【観戦記】23年第16節:浦和 0-0 鹿島 ~ 疲労困憊じゃ仕方ないか・・・
福岡戦から続く連戦また連戦。京都&広島に続いて強度が高い相手との三連戦は殊の外ダメージがデカかったようで、浦和は概して動きは芳しくなく決定機も僅少。ただ鹿島の決定機も少なく、スコアレスドローは妥当でしょう。
《スタメン》
浦和は5/20のアウェー福岡戦から続く7連戦の5試合目。前節広島戦から中3日でカンテ→興梠、モーベルグ→大久保、岩尾→リンセンとスタメン3名を入れ替え。故障明けの酒井も明本も当然のようにスタメン起用。浦和の今季のメディカル体制は良い意味でどうなっとるんや???
スコルジャ流では徐々に評価が下がって来たのが見え隠れしていた岩尾はついにベンチスタートに。よって平野はベンチ外のまま。また早川がベンチ入りしたので柴戸がベンチ外に。
週央に試合がない鹿島は前節鳥栖戦から仲間→佐野とスタメン1名入れ替えのみ。
《試合展開》
鹿島の基本フォーメーションはいつもの4-4-2。一方浦和は興梠とリンセンを併用したのでこちらも4-4-2と思いきや、リンセン左SH&関根トップ下の4-2-3-1で試合開始。
過去リンセン左SHって機能した試しがないどころか、本人も嫌がって勝手に持ち場を放棄してしまう場面が多々見られたので、スコルジャがなぜリンセン左SHに拘るのか全く判りません。そして案の定というかなんというか、浦和は前プレが全然ハマらずに11分特にパスワークに定評はないはずの鹿島にパスワークで中盤をズタズタに切り裂かれた挙句、後ろから飛び出してきた佐野にシュートを撃たれてヒヤリ。
このあまりの惨状を見てスコルジャも諦めがついたのか、リンセンを前に上げて関根左SHの4-4-2に転換。しかもリンセンは2トップの右側にいて、スコルジャはリンセンを左サイドに置くことに拘っている風でもなさげ。うーーん、この10分は何だったのか・・・
しかし、この布陣変更も大惨事がボヤになっただけの話。そんなにボール保持に重きを置いている訳ではない鹿島にボールを握られ続け、浦和は自陣で4-4-2の守備ブロックを作って耐える時間帯が長く続きました。しかも、日程が厳しい浦和はコンディション面での差が露骨に出てしまって球際で劣勢。これも浦和が苦戦を余儀なくされた一因でしょう。
さらに伊藤&安居のCHコンビは共に最終ラインに落ちない形でのビルドアップを試みていましたが、これまたなかなか上手く行かず。ビルドアップに失敗して自陣でボールロスト→ショートカウンターを食らう大惨事こそありませんでしたが、浦和は自陣から出るのが精一杯で攻撃はほとんど仕掛けられず。
浦和を自陣に押し込み続ける鹿島。22分右サイドからビトゥカのミドルシュートが枠内を強襲しましたが、今の西川相手ではまずこういうのは入りません。この試合鹿島最大の決定機は24分CKのクリアボールをピトゥカがシュート。これがマリウスに当たってのこぼれ球がどフリーの鈴木に渡るも、鈴木のシュートを西川がビッグセーブ!!
鹿島は「ボールを持たされた」という評価は当たらないと思いますが、持ったところでサイドからのハイクロス攻撃しかなく、そういう手合いはショルツ&マリウスがいる浦和にはまず通用しません。よって鹿島の攻勢は24分の決定機を逃した後は尻すぼみに。
40分くらいからようやく浦和がボールを握れるように。左サイドから関根&明本のコンビで盛んに鹿島のSB・CB間を裏抜けを図り、前半終了間際には明本が角度のないところからシュートを放つもディフレクトしてポスト直撃!!
