【観戦記】24年第24節:浦和 3-4 札幌 ~ 今後どうするんだろうなあ、これ?
全く何もやらせていなかった相手に先制を許した後は急激にガタガタに。後半大反撃に転じるも一歩及ばず。滅茶苦茶内容が悪い訳ではないがとにかく結果は出ない。中断期間を挟んで今後どうするんだろうなあ、これ?
《スタメン》
浦和のスタメンは前節からパリ五輪出場のためチームを離脱した大畑に代えて出場停止明けの石原が入った他、グスタフソン→武田、サンタナ→松尾と3枚入れ替え。ヘルニア痛で離脱していた松尾は柏戦以来ほぼ三ケ月ぶりのスタメン復帰。
「状態を明日も見て、最終的に見極めたい」と言われていた中島がベンチ入りできなかったのはともかく、グスタフソンもベンチに入れず。代わって佐藤がベンチ入り。
札幌のスタメンは前節から大森を出場停止明けの駒井に入れ替えたのみ。但し、故障明けの宮澤&近藤と新加入のサンチェスがベンチ入り。
札幌は浦和同様故障者が多く、スパチョーク、荒野、小林、キムゴンヒが故障中。
《試合展開》
大畑離脱&補強も進まない左SBの大穴を誰が埋めるのかが注目ポイントでしたが、この試合は関根を左SBにコンバートしてキックオフ。
松尾をCF起用したことから十分予想されたことでしたが、立ち上がりは札幌の前プレを避けるかのように浦和はロングボールを多用して、早くも8分に松尾や伊藤が立て続けに裏抜けの形。
また札幌の前プレに案外強度がないことを察してか、パスを繋いで前プレを交わす形でもチャンスを作れるようになり、12分には右サイドから石原クロス→関根ヘッドとこの試合最初の決定機を作りましたが、ここはGK菅野がセーブ。 15分武田スルーパス→松尾シュートは枠を捉えきれず。20分武田→松尾→渡邊シュートはGKの正面。
その後も浦和が押し気味にゲームを進めながらも決定機でシュートブロックされて得点ならずという流れでしたが、37分青木CK→井上の前に入った岡村ヘッドで失点。失点はセットプレーでしたが、CKを与えてしまったのは浦和の前プレが全然ハマらずに札幌のビルドアップを簡単に許してしまったことからだったというのがいやはやなんとも。
さらに45+2分CB髙尾の縦パス一本で武蔵が裏抜けに成功し、西川との1対1を難なく制して追加点。「どう見てもオフサイド!!」と思ったのですが、どうも石原が残っていたようでVARでもゴールを認定。前プレが効かずに高尾に楽に縦パスを蹴らせてしまった上に最終ラインのコントロールに失敗。さらに井上も石原もオフサイドだとセルフジャッジして武蔵を追うのを止めているのが腹立たしいのなんの。西川まで気が抜けていたような。
まさかの失点を喫するまで何もやらせていなかった札幌に2点も取られて前半終了。前半から南の空に雷鳴が響きまくりでしたが、とうとうハーフタイムに埼スタも避難指示が出されるほどの猛烈な雷雨に見舞われて後半キックオフは遅れに遅れて、ほぼ45分遅れの20時45分キックオフに。
2点ビハインドに陥ったところでヘグモは後半頭から武田→サンタナと交代。それはともかくその後の布陣がどうにも奇怪で、どう見てもサンタナ&松尾の2トップに大久保トップ下の4-3-1-2。ヘグモのサッカーのキーであるサイドアタッカーらしい選手が布陣上は誰もいないという非常に珍妙な形でした。
試合後の会見ではハイプレスをかける意図からそんな布陣を敷いたようですが、練習でやっていないのではないかと訝しくなるくらい攻守とも全く機能せずになんとも緩い守備、球際の弱さを連発。
51分はCB中村が持ち運んでバイタルエリアでどフリーの駒井へパスをつけるという、もうハイプレスも守備ブロック形成も何もないという凄まじい守備崩壊ぶりを披露して失点。57分はアーク付近で安居がボールコントロールに失敗してボールが武蔵に渡ってしまう大失態から失点。安居は疲労困憊な上に集中力まで切れてしまったかのよう。でもそれ以前に自陣深い位置で札幌に簡単にパス回しを許している時点でアウト。
絶望的な戦況を受けてヘグモは61分に松尾→二田、関根→小泉、大久保→本間、安居→堀内の「怒りの4枚替え」を敢行し、しかも堀内アンカーの4-1-2-3に布陣を再変更。
とにかく点を取るしかない浦和は練習でやり慣れた布陣でやるべきことがはっきりした上に、二田の快足と切れ味鋭いドリブルで対面の相手を剥がしまくる本間の両WGがお疲れの札幌相手にかなり効いて浦和が超前がかりになって猛反撃開始。
65分左サイドからサンタナクロス→どフリーで二田ヘッドはバーを直撃しましたが、77分小泉CK→サンタナヘッドでまずは1点。81分中央左寄りから小泉クロス→ボックス内でサンタナを抜けてファーでどフリーになった二田がGKのニアをぶち抜いて2点目。
