【観戦記】23年第20節:浦和 0-0 FC東京 ~ 今季の名物「スコアレスドロー」再び・・・
試合開始早々酒井を負傷で失ったダメージがでかすぎた上に、F東京のカウンターでヒヤリとしたせいもあってか、浦和の攻撃は終始おっかなびっくりだった印象。49000人もの大観衆が集まったにも関わらず、双方見所の少ない塩試合だったのは極めて残念でした。
《スタメン》
浦和は前節からカンテ→興梠、髙橋→関根とスタメン2名入れ替え。ベンチは早川→小泉の入れ替えのみ。
F東京は出場停止の塚川に代えて東をスタメン起用した他、森重→木本とこちらも前節からスタメン2名入れ替え。
なおF東京は怪我人が多く、前目は仲川・アダイウトン、中盤は青木、SBは中村とバンクーナガンデが故障中。さらに前節森重が負傷した模様。しかもレアンドロとは6月に喧嘩別れしたので、スタメンもベンチメンバーもえらくしょぼくなっていました。
《試合展開》
4分トレヴィザンと酒井がエアバトルを繰り広げた結果酒井が負傷。酒井が担架に乗ったまま即座にゲート外へと直行したので軽い怪我ではないことくらいしか現地では判りませんでしたが、試合後にはどうやら骨折ではなく「左ひじの関節が外れてしまった」という話も。
そこでスコルジャはやむなく6分に酒井に代えて荻原を右SBに投入。
いきなり大駒酒井を欠き、しかもその代役が一応右SBも練習していたに過ぎない荻原となると浦和の選手どころか監督やスタッフに至るまで動揺はハンパなかったと思われますが、それでも最初に決定機を掴んだのは浦和。
14分関根スルーパス→興梠のシュートがポスト直撃。興梠がシュートを撃つ直前に小泉の足がモロに興梠にかかって興梠がよろめいており、興梠自身も「倒れれば確実にPK」と試合後語っていましたが、狡賢く倒れなかったのがある意味裏目に。
F東京の布陣は4-2-1-3。戦前予想ほど前プレはきつくなく、高い位置にタイトな守備ブロックを敷いて浦和が無理に縦パスを入れてきたところで前後からガツンと当たってショートカウンター狙い。
20分にはその狙い通りの攻撃で伊藤の中途半端なクリアボールを松木が拾ったところからのショートカウンターが発動。俵積田とのパス交換で松木がボックス内に突入する決定機を作りましたが、松木のシュートを西川がセーブしてポスト直撃。
その後もF東京の球際はかなり厳しくて、浦和は大過には至らないものの危ないボールロストがちらほら。アルマッリ主審はカタールの方らしく、多少の交錯ではファウルを取らない系だったのもF東京に有利に作用しました。
よって浦和はボールを支配するも無理に攻めないためか、14分以降で前半に作った決定機らしい決定機は45分関根がバイタルエリアから放ったシュートが枠内を襲った場面くらい。一方F東京はボールを渡されると何もできないようで、良い形でボールを奪えないと全く攻撃が成り立たず、試合は徐々に塩分強めに。
後半立ち上がりに右サイドを崩して荻原がフリーでクロスを入れる形を二度作ったものの、右足でのクロスは精度を欠いて決定機に繋がらず。荻原に対峙した左SB長友も「縦に走られる分には何の問題もない」とばかりに見切られていた風でしたし・・・
逆に57分大畑がタッチ際で渡邊に裏を取られてしまうピンチがありましたが、シュートは角度がなくて西川が難なくセーブ。その直後の松木CK→木本ヘッドはわずかに枠外。
膠着した戦況を打開すべく、スコルジャは66分興梠→カンテ、岩尾→髙橋、77分伊藤→平野、関根→小泉と前目の選手を続々と代えましたが、これまでの定石通りに左SHに高橋を据えたのは大失敗。あれは右サイドからのクロスにファーから髙橋が飛び込んでナンボの策なのでしょうが、酒井を欠いて不慣れな荻原が仕方なく右SBをやっている状況下で右サイドから高精度のクロスが飛んでくる可能性は非常に低いでしょうに。
さすがにスコルジャは左SH高橋が無意味すぎることに気づいて85分くらいにはカンテ&髙橋の純然たる2トップに変え、終盤は浦和がほぼ一方的にF東京を自陣に押し込み続ける展開になりましたが、ドン引きに陥った相手を崩すアイデアがなく、チャンスらしいチャンスは荻原のミドルシュートが2本あったくらい。せっかく2トップにしたのにカンテが往々にしてサイドに流れたり、引いてボールを受けに来たりするのもスコルジャ的には頭が痛かったかと。
F東京の選手交代に至っては傍目には全く意味不明。69分に頼みの綱=オリヴェイラを下げてからはほとんど攻撃がなりたたなくなり、塩に塩を重ねてそのまま試合終了。
《総評》
4年ぶりに開催された「GoGoReds!デー」で小中高生約1万人を550円と超お値打ち価格とした(安易に無料招待にはしないのが浦和のプライド!)甲斐があってか、49,108人もの観客が埼スタに詰めかけましたが、残念ながら大観衆が沸き返るような場面がほとんどない塩試合に終始。初めて埼スタに来た方、超久しぶりに埼スタへ来た方も少なくなったでしょうが、興行的には甚だ残念な結果に終わってしまいました。
