【DAZN観戦記】ACL2023/24 GS MD1:武漢三鎮 2-2 浦和 ~ 失点の仕方が残念過ぎたが、悪くはない結果に
失点の仕方が悪すぎて終始ビハインドを背負い、終始ボールを持たされる羽目になりましたが、最後の最後でカンテ得意の理不尽ミドルが炸裂。苦手の中国アウェーで貴重な勝ち点1を得たのは悪くはないでしょう。
《スタメン》
リーグ戦京都戦から遠距離移動を伴う中4日の浦和はマリウス→岩波、酒井→大畑、早川→伊藤、関根→髙橋、カンテ→リンセンとスタメン5名入れ替え。武漢戦にやたら強かったカンテのベンチスタートに象徴されるように、リーグ戦と並行してACLを闘う中で体力温存の意味合いで半分入れ替えたのでしょう。
酒井はコンディション不良で帯同すらしてないという噂は本当だったようでベンチ外に。さらに明本の無理使いも避けたので、右SBは荻原を転用する苦しい布陣。
サブに12名もいるので堀内やエカニットもベンチ入り。怪我人以外は全員連れてきたのかも(逆に言えば、確報はないもののシャルクや馬渡は故障中の可能性大)。
武漢は新興のチームでACL初出場。中国人選手は広州恒大や上海上港から流れてきたACL経験者が多いそうですが、「世界的スーパースターと愉快な仲間たち」だったクラブでの経験がどれほど役に立つかどうか?
《試合展開》
武漢はほとんど前からプレスをかけて来ず、守備はリトリート主体。よって立ち上がりから浦和がボールを握る展開になり、4分大畑の浮き球縦パスの跳ね返りを高い位置で回収した安居がいきなりミドルシュートを放って枠内を襲うもここはGKセーブ。
このように浦和の試合の入りは上々でしたが10分にまさかの落とし穴。この試合初めて自陣に押し込まれる展開となったところで、チャン シャオビン(#12)の縦パス→アジズ(#9)ポストプレー→チャン シャオビンのミドルシュートが決まって早い時間帯に失点してしまいました。
浦和守備陣の頭数は揃っていただけに武漢の単純極まりないワン・ツーでやられてしまったのにはびっくりしましたが、この場面でバイタルエリアはなぜかユルユル、シュートコースはぽっかりといつのも浦和ではあり得ない光景が現れてしまうのはACLアウェーゲームの恐ろしさなのかも。
先制した武漢はさらに引き気味になり、5-4-1の守備ブロックで防戦。浦和は一方的にボールを握って両CBまで敵陣に入る場面すら多くなったものの、総じて攻め倦み気味。
それでも25分岩尾縦パス→リンセンが相手2人を交わしてボックス内突入&シュート(GK正面)、27分にはボックス内左で伊藤が折り返し→安居のシュートがポスト直撃と惜しい場面も。
武漢の守備ブロックはタイトとは言い難く、相手選手の間で小泉らがボールを受けて前を向き、かつアタッキングサードでショートパスがパンパンと繋がる場面も結構あって同点に追いつく予感ムンムンでしたが、左サイドがほとんど機能しないのが相手を押しきれない一因だったかも。
ただパスが相手に引っかかってカウンターを食らいかかる場面も結構あり、26分には右サイドからドゥン ハンウェン(#25)クロス→シエ ポンフェイ(#30)に際どいヘッドを許す場面も。
浦和ペースになりそうでならない前半を終え、スコルジャは後半頭から大畑→明本、岩波→マリウス、高橋→関根の3枚替え。
岩波は前半にイエローカードをもらってしまい、しかもカウンターを食らいかかる過程でアジズやダビジソン(#11)と一対一での対応を迫られる局面が多かったので、2枚目のイエローをもらうリスクを避けたのでしょう。前半さっぱりだった大畑が下げられるのも仕方ありません。前半の高橋は上出来だっただけに関根投入はやや意外で、関根左SH、小泉トップ下、安居右SHの布陣に。
そしてこの交代が効いて、55分右サイドから明本が相手DFを複数惹き付けながら縦パス→安居がどフリーでクロス→リンセンヘッドが決まって同点に。
しかし、その直後左サイド自陣深い位置でマリウス・荻原・岩尾の三者間でビルドアップに詰まり、荻原の岩尾へのパスがずれて岩尾がボールを失う大惨事。これが祟って浦和守備陣はスクランブル状態になり、アジズのシュートはショルツがブロックしたものの、その後ボックス内で背後から明本がダビジソンを押し倒した格好になり、しっかりVARチェックが入ってPKに。62分ダビジソンがPKを決めて浦和は再び1点ビハインドに。
しかも失点と同時に明本に代わってカンテを入れる謎の交代。リアルタイムでは交代の意図は全く判りませんでしたが、試合後のインタビューでカンテが「ちょっと不運なところ、明本のケガがありました。」と明かしていました。
やむなく右SBには関根が入りましたが、関根は終始空回り気味で、かつ不用意なボールロストも目立ってブレーキに。また小泉や安居もお疲れなのか前半と比べるとパフォーマンスはガタ落ちとなり、浦和は完全にボールを持たされ気味に陥って決定機どころかシュートすら撃てず。
