広島戦同様逆転負けを食らってもなんら不思議はない試合内容でしたが、名古屋より難儀だったのが池内主審のブレまくる判定。迷走しまくる判定に試合をぶち壊されかかりながら、その迷走からなんとか逃げ切った印象が強く残った試合でした。
《スタメン》
浦和は前節からスタメン2名入れ替え。小泉と関根がスタメンで、安居と荻原がベンチスタート。リンセンと早川がベンチ入りし、大畑と興梠がベンチ外に。
名古屋は前節から契約上出場できないユンカーに代えて酒井の入れ替えのみ。

《試合展開》
可もなく不可もない試合の入りでしたが、11分大久保の中盤でのボール奪取から浦和は波状攻撃を開始。関根のシュートはブロックされたものの、そのこぼれ玉を拾った明本が左サイドから横パス→カンテがボックス内で振り向きざまのシュートが決まって浦和先制。GKランゲラックはブラインドになったのか、あるいは意表を突くタイミングで撃たれたせいか一歩も動けず。
19分にはCKの流れからカンテがミドルシュートを放つもGK正面。28分にもCKの流れから小泉が珍しくアーク付近からミドルシュートを放ち、シュートは枠を捉えていたもののゴールマウスのカバーに入った選手にクリアされて得点ならず。
23分には名古屋FKから浦和がカウンターに転じようとしたところ、河面が岩尾の足をはらうような格好でファウル。どこからどう見てもイエロー相当のファウル。しかも河面はこの試合2枚目のイエローで退場になってしかるべきところ、なぜか池内主審はイエローを出さず。それ以前から池内主審の判定には不可解な場面が散見されましたが、この判定で主審への不信感はMAXレベルに。
31分には酒井が攻め上がっていたところでカウンターを食らい、左WB森下のドリブル&森島とのパス交換で浦和右サイドは完全に崩され、ショルツもマリウスも釣りだされた挙句、最後は岩尾のクリアしきれなかったボールが右から突入してきたどフリーの野上の前に転がってしまいましたが、幸いにも野上のシュートは枠外。
浦和は43分右サイドから大久保→伊藤→アーク付近でカンテの決定機をつくったものの、シュートは稲垣がブロック。一方前半ATにはFKの流れから森下にミドルシュートを撃たれるも、ここは西川がセーブ。
名古屋は後半頭から酒井→前田、そしていつ退場してもおかしくはなかった河面に代えて丸山と2枚替え。浦和もイエローをもらった小泉に代えて安居を投入。
後半の立ち上がりはカンテがミドルシュートを放ったり、関根が左サイドからカットイン&シュートとそれなりに見せ場を作りましたが、名古屋は前田投入が効いて55分に絶好機。右サイドから野上→森下のシュートこそブロックしたものの、そのこぼれ玉を繋がれて最後はボックス内に突入した前田に決定機。しかし、ここも西川がセーブ。
これ以降浦和は自陣に釘付けになって苦しい展開に。64分関根→荻原と代えるも局面打開には至らず、71分酒井が森下を交わそうとして失敗。カバーに入ったショルツもあっさり森下に入れ替られてボックス内突入を許すも、森下のシュートはバーを直撃!!
浦和は78分カンテ→リンセン、明本→早川と代えるも劣勢は全く変わらず。リンセンは前からボールを懸命に追う訳でもなく、プレスバックで汗をかく訳でもなく、前線でボールをキープしてくれる訳でもなく、それどころか中途半端に攻めに出てボールロストと全く良いところなく、浦和の苦戦に拍車をかけていた感も。
最後は大久保に代えて岩波を投入し、5バックにして逃げ切るを図るも、試合終了間際に稲垣縦パス→途中投入の久保がボックス内に突入。しかし岩波のスライディングが目に入ったのか久保のシュートは枠を捉えきれず、浦和がほうほうの体ながらもなんとか逃げ切り勝ち。
《総評》
埼スタで流れるこの試合のダイジェストでカンテのゴールしか紹介する場面がなかったのが試合内容の象徴でしょう。シュート数こそ10対13とそんなに差はありませんが、決定機の数は名古屋がどう見ても多く、後半の浦和は防戦一方。試合の流れからすれば広島戦同様逆転負けを喫していてもなんら不思議はありませんでした。
広島戦同様、浦和は名古屋の前プレをロングボール多用で回避する手に出ました。それはそれで良いのですが、ボールを失ってそのまま前プレしても陣形が間延びしてるから全然ハマらず、前プレをあっさり交わされて中盤をそのままドリブルで進まれて最終ラインで何とか弾き返すの繰り返しだったかと。90分を通じて中盤の守備が機能している感じは全くせず。
また明本のコンディションがまだ回復途上で後半急激に失速したのが祟って、浦和左サイドは後半ボコボコにされてしまいました。スコルジャは荻原、そして早川を投入して防戦に努めるも、どう見ても「浸水する量のほうが掻き出す量より多い」ありさま。最後の最後で早川が久保に豪快にぶっこ抜かれているのは説教ものでしょう。
しかし終わってみれば勝ったのは浦和。ちょっとしかないチャンスで得た1点を守り切るって今年の浦和っぽいといえば浦和っぽい勝ち方。相手は「内容は良かった」と思っているでしょうが、それでも「終わってみたら負けている」みたいな試合でした。
しかも今年になって名古屋戦は運営面でのトラブル続きで急激に「因縁試合」=結果以外は意味がない試合になってしまったので、「勝てばよかろう」で何ら差し支えありません。
またこの試合だけを取り上げると「内容と結果が見合っていない」のは確かですが、内容が良かった横浜M戦で勝ち点1、内容が良くない広島&名古屋戦で勝ち点3で、この3試合で計勝ち点4に留まっているのはトータルでは内容に見合っている気も。その辺リーグ戦の結果は試合内容を正直に表しています。

