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2023.05.15

【観戦記】23年第13節:浦和 3-1 G大阪 ~ 東口のATフィールドが壊れとる!!

 前半の出来は芳しくありませんでしたが、儲けもののようなPKで前半のうちに追いついたのが幸い。総じてG大阪の迷走っぷりに助けられた感は否めませんが、ACL明けで連敗という最悪コースだけはなんとか回避できました。

《スタメン》

 浦和は鳥栖戦から中3日で大久保→関根、シャルク→小泉、伊藤→リンセン、カンテ→興梠とスタメン4名入れ替え。前節スタメンだった伊藤、大久保、カンテ、シャルクはいずれもベンチスタートで、前節ベンチ外だったリンセンがスタメンに入ったため、柴戸がベンチ外に。

 スコルジャはACL決勝まで基本メンバー固定で、その後徐々にいろんな選手を試してゆく、さらに戦術のバリエーションを広げてゆく旨を公言していましたが、リンセンをスタメンで、しかも興梠と併用する形で使ったのはその方針に則ったものでしょう。

 一方週央に試合がないG大阪はGK谷→東口、MFネタ→山本、MF石毛→宇佐美とスタメン3名入れ替え。今季アンカーとして鉄板レギュラーだったネタ・ラビが家庭の事情によりイスラエルへ一時帰国中とのこと。

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《試合展開》

 浦和は興梠&リンセンを併用したため、基本フォーメーションは非常にはっきりした4-4-2。小泉が左SH、関根右SHでスタートしました。
 
 一方G大阪の基本フォーメーションは4-1-2-3のようですが、後述のように守っている時間帯が非常に長くて食野やアラーノのポジションが低く、かつ宇佐美が割とフリーダムに動くので、はっきりしたジェバリ1トップの4-4-1-1っぽく見える時間帯が長かったように感じました。
 
 そして布陣以上に驚いたのが、G大阪が全然ボールを握ろうとしないどころか、まるでボールを捨てるようにロングボールをジェバリ目掛けてバンバン蹴ってくること。G大阪はこれまでボール支配率だけはやたら高くてJ1トップクラスというスタイルでしたが、あまりにも結果が出ないのでポヤトスがとうとうブレ出したのかなぁ・・・
 
 でもショルツ&マリウスを擁する浦和相手にロングボール攻撃なんて神戸ですら通用しなかったシロモノ。G大阪が通用するはずもなく、当然ながら両CBに簡単に迎撃されてしまい、ボールは早い時間帯から浦和が一方的に支配。
 
 しかしスコルジャが戦前「ボールをポゼッションするチーム」と評していた相手とは真逆で、全く予想外の試合展開になってしまったため、浦和もただボールを握っているだけに。
 
 もっともこれまたスコルジャが戦前「決勝が終わりましたので、チームに変化をもたらしやすい状況になったと思います。コーチングスタッフとも話し合っていて、例えばフォーメーションもいろいろなアイデアが出ています。そういうことは今後試していくことになると思います」と語っていたことの表れとしてリンセンと興梠の併用とか、頭から安居をCHに下げて岩尾を組ませるといった試行錯誤があまり上手く行っておらず、そこに予想外の試合展開という事態が重なってグダグダの試合になったのかもしれません。
 
 とはいえ、G大阪も浦和にボールを持たせて何がしたいのかよくわからず、非常にしょっぱいまま時間が徒過しましたが、23分ジェバリが最初の決定機でほぼ個人技でねじ込んでG大阪がまさかの先制。ジェバリにはショルツがしっかり付いていたので何事も無かろうと思って見ていたのですが、まさか横に動いてわずかに空いたシュートコースからねじ込んでくるとはなぁ・・・そしてここでやられてしまうのがショルツの疲労困憊ぶりの表われなのかも。
 
 まさかの先制を許した浦和は小泉と関根の左右を入れ替え、なおもほぼ一方的にG大阪を自陣深くに押し込むも決定機を作るどころか、シュートに持ち込むことすらままならず。

 しかし、42分浦和が初めて作った決定機=岩尾スルーパス→ボックス内で興梠シュートはCB福岡に簡単にブロックされてしまいましたが、足でブロックしたボールが福岡の高く上げた手に当たってしまい、OFRの結果ハンドでPKに。45+2分ショルツが東口の逆を取った格好でPK成功。甚だ不格好ながら前半のうちに同点に追いつきました。
 
 スコルジャは試合後「そしてブライアンを交代したのは、彼のパフォーマンスが悪かったというより、この形がうまくいかなかったからです。もう少し練習を重ねてから、今後またこの形も試していきたいと思っています」と前半の不出来を率直に認めて、後半頭からリンセン→大久保、小泉→伊藤と交代。
 
 安居がトップ下にいるのと、酒井が不在な以外はフォーメーションも含めてほぼACL決勝仕様に戻したところ、現金というかなんというか浦和はボールの回りが良くなり、47分アーク付近でこぼれ玉を拾った安居がミドルシュート。52分には左サイドからカットインした関根がそのままシュート。
 
 このプレーから立て続けにCKを得た浦和は54分CKからの流れでショルツが浮き球で短い縦パス→ボックス内で大久保が2人がかりの相手を抑え込みながらなんとか押し込んで浦和が一気に逆転!!

