【DAZN観戦記】24年第8節:柏 1-0 浦和 ~ 3歩進んで3歩下がる
「今季は出来不出来が激しいシーズンになりそう」と覚悟はしていましたが、それにしても今季の浦和が負ける時はホンマ全く何の見どころもないまま負ける。日立台へ赴かれた方々の帰りの足取りはさぞかし重かったでしょうなぁ・・・
《スタメン》
浦和は前節から岩尾→小泉と1名入れ替えのみ。しかも岩尾はベンチにも入らず、試合後の監督会見によれば「火曜日の練習で非常に小さな筋肉のケガをしてしまった。」とのこと。
一方、今週大原に戻ってきたショルツが早々にベンチ入りした他、堀内がベンチ入りしたのが超サプライズでした。如何せん堀内は昨季ほとんど試合に出ていないのでヘグモが堀内をどこで使おうとしていたのか皆目判らずじまい。
柏は関根→川口、熊坂→土屋。島村→戸嶋、細谷→小屋松とスタメン4名入れ替え。
なおパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジア杯カタール大会参加のため、浦和は大畑、柏は細谷&関根が離脱中。
《試合展開》
強烈な前プレからゲームに入った柏に対して、浦和はミスを連発。3分には佐藤の縦パスに対して伊藤の対応がアバウトすぎたところからカウンターを食らってサヴィオに決定機。12分には持ち上がってハーフラインを越えようとしたマリウスがボールコントロールを失ってカウンターを食らって小屋松に決定機。
序盤の浦和はビルドアップにも苦しみ、ロングフィード一発でWGに柏最終ライン裏を狙わせるもこれまた不発。チャンスらしいチャンスは9分CKからサンタナのシュートはわずかに枠を逸れた場面だけ。
それでも20分過ぎからようやく浦和が柏を自陣に押し込んでサイドからクロスを入れる形ができ始めるもチャンスになったのは30分前田のクロスをサンタナが折り返してグスタフソンが突っ込んだ場面くらい。続く31分には小泉が左サイド奥を抉ってクロス→サンタナがヘッドで繋いで後方から前田がボレーシュートを放つもはるか上空へ。
柏は序盤の決定機を逃した後はこれといったチャンスは出来ず、スコアレスで前半終了。
浦和は膠着した戦況を打開すべく、後半頭から盛んに縦ポンで柏最終ラインの裏を狙ってはいましたが、曲がりなりにも攻撃の形になったのは50分佐藤ロングフィード→石原クロス→サンタナがボックス内でポスト→小泉のシュートで終わった場面だけ。
一方柏は浦和を自陣に押し込んだ時間帯で54分右サイドに流れたサヴィオが犬飼のパスを受けてどフリーでクロス→ファーでジエゴヘッドの決定機を作ったもののここは西川が好セーブ。ただ柏最大かつ唯一の危険人物サヴィオをどフリーにしている浦和の守備っていったいどうなっているのか??
先に動いたのは柏。58分戸嶋→島村、小屋松→木下と2枚替え。一方浦和は60小泉→中島、前田→大久保の2枚替えで中島トップ下の4-2-3-1へ布陣変更。しかし、この時間帯以降は後半頭に頻出した「ロングフィードでの柏最終ライン裏狙い」はすっかり影を潜めてしまい、タイトなままの柏守備ブロックを前にショートパスだけで立ち向かい続けることに。
そして72分またしても右サイドに流れたサヴィオが白井の縦パスを受けて渡邊の裏を取ってどフリーでクロス→木下がボックス内で合わせて柏先制。DAZN解説の林氏は戻りが遅い伊藤を叩いていましたが、それ以前に松尾が戻ってこれずに前方で散歩しているのがなぁ・・・もともと守備に多くを期待できない渡邊が数的不利に陥っているのは誠に気の毒でした。
浦和は76分に安居を投入して中島を左SHに出した辺りから加速度的にグダグダ度合いマシマシに。最後に伊藤に代えて興梠を入れて布陣を4-4-2に変更。解説林氏は「この方が柏は嫌がると思いますよ!!」と鼻息を荒くしていましたが、浦和は浦和でこの形を全く練習していないのか何の効果もなく、的確な選手交代でプレス強度を保ち、コンパクトな守備陣形を維持しつづけた柏相手に最後まで手も足も出ず。
《総評》
「終始前がかりで、両WGを軸にサイドから殴りまくるサッカー」をイメージしていたら、前がかりにすらさせてもらえず、守備の穴だけはしっかり突かれてウノゼロの完敗。たった一点差ですが、試合内容的にはボロ負けという印象が強く残りました。結果的に殴り合いの試合になっても不思議はないサッカーをしているのに、こちらはほとんど殴れないまま終わる。これはメンタル的に非常に堪えます。
