【DAZN観戦記】23年第9節:川崎 1-1 浦和 ~ 川崎相手にボールを持たされる展開になるとは!!
浦和のボール支配率が59%と川崎戦とは思えないスタッツを叩き出しましたが、最終ラインなり、相手守備ブロックの回りなりでボールを回している時間帯が長いだけ。川崎の決定機逸に助けられた場面もあり、引き分けは妥当な結果でしょう。謎の「PK無しよ!」はともかく。
《スタメン》
・共にルヴァン杯から中3日。浦和はルヴァン杯から全員入れ替えで、リーグ戦前節札幌戦と全く同じ。
・出場停止のカンテに代わってルヴァン杯で活躍した早川がリーグ戦でもいきなりベンチ入りしたのが目を惹いた他、札幌戦比で馬渡→大畑、モーベルグ→リンセンと相変わらずベンチ入り争いも激しいのなんの。モーベルグがベンチ外になったのはこの試合をACLの予行演習と位置付けた(=ACLでモーベルグがメンバーに入らない)ものと邪推しましたが、その辺は試合後の記者会見では誰も触れず。
・川崎はルヴァン杯から山田→家長、チャナティップ→脇坂、佐々木→登里と3人入れ替えのみ。GKをチョン・ソンリョンをカップ戦要員だった上福元に代えたのは驚きました。
・なお川崎は負傷離脱中の選手が多く、CBジェジェウ、山村、田邉、FWダミアン、マルシーニョ、MFチャナティップなどが欠場。MF大島とFW小林悠は故障から復帰したばかりで、大島がなんとかベンチ入りしたものの、もう誰がレギュラーで誰がサブなのかよく判らない状態。とりあえずルヴァン杯で完全手抜き仕様の清水相手に大勝したメンバーをベースに浦和戦に臨んできたようです。
《試合展開》
前プレの掛け合いで試合に入りましたが、最初に決定機を掴んだのは浦和。12分高い位置でのボール奪取から関根のミドルシュートはGK正面。さらに15分西川のゴールキックを契機に大久保が斜めのパス→興梠フリック→ボックス内で関根折り返し→興梠の決定機を作りましたが、興梠のシュートはブロックされてしまいました。
しかし、その後の浦和はビルドアップに苦しんで最終ラインでボールを回している時間がやたら長くて攻撃は手詰まり気味に。小泉は終始シミッチに監視されている風でもあり、28分には自陣でバスの出し先を探しているうちに3人に囲まれてボールを失う大惨事も。でも、良い形でボールを奪いながらも決定機どころかシュートにすら持ち込めないのが川崎の弱体化を如実に表しているようでもあり・・・
また浦和の前プレはそれなりに効いていて川崎もビルドアップに困り、川崎もボールを支配して相手を自陣深くに押し込んでしまう展開にはならないので前半は結構シオシオに。ただ川崎がGKをチョン・ソンリョンから上福元に代えた効果は結構あって、浦和がGKにプレスをかけてもほとんど意味がなく、高い位置でボールを奪えた場面はあまりありませんでした。
浦和は45分自陣からの小泉縦パスを契機に、右サイドから大久保縦パス→明本が敵陣深く抉って低いクロス→興梠の決定機を作りましたが、これまたシュートブロックされて得点ならず、前半終了。
試合が動いたのは48分。瀬古の縦ポンを受けた家長が右サイドでマリウスを交わして深い位置まで侵入。クロスは伊藤に当たるなどして混戦模様になりながらも、浮いたボールを脇坂がボレーで決めて先制。今季の浦和が得意そうな超シンプルな攻撃で川崎が先制するとは!!
浦和は相変わらずビルドアップに苦しみ、66分ショルツが自陣深い位置で縦パスを至近距離で遠野にカットされる大失態!!ショルツは遠野に入れ替られてあっさりボックス内に侵入され、ラストパスがどフリーの脇坂に通る絶体絶命の大ピンチを迎えましたが、シュートはマリウスがブロック。この超絶決定機を決められないのが今の川崎・・・
試合結果を大きく左右したであろう不可解な判定があったのは68分。浦和が川崎を自陣深くに押し込んだ状況下で関根の縦パスをボックス内で収めようとした興梠の足をCB高井が後ろから蹴っているのがDAZNの画像ではっきり確認できるにも関わらず、谷本主審はVARと交信しただけでOFRには至らず、PKなし。しかも主審がVARと交信している間に、車屋がなにやら興梠を挑発しているように見える一幕も。
73分に両チームの監督が動き、浦和は大久保に代えてリンセンを投入して4-4-2に。川崎は一挙に3人代えて大島をトップ下に。77分にはボールを高い位置で奪ったシミッチのシュートがポストを直撃!!
