【観戦記】24年第14節:浦和 3-0 京都 ~ 泣くよチョウキジェ平安京
京都のハイプレスというか猪突猛進ぶりに慣れるのに時間はかかりましたが、慣れてしまうとなんで3点しか入らなかったのか不思議なくらいに決定機を量産。もっとも無失点で終わったのもこれまた不思議でしたが(苦笑)、今季初の圧勝劇でした。
《スタメン》
浦和のスタメンはグスタフソン→大畑、大久保→安居と前節から二枚入れ替え。大久保が前節小破したので大畑をスタメンにして渡邊をIHに出したのは納得ですが、グスタフソンのベンチ外にはびっくり!!
ここまでフル出場なので、五月の過密日程の中でお休みを入れたのかな?と思ったのですが、試合後会見では「彼は横浜F・マリノス戦で股関節に負傷を抱え、アルビレックス新潟戦でそれが悪化しました。新潟戦の後は痛みがかなり強かったので、検査をしました。検査の結果、何か危険な、重症なものがあるということではなかったのですが、今回は大事を取りました。」とのこと。うーん、これはこの試合の欠場だけでは済まなさそう・・・
なお大久保も「サミュエル(グスタフソン)と同じようにあまり重症ではないのですが、膝に少し症状があったので休ませました。」とのこと。
リンセンに代わって興梠がベンチ入りした他、武田と故障明けの酒井がベンチ入り。スタメンはあまり弄らない代わりにベンチメンバーを頻繁に入れ替えるのがヘグモ流。
京都のスタメンはクソンユン→太田、宮吉→福岡と前節から二枚入れ替え。GKを代えたのは謎。FW山﨑&豊川のベンチ外が続いているのは小破なのかも。
《試合展開》
序盤は完全に京都ペース。浦和は京都の強烈なハイプレス&ファウル上等の激しい当たり、そして非常に不安定極まりない高崎主審の笛に悩まされて浦和はビルドアップに四苦八苦。サンタナには何をやってもノーファウルなせいか、サンタナにボールが収まらないのにも参りました。
それでも2分に複数人に囲まれた挙句サンタナがボールを失ったところから原のミドルシュートが枠内を襲った場面以外は決定機らしい決定機は与えず。
時間の経過と共に京都のやり口に慣れたせいか、25分ショルツが突如前線へ乱入して伊藤とのワン・ツーでボックス内突入&フィニッシュに至った辺りから浦和のビルドアップが安定して京都を自陣に押し込む展開に。30分には敵陣で京都のスローインを奪ったのを契機にアーク付近で中島がボールキープ&スルーパス→伊藤がボックス内へ突入するもシュートはGKセーブ。34分には中島のループ気味のミドルシュートは枠内を襲うもGKセーブなど惜しい場面が続出。
そして42分京都を自陣に押し込んだ状態から、渡邊縦パス→アーク付近でサンタナが叩いて後方から安居の地をはうようなミドルシュートが炸裂して浦和がついに先制。
後半立ち上がりは京都にビッグチャンス。左サイドから武田クロス→川崎ヘッドは大畑がブロックしたものの、そのこぼれ玉を拾った福岡のシュートがポスト直撃!!しかし京都のチャンスは単発に終わり、その後は再び浦和ペースに。
55分西川のロングフィードを右サイドタッチ際で前田がヘッドで落とし、伊藤が拾って前に持ち運んで渡邊へラストパス。渡邊がボックス手前からコントロールショットを決めて2点目。
2点ビハインドに陥った京都は60分武田→宮吉、松田天→マルコ、鈴木→佐藤と一気に前目をごっそり交代。これでプレス強度を再び上げたのは多少効果があって、64分に西川のビルドアップのミスを誘発するも、原が決定機を決められず。
66分ボックス内でボールキープしている伊藤をプレスバックしてきたマルコが足裏で蹴ってしまう格好になってPKゲット。しかしそのPKをサンタナがまさかの失敗。シュートコースをGKに完全に読まれてしまいました。
その後も70分福岡→谷内田、74分金子→一美と京都は矢継ぎ早に選手を代えてきましたが、前プレを交わされてしまうとその背後のスカスカの中盤を浦和に好き放題に使われる傾向は全く変わらず。
ヘグモは74分にようやく動いて中島に代えて小泉を投入。76分ボックス内右から渡邊がふんわりクロス→サンタナがバイシクルシュートを放つもGKがセーブ。
そして77分京都を自陣に押し込んで、安居が高い位置でボールを奪回。小泉スルーパスをサンタナが決めて試合を決定づける3点目をゲット。
その後も80分小泉サイドチェンジを契機に伊藤ヒールパス→前田シュート、86分伊藤がボックス右隅からミドルシュートと決定機がありましたが、GKがPKセーブに続いて奮戦。
試合は事実上決しているにも関わらず、お疲れの選手を休ませる趣旨でのヘグモの選手交代は遅くて84分前田→エカニット、さらに89分になって石原→酒井、伊藤→武田、サンタナ→興梠とようやくゾロゾロ交代。
ATが長くなる要素は何もなかったのでそのまま試合終了と思いきや、90+5分に酒井の縦パスで興梠が裏抜けに成功。しかも後方から追いすがるアピアタウィアの前にわざわざ身体を入れる興梠の狡猾さが奏功して、アピアタウィアがDOGSOで一発退場。不必要にも程があるDOGSO。試合は事実上終わっているにも関わらず、次節にまで禍根を残す非常にくだらない退場劇で大笑い。
アピアタウィアは82分にしょーもないボールロストからサンタナに決定機を与えており、なんでこれをレギュラーCBとして起用しているのかさっぱり判らなかったのですが、昨年の京都のレギュラーCBが今浦和にいることをすっかり失念していました(苦笑)。
《総評》
「今日はJリーグで最もハイプレスをかけようとしているチームとの対戦でした。3人、4人とハイプレスをかけてきました。でも、そこを破ると非常にオープンな形になることが、後半は見られたと思います。」