公式記録ではシュート数7対6。DAZNのスタッツでは11対8で、うち枠内は7対2となっていますが、浦和のシュートはブロックされたものが多くてそんなに枠内に飛んだ気はせず。また決定機は浦和が1回(興梠)、F東京が2回(松木・渡邊)だけで、DAZNのゴール期待値が0,72対0.62と共に低調だったのも珍しく実態に即しているように感じました(苦笑)。
非常に見所に乏しい試合でしたが、強いて言えば「やりたいことを捨て置いて妥協に妥協を重ねた挙句に結果も出なくなった」アルベル監督を更迭してクラモフスキーに代えたばかりのF東京のほうが、少なくも前半は新監督の色が非常に強く出ていてマシだったかと。悪く言えば脳筋系の選手が多いF東京にはポジショニングに留意しながらあれこれ難しいことをやらせるより、ひたすらハードワークにハードワークを重ねさせる系の監督の方が相性が良さそうで。でもボール持たされたらすぐに詰む気もしますが(苦笑)。
一方浦和はほとんど良いところなしに終わっただけあって、スコルジャの試合後のコメントも「立ち上がりから自分たちのリズムを見つけることができなかった試合でした。立ち上がりはかなりナーバスになっていたと思います」「ビルドアップのスピードが上がらず、相手にとって予測しやすいものになってしまいました」「非常に残念な結果で、ロッカーも静まりかえっていました」とネガティブなものだらけ。
特に前目の選手が非常に低調だった件については「今日は前線の動きが少なかったと思います。選手がポジションをスイッチしながらローテーションを行うとか、そういう動きがあまりありませんでした」「背後に抜けるような動きがなければ、裏にボールを出すこともありません。そのような動きが、今日の試合では欠如していたと思います」とおかんむり。
もっとも突然酒井を欠いて右SBには不慣れな荻原が入ったのが影響してか、荻原どころか大畑もが高い位置を取れなくなったとか、F東京のハイプレスが浦和最終ラインからの高精度&良いタイミングでの縦パスを阻害していたとか、背後へボールを出すほうにも難儀なところがあって前目の選手ばかり責めても仕方ないと感じました。
また前半球際の競り合いで浦和が劣勢だったことについて疑問に思った記者もいたようで、スコルジャも「負荷をかけすぎていたかもしれません。今日の試合では、立ち上がりから球際やハイプレスのところでの力強さがあまり見られなかったので、もしかしたら練習の組み立てが悪かったのかもしれません」と反省。
中2日で長距離移動を伴うアウェーゲームだった鳥栖戦は「ミドルゾーンやローゾーンで構えてカウンターでゴールを取る」試合だったのに対し、この試合は「立ち上がりから終わりまでボールポゼッションが70パーセントくらいでハイプレスをかけながらゲームをコントロールする」というスコルジャの理想に近い試合内容でしたが、残念ながらハイプレスはたいしてかからず、ボールは握っているがゲームはコントロール出来ているとは言い難い試合になってしまいました。
そして結果はまたしても今季の浦和名物「スコアレスドロー」。スコルジャの理想とする姿がほんのり見えてくるのは早くても今週末のC大阪戦後の中断期間明けになりそうです。
・今日の良かった探しはチャリで行ってもたいして雨に降られずに済んだことかな?あと小泉は最悪期は脱して動き自体は良くなったことくらいかな。
・前線の奴らが性懲りもなく偶像崇拝を始めたので、後方からモーゼが何度も怒りの声を上げていましたが、すべて徒労に終わりました。そんな光景を何度見たことか!!
・カンテは往々にして引いてボールを受けたがるから、縦パス一本で急所を突きたがる平野との相性はたぶん良くない(´・ω・`)ショボーン
・子供の声は一人でもよく響くから、タイミングが良ければ「意図せざるコールリーダー」になりうる。今日のハーフタイムにメインスタンドの南隅から広がった光景は実に心温まる光景でした。子供の声から自然発生的に応援が広がるってプレミアでもあるんかいな???
・酒井の故障は極めて残念でしたが、前半の笛はACLでよくある少々の交錯では吹かない系だったのでそんなに不満はなかったのですが、後半は吹いたり吹かなかったりでもう滅茶苦茶。大畑のイエローは大畑を突き飛ばした選手に報復気味に足を上げていたのを取ったようで妥当と言えば妥当、主審によっては一発レッドでしょうが、それ以前に後方からの突き飛ばしを放置しまくった主審には参りました。そしてF東京のプレーが荒っぽいのは監督が代わってもなんら変わりないみたいで・・・
-----興梠-----
関根---安居--大久保
---岩尾--伊藤---
大畑-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----
(交代)
6分 酒井→荻原
66分 興梠→カンテ
66分 岩尾→髙橋(髙橋左SH、関根トップ下、安居CH)
77分 伊藤→平野
77分 関根→小泉
俵積田--オリヴェイラ--渡邊
------東-----
---安部--松木---
長友-トレヴィ--木本-小泉
-----スウォビィク----
(交代)
69分 オリヴェイラ→ペロッチ
69分 東→寺山(安部がトップ下、寺山がCHへ)
76分 俵積田→野澤
86分 渡邊→木村
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