【DAZN観戦記】23年第28節:G大阪 1-3 浦和 ~ 劇的な内容で今季G大阪を4タテ!!
ただでさえ厳しい日程なのに怪我人が続出。おまけに試合中に一人退場と不利な材料てんこ盛りな試合でしたが、もはや勝たないと意味がないがゆえの強気の采配が当たっての逆転勝ち。現地の方々の脳裏に深く刻まれるであろう劇的な試合でした。
《スタメン》
ACLアウエー武漢戦から中3日でアウェーG大阪戦と過酷な移動を強いられた浦和は大畑→酒井、岩波→マリウス、髙橋→関根、リンセン→カンテとスタメン4枚入れ替え。京都戦で自ら交代を申し出て、武漢遠征を回避した酒井はやはりG大阪戦での出場に焦点を合わせていた模様。カンテ・マリウス・関根も武漢戦はベンチスタートだったので、これまたスコルジャはハナからG大阪戦でのスタメン起用を考えていたのでしょう。
大久保・中島が故障中な上に武漢戦で明本が故障し、かつシャルクも故障したっぽいのでベンチには2列目がおらずFWだらけに!
なお明本については試合後スコルジャから「明本は武漢三鎮戦で数分間プレーしましたが、筋肉に張りが出たということで、リスクを避けて交代しました。数日で戻ってくる可能性もありますし、それ以上かかる可能性もありますが、メディカルスタッフが奇跡を起こしてくれることを願っています」と説明がありました。
G大阪は前節新潟戦から高尾→中野、倉田→宇佐美とスタメン2枚入れ替え。イスラエル代表招集でルヴァン杯は不在だったラヴィがスタメンに復帰するものと思っていたらなぜかベンチ外。中野は鳥栖から期限付きで加入したばかりで、これが初先発。
ラヴィは今季浦和戦で一度もベンチ入りしたことがなく、「浦和戦には出場できない契約になっている」という与太話が飛び交っていましたが、試合後ポヤトス監督から「『ヨム・キプル』という国民の休日でユダヤ教にとってすごく重要な日」なのでラヴィ選手のメンタル面を考慮し、クラブと話し合って欠場にしたとの説明がありました。
《試合内容》
浦和はルヴァン杯第2戦同様最終ラインを高く押し上げてハイプレスで試合に入り、G大阪を自陣に押し込み続けたものの、良い形を作れたのは6分荻原が左サイドからボックス内に突入し、関根を経由して伊藤のシュートで終わった場面だけ。
一方G大阪はここまで全く何も出来ていなかったにも関わらず、16分左SB黒川が小泉をぶち抜いて、酒井がたまらずイエローで阻止。この試合小泉は疲労ゆえか守備が軽かったり、しょーもないパスミスを犯したりしていましたが、それ以上にヒヤヒヤものだったのが酒井。明らかに無理して試合に出ている様相で、しかも試合開始早々相手と交錯してうずくまってしまい、痛々しいのなんの。
そして17分左サイド深い位置で得たFKを宇佐美が直接決めてG大阪が先制。いとも簡単にニアをぶちぬかれてしまった西川。まったく「らしくない」場面でしたが、何か誤算があったのかな?
その後も浦和がボールを握る展開は変わらず、29分右サイドから酒井クロス→カンテがボックス内で反転シュート!!これ自体は理不尽でもなんでもないごくフツーのFWのお仕事ですが、シュートがCB福岡に当たってディフレクト。GK東口にとってこれは「理不尽」としか言いようがなく、一歩も動けずにゴール!! それ以前に人数はいるのにカンテへの対応が甘すぎるDF陣自体が東口にとって理不尽な存在なのかもしれません(苦笑)。
32分にもカンテが右サイドからボックス内に突入したのを契機に安居、関根と立て続けにシュートを放ちましたが、ここは決められず。
浦和は右サイドの守備が不安定なのを嫌ってか、途中から安居と小泉のポジションを入れ替えていましたが、前半終了間際に山本に角度のないところから際どいシュートを撃たれてヒヤリ。西川はクロスを予想していたところにシュートが飛んできたのでびっくりしたのかもしれませんが、ここは素早く切り替えて片手でセーブ!!