この試合は試合後会見にヘグモが語ったこの言葉に集約されましょう。キジェ京都のいつもの手口=ハイプレスに慣れるのに前半の半分を費やしましたが、その後はほぼ一方的な浦和ペースで決定機の山また山。3点しか取れなかったのが不思議なくらいの圧勝劇でした。64分の西川のビルドアップのミスなど京都にも絶好機があって無失点で終えたのも不思議でしたが。
ここまで全試合スタメンで、ヘグモ式4-1-2-3のキーマンというかその存在なくしてこのシステムが機能しないようにすら感じられたグスタフソンがまさかの欠場。代わって安居がアンカーに起用されましたが、安居はグスタフソンとは全く違うスタイルで見事にアンカー役を全う。ビルドアップに大いに貢献しただけでなく、先制点まで奪う大活躍ぶりでした。
安居はグスタフソンのように広範囲にパスを散らすような芸当は出来ません。その代わりに良く動きます。アンカーとして動きすぎる嫌いがなくもないのですが、それでもパスコースを作ってビルドアップを助ける。ついでに自分で一枚剥がして、さらに独力で前にボールを運ぶ。その繰り返しで味方を大いに助けました。そしてグスタフソンより安居が明らかに勝っている点=守備範囲の広さ&強度で違いを出してくれました。
それにしても浦和はいつの間にかビルドアップが上手くなっていて、この辺のヘグモの仕込み能力には驚嘆せざるを得ません、しかも浦和のビルドアップを一人でアシストしていたように見えたグスタフソン抜きでもなんとかなるとは!!スコルジャは残念ながらリカの遺産を食いつぶした面があってビルドアップは次第に下手になり、前ハメ系、パイプレス系の相手には概して苦戦していましたが、今はその系統には無類の強さを見せるように。
「Jリーグではハイプレスをかけようとするチームが多いですから、そこを外すプレーが非常に大事になると思います。」とヘグモは語っていますが、今は「独力で相手を一人剥がせる」選手がゾロゾロ。そして一人剥がしてしまえば、その後は丁寧に繋いでも良し、一気に最終ライン裏を狙うも良し。相手守備陣に常に複数の選択肢を突き付けて迷いを与えつづける。
そんな浦和に対して京都の守備は必要以上にボールホルダーに人数をかけてボールを奪いに行くのが致命傷に。前プレをいったん交わされるとどフリーの選手へ展開されて即死。3失点目がその典型でした。もう根性頼みのサッカーは限界でしょうに。そしてこれをやらされている選手はサッカーが上手くなる道が絶たれてて気の毒です。
《選手評等》
・石原といい、安居といい、キャンプ時は戦力外っぽい扱いだった選手がやっと巡ってきた出場機会をバシバシ生かすんだから世の中判らんわなぁ。
・敦樹が完全に迷いを断ち切って自信をもってプレーし始めました。こんなにわかりやすい奴もなかなかいません!!実に赤者っぽいw
・サンタナはPKも含めて4回決定機があったが1点どまり。ハットトリックを決めていたら一気に得点王浮上のチャンスだったのに残念。でも思った以上に守備をやってるからあんまり責められんなぁ。サンタナもお疲れだろうに、ヘグモが3点取った後にすぐに興梠に代えなかったのが少々不可解。
・小泉もエカニットもまたまたWGで起用。前田のようなWGらしいWGが怪我で頭数不足なので、中島みたいな「なんちゃってWG」を増やそうとしてるのかも。
・大畑はある程度固まってしまったレギュラー陣に初めて加わった選手らしく、攻撃面での寄与はイマイチでしたが守備で大穴を開けなかったからまずまずの復帰戦といっていいかな。ヘグモにはビルドアップでの寄与を高く評価されているようですし。
・故障明けの酒井がついに短時間ながらピッチに帰ってきました。ただヘグモは極力スタメン固定で連携を深めてゆくチーム作りをしていて、しかもそれが徐々に奏功しつつあるから、故障明けの選手はレギュラー奪回まで時間かかるかも。酒井はその辺自覚しているみたいですが。
・岩尾が典型ですが「軽い故障でお休み」みたいなことをヘグモは言っていたのに案外長引く事例が今季は多くてなぁ・・・グスタフソンや大久保は大丈夫かなぁ・・・・
・高崎主審は前半判定基準がブレブレで難儀でしたが、後半は割と簡単にファウルを取る方向で一貫してた気が。後半だけならJ1ではマシなほうと思いました。前半はひどすぎたとしても、90分酷いよりはずっとマシ。
・今日の観客数は2万人ちょっと。昨年やたらあった平日の試合、不人気&ビジターが見込めない相手だと2万割れ続出でしたから、これでも善戦なのでしょう。でも同日の広島は2.5万人にも入っていて平日はスタジアムの立地の差が如実に出るみたいで(1万人しか入らなかった神戸はみなかったことにする)。
中島---サンタナ---前田
--渡邊----伊藤--
-----安居-----
大畑-マリウス--ショルツ-石原
-----西川-----
(得点)
42分 安居
55分 渡邊
77分 サンタナ
(交代)
74分 中島→小泉
84分 前田→エカニット
89分 石原→酒井
89分 伊藤→武田
89分 サンタナ→興梠
松田天--原----川崎
--武田----福岡--
-----金子-----
麻田-鈴木--アピア-福田
-----太田-----
(交代)
60分 武田→宮吉
60分 松田天→マルコ
60分 鈴木→佐藤
70分 福岡→谷内田
74分 金子→一美
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