 さらに59分東口のゴールキックに始まるG大阪の稚拙なビルドアップに対して浦和の前プレがついにハマって、伊藤がアーク付近でボール奪取。伊藤のシュートは至近距離で東口が防いだものの、こぼれ球を拾った安居が体勢を立て直した東口の位置を冷静に見定めてゴール!!
 
 しかし、浦和はそのまま楽勝とはならず、お疲れのためか自陣で致命傷になりかねないミスが連発。61分には左サイド深い位置で荻原が実にしょーもない形でボールを失ったのを契機にジェバリに際どいシュートを撃たれてヒヤリ。
 
 G大阪は好機を逃さじとばかりに63分食野→杉山、宇佐美→鈴木、山本理→倉田と一気に三枚替えをしたところで、70分今後は岩尾が自陣でボールロスト!!しかし、杉山のシュートははるか上空へ。
 
 浦和後半最大のピンチは72分アラーノスルーパス→半田のシュートがわずかにマリウスがブロックしようとした足に当たってコースが変わったのが災いして西川の喉元を直撃!!しかし、セーブはセーブで難を逃れました。75分倉田FK→クォンヘッドは勢いがなくて西川余裕を持ってセーブ。
 
 スコルジャはどう見てもヘロヘロ、ヨレヨレの荻原を放置し、73分関根→シャルク、興梠→カンテと前目を代えて反撃開始。この交代はかなり効果があって、既に守備陣形もへったくれも無くスカスカのG大阪に対し、87分右サイドから大久保クロス→ファーでカンテに収まるもののシュートは東口の正面。そして90+3分には大久保スルーパス→カンテがついにゴーーーーール!!と思いきや、VARでわずかにオフサイド判定に。決定的な4点目は奪えませんでしたが、長いATにさしたる紛れも無く浦和が逃げ切り勝ち。

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《総評》

 公式スタッツだとシュート数浦和13対G大阪10、DAZNだと16対16(枠内13対11)。ボックス内からのシュート数も拮抗していたようで、それらのスタッツ通り3-1という結果ほど両チームの出来に差はなかったと感じました。もっとも「ハイレベルの競り合い」ではなく、あまり上手く行っていないチーム同士の「黒ひげ危機一髪」みたいな試合だったという感想ですが。より多くババを引いたのがG大阪だっただけで、浦和の出来も決して褒められたものではないでしょう。
 
 でも浦和の3点目に見られるように、「G大阪がより多くババを引く」のは偶然ではなく、浦和がそうなるように追い込んでいたのも確かなので浦和の勝ちは妥当と言えば妥当でしょう。
 
 浦和の不出来は「ショルツまさかのぶち抜かれ」とか終盤の荻原&岩尾の「自爆ボタンをぽちっとな」に象徴されるようにACL決勝での疲労を引きずっている選手が少なくないのが主因でしょうが、それに加えてスコルジャが「過去の記者会見で、ACLの決勝が終わった後にはいろいろな形を試していきたい、と言っていましたが、その内の一つが今日の形でした。もちろん、他にもアイデアはありますので、それもチェックしたいと思っています。」と語っている通り、ACL決勝明けから新しい面子、新しいやり方を試行し始めたためでもありましょう。しかも過密日程でロクに練習時間も取れないまま。
 
 ただスコルジャは「結果を第一に考えながら、それを行っていかなければいけません」とも語っているように、「試行錯誤の期間だからある程度勝ち点を落とすのはやむを得ない」とすっぱり割り切らず、テストを途中で打ち切ってある程度勝ち点が計算できる基本形に戻し、実際勝ち点3を取ってしまうのはたいしたもの。この辺がポーランドリーグでコンスタントに好成績を収めた名将たる所以なのでしょう。

 そしてACL決勝明けの過密日程で下位に低迷するチーム相手にまさかの連敗を喫して、それ以降チームの歯車が狂いっ放しという最悪コースを免れたのは何よりでした。
  
 一方完全に迷走しているのがG大阪というかポヤトス監督。「ボール支配率はやたら高いけれども全然点は入らずに大量失点を繰り返す」って「リカ浦和の黎明期の劣化版」みたいなものをイメージしていたのですが、まさかボールを握るのをあっさり止めてしまうとはなあ・・・あまりにも結果が出ないのでクビが涼しくなった監督の末期症状なのか、あるいはポゼッションだとかポジショナルサッカーなんてかなぐり捨ててほぼ「劣化版長谷川健太サッカー」で最低限の結果は出ているアルベル監督を見習ったのか、いずれにしてもかなり悲惨なご様子。
 