スコルジャは2トップでも良いところなしだったリンセンを諦めて後半頭から岩尾を投入し、安居トップ下の4-2-3-1へ布陣を再変更。ビルドアップも岩尾が最終ラインに落ちるいつもの型となり、面子もほぼACL決勝メンバーになったためか浦和のビルドアップ自体はぐっと良くなりましたが、今後は自陣に引いて構える鹿島の4-4-2の守備ブロックを崩せず。
スコルジャは66分にカンテとモーベルグを投入。しかもモーベルグが投入されたのはいつもとは逆の左SH!!投入直後に左サイドからモーベルグがクロス→カンテ飛び込む形があり、スコルジャはここに戦況打開の糸口を見出したのでしょうが、CB植田&関川が構える鹿島の防空性能は非常に高くてクロス攻撃は全く決定機にならず。78分荻原と早川の投入でもクロスに頼りがちな浦和の攻撃パターンに変化はなく、依然決定機は作れず。
鹿島も後半盛んに選手を代えたものの、自陣に押し込まれた挙句に鈴木目がけてロングボールを蹴ったり、ロングボールで裏抜けを狙わせたりと単純かつ単調な攻撃しか出来ず、浦和以上に何の可能性も感じられず、試合は次第に塩分マシマシに。鹿島の選手交代で唯一変化を付けられたのは最後に左SHに投入された俊足の藤井。藤井が左サイドを深く抉って低くて速いクロスを入れ出した時間帯には少し光明が見いだせた気がしましたが、これも決定機には至らず。
浦和がこの試合最大の決定機を掴んだのは90+2分。酒井のボール奪取から始まる一連の攻撃でボックス内から荻原クロス→カンテが左SB安西の前に入ってヘディングシュートを放つもGK早川に阻まれてしまいました。
試合終了間際にはエンタメ性を補うかのような小競り合いがあり、両チームに計4枚ものイエローカードが乱舞する一幕がありましたが、ただそれだけで試合終了。
終わってみればシュート数、枠内シュート数、ボックス内からのシュート数、ボール支配率ともほぼ互角。前半は鹿島、後半は浦和ペースの試合だったので、どちらも「勝てた!」という印象を持つかもしれませんが、決定機らしい決定機は共に一回しかないのでスコアレスドローは妥当でしょう。
鹿島のロングボール&ハイクロス多用の攻撃って浦和には一番通用しづらいものなので負ける気はしませんでしたが、勝てるかとなると鹿島の守備はいつの間にか非常に堅固な、クソ面倒なチームに変貌していて、そんな観点からもスコアレスドローは妥当でしょう。鹿島同様、浦和の攻撃もしょぼくてスコアレスドローと言い換えても良いでしょうし(自嘲)。
当事者としては最後まで気が抜けない、緊迫感溢れる、まさに両者がっぷり四つの試合でしたが、如何せん決定機らしい決定機が共にほとんどないのでエンタメ性には乏しく、第三者的、あるいはサッカーを見始めたばかりの方には退屈な試合だったかもしれません。
それはさておき、面白かったのは試合後のスコルジャの会見。「鹿島のハイプレスは他のチームとは少し形が違います。いつもとは違うビルドアップで、そのプレスを破ろうとしました。」「敦樹と海渡のボランチでの組み合わせも見たかったのです。今後、海渡をトップ下だけでなく、ボランチで起用する試合も増えてくると思ったので、それを見たいと思いました」と鹿島戦の前半はテスト的色彩があったことを認めていること。会見では触れられませんでしたが、モーベルグ左SHもテストの一環でしょう。
連戦また連戦。ずっーーーとリカバリー系の練習を続けながら連戦に臨む監督もいる一方、スコルジャは選手のコンディションを重視してちゃんとオフを入れるタイプの様子。鹿島戦の3日前にもきっちりオフを与えていたようで、当然ながら「ゲームへの準備で戦術練習が1回しかできない」状態で鹿島戦に臨む羽目になりました。従ってスコルジャは公式戦そのものを半ば練習に充てて、足りない練習時間を補ったのでしょう。
残念ながらテストの結果は凶。「それがうまくいきませんでした」「期待通りにはいきませんでした」「今日はそれが私のベストアイデアの一つではなかった」とがっかりコメントを連発。誰もが超重要な大一番と考えている鹿島戦でテストをして負けでもしようものならボロクソに言われたことでしょう。
しかし、浦和は負けなかった。負けなかったどころか鹿島に与えた決定機らしい決定機は24分鈴木の一回こっきり。しかも負けないどころか最後はカンテに決定機があって勝ち目すらあるところまで持って行き、最低限のタスク=勝ち点1は確保できました。
要するに一年を通じて最も日程がきついと思われるこの時期に難敵鹿島を倒して早急に上位へ浮上することには重きを置かず、「長いリーグ戦の最後の最後でトップに立ってたらええやん!!」と割り切り、鹿島戦ですら強化過程の一環と捉えたのでしょう。そしてテスト自体はあまり上手く行きませんでしたが、「テストだから結果は度外視」とまでは割り切らず最低限のタスクは果たす。
ああ、これってフルターンオーバーを繰り返しながら最初の4試合全部引き分けでやり過ごし(ホーム清水戦の引き分けだけは誤算と思いますが)、5試合目でついにグループリーグ首位通過の目を出したルヴァン杯に相通じるスコルジャのやり方!ひいては序盤のリーグ戦自体をACL決勝への準備に費やしたスコルジャ流!!
