【TV観戦記】23年ル杯GS第1節:湘南 0-0 浦和 ~ 悪くはないが、決めきれる人がいないといういつもの光景
共にほぼスタメン総入れ替えで臨んだ一戦。浦和は前半で怪我人が二人出るアクシデントに見舞われたものの、試合内容はまずまず。ただ何度もあった決定機を決められず、「決めきれる人がいない」という昨年来お馴染みの光景がまたしても。
《今大会のポイント》
・今季のルヴァン杯はレギュレーションにいくつか重大な変更あるので、予め整理しておきます。
○ACL組もルヴァン杯に加わって参加チームが16チームから20チームに増加したため、グループ数が5グループに増加。
○今大会ではプレーオフステージ自体が廃止され、各グループ1位と各グループ2位の成績上位3チームのみが決勝トーナメントへ進む。
○21歳以下の日本人選手が1人以上先発メンバーに名を連ねなければいけない。
○準々決勝、準決勝はこれまでどおりホーム&アウェー方式で行われるが、2戦合計スコアが同点の場合の勝敗決定方法でアウェーゴールルールが撤廃された。
《スタメン》
・浦和はなんと直近のリーグ戦からホイブラーデンを除いて全員入替!! 浦和は彩艶スタメンでU-21スタメン義務をクリアできるのは結構楽。
・ベンチ入りできた選手でリーグ戦でも出場機会が少ない選手は大畑だけで、大怪我明けの犬飼はリバウンド等でコンディションが良くないのかも。また松崎はリーグ戦のあんまりな出来でスコルジャの逆鱗に触れたっぽい・・・ 知念などここでベンチにも入れない面子は現状戦力外かも?
・スコルジャは「ただ、私はこの仕事の道のりの最初のところに立っているということも考慮しなければいけません。パフォーマンスと結果を求めながらも、公式戦で選手を見ることによって、より把握することを同時に進めなければいけないと思います。そしてこの湘南戦も私にとって何人かの新たな選手を見るいい機会だと思っています。」と語っていて、これまでのレギュラー組と相性の良し悪しを見極める意味でスタメンの入れ替えは半分くらいに留めるものと個人的には解釈したのですが、スコルジャは予想以上にルヴァン杯をテストの場と割り切ったようです。
・湘南も直近のリーグ戦からWB畑を除いて全員入替。従ってどちらもお試し色の強いスタメン選考。なお湘南は畑がU-21。またアンカー高橋は関大の学生さんで、湘南に内定しているとのこと。
《試合展開》
・スタメンほぼ全員入替な上に3バックの相手と対峙するのが今季初めてという事情が祟ってか、立ち上がりは浦和の前プレは全くハマらず、逆に湘南の前プレに苦しんでボール保持もままならず、やや湘南ペースで推移。8分彩艶→ホイブラーデン→荻原とボールを運ぼうとしたところで、ホイブラーデン→荻原の呼吸が合わずに右WB畑にカットされ、畑クロス→中野の決定機を許してしまいましたが、幸いにも中野のシュートはバーの上。
・さらに運が悪いことに12分髙橋が相手との接触がないところで負傷して、スコルジャは15分にやむなく小泉を投入。小泉は例によってしょっちゅう下がってボールを受けるので事実上のゼロトップ状態に。中2日でリーグ戦(アウェー神戸)が控えているのでここで長時間興梠を使うのを避けた結果、小泉を起用せざるを得なかったとも言えましょう。
・しかし前半半ば辺りから場合に応じて平野が最終ラインに落ちることで浦和が安定的にボールを保持できるようになり、5-3-2で構える湘南守備ブロックの間で浮いている選手への縦パスも入りだして徐々に反撃。
・ただ良い形は何度か作るものの、決めきれる選手がいない。26分には荻原が小泉とのパス交換から長い距離を持ち上がったのを契機に関根→シャルクの決定機を作りましたが、シャルクのシュートは岡本がブロック。37分にはシャルクとのパス交換でWB畑を交わし、CB山本を振り切った荻原が左サイドを深く抉って中へ折り返すも関根はヒールで流し込めず。
・ATに入ったところで岡本と交錯した柴戸も故障してしまうアクシデント。前半終了も近かったのでスコルジャは一人少ないままやり過ごそうとしましたが、前半終了間際にショートコーナー→山下ヘッドでヒヤリ。
・故障した柴戸に代えてスコルジャは後半頭から伊藤を投入。これが効いて55分彩艶のボールキャッチから始まるカウンターで湘南の守備陣形が整う前に関根スルーパス→伊藤自ら長い距離を運んで好機を作るも最初のシュートはGK富居が左足でセーブ。その跳ね返りを拾ってシュートを放つも今度は枠外。伊藤は岡本が迫って来たのでコースをきっちり狙う余裕がなかったかなぁ・・・
・さらに58分これまた彩艶のボールキャッチから始まるカウンターで伊藤が自陣から長い距離を運んで関根に折り返すも関根のシュートはバーの上。先の決定機同様、素早い守→攻の切り替えで湘南が守備陣形を整えてしまう前に攻め切ったのは良かったのですが・・・
・湘南は65分山下→町野、阿部→鈴木、池田→平岡と前目3人を一挙に入れ替え。当初からの予定通りだった臭い交代でしたが、それでも浦和優勢の流れは変わることなく、68分には自陣深い位置でボールを奪った安居が右サイドの関根へ展開。関根が自陣から長い距離を運んで、最後は対面のCB大野を交わしてボックス内からシュートを放つもGK安居が好セーブ。
・浦和は70分に興梠&モーベルグを投入。77分にロングカウンターからモーベルグが切れ味鋭いドリブルで髙橋&大野を交わし、さらにボックス内でCB山本をも交わしてシュートを放つも、残念ながらシュートを放ったのは利き足ではない右足でGK難なくセーブ・・・
