【祝】三菱重工浦和レッズレディース 2023-24 WEリーグ 優勝
昨日(5/12)、浦和レッズレディースの2023-24WEリーグ優勝が決定しました。
浦和はAWCC決勝の関係で第20節を消化済で、2位I神戸と勝ち点差7の状態で第20節千葉L対I神戸の結果を待つ立場。ところがその試合でI神戸が千葉Lに敗れ、残り2試合でのI神戸が浦和を勝ち点差で上回る可能性がなくなったので、浦和の「在宅優勝」が決まりました。
次節アウェーでI神戸と浦和の一大決戦があり、当のI神戸ならともかくなぜかWEリーグ自体が神戸に1万人もの無料招待を仕掛けるという意味不明な出来事もあって赤者は噴き上がりまくりでしたが、千葉が負けるという大前提のもとで仕組まれたイベントは残念ながらほぼ無意味に(苦笑)。
神戸へは結構な数の赤者が押しかける予定でしたが、どうやら神戸では優勝関連セレモニーも無いようで、これまたただの関西観光になりそうです(さらに苦笑)。
それにしても、今季の浦和が2試合を残してぶっちぎりで優勝するなんてシーズン序盤には全く予想できませんでした。
まずリーグ戦開幕前にAWCCのグループステージ3試合をタイで消化。相手は残念ながらいずれも浦和よりかなり力が劣っていて浦和も若手中心で試合に臨んではいましたが、その関係でコンディションを崩したり、後々過密日程が発生したりしてシーズン序盤の浦和は総じて動きが悪い試合が目立ちました。
またAWCCグループステージの直前にパリ五輪出場を巡ってのアジア2次予選があり、代表組はその試合をこなしてからAWCCに直行する羽目に。その結果高橋はAWCC後完全にコンディションを崩してしまい、石川もリーグ開幕戦は欠場。第5節アウェー新潟戦の敗戦はなんだかんだとコンディション不良が主因と思われます。
さらにリーグ戦中断期間中に開催された皇后杯準決勝広島戦で安藤と猶本が負傷して長期離脱を余儀なくされる一大アクシデントが発生!!
昨季の浦和はダントツの戦績で優勝しましたが、個人的には正直WEリーグでは頭二つくらい抜けてた実力を持っている(=他のチームはそれくらいの実力がある選手は欧州へ移籍してしまってもはや存在しない)猶本の「全権委任システム」が猛威を振るった、猶本への依存度が極めて高かった優勝だと思っていました。
またFW、トップ下、WG/SH、CH、CB(代表ではSBもやってた!)となんでも出来て、過去FW・MF・DFの3ポジションでベストイレブン選出経験があるポリバレントすぎる大ベテランの安藤の長期離脱も監督にはさぞかし頭が痛かったことでしょう。「困った時には安藤を置いていけば良い」はずでしたから。
そしてチームを牽引していた両ベテランの長期離脱がチームのメンタルに悪影響をもたらさないはずがなく、続く決勝では優勝寸前のところまでいきながら、惜しくもPK戦で準優勝止まり。
猶本依存度が高かったチームから猶本と安藤が長期離脱。そして故障も重なってか高橋は欠場が続き、菅澤も膝の状態が芳しくないようでフル出場は見込めない状態。皇后杯を終えてリーグ戦が再開したものの、このような惨状を受けて個人的にはリーグ戦優勝は正直諦め「若手の成長が楽しみ」と切り替えていました。
ところがそこからチームは劇的に立ち直って、再開初戦のホームI神戸戦を引き分けで終えて以降は全勝で突っ走って、リーグ戦再開時点では首位だったI神戸を抜き去り、さらに突き放して見事優勝。これには恐れ入りました。
優勝の主因はなんといっても現在ぶっちぎり得点王の清家を筆頭に、塩越、遠藤、長嶋といった1996~98年生まれの中堅世代の成長でしょう。特に清家はユース時代からお姉さま方に混じって試合に出ているせいか、ずっと末っ子気質みたいな印象がぬぐえませんでしたが、両ベテランの長期離脱を受けて明らかにチームリーダー然としてふるまうようになりました。おまけに難がありまくりだったシュート精度まで劇的に向上。清家に何があったのか全く判りませんが、これは嬉しい大誤算でした。
その少し上の世代にあたる栗島が大怪我を乗り越えて完全に復調したのも優勝の一因に上げていいでしょう。シーズン序盤は角田がCHの一角を占める試合が多くて世代交代の予感ムンムンでしたが、角田がU-20代表で不在の間に栗島がポジションを奪回してそのままレギュラーに定着。角田はスーパーサブ的な起用になってしまいましたが、スキルフルなのに運動量が滅茶苦茶多い角田が投入されると相手はもはや付いてゆけないのでこれはこれで理にかなった起用法に。健全な競争がもたらした好循環でした。
島田の再覚醒も見逃せません。今季前半は昨季の覚醒が嘘のように不振を極めていましたが、中断期間を経た後はなぜか再覚醒してコンスタントに点を取り始めて現在清家に続く得点ランキング2位に。菅澤がほとんど使えない穴を感じさせない働きぶりをみせました。
そして補強面での大ヒットは伊藤。ライバルチームであるI神戸の主力をぶっこ抜いただけでも十分快挙ですが、伊藤が浦和にフィットしまくって八面六臂の大活躍。本来トップ下なりCHなり、中に入ってナンボの選手のせいか、シーズン序盤は左SHなのにトップ下の猶本や塩越と被り勝ちな難点が見え隠れしていましたが、次第に自分なりに左SHでの活き方を会得。シーズン終盤は右からクロスに「相手の前に入ってしまえば背が低いのは関係ない!」とばかりにファーで小さい伊藤が飛び込んで得点を量産。このセンスにはただただ脱帽。
主力が複数人離脱したにも関わらず、残った選手達が予想以上の成長を遂げてたくましくなった。補強も大当たりだった。角田を筆頭に下部組織から続々とトップで使える選手が育ってくる。昨季のような特定の選手頼みではない、まさにチームの総合力で掴んだ優勝は高く評価してしかるべきでしょう。誠におめでとうございます。
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