なにせスコルジャ体制になったまだ半年。最終着地点を見据えて仕事を進めるスコルジャ。その過程で上手く行かないこともままあるが、最低勝ち点1を拾いながら前に進む。ホーム鹿島戦はドローで終わってしまいましたが、個人的にはここでのテストがリーグ戦後半に活きてくると信じて前向きに捉えることにします。
《選手評等》
・お疲れのためか浦和の選手達はおしなべて精彩を欠き、ショルツ&マリウス&西川による「鉄の三角形」が目を惹くばかり。リンセンは小泉が復調したらもう出番はないかも。もっともこの試合は興梠の出来もたいがいだったので、リンセンだけ責めても仕方ないと思ったけど。
・鈴木が好き勝手に中盤に降りて来ずに、前に張りっぱなしなのは意外でした。それ以上に鈴木の試合後コメントがあたかも人間性を取り戻したかのように実に要領を得ていて、傍目からも納得できるものだったのでびっくり!!これもショルツ神の御威光に触れたおかげでしょうなぁ・・・
・この試合の主審はJFAの「審判交流プログラム」によりプレミアリーグから来たアンドリュー マドレイ氏。プレミアリーグから来た割にはちょっとしたフィジカルコンタクトで簡単にファウルを取るのには驚きましたが、それはそれで一貫しているので無問題。24分酒井のクロスがビトゥカのハンド=PKと思われる場面があったものの、VARと交信してOFRまで行かずにノーファウル。最後の小競り合いでなんで4枚もイエローを出すのか少々不可解でしたが、総じて明らかに上手い!!とは思わなかったけど「なんじゃそれ???」と思う場面もなかったので、Jリーグの平均的な残念過ぎる主審よりはマシだったという印象。
・北ゴール裏では赤白黒の大旗が揺れる!揺れる!!旗屋のトスパ様、RBC加入効果が絶大すぎます!! 浦和法人営業から見れば、他社へセールスする際の好事例でしょうし。
・今年の鹿島戦は45,575人の大入り。2018年の46,893人を少し下回る程度(2019年は水曜開催だったので考慮外)で、集客に不利な日曜開催なことを考えれば上々の出来。他所と違って無料招待をほとんどしないにも関わらずこの入りは見事。今年は入る試合とそうでない試合が極端に2極化するのかなぁ?
-----興梠-----
リンセン---関根--大久保
---安居--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----
(交代)
HT リンセン→岩尾(岩尾CH、安居トップ下)
66分 関根→モーベルグ
66分 興梠→カンテ
78分 安居→荻原(荻原左SB、明本左SH、早川トップ下、モーベルグ右SH)
78分 大久保→早川
---鈴木--垣田---
樋口--------名古
---ビトゥカ--佐野---
安西-関川--植田-広瀬
-----早川-----
(交代)
59分 垣田→土居
59分 名古→仲間
73分 樋口→カイキ
73分 広瀬→常本
87分 佐野→藤井(藤井左SH、カイキFWへ)
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