【DAZN観戦記】ACL2023/24 GS MD4:浦項 2-1 浦和 ~ あんまりな愚行を契機に痛恨の逆転負け
浦項のサイド攻撃に対する浦和の脆弱さは前半から見え隠れしており、2失点ともサイド攻撃から食らっているのは偶然ではなかろう。でも明本の愚行が全てをぶち壊したのは間違いない。この面子でよくやっていただけに実に嘆かわしい。
《スタメン》
ルヴァン杯決勝から中3日の浦和はショルツ→岩波、酒井→明本、早川→エカニット、髙橋→安居とスタメン4名入れ替え。故障&手術した酒井はもちろん、ショルツ&大久保はベンチにも入らず。
特に大久保はルヴァン杯で本来30分限定のところを45分使てしまったので浦項戦は使えなくても何の不思議もないかと。ルヴァン杯では試合前のウォーミングアップに顔を見せていた関根も間に合わず。その代わりエカニットが浦和加入後初のスタメン出場。
GKが2名もベンチ入りしている反面、大原で練習している姿が確認されていて怪我ではないと思われるのにここでもベンチに入れないフィールドプレーヤーがいるのは実に切ない(つД`)
浦項もカップ戦決勝から中3日と過密日程のようで、長身CFゼカなど主力数名がベンチスタート。
《試合展開》
浦和は浦項とのホームゲームで痛恨の敗戦(0-2)を喫してしまったので、直接対戦での成績が重要視されるグループステージでは浦項とのアウェーゲームで2点差以上で勝たないとグループステージ1位通過が怪しくなるという立場。そのせいか浦和は珍しく立ち上がりから積極的に試合に入り、1分に早速明本クロス→カンテヘッドの決定機。その後も10分エカニット、12分カンテとアーク付近から枠内シュートを放ったものの、いずれもシュートコースが甘くてGKを脅かすには至らず。
しかし、前回対戦で顕著だった「球際での競り負け」はこの試合ではほとんど見受けられず、ボールを失っても前線からプレスをかけて再奪回にかかり、浦項得意のカウンターを許さず。
15分を過ぎると両者中盤でのプレスの掛け合いとなって試合の形勢は五分五分となり、30分には岩尾の自陣深い位置からのビルドアップのミスでヒヤリとする場面もありましたが、36分カウンターで小泉が自陣で一人交わして左サイドの裏に長い縦パス→左サイドからエカニットがボックス内へ突入して中央へ横パス→カンテのシュートが決まって浦和先制。
前半終了間際には浦項右サイドからのクロスがマリウスに当たってコースが変わったのが災いしてファーで#37(ホン ユンサン)に詰められるピンチがあったものの、ここは明本&西川がブロックして難を逃れました。
浦項は後半頭からCFゼカなど3選手を一気に投入。52分左サイドからのクロスに#30(ユン ジェウン)が飛び込むも枠を捉えきれず。続く62分も左からのクロスはマリウスがカットしてわずかにゼカに合わず、と思っていたところ突如VARが介入。クロスは確かにマリウスの小さく広げた右手に当たっていてハンドを取られても特に不思議はなくPKの判定。66分ゼカは西川のタイミングを上手く外して難なくPKを決めて同点に。
マリウスは前半終了間際のピンチに象徴されるように、疲労困憊で「あと一歩が出ない」場面が最近目立つようになっており、それが祟ってこんなハンドを取られる羽目になったのでしょう。
その直後に浦和はエカニット→リンセン、安居→髙橋と代えて反撃に転じたようとしたところで、今後は72分明本が相手のカウンターを阻止しようとしたところで明本の足裏が#11(コ ヨンジュン)の足首のあたりに入ってしまい、主審の当初の判定はイエローでしたがVARが介入して当然の一発レッドに変更。#11は気の毒なことにそのまま負傷退場。
数的不利になった浦和は77分小泉→大畑の交代で右SBに荻原を回し、84分には浦項CBのミスを突いたリンセンがシュートを放つものの枠を捉えきれず。さらに85分カンテ→興梠と代え、荻原が守備に戻れる体力がないのを覚悟の上で敵陣深く激走するなど浦和は数的不利でも勝ち点3を狙いにいきましたが、当然ながら試合はオープンな展開に。
再三浦項のサイド攻撃を食らいながらも浦和は良く耐えていましたが、90+4分浦項右サイド深い位置からのスローインで始まる攻撃で、#12(キムスンデ)が大畑の裏に飛び出して高速クロスボール→西川は弾くのが精一杯で#7(キム インソン)に押し込まれて逆転を許してしまいました。
なおも浦和は諦めずに攻勢に出たものの、リンセンのシュートは最後まで枠に飛ばず、試合終了間際にはスコルジャに全く意味不明なレッドカードまで飛び出して、後味の悪い形で試合終了。
浦和はホーム&アウェーとも浦項に負けてしまったのでグループステージ1位突破の目がなくなり、残り2試合連勝しても勝ち点10止まりでは他グループでの比較で2位突破の可能性すら怪しくなってしまいました。しかも今季一杯酒井不在が確定しているのに、次節武漢戦は明本も出場停止となって右SBの人材難はここに極まれり。実に辛い。