・そして浦和の攻勢はここまで。その後は運動量が落ちた浦和は再びビルドアップに苦しむようになって湘南ペースに転じ、何度も湘南にCKを与え、好位置でのFKも与えてしまいましたが、クロスボールは悉くホイブラーデンが弾き返し、彩艶も課題だったハイボールへ無難に対応するなど守備陣が踏ん張って湘南に決定機らしい決定機は与えず、スコアレスドロー。
《総評》
・試合の入りと終盤のぐだぐだ感は否めませんでしたが、それ以外の時間帯はほぼスタメン総入れ替えだったにも関わらず、スコルジャのやりたいであろうことが朧気ながら実現できていたような気がしました。前半に怪我人が二人も出て、しかも中2日でリーグ戦があるので選手交代での活性化が難しかったことを考えればスコアレスドローという結果はやむを得ないでしょう。
・湘南は球際が激しく、厳しくて柴戸が負傷してしまいましたが、汚いとは感じませんでした(その辺は汚いだけだったFC東京とは全然違う)。またリカのチームは鳥栖なども含めて概してそういうチームが苦手でしたが、この試合ではそういう手合いに互角以上にやれたのも好印象。結果は付いてこなかったが、悪い試合ではなかったと総括していいでしょう。
・守備は終盤右サイドがやや怪しくなったくらいで、8分の大ピンチ以外は流れの中ではほとんど破綻なし。スコルジャが試合後「戦術的にもしっかりと規律を守り、特にペナルティーエリア内での守備が良かったと思います。」と語ったのも過大評価ではないでしょう。
・攻撃は前半は5-3-2で構える湘南守備ブロックの間で浮いている選手へ縦パスを通してからの良い形が何度も見受けられましたし、後半は素早い攻守の切り替えからのロングカンターで決定機を量産しました。
・しかし決定機の数では湘南を圧倒したものの、結果はスコアレスドロー。スコルジャも試合後「まだレッズのストロングポイントがフィニッシュのところだと言える状況ではありません。」「正直、攻撃のところではまだ苦しんでいると思います。アタッキングサードが、我々にとって理想的なプレーができているスペースだと言うことはできません。」と率直に課題山積なことを認めています。
・リカの2年間で課題として残ったままだった最後の崩しの部分。残念ながらこの試合も同じことの繰り返し、「リフレインが叫んでいる」状態でした。スコルジャがトレーニングでここをどう解決するのか見ものです。またそれ以上にFB本部による新外国人CFの獲得=「カネで解決する」話がなかなか前に進まないのが気がかりです。髙橋が負傷してしまったので、ただでさえ手薄なCFがさらに手薄になってしまいましたが・・・
《選手評等》
・C大阪戦を見た直後は、後半投入された4選手の躍動を見て「スタメン選考が変だという疑念がぬぐえない」という感想を抱きましたが、ほぼスタメン総入れ替えで臨んだこの試合を見ると、C大阪戦で後半投入された4選手がレギュラーに近いだけ。それ以外はC大阪戦でベンチ入りはしたが出場機会がなかった彩艶と平野がレギュラーに近いくらいというごくごく当たり前の事実を確認しただけに終わりました。端的にいえば、スコルジャのスタメン&ベンチ入り選考はそんなに変ではないことがよく判りました。
・C大阪戦で犬飼に代わってベンチ入りし、この試合ではついにスタメン出場した岩波は終盤縦パスが全然入れられなくなった上に、守備でもかなりやられかかりました。キャンプ不参加が祟って90分出来るコンディションではないのかも。そしてベンチ外の犬飼は岩波以上にコンディションが良くないということなのかも・・・
・髙橋に代わって15分にやむなく小泉を投入し、その小泉を70分に下げて興梠を投入。試合後スコルジャは「ピッチ内でのコンタクトが多かったので、少しケガが怖くて交代しました」と説明していましたが、単に中2日で控えるアウェー神戸戦へ向けて出場時間をコントロールしただけでじゃないかと。
・平野が岩尾より圧倒的に勝っているのはダンスと外国人とのコミュニケーション能力なんで、CBが共に外国人な現在、状況に応じてやり方を変えるのは平野のほうが得意かも。
・モーベルグは叩き良化型っちゅーのはあながち嘘ではありませんでした。でも右足はやっぱオモチャやなぁ・・・
・でもモーベルグ&馬渡の縦並びって汰木&山中よりもさらに脆い「ベニヤ板2枚重ね」かも。あれはアカン。絶対アカン。混ぜるな危険。
・湘南のGK富居は浦和ジュニアユース出身だったのは知ってたけど、学校は木崎小→木崎中→武南高という「お前、絶対浦和サポだろ!!」というキャリアなのかw
・坪井は湘南も浦和も予備知識が豊富なせいか、結構いい解説だったと思いました。
・スイッチャーが相当マヌケ。セットプレー等試合が止まっている場面ではなく、試合が動いている最中なのになぜか選手のアップ画面を選択肢しがちで、どういう風にボールが動いたのか判らない場面がままあったのには参りました。
-----髙橋-----
シャルク---安居---関根
---平尾--柴戸---
荻原-ホイブラ--岩波-馬渡
-----彩艶-----
15分 髙橋→小泉
HT 柴戸→伊藤
70分 シャルク→モーベルグ(関根が左SH、モーベルグが右SHへ)
70分 小泉→興梠
80分 関根→大畑
---阿部--山下---
--山田----池田--
中野---髙橋----畑
-大野--山本--岡本-
-----富居-----
65分 山下→町野
65分 阿部→鈴木
65分 池田→平岡
88分 山田→若月
※写真は試合とは全く関係ありません。
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