さらに81分岩尾に代えて興梠を入れて「アタッカー祭り」を繰り広げるも浦和は自陣に引き籠る武漢守備陣を全く崩せず時間が徒過。カウンターを食らいかかる危ない場面だけが目立つことに。
ただ後半VARチェックが2回もあってATが10分もあったのが幸い。90+4分武漢を押し込んだ状態で、ショルツのモーゼ攻撃&縦パス→右サイドから小泉クロス→伊藤が落としてリンセンのシュート。これは相手にブロックされたものの、武漢守備陣が3人、4人とリンセンのシュートブロックに集まってしまったのが命取りに。アーク付近でどフリーのカンテ得意の「理不尽なミドルシュート」が炸裂して浦和はなんとか同点に。
気落ちした武漢相手に浦和は一気に勝ち越しを狙ったものの、さすがにそこまでは上手く行かずそのまま試合終了。
《総評》
前述のように武漢三鎮は新興チームで、2022年シーズン超級リーグで優勝してACL初出場というチーム。
ただ中国はバブル破裂に伴い広州恒大を典型例に世界的スーパースターをかき集めていたようなクラブが大崩壊し、経済的に混乱状態に陥っているクラブが少なくない模様。武漢三鎮もその例に漏れず、現在身売り話が進行中。その関係でアデミウソンなど主力外国人選手が離脱したようです。
またそもそも前回大会ではコロナ禍の影響で中国のクラブはACLに超若手しか送ってこなかったこともあり、武漢三鎮はリーグ優勝したチームとは言え、ACLでの現在の立ち位置が戦前には良く判らなかったのが正直なところ。
で、久しぶりにACLで中国のクラブと対戦してみた率直な感想は「随分フツーのチームになっちゃった」といったところでしょうか。全盛期の広州恒大や上海上港とACLで何度も対戦した頃からすれば圧倒的に小粒。岩波どころかショルツでも対応に困るような外国人選手なんていませんでした。その分「外国人選手で攻めて、中国人選手で守る」みたいな変な分業的色彩も薄くなってフツーのチームになった感じ。どちらかと言えば外国人選手の理不尽さに頼っていたのは浦和だったかも(苦笑)。
浦和はそんな相手に終始リードを許す苦しい試合展開に。最初の失点も甚だ残念でしたが、2失点目=PKに繋がったしょーもないボールロストで再度突き放されたのは誠に余計でした。とにかく得点力に乏しい浦和が終始追いかける展開になってしまい、ボールを持たされる羽目に陥ったのには参りました。
しかし、最後の最後でカンテの理不尽さが炸裂。苦手の中国アウェーでのドローは悪くない結果だと思いますし、この程度の武漢ならホームなら勝てるでしょう。
酒井のコンディション不良に続いて明本も故障となると右SBは完全に人材不足。勝ち点3を得られなかったことより、また怪我人を出してしまったことのほうがはるかに痛手かと。
《選手評等》
・安居はJリーグよりACLのほうが活きる長澤型かもしれんなぁ。Jリーグではトップ下起用でもシュートを撃たなくなって久しい感じですが、この試合では妙に積極的。カルロス髙橋もACL向きっぽい。一方大畑がさっぱりなのには参りました。あれじゃ五輪なんて無理じゃないかと・・・
・リンセンが地味に復調してきたというか、浦和にフィットしてきたのは慶事。点を取りだすと守備もまじめにやるようになり、左SHという不本意なポジションを任されても手抜きはしない。あまりにも現金な性格はホンマ笑えます。
・この試合の審判団はUAEのセット。疑わしい場面ではちゃんとVARが介入し、主審がそれを突っぱねずにOFRまでする。それだけで納得感は上がり、ACLはJリーグよりかなりマシと思える典型的な試合でした。「アドバンテージを取ってるで!」のジェスチャーを主審があんまりしないのは難儀でしたがw
・この試合の解説者は槙野。浦和ゆかり&ACL出場経験があるということで槙野が呼ばれたのでしょう。そんなに頓珍漢なことは言いませんし、少なくとも不愉快な浦和下げをしない分だけあの方よりはマシと思いますが、やっぱ喋りすぎてうるさいのが難。浦和ゆかりの解説者を呼ぶなら現状では坪井が最適でしょう。でもあの落ち着いた口調がDAZNは気に入らんのかな?
-----リンセン-----
小泉---安居---髙橋
---岩尾--伊藤---
大畑-ショルツ--岩波-荻原
-----西川-----
(得点)
10分 チャン シャオビン(武漢)
55分 リンセン
62分 ダビジソン(武漢:PK)
90+4分 カンテ
(交代)
HT 髙橋→関根(関根左SH、小泉トップ下、安居右SHへ)
HT 大畑→明本(明本右SB、荻原左SBへ)
HT 岩波→マリウス(マリウス左CB、ショルツ右CBへ)
62分 明本→カンテ(カンテCF、関根右SB、リンセン左SHへ)
81分 岩尾→興梠(興梠・カンテの2トップ気味、安居CHへ)
※写真は試合とは全く関係ありません。
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