乏しい現有戦力の中でのやりくりを強いられたスコルジャは残る3大会で最もタイトル獲得の可能性が高いルヴァン杯決勝を最優先に選手を起用したのでしょう。強行出場を繰り返していた酒井がルヴァン杯決勝後に手術を決断したのもルヴァン杯決勝がチームの最優先だったことを伺わせます。
しかしその甲斐もなくルヴァン杯奪回に失敗して、酒井ほどではなくとも負傷をおしてルヴァン杯決勝に出ていたショルツや大久保をACL浦項戦で欠くという代償を払うことに。従って浦和はエカニットをスタメン起用したのに象徴されるように、かなり苦しい布陣で浦項とのアウェーゲームに臨まざるを得なくなりました。
それでも前半の浦和は大善戦するどころか、先制点を奪うことにも成功。ところか浦項が後半頭からCFゼカなど主力を投入してギアを上げてきたところで浦和はそれに抗し得る手駒がなくて劣勢に陥っただけでなく、明本のあんまりな愚行で数的不利に陥ることに。
数的不利でも浦和は勝ち点1ではなく、勝ち点3を狙いに行くというナカヤマフェスタっぽい分の悪い賭けに出た(浦和が勝ちにいったのは試合後会見でジャナスコーチも明言)ことには賛否両論あろうかと思いますが、浦和はその賭けにも見事に失敗して勝ち点ゼロに終わってしまいました。
最後は大畑の軽さが目立ってしまいましたが、数的不利が祟って左SHには守備に多くを期待でないリンセンが回っていて左サイドは大畑が孤立無援の状態でしたから、あまり大畑ばかり責めても仕方ないかと。右サイドはヘロヘロの荻原を髙橋が馬車馬状態でなんとかフォローしていたのと対照的。
決勝点を決めた#7(キム インソン)は奇しくも明本が負傷させてしまった#11(コ ヨンジュン)に代わって投入された選手。まさに因果応報でした。
ショルツ&大久保をベンチ外にしたのは、中3日で控えるリーグ戦神戸戦で3位確保を目指していることの現われのような気もしますが、明本は神戸戦も警告累積で出場停止。そして難敵神戸相手に負けてしまうと3位確保すら怪しくなってしまいますが、果たしてどうなることやら?
《選手評等》
・結果は非常に残念でしたが、初先発のエカニットが予想以上に良かったのが好材料。エカニットのプレス強度は正直物足りないと思いますが、それでも絶えず周囲をきょろきょろ見てて連動しようとする意識があるのは良く判りました。また狭いスペースでくるっと前を向けるのはいかにもタイのOMFっぽい感じ。割と簡単にミドルシュートを撃つのはそういう選手なのかどうか。ともかくこの出来なら中島より優先して使われるのも道理。夏の補強で正直「当たればラッキー」くらいに思っていたエカニットが一番戦力になっているのが皮肉というかなんというか。
・手術を決断した酒井は浦和公式では「右膝半月板損傷で全治まで約3ヵ月間の見込み」との話でしたが、報知によると「関係者によると、酒井は2月上旬に右膝半月板を負傷。痛みを抱えながら、プレーを続けてきた。今季は4月に右太もも裏を負傷、7月に左肘を脱臼するなど、ケガを重ねながらチームをけん引した。」とあってびっくり仰天。そんな前から故障していたのに酒井のバックアップを宮本のレンタルバックでお茶を濁し、その宮本はベンチ入りできるレベルにすらなかったとは、いやはやFB本部は実に良い仕事してますなぁ・・・
・敦樹はFIFAワールドカップ26アジア2次予選 兼 AFCアジアカップサウジアラビア2027予選(11/16 ミャンマー代表戦、11/21 シリア代表戦)に臨む日本代表メンバー招集決定。でも今の出来で代表へ行ってもロクに使われないまま終わるだけやと思うけどなあ。というか、代表に呼ばれ出してから浦和でのパフォーマンスが日に日に落ちている気がします。
・ファガニ主審はVARとよく連携を取り(その結果浦和が不利になってしまいましたが)、72分の明本退場まではVARをまともに使いこなせないJリーグの残念な審判団より遥かにマシな裁きっぷりを見せていましたが、試合終盤になぜかヒートアップして最後はスコルジャに謎過ぎる一発レッドをお見舞い!!まぁ試合結果には一切関係がない暴走だったのが救いと言えば救いですが・・・
・この試合のDAZN解説は槙野。槙野の解説は評判が良くないようですが、個人的にはチクチクと浦和批判をやらない分、あの方よりマシと思っているけどなぁ・・・たとえ不勉強が目だち、不要な自己アピールが目立ったとしても。
-----カンテ----
小泉---エカニット---安居
---岩尾--伊藤---
荻原-マリウス--岩波-明本
-----西川-----
(得点)
36分 カンテ
66分 ゼカ
90+5分 キム インソン
(交代)
66分 エカニット→髙橋(髙橋右SHへ)
66分 安居→リンセン(カンテ&リンセンの2トップへ)
77分 小泉→大畑(大畑左SB、荻原右SBへ)
85分 カンテ→興梠
※写真は試合とは全く関係ありません
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