ってしまうとフットボール本部自体が失敗に見做されることになりかねません。
・やろうとしていることは間違っていないものの、結果があまりにもプアなので、やろうとしていることまで否定されるのはよくある話。そしてまた地獄の釜の蓋が開いて浦和は再び何の定見もなくドブに金を注ぎ込む無限地獄へ・・・
《選手評等》
・モーベルグは故障明けで万全には程遠いのが明らかでも、途中投入された選手の出来を見るとスコルジャが騙し騙しモーベルグを使ってコンディションが上がるのを辛抱づよく待つのは仕方ないかと。松尾の流出でSHで使える選手が一枚減ったのが響いています。そしてもう松崎は諦めましょうや・・・
・同じく故障明けの酒井に至ってはそもそも代えがいない可能性が・・・馬渡の評価は非常に厳しいのかも。
・ホイブラーテンは開幕戦に出たこと自体が驚きだったので評価は甘目でしたが、2試合目ともなると攻撃面で周囲との連携不足が顕著でビルドアップにはたいして役に立っていない気が。この出来なら何かのきっかけで犬飼とスタメンが入れ替わっても不思議はないかと。
・この試合のDAZN解説は福田。浦和が苦しんでいる姿にさぞかしご満悦だったでしょうなぁ・・・ そうなるのが判り切っているのでこの試合はBSで観戦しました。
-----リンセン-----
大久保--小泉--モーベルグ
---岩尾--伊藤---
明本-ホイブラ--ショルツ-酒井
-----西川-----
(交代)
HT リンセン→興梠
66分 モーベルグ→関根
85分 伊藤→松崎
エウベル---ロペス---水沼
-----西村-----
---渡辺--喜田---
永戸-角田--畠中-松原
-----オビ-----
(得点)
18分 ロペス
89分 マテウス
(交代)
64分 松原→上島
70分 エウベル→マテウス
70分 水沼→井上
84分 ロペス→マルコス
84分 喜田→藤田
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