リンセン投入後も手詰まり感が払拭できない浦和は80分には柴戸・安居・早川を一挙に投入。これがいきなり奏功して、早川&荻原のコンビで左サイドで縦にボールを運び、前線で早川が相手に囲まれながらもボールを繋ぎ、荻原が中へ折り返してリンセンがワンタッチでフィニッシュ。
同点に追いつかれた川崎は85分遠野に代えて大南を投入してなぜか5-3-2に布陣を代えたものの、ほとんど効果はなくて浦和が攻勢。AT+3分荻原クロスがボックス内で明本に通る良い形を作りましたが、ダイレクトボレーは得意だが地面に転がっているボールの扱いは巧くない明本のシュートはあっさりブロックされてしまいました。ラストプレーでは早川が柴戸とのワンツーでボックス内に突入するものの、これまたシュートはブロックされてはるか上空へ。
ブロックされたシュートが多かったせいか、シュート数は記録者によって少々差があって公式記録では川崎7、浦和9。DAZNでは川崎8、浦和11。枠内シュート数でも、ボックス内からのシュート数でも浦和が優勢。何の慰めにもならないことで悪名高いゴール期待値でも浦和が優勢な時間帯が長かったようですが、個人的には浦和は川崎の決定機逸に助けられただけ印象が強く、決定機の質では劣勢。よって引き分けに終わったのは妥当だと思いました。68分のPK無しは全く納得できませんが。
それにしても川崎戦で浦和がボールを持たされる展開になるとはスコルジャも夢にも思わなかったでしょうなあ。試合後の会見を読む限り、鬼木監督はあえて浦和にボールを持たせたわけではなさそうで、川崎も川崎で「浦和に一方的にボールを支配される試合になるとは!!」と思っていたかもしれません。双方の思惑違いからドローゲームになったとも解釈できます。
ただ川崎は浦和が足元不如意なGKチョン・ソンリョンに対して厳しく前プレをかけてくることを見越して上福元に代えたり、「小泉クラッシャー」としてシミッチを起用するなど、怪我人だらけなりに「対浦和スペシャル」的な面子で試合に臨み、それらがそれなりに奏功した結果、下位に甘んじている割にはかなり手強いチームに仕上がっていました。超決定機を決められないことだけは鬼木監督ではどうしようもないようですが。
一方、浦和は良くも悪くも普段通りの面子で、普段通りに闘いました。強度が高い相手と「ACL決勝へ向けての最終テスト」が出来たのは幸いで、プレスのきつい相手に小泉の強度不足がまたしても顕わになった辺りをスコルジャはどう考えるかなぁ・・・
苦戦を強いられた末にドローに終わってしまったものの、なんだかんだと公式戦は最初に連敗した以降は負けなしで、リーグ戦は首位神戸と勝ち点2差の4位まで浮上。開幕戦のあんまりな負けっぷりを見た時は「ACL決勝ではせめて恥ずかしい試合だけはしないでくれ」と思ったものでしたが、今やそれなりに期待感をもってチームをサウジへ送り出せるようになるとは!!いやはや、スコルジャ監督恐るべしです。
《選手評等》
・この試合の最大の収穫は何といっても早川。ユース在籍中の選手がリーグ戦でベンチ入りしただけでも驚きなのに、1点ビハインドの局面で投入されるって、スコルジャ目線では「若手を試合に慣れさせる」どころかバリバリの戦力扱い。そして早川は監督の期待に応えて投入直後に大仕事をしただけでなく、最後の最後に見せ場も!!
・体は小さいのに体幹がしっかりしているのか、相手に囲まれようが当たられようが全然倒れないしボールも簡単には失わない。早川本人が「自分がスピード系、ドリブル系の選手ではない」と語るように、サイドアタッカーとしては際立った特徴を上げにくい選手で「相手が嫌がるところにちょこちょこ顔を出しながら、ボールを出し入れしてナンボ」の選手。「当たり負けしない小泉」というのが一番近いかも。
・そしてその早川がACL決勝へ向けての切り札になるのかも。3つしかないACLの外国人枠のうち2つはショルツとマリウスが鉄板中の鉄板。残り1枠は興梠が90分使えないことを考えるとCFに外国人枠を当てざるを得ないでしょうからモーベルグが入る可能性は極めて低く、サイドアタッカーの替え駒にはスコルジャも頭を痛めていたことでしょう。そこに最後の最後で試したユースの選手に僅かな光明を見出すとは!!
・ユースの新卒ってすぐにはトップで使えないのが当たり前と思っていたら、ユース在籍のままでも使える選手は実に使える。橋岡&荻原、そして彩艶を除くと最近の浦和ユース卒の選手はおしなべて苦労していますが、この辺実力が全ての世界は残酷なものです。
・リンセンはようやく浦和でのリーグ戦初ゴール。そんなに易しくは見えない形ながらも、いかにも点取り屋らしい完璧なフィニッシュでした。スコルジャがACL決勝にカンテを選ぶかリンセンを選ぶか、ハイレベルな競争とは言い難いのが残念ですが、この試合の出来で辛うじてリンセンも選択肢に残ったという感じかなあ・・・ひょっとするとリンセンの正しい使い方って「フィニッシュに専念させること」なのかもしれませんが、そんな選手はスコルジャ的には要らんからなぁ・・・
・明本右SBは守備こそ頑張ってくれるものの、やっぱり左利きなのが祟って攻撃面ではあまり役に立ちません(特にクロスには多くを期待できない)。ATの決定機に象徴されるように、左サイドで作ってファーに明本が突入する形が望ましいものの、フィニッシャーとしての明本はかなり残念なのが仕様。よってさすがにACL決勝で2試合とも酒井が故障したまま出られないとなると相当きついかと。酒井が大原で練習している姿がインスタで公開されていますが「逆アジジ作戦」な気も・・・
-----興梠-----
関根---小泉--大久保
---岩尾--伊藤---
荻原-マリウス--ショルツ-明本
-----西川-----
(得点)
81分 リンセン
(交代)
73分 大久保→リンセン(4-4-2になって、小泉右SHへ)
80分 岩尾→柴戸
80分 興梠→安居
80分 関根→早川
85分 小泉→大畑(早川右SH、荻原左SH、大畑左SBへ)
遠野---宮代---家長
-----脇坂-----
---シミッチ--瀬古---
登里-車屋--高井-山根
-----上福元----
(得点)
48分 脇坂
(交代)
61分 瀬古→大島(大島がトップ下、橘田がCHへ)
73分 脇坂→橘田
73分 登里→佐々木
73分 宮代→山田
85分 遠野→大南(大南がCBに入って5-3-2へ)
※写真は試合には全く関係ありません。
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