G大阪は負傷したっぽいアラーノに代えて後半頭から石毛を投入。
49分カンテが黒川を後方から引き倒したことを契機に両チーム揉み合いとなり、その過程でカンテが宇佐美に軽く頭突きをしたのをVARでしっかり咎められて一発レッド。
しかし、この試合勝たないと意味がない浦和は63分小泉→リンセン、関根→髙橋と替えた後に数的不利でも果敢に攻めに出て、68分中盤に降りてきたリンセンから岩尾→伊藤としっかりボールを繋いて、右サイドから伊藤クロス→逆サイドから突っ込んできた髙橋ヘッドが炸裂して浦和逆転!!
その後G大阪は浦和を一方的に押しこむ展開になりましたが、4-4-1で守る浦和守備陣を全く崩せず。しかも、あろうことか85分自陣で途中投入の石毛のアバウトかつ緩すぎるバックパスを安居が拾って前方でどフリーのリンセンへスルーパス。リンセンのシュートコースを消そうと相手DFが戻ってきましたが、リンセンのシュートは左ポストに当たってゴール!!
カンテ退場の確認が長引いてATは12分もありましたが、浦和の4-4-1のゾーンディフェンスは全く崩れず。G大阪がいくらハイクロスを入れてもショルツがいるのでどうにもならず、地上戦に転じようにも岩尾が頑張ってて、G大阪は最後まで決定機らしい決定機を作れず、吉本新喜劇並みに笑えるレベルで時間を空費しつづけてそのまま試合終了。
FB本部からの補給はロクにないままACLとリーグ戦、おまけにルヴァン杯まで併行して闘い続ける浦和。下位チーム相手にドローゲーム続きなのが祟り、神戸や横浜Mとの勝ち点差を考えれば優勝どころか2位に滑り込む可能性もかなり少なくってしまいましたが、それでもスコルジャはリーグ戦を諦めずに薄い選手層をローテーションしてG大阪戦に臨みました。
そして結果は今季対G大阪戦4連勝。野球的な言い方をすれば「4タテ」。点があまり入らず、引き分けが多いサッカーというゲームの特性上「4タテ」はよほどの実力差、よほどの噛み合わせ・相性の良し悪しがないと起こりにくいように思います。
今季浦和がG大阪戦で最も苦戦したのはルヴァン杯準々決勝第1戦。5月にリーグ戦で対戦した時はロングボール主体で割と簡単にジェバリを使ってくるチームだったのに、ルヴァン杯第1戦で再戦した際は後方からしっかり繋いでくるチームに変わっていたのに戸惑ったのか、浦和は自陣で耐える時間帯が長くなってしまいました。
しかし、その試合をシャルクの一発で辛くもモノにし、続く第2戦ではG大阪の手口を見切ったとばかりにボコボコに。この試合も第2戦で見せたG大阪対策(=ハイライン&ハイプレス)の延長線上だったと思います。
そして試合の入りはスコルジャのゲームプラン通りでしたが、宇佐美のゴラッソだとか、カンテまさかの退場とか、想定外の事態が相次いで発生!!