 またボールを持ちたがるチームなのに最後尾からのビルドアップが上手くないのは実に哀れですなぁ・・・浦和がリカ向きの選手をそれなりに揃えた上で新シーズンに臨んだのに対し、G大阪はどうもそうでもないようで。この試合でGKを谷から東口に代えた理由は傍目からは良く判りませんが、東口はシュートストップ能力こそ神がかっているものの、足元はやや不如意系。
 
 スコルジャは戦前「しっかりとハイプレスをかけてゲームコントロールしたいと思います。ただ、賢くプレーすることが必要だと思います。ボールをポゼッションするチームに対して、自陣でボールを奪ってカウンターを仕掛けるということも有効になると思います。そういったところからの失点が多いチームでもありますので、ボールを奪った後の切り替えのところでしっかりと仕掛けることができれば、チャンスも生まれると思います」と手の内を明かしていましたが、完全にそのやり口で点を取ってしまうのですからスコルジャは笑いが止まらないでしょうに。

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《選手評等》

・大久保がついに今季初ゴール!! 報知によると大久保は「全然点を取れていない浦和の2列目がネット上でボロクソに言われている」ことをわざわざエゴサした上で気に病んでいた様子。そして林コーチからも「最近、プレーはいいのにゴール前の20mは急に“人間”に戻っちゃう。ゴール前になると成功率10%くらいしかないよね」「もっとループパスを出すとか、もっとゴール前を楽しんじゃえば?」とアドバイスをもらったのが多少は役に立ったのか、ついに今季初ゴール!! ドリブラー大久保らしくない泥臭いゴールでしたが、ゴールはゴール。それでいいのだ。

・この試合の収穫はカンテがついにチームに馴染み出したこと。鳥栖戦までは「なんかボールはそれなりに収まるけれども、シュートを撃たないので相手は全然怖くない残念なFW」と思っていましたが、この試合では2度決定機に絡み、2度目は僅かにオフサイドになってしまいましたが、あの距離から威力十分のシュートでゴールをぶち抜く辺りはただものではありません。未だ正しい使い方が判らないまま絶賛迷走中のリンセンにだいぶ差をつけた感じ。

・スコルジャの評価が完全にシャルク>モーベルグになったのもびっくり。もっともシャルクもこれまた正しい使い方が判らずじまいで、左SHで空回りしたまま試合終了。荻原も空回りする傾向がある選手なので、左サイドの「ツイン空回り」は非常に危険でした。モーベルグはよほどコンディションが良くないのかなぁ・・・

・故障をおしてACL決勝に出た酒井は鳥栖戦・G大阪戦とお休み。試合後のスコルジャの話では「宏樹に関しては、次の試合で戻ってきてくれればと思っています」とのことなので、復帰は近い模様。やっぱり右SB明本はかなり無理があるからなぁ・・・

・この試合の観客数は31,440人に留まりました。G大阪戦はビジターも結構入るのでコロナ禍前なら4万人弱はコンスタントに入るカードなので、雨天予想が多少祟ったとはいえ大幅減なことは否めません。過去なんとなく習慣的に埼スタへ来ていた方の少なからずが「コロナ禍の3年」で埼スタへ来る習慣が失われて、そのまま戻ってこなかったのかも。こうなると営業としては国立開催に踏み切るとか新しいことをやらざるを得ないかと。

・この試合の前にはWEリーグの大一番「I神戸vs浦和L」が開催され、浦和がアウェーゲームを制してリーグ優勝に大きく近づきました。朝井さんはその結果についてハーフタイムには触れずに試合終了後に触れたというのは、「トップチームに直接関係ないことを試合中に持ち込まない」という浦和ならではのポリシーに従ったものかな?試合後に朝井さんが浦女の結果にがっつりコメントしていたので、気にしていない訳ではなかったのも明白でしたし。

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---興梠--リンセン---
小泉--------関根
---岩尾--安居---
荻原-マリウス--ショルツ-明本
-----西川-----

(得点)
45+2分 ショルツ(PK)
54分 大久保
59分 安居

(交代)
HT 小泉→大久保
HT リンセン→伊藤
73分 関根→シャルク
73分 興梠→カンテ
90+1分 荻原→大畑

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アラーノ---ジェバリ--食野
--ダワン----宇佐美-
-----山本-----
黒川-クォン---福岡-半田
-----東口-----

(得点)
23分 ジェバリ

(交代)
63分 食野→杉山
63分 宇佐美→鈴木
63分 山本理→倉田
87分 アラーノ→石毛
87分 黒川→三浦

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