走行距離でもスプリント回数でも柏にだいぶ差をつけられたようです。動きの量だけでなく質でも完敗。柏のタイトな守備ブロックを広げようとする試みすら中途半端に終わって手も足も出ずに完敗。
リカ1年目は試合毎に「できること」が増えてゆく様が割とはっきり判ったのが良かったかと。今季は3歩進んで3歩下がる感じなのが実に辛い。毎週が賽の河原。しかも焼け跡、廃墟から始まったリカよりヘグモの初期条件は良いはずなのにこのありさま。これって監督の能力を疑問視されても仕方がないでしょう。
柏は別に難しいことはやっておらず、井原監督の言い方を借りれば「強度の高いところも含め、前からプレッシャーを掛けにいこうと。選手はそのサッカーを90分間しっかりやってくれたと思います。」とただそれだけ。当然選手の消耗が激しいので、U-23代表絡みも含めてスタメンを4名も入れ替え、かつ後半も早め早めに選手を代えて運動量をなんとか維持し、それが見事に奏功しました。サヴィオ以外はスーペルなタレントは全くいませんがやるべきことを全員がサボらずにやる。サヴィオも案外守備を頑張れる。得点は少ないが「負けないチーム」になっているのも納得。
一方、ヘグモは試合後会見で敗戦の主因を「本日は相手の背後に大きなスペースがあったので、そこを狙おうと思ったが、出し手と受け手のタイミングがあわなかった。」と総括しています。柏のプレスがきつくて受け手が楽に縦パスを入れられる機会が少なかったのでしょうが、そりゃ最も期待できるパスの出し手=グスタフソンがあれだけ柏に掴まったままでは良質な縦パスも出ないでしょうなぁ。
そしてなんでグスタフソンが掴まったままかとなると、要は「岩尾がいないから」。岩尾がいないとIHの人材不足で全く機能しない4-1-2-3にはホトホト参りました。単に中盤に3人いるだけで、それらの動きに連携らしくものは一切感じられず、ただただ浮遊しているだけ。
小泉は久しぶりの試合なのでまだしも、伊藤がIHとして成長する様子がないのは困ったもの。そしてFC東京戦に続いて柏戦でも失点に関与。試合後ヘグモは「クロスが入ってくるときは、CBの前のスペースをしっかり埋めなければいけないと思います。」とこぼしており、伊藤のスタメンはもはや諦める時期に来たのではないかと。
また柏にカウンターではなく、低い位置に守備ブロックを敷いて守っている時にサヴィオに2度も決定機を許したのには参りました。浦和の守備ブロックって昨年から一変してタイトでもなんでもなく、肝心なところで穴が開きまくり。戻ってこないWG、戻ってこないIH。終始前がかり、終始前残りなのでそうなるのは仕方ないのかもしれませんが、そんなリスクを抱えながらも全然攻めの形は出来てないとは残念にも程がありましょう。
今季の浦和は浦和以上にぶっ壊れているチームをボコボコにして溜飲を下げるくらいしか楽しみはなさそうです。優勝なんて口にするのもおこがましくて、個人的にはしばらく封印です。
《選手評等》
・木下は浦和→水戸→京都と長いリハビリ期間を経て、ようやくコンディションが整ったのかなぁ。J1で通用するとは予想外でした。
・不自然な私服で日立台へ行って、無理矢理声を押し殺す場面は特にないまま帰るって、結構辛いものがあるなぁ。現地組お疲れさまでした。
松尾---サンタナ---前田
--小泉----伊藤--
-----グスタフ-----
渡邊-マリウス--佐藤-石原
-----西川-----
(交代)
60分 小泉→中島
60分 前田→大久保
76分 松尾→安居
79分 伊藤→興梠
--小屋松--サヴィオ---
山田--------戸嶋
---白井--土屋---
ジエゴ-古賀--犬飼-川口
-----松本-----
(得点)
72分 木下
(交代)
58分 戸嶋→島村
58分 小屋松→木下
68分 土屋→熊坂
90+2分 サヴィオ→熊澤
※写真は試合とは全く関係ありません。
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