でも苦しくなってからがスコルジャの見せ場。ACL決勝が典型ですが、スコルジャは不利な状況でもなんとか勝ち筋を見つけるのがめちゃ巧い。しかももはや勝たないと意味がないこの試合で数的不利になってからのリンセン&髙橋投入が見事に当たりました。
しかも髙橋のゴールって、なんか知らんけどリンセンが自陣まで降りてボール受けて溜めを作っているとか、それを受けてなぜか岩尾課長が最前線まで飛び出して相手CBを釣っているとか、カンテとは違う意味で理不尽な動きが詰まっていて泣けました。
数的不利なんでどこかで無理をしないと点はなかなか取れませんが、その無理が見事に結実した感じ。スコルジャはひと頃「選手達がリスクを取らない」ことを嘆いていましたが、「もはや勝たないと意味がない」という状況が選手達が殻を破るのに一役買ったのかも。
劇的な勝利を上げたとはいえ、首位神戸との勝ち点差は依然6、2位横浜Mとの勝ち点差は5のまま。次節神戸と横浜Mの直接対決がありますが、浦和は残り全勝してなお2位に手が届くかどうかという立場にはあまり変わりありません。
しかもカンテは今季2回目の一発レッドなので2試合の出場停止になる可能性が高く、目先カンテはACL&ルヴァン杯で、リンセンはリーグ戦と使い分けせざるを得なくなりました。どっちみちこの両名はローテーションしながら使う算段だったでしょうから、カンテの出場停止は「塞翁が馬」と言えなくもないのですが(苦笑)。また当然興梠の出番もあるでしょう。ただ興梠はコンスタントに試合に出てないと調子が出ない系なのが心配です。
《選手評等》
・スコルジャは試合後「利樹はどんどん良くなってきていると思います。武漢三鎮戦でも悪くなかったと思いますが、戦術的な理由で関根貴大に交代しました。彼はウイングとしていいパフォーマンスを見せてくれています。本来のポジションではないところでいいパフォーマンスを続けて進化し続けていると思いますし、今日のように大事なゴールを奪うこともできました」と髙橋を激賞!!
・浦女だと右サイドからのクロスに左SHで起用されている本職FWの島田がズドンという形はよくありますが、トップチームでもようやくこの形が実現。カルロスのSH起用がついに結実しました!!
・髙橋は敦樹みたいな旧浦和市の出身ではありませんが幼少期からガチガチの浦和サポ。遠回りはしましたがついに浦和に加入して、さらに試合に出るまで時間はかかりましたが、ついにリーグ戦で結果、しかも決定的な結果を出しました。浦和に入ってもノーインパクトのまま退団する選手が少なくないことを思えば泣ける話です。
・カンテは普段はいたって冷静で、ラフプレーなんてあんまりない選手なのに、変なところでスイッチが入ってしまう系なのが不思議。カンテはヤンキー同士がよくやる額を突き合わせての「やんのか、ワレ!!」みたいな形を取ったつもりなのかもしれませんが、宇佐美の狡猾なコケ芸にひっかかってしまいました。そういう手合いがいるのは嫌ほど経験しているでしょうに、実に軽率な行為でした。その前の黒川のユニフォームを後方から執拗に引っ張ったプレーもアホすぎで、何かしらフラストレーションが溜まっていたのでしょうが。
・ただカンテの黒川に対するご乱行以前に、西川のロングキックを受けようとしたカンテが後方から倒されている場面、さらにそのこぼれ玉を拾った安居が引き倒されている場面で荒木主審がファウルを取らなかったのが何とも不可解。それにブチ切れたカンテが黒川を引き倒すという流れなので、荒木主審のいい加減な笛で試合が壊れかかった気がしないでもなく。またしてもJリーグの審判団のくそっぷりだけが目立つ残念な試合になってしまいました。
・最後の最後で荻原激走は間違いなくキジェの遺産でしょうなぁ、良くも悪くも・・・
・DAZN解説は橋本英郎。内容はともかく終始落ち着いた口調でしたし、おまけに実況共々結構浦和を褒めるので好印象。
-----カンテ----
関根---安居---小泉
---岩尾--伊藤---
荻原-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----
(得点)
29分 カンテ
68分 髙橋
85分 リンセン
(交代)
63分 小泉→リンセン(リンセンCFの4-4-1)
63分 関根→髙橋(髙橋左SH、安居右SHへ)
81分 伊藤→柴戸
90+5分 マリウス→岩波
90+5分 安居→大畑(大畑左SB、荻原左SH、髙橋右SHへ)
宇佐美--ジェバリ--食野
--アラーノ----ダワン--
-----山本-----
黒川-福岡--佐藤-中野
-----東口-----
(得点)
17分 宇佐美 貴史
(交代)
HT アラーノ→石毛
71分 食野→福田
71分 中野→クォン(クォン右CB、福岡右SBへ)
79分 ダワン→倉田
87分 宇佐美→唐山
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