修行するぞ!修行するぞ!修行するぞ!! ~ 八木新宮特急バス試乗
奈良交通が運行する「八木新宮特急バス」。同社のサイトによると全長169.8㎞、停留所の数は168、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る路線バスです。
乗車したのは新宮駅7時46分発、大和八木駅14時41分着の便。ほぼ7時間乗りっぱなしの修行です。始発の新宮駅でバスの写真を撮りまくっていたら明らかに不審者として運転手にマークされ、早速「どこまで行くのか」と誰何されました(苦笑)。長距離運行なのに途中で運転手の交代はなくて半日お世話になるので、ここは率直に修行に来たことを告白。
なお八木新宮特急バスの恐ろしいところは長距離を走るバスにも関わらず観光バスや高速バスのおさがりではなく、ただの路線バスタイプがやってくること!! ただコンセントこそないものの、Wi-Fiが搭載されている辺りは並の路線バスではなく、ある意味ボロい在来線特急よりマシ。Suicaも使えます。
○発心の道場:新宮駅→十津川温泉
この区間は車窓右手に熊野川がずっと御供。熊野本宮大社を通るせいか、外国人旅行者の利用も目立ち、運賃支払いに際しての運転手の英語でのやりとりも実にこなれたもの。
なお熊野本宮大社までは同区間を走る御坊南海バスと比べてバス停は圧倒的に少なくていかにも「特急」然としていますが、川湯温泉や湯の峰温泉を経由するのが災いして、熊野本宮大社までの所要時間は御坊南海バスの各停便より長いという罠が(苦笑)
○修行の道場:十津川温泉→上野地
十津川温泉で10分休憩。ただの路線バスにはトイレがないので、事前に体調を整えておくのはもちろん、途中のトイレ休憩も忘れずに。そして車内での飲食も控えめに。
ここから先は車窓左手にダム湖が連続します。空いていれば左側に移動したかったのですが、残念ながら十津川温泉周辺で結構な乗車があって座席移動できず。こうなると山や崖が続くだけの車窓右手は非常に退屈で、「修行」の様相が濃くなってきます。
バスが延々と辿る国道168号はちょこちょこバイパスっぽい橋梁&トンネルで改良が進んでいるのですが、バスはいかにも路線バスらしく旧道を回るのが恨めしいの何の。
○菩提の道場:上野地→五條バスセンター
上野地で20分休憩。すぐ近くに「谷瀬吊り橋」があって、これがこのバス最大の見所。長さ297m、高さ54m!!結構揺れる上に、板が軋みます。
めはりすし(2個500円)を買って昼食に。白米のおにぎりを高菜の浅漬けの葉でくるんだだけの超シンプルな一品で、中に具は全くなし。高菜だけではちょっと塩気不足なのでたくあんが貴重なアシストに。
観光路線の色彩が強いせいか、随所で観光名所などの案内がテーブで流れる他、テープでは拾いきれない小ネタを運転手が結構披露してくれます。五新線(というか、先行開業していた阪本線)の話をぶっこんで来た時はあまりのマニアックさにクラクラw
○涅槃の道場:五條バスセンター→大和八木駅
6時間弱に渡って延々と続いた山間部のバス旅も五條で終わり、イオンに併設された五條バスセンターで10分休憩。十津川温泉等から乗ってきた方々はその手前の五条駅でほとんど降りてしまってバスはガラガラに。
ここから先は国道24号線に入り、小さな峠で御所に入った後は奈良盆地の西端、いかにも都市郊外然としたところを進むので退屈さに拍車がかかります。車も増えて、信号にもひっかかりがちになって、高田市駅までほぼ定刻だったのに終点大和八木駅には5分遅れで到着。修行満了=免許皆伝の記念をもらいました。
なおバスの運賃表はパネル切替でいくらでも表示を増やせるLCD式なので168もバス停があっても何の問題もありません。デジタル式の時代はどうなっているのか判りませんが。
また五條→大和八木駅を修行目的以外で乗る意味は全くなく、五条駅で鉄道に乗り換えて奈良中心部へ向かうほうが早くて楽。さすがにこの修行をもう一回やることはないでしょうなぁ・・・
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