開幕の広島戦からどこまで修正できたかを楽しみにしていたら、まさか広島戦より内容が悪くなっているとは!!勝ち点1で御の字の残念な試合でした。
《スタメン》
浦和のスタメン前節広島戦と全く同じ。ただ試合前の会見でメンバー入りの可能性を示唆されていたソルバッケンがベンチ外となったのはともかく、広島戦後半途中からの投入で輝きを放った前田がベンチ外になったのには心底驚きました。
試合後の会見によれば前田は「金曜日に発熱があり、体調不良になりました。」とのこと。故障ではないのが不幸中の幸いでしたが、これはヘグモには大誤算だったことでしょう。
東京Vのスタメンは前節から翁長→深澤、稲見→山越と左右のSBを入れ替え。
《試合展開》
浦和のスタメンは前節と全く同じでしたが、前節ほとんど機能しなかった左WG関根&右WG松尾を諦めて、左WG松尾&右WG関根の形に。
東京Vはいつもの4-4-2で高めの位置に守備ブロックを構築。染野が浦和CBへプレスをかけ、木村がグスタフソンを監視するような役回りだったように見受けられましたがプレス強度はそんなに強くはなく、木村もグスタフソンにべったり張り付いている訳でもないので、浦和は立ち上がりからボールを保持し、東京Vを自陣に押し込む時間帯が長くなりました。
しかし問題はここから先。左サイドは渡邊が縦パスで松尾を走らせたり、小泉を絡めながら松尾と渡邊のポジションチェンジで突破を試みたりとそこそこ攻撃の形は出来ていましたが、左サイドからのクロスは全く誰にも合わず。
難儀なのは右サイド。こちらは全くと言っていいほど攻撃の形を作れず、酒井が一本クロスを入れたくらい。
浦和がボールを保持している時間は長いものの決定機どころかシュートすら撃てないので、5万人超もの観客が押し寄せた埼玉スタジアムは静まり返ったまま時間は徒過。浦和のチャンスらしいチャンスは21分東京V最終ラインのミスに乗じて小泉が高い位置でボールを奪って松尾がシュートを放った場面だけ。
東京Vも浦和のやり方に慣れて、ビルドアップが苦手なマリウスにボールを持たせるように誘導したり、西川には強くプレスをかけたり。それが効いて浦和は次第に攻撃の形すら出来ない惨状に。
浦和のピンチは36分小泉の自陣でのボールロストから。絶望的に数的不利なカウンターを浴びてしまいましたが、そこからゴールどころかシュートにすら持ってゆけないのはプレーオフ昇格組の悲しさ。
よって塩試合のままスコアレスで折り返しと思いきや、42分何度もCKを与えた末に先制点を取られてしまいました。CKからの流れで木村の見事なまでの反転ボレーシュートが炸裂したもので、めちゃくちゃ悪い訳ではないのに先制点を取られる広島戦と同じ試合展開になってしまいました。
まさかの先制を許した浦和は後半頭からの選手交代こそなかったものの、関根を左IH、小泉を右サイドへ出して4-1-4-1気味に布陣変更。右サイド攻撃の活性化を図ったものと思われますが、50分グスタフソンのスルーパスで酒井が裏抜けに成功した場面が目を惹いた(だが折り返しが誰にも合わない)くらい。むしろ60分に東京V得意のカウンターを浴びてヒヤリ。
そこでヘグモは61分にサンタナ→興梠、関根→岩尾、小泉→大畑の3枚替えで渡邉を右SHへ配転。しかしこれもさしたる効果なく、73分には電池切れの松尾を中島と交代。
全然WGらしくなく、ホイホイとインサイドへ入ってくる中島と、その裏をひょいひょい駆け抜ける大畑の動きはそれまで非常に定型的だった浦和攻撃陣の動きとは全く異質だったせいか、東京Vは少々混乱したようで守備陣は次第に自陣にドン引きに。
そこで82分ヘグモはグスタフソンに代えて髙橋を入れて4-4-2へ布陣変更。高さを加えたというか、スクランブル狙い=どさくさ紛れに点を取る狙いだったように見受けられましたが、これまたそれなりに効いて87分中島のシュートのこぼれ玉を拾った大畑がボックス内に突入するもシュートはGKがセーブ。
しかし、その直後中島のクロスの跳ね返しをボックス内で拾おうとした大畑の両足をSB山越が払う格好になってしまってPK与。PKをショルツが決めてなんとか同点に。