《選手評等》
この試合で良かった探しをすれば、その筆頭は遅まきながらカンテが「点取り屋」として機能し始めたこと。前節広島戦に続いて豪快な一発を決め、「ファーストチョイスがシュート」といういかにもストライカーらしい感覚で、ちょっとでも隙があればバンバン撃つ感覚を取り戻してきたようです。こうなるとやたら下がってくるとか、サイドに流れてしまう傾向も「ボックス内に張り付いているだけのCFではない」とポジティブに見えてくるので現金なもの。
また久しぶりにスタメン出場した小泉が上々の出来だったのも収穫でしょう。スコルジャも「佳穂が引くことによって相手のボランチを引き出すという役割があったのですが、それをよくやってくれたと思います」と評価していますが、名古屋はマンツーマン気味についてくるので、神出鬼没系の小泉が相手を引き連れることで名古屋守備陣に穴をあけることを期待していたのでしょう。カンテも試合後そんな小泉の仕事ぶりを褒めています。
ただ小泉はボールの奪いどころとして名古屋に狙われている感もあり、しかも早い時間帯にイエローをもらってしまったので前半限りでお役御免となったのも致し方ないでしょう。
この試合も大久保が攻撃の終点になっている光景を何度見たことやらと思いましたが、あれでも守備貢献は凄くて逃げ切り勝ちできた主因といってもいいくらい。カウンターで浦和が好機になりそうな場面でもむやみに攻めずに陣地を回復して最終ラインの上がりを待つ冷静さには恐れ入りました。
そんな大久保にスタジアムからは「なんで攻めないんだよ!!」といわんばかりの野次も飛んでいましたが、大久保の選択は大正解でしょう。あそこで攻めを考えていたのはリンセンだけじゃないかな? 逆に言えばリンセン以外は「守りきる」ことで意思統一が出来ていたように感じました。
また終盤左WB森下が足を攣って、「風のようにターレス」が出てきたのは何気にラッキーでした。ターレスはJ1レベルじゃないから。そして森下をそんな状態に追い込んだのは「大久保バクシンオー」の頑張りゆえでしょう。暑い中誠にお疲れさまでした。

-----カンテ----
関根---小泉--大久保
---岩尾--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----
(得点)
11分 カンテ
(交代)
HT 小泉→安居
64分 関根→荻原(荻原左SB、明本左SHへ)
78分 カンテ→リンセン
78分 明本→早川
90+2分 大久保→岩波(岩波がCB中央に入って5バックへ)

-----酒井-----
--永井----森島--
森下-内田--稲垣-野上
-河面--中谷--藤井-
-----ランゲラック----
(交代)
HT 酒井→前田
HT 河面→丸山
78分 永井→中島
78分 野上→久保
82分 森下→ターレス