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2023.06.04

【今季振り返り】22-23年第21節:浦和L 4-0 大宮V ~ WEリーグ優勝おめでとう!!

 前節「田代砲」で気合注入されまくった長野相手に気迫負けという非常に残念な負け方をしてしまった浦和。そこから優勝がかかったホームゲームの大一番でどう立て直すかが見ものでしたが、幸いにも大宮は完全に消化試合モード入りしていて歯ごたえも何もありませんでした。立ち上がりからほぼハーフコートゲームと化し、浦和はその間に着々と得点を重ね、ホームゲーム、しかも5000人弱も集まった大観衆の中でWEリーグ優勝を決めました。

 試合はワンサイドゲームすぎてわざわざ振り返るに値しないので、ここでは今季の浦和について雑感をつらねることにします。
 
 とにかく今季の浦和は後ろ目のやりくりに難儀しました。CB長船が依然長期離脱中な上にGK池田が昨年6月の代表合宿で重傷を負って離脱。また昨秋のカップ戦では不動のレギュラーだった左SB佐々木もコンディションを崩したのか、リーグ戦序盤はベンチ外が続きました。しかもCB南がASローマへ移籍したにも関わらず、CBの補強はなしという何とも不可解な状態で浦和は開幕を迎えました。
 
 そこで楠瀬監督はGK福田、CB石川と若手を抜擢しましたが、相方のCB髙橋はなを含めて経験が浅い選手だらけのせいか開幕時はバカ試合の連続。幸いそれを帳消しにして余りある攻撃力、まさに「鋼鉄のザル」状態で勝ち点3を拾いまくりましたが、ぶっちぎりで優勝したチームがそんな超不安定な状態からスタートしたことは記憶に留めて置くべきでしょう。最初から確信をもって優勝に値すると言えるチーム状態ではなかったと。
 
 転機となったのは昨年11月の代表合宿中に髙橋はなまでも負傷して長期離脱を余儀なくされたこと。いよいよCBの駒がいなくったところで楠瀬監督はなんとCBに安藤のコンバートを決断!!当時安藤40歳、石川19歳と年齢的には「ほぼ母子」で最終ラインを守る格好になりましたが、このコンバートが見事にハマって浦和の最終ラインは急激に安定し、以後複数失点を喫したのは皇后杯準々決勝を含めて4試合に留まりました。
 
 安藤は165cmしかないもののWEリーグだと物理的に殴ってくるCFはほとんどいないので、フィジカルが強い安藤のCB起用は本人さえ納得すればそんなに変ではないとは思いましたが、ここまでやってくれるとは!!サッカー脳が高すぎて「経験の無さ」なんて何の問題にもならなかったみたいで。
 
 そしてメンタルが強靭な安藤が最終ラインに加わったのが良かったのか、若い福田や石川も試合中変に慌てるようなことは次第になくなって安定感を増してゆきました。特に石川の一対一の強さ、そして強気にバンバン縦パスを突き刺してゆく様は圧巻で、おまけに第9節アウェー新潟戦では闘莉王を髣髴させる豪快なヘッドが炸裂。もはや石川アレクサンダー闘璃音。良い意味で浦和には長くおらんでしょうなぁ、これは・・・熊谷→南→石川と続くワールドレベルの浦和産CB列伝・・・
 
 さらに言えば今季の浦和の守備が急激に安定した一因として右SB遠藤の成長も見逃せません。昨季の浦和はとにかく中下位チーム相手に取りこぼしが多くて、それが優勝した神戸に大差をつけられた2位に留まった主因でしたら、今季の取りこぼしは前節の長野戦だけ。昨季は中下位チーム相手にボールを一方的に試合してるのに攻めきれずにカウンターを食らって勝ち点を落とす試合が目立ちましたが、今季はそんな場面すらあまり目にしなくなりました。
 
 昨季の浦和は清家を右SBに配したものの、実際は右SBとは名ばかりで、攻撃時やたら高い位置に押し出して「戦術兵器」として活用していましたが、やはりそれには無理があってカウンターを食らう素地になっていたのでしょう。今季は遠藤を右SBに配して清家を右SHに配したことで攻守のバランスがぐっと良くなったものと目されます。
 
 しかも遠藤は守備専ではないどころか、清家との相性が極めて良くて、相手が清家ばかり警戒しているとその後ろからやたら重心の低いドリブルで右サイドを深々と破り、クロスどころか遠目からシュートを撃ってくるクソめんどくさい選手に!!

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 得点力は昨季同様強力なままどころか、1試合未消化な現時点で45点と昨年の得点(40)を既に上回っています。しかも注目すべきなのは清家11、菅澤9、島田8、猶本6と前目の選手がバランスよく点を取っていること。昨年の得点が菅澤一人に集中(14点)しているのと大違いです。
 
 浦和の攻撃の基本形は何だかんだと言っても「戦術兵器清家」による右サイドからの攻撃。右サイドからチャンスメークして、折り返しを決める選手が多彩になったというとなのでしょう。そしてここで大ブレイクしたのが2年目の左SH島田。
 
 昨年は途中出場で何度もチャンスをもらいながらピッチを徘徊するだけで何のインパクトも残せませんでしたが、今季突如覚醒。シュート精度が高いというか若い割には妙に落ち着きがあり、シュートレンジも広く、身体を張ってボールキープどころか相手DFの邪魔をして味方を助ける小技も出来る。本来2トップの一角が適任と思いますが、左SHといってもサイドアタッカー的な仕事は全然求められず、右サイド攻撃に対してファーから突っ込んでくる役回りが多くて事実上シャドーストライカーなのも悪くはないでしょう。


 そしてシーズンを通じて「戦術兵器清家」の発射ボタンを押しまくっていたのが猶本。今季の基本フォーメーションは当初4-4-2との併用でしたが、途中から完全に猶本をトップ下に配した4-2-3-1「猶本全権委任システム」で固定。WEリーグレベルでは完全に頭二つくらい抜けている猶本の存在がとにかく圧倒的で、しかも猶本のコンディションがシーズンを通じて安定していたのが優勝の原動力といって差し支えないくらい。守備面での貢献も高く、「戦術兵器清家」のみならず浦和のプレッシング開始のスイッチまで押していたといっても過言ではないでしょう。
 
 あえて猶本に苦言を呈すればGKとの一対一が案外下手なこと。そこさえ良くなればなでしこ代表でも不動のレギュラーでしょうに。清家も同じ。

 長くなりましたが、今季はとにかくケチのつけようがないほぼ100点満点の出来での優勝でした。GK福田、CB石川を筆頭に途中交代で若手を盛んに起用し、世代交代の芽を撒きながらの優勝は高く評価できます。選手、監督、スタッフの皆さま、ありがとうございました、そしてお疲れさまでした。
 
《個人評》

・MVP 猶本
・新人賞 石川
・特別功労賞 安藤
Yes/Noまくら 遠藤

Urawaladies2306025

-----菅澤-----
島田---猶本---清家
---柴田--塩越---
水谷-安藤--石川-遠藤
-----福田-----

(得点)
24分 猶本
45分 島田
60分 清家
77分 清家

(交代)
66分 遠藤→栗島
66分 水谷→佐々木
82分 島田→角田(角田CH、塩越左SHへ)

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