ようやく埼玉スタジアムは湧きかえりましたが大歓声を受けた浦和が大攻勢とまではいかず、またしてもシオシオに戻ってそのまま試合終了。東京Vは開幕の横浜M戦同様善戦はしたものの、途中から繰り出してくる選手の質の差で最後は決壊する形になってしまいました。
《総評》
広島は前年リーグ戦上位チームですし、監督もメンバーもほとんど変わっていない成熟したチームなので、監督が代わった上に面子もそこそこ入れ替わった浦和が苦戦を余儀なくされ、結果も試合内容通りになってしまったのは仕方ないと諦めがつきました。
そして迎えたホーム開幕戦。相手は昇格プレーオフを制してなんとかJ1へ復帰した東京V。開幕戦は横浜M相手に善戦していて侮れないとは思いましたが、そうは言っても所詮昇格組。広島戦の完敗を踏まえて、ヘグモが修正を施した新生浦和が東京Vをねじ伏せてくれるだろうと思っていそいそと埼スタへ向いました。
しかし、そこで見たものは広島戦以上の惨状。完敗は喫したものの決定機もそれなりに作れていた広島戦はまだマシだったのか!!と思えるくらい、浦和は決定機を作れませんでした。
広島の守備は基本マンツーマンなので一対一に勝ってしまえば決定機になりやすい一方、東京Vはゾーンディフェンスなのである程度ボールは持てるものの守備ブロックの外をボールがぐるぐる回るだけで時間が徒過といったところでしょうか。試合後城福が「我々のブロックの外でサッカーをやらせていましたし、侵入された感覚はなかった」と豪語した通りの試合内容でした。
もっともその傾向はリカ時代もスコルジャ時代もそんなに変わっておらず、アタッキングサードでのアイデア不足・迫力不足だけを取り上げてヘグモを責めても仕方ないでしょう。
難儀なのは浦和の攻め手があまりにも硬直的で、やろうとしていることは判りやすい(ゆえに「何をやりたいのかさっぱり判らないチームよりマシ!!」)反面、相手の対策も立て易くて簡単に行き詰まってしまったこと。なんかエポック社のサッカー盤(昭和脳)みたいな「縦の動き、縦のポジションチェンジしかない」サッカーをずっと見ているのは結構辛いものがありました。
東京Vの守備は浦和のボールをサイドへと誘導して、そこへ守備ブロックがどどっとスライドするの繰り返し。浦和はその動きを逆用して空いている逆サイドへ大きく展開できれば良いのですが、そんな形はほとんど作れず。また高い位置でどフリーのWGで対角線的にサイドチェンジ一発もなし。前半は左サイドでレーンだだ被りの渡邊&松尾が狭い局面で打開を図る場面ばかりが目立ちました。それでも左サイドはなんとか打開出来ているだけマシで、右サイドは終始沈黙。
気の毒なのはサンタナ。広島戦では荒木の羽交い絞めにあって全くボールが収まらずに良いところなく終わったせいもあって、この試合ではサンタナ目掛けてロングボールを蹴る場面はほとんどありませんでした。サンタナはボール欲しさに動き回るタイプではなく、最前線で終始我慢していましたが、待てと暮らせどボールは来ない。ほとんどボールに触ることのないまま61分にお役御免。そりゃ交代後にベンチを殴りたくもなるでしょうが、現時点ではある程度引いてボールを受けに来る興梠とスタメンが入れ替わってしまうかもしれません。
今はヘグモがやりたい基本形を仕込んでいる段階。スタメンの選手達はそれを忠実にこなそうとしているのでしょうが、やることが単純明快すぎて相手にも簡単に対策を練られてしまう。かといって、早い段階から勝ち点欲しさのあまり変則的なことをやり始めると何をやっても中途半端なまま長いシーズンが終わってしまいかねません。
試合後の各選手の会見を見る限り、どの選手も大なり小なり「監督のやりたいことだけを続けていてもにっちもさっちも行かず、何か変化をつけないといけない」という感想を抱いているようです。そしてその変化をつけたのが終盤投入の中島&大畑でした。でも中島や大畑を頭から使うとヘグモの基本形熟成からは遠ざかるのでしょうし、頭が痛いところです。
試合後ヘグモは「インサイドハーフの裏抜けという重要なプレーが少し欠けていたと思います。また、ウイングも背後に抜けて相手の脅威になるという場面が少なかったので、相手にとって少し守りやすいプレーになってしまったのかなと思います。」とほとんど攻撃の形を作れなかった主因を上げています。確かにそんな感じも受けましたが、裏抜けってスコルジャも口うるさく言っていて、それでもとうとう定着しなかったからなぁ・・・
でもミシャ最悪期の「浦和の5トップと相手の5バックがきれいに並んでいる惑星直列状態」を経験すると、こんな試合でもまだ裏抜けの意識が高かったほうと思いましたが(苦笑)
あえてこの試合の良かった探しをすれば、ヘグモが手駒の如何、相手の出方如何に関係なく4-1-2-3に拘るタイプではないのが判ったこと。カルロス投入後ははっきりした2トップでした。
逆にかなりヤバいと思ったのはハイプレスが全くと言っていいほどハマらなかったこと。スコルジャはプレスがハマらないと見るや、4-4-2の守備ブロック形成へと切り替える割り切りが出来ましたが、ヘグモは最後まで全然ハマらないハイプレスに固執していたように見受けられました。
とにかく連敗スタートという最悪の結果を免れたのが唯一の救い。しかも開幕後2連勝したチームはないという幸運にも恵まれて、1分1敗の勝ち点1でも致命的な出遅れにはなっていません。次節はオフに主力が抜けまくった上に毎年恒例のけが人続出で、チーム状態は浦和より悪いと思しき札幌相手にどこまでやれることやら?
《選手評等》
・西川はキックが誰にも合わずにタッチを割ってしまう場面が2回あり、守っては飛び出してボールに触れないなど怪しげな場面もちらほら。なんか西川の衰えが著しいのと、マリウスのあんまりなビルドアップ能力のなさが東京Vにかなり狙われてる気がしました。
・西川とマリウスの不振が目立ちましたが、酒井も敦樹も小泉も褒められたものではなく、昨年の超過密日程から来るコンディション不良が尾を引いている可能性は否めないかと。信じていいのはもはやショルツ神だけ。
・渡邊は終盤に本職の右WGで起用されましたが、ヘグモ下ではいかにもこのポジションでは練習してなさそうで、ただ居るだけだったのは辛いものがありました。
・グスタフソンは確かに局面局面で上手いと思わせるものがありましたが、その上手さをチームが全然活かせていない印象。ショルツの「モーゼ攻撃」が全く活きないのと現時点では良い勝負かも。ただグスタフソンはスウェーデンで奥さんの出産を待ってから合流した関係でコンディション面がまだ万全ではないようで、ここは上がり目を待つしかないかと。
・昨季末にチームは劣勢なのにベンチで笑っていて完全に浦和から心が離れていたように見えた大畑が、新シーズンになってまさか一番マシな選手に見えてくるとは!!!
・この試合の観客数は50863人。開幕戦で5万人超入ったのは2013年以来だそうですが、事前に売れたチケットは55113枚だそうで、その1割がノーショーだった勘定に。浦和はほとんどタダ券を配らないにも関わらず、最近はノーショーが増えていて事前の売り上げ枚数と実入りが大きく乖離するケースが目立つのが不思議です。高齢化の影響でシーチケ組が来てないのかなぁ???
・MDP、記事等のフォントが大きくなっていてびっくり!!この辺にも高齢化の影響がががが・・・またHAPPY BIRTHDAYの掲載人数がやたら増えているのが不思議でした。
・帰りは試合終了と同時にスタジアムを出ましたが、駅までの人波がほぼ競歩会場と化してて笑いました。でもその甲斐あって18時23分発の日吉行きに乗車成功。
松尾---サンタナ---関根
--小泉----伊藤--
-----グスタフ-----
渡邊-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----
(得点)
89分 ショルツ(PK)
(交代)
61分 関根→岩尾
61分 サンタナ→興梠
61分 小泉→大畑
73分 松尾→中島
82分 グスタフソン → 髙橋
---染野--木村---
齋藤-------山田楓
---見木--森田---
深澤-谷口--林--山越
-----マテウス-----
(得点)
42分 木村
(交代)
74分 山田楓→翁長
74分 森田→綱島
84分 齋藤→河村
84分 木村→山田剛