86分にはCKからの混戦でボックス内で井上が岡村に後ろから削られた格好になり、VAR介入&OFRを経てPK認定。90分伊藤がPKを決めて一点差まで追い上げましたが、やはり4点のビハインドは大きすぎて反撃もここまで。90+9分石原クロス→サンタナヘッドはGK正面へ飛んで試合終了。
《総評》
DAZNのスタッツではシュート数20vs8、うち枠内16vs5。ゴール期待値に至っては2.85vs0.75と大差がついており、この試合の浦和は何から何までダメだった訳ではないと思います。浦和が先制していれば結果は全然違っていたとも言えましょう。札幌が強かったのではなく、浦和がとにかく弱すぎた。しかも自爆的な要素てんこ盛りで弱いという印象を強く受けました。
それにしても湘南・京都・札幌と続く降格圏チームとの3連戦で1分2敗。しかもホームで2敗という厳しい結果。ガチャガチャした展開、オープンな展開に活路を見出しがちという点では似た3チーム相手に悉く自らそんな展開に持ち込んでしまってこの惨状。
ロングボールで相手の最終ライン裏を突くこと自体は悪くないんだが、それを多用すぎて自分の陣形が間延びしてしまう=ゲームコントロールを失ってオープンな展開になるって、湘南・京都・札幌には一番やったらアカンことじゃないかなぁ・・・
しかもヘグモって布陣変更や戦術的な選手交代で戦局を一変させる勝負師型監督ではないのに、なんか知らんけど「策士策に溺れる」傾向があるんだよなぁ。後半の4-3-1-2への布陣変更は全く意味不明でした。またハイプレスをかけたいのであれば、そもそも現状の松尾や大久保、そして武田のスタメン起用にも疑問が沸々と。札幌のマンツーマン守備対策に工夫を重ねすぎて自分の良さも消してしまって自爆ボタンをポチっとな、みたいな。本間が試合後「前半からみんな考えて流動的に動いていたんですけど、それが良い方向に行かなかった」と語っているのが浦和の自爆ボタン連打っぷりを表しています。
ヘグモって「やろうとしていることは判りやすいんだが、それを選手たちに実装する能力がしょぼい」点でまるでペッカーの再来と思います。ビルドアップが劇的に良くなったのは評価しますが、とにかく守備が壊滅的。スコルジャの低い位置での守備ブロック形成を嫌って高い位置でのボール奪取を目指したものの、半年経ってもこのありさま。
2失点目に直結したセルフジャッジみたいなのは「防げたよね?」という失点と思いますが、ハイプレスが全然ハマらないとか守備ブロックも何もないとかはそもそも仕込みの失敗だからなぁ。ちょっとするとグスタフソンが大活躍することを前提にチーム作りを進めていたら、肝心のグスタフソンの稼働率が低くてチーム作りが進まず、グスタフソンなしでのゲームプランを持ち合わせていないとか?
幸いにも浦和は残留争いに巻き込まれている訳ではない(なりそうな予感はムンムンですが)し、中断期間中に慌てて監督を代えてもロクなことにはならないからという消極的な選択としてヘグモ続投やむなしと思います。しかしこの半年での進捗状況を見るとここまで守備が出来ないヘグモに来年もやらせるほどの信頼は置けないというのが正直なところです。
もっとも左SBは開幕時から手薄で、おまけに酒井・ショルツ・岩尾と昨年の主力が相次いで移籍してその代わりも来ないという状況だけは気の毒で、ここはFB本部の失態を問われても仕方ないでしょう。
試合後ヘグモが「練習のところも今シーズン終了までどういうふうにやっていくかを考えたいと思います。」と語っているのがちょっと気になりましたが、やたら怪我人を出してしまう主因が練習のやり方にあると認めたのかなぁ?ヘグモが持ち込もうとしている「練習の文化」の結果がこれではなぁ・・・
《選手評等》
・二田は「出場機会を得た若者が空回りを恐れずに走り回ってシュート撃ちまくって、そのうちの一つを決めた!」という前目の選手のあるべき姿そのまんまでホンマ良かった。今日の良かった探しの筆頭。粗削りな選手の良さを存分に発揮した感じでした。
・ホームで4失点、しかもぶっちぎりの彷徨う札幌相手にホームで4点ものビハインドを負ったら、昔のゴール裏なら即座にダンマク撤収だったでしょう。でも全くキレることなく、諦めずに応援しつづけた結果がヘグモらしいエンタメ性抜群の試合に。さすがに試合後の埼スタは大ブーイングが鳴り響きましたが、その辺の切り替えの巧さは良い意味で隔世の感があり、意外にもゴール裏が「古き悪き浦和」からいち早く脱却したのかも。
-----松尾-----
渡邊---武田--大久保
---安居--伊藤---
関根-マリウス--井上-石原
-----西川-----
(得点)
77分 サンタナ
81分 二田
90分 伊藤
(交代)
HT 武田→サンタナ
61分 松尾→二田
61分 関根→小泉
61分 大久保→本間
61分 安居→堀内
-----鈴木-----
--青木----駒井--
菅--馬場--大崎-浅野
-中村--岡村--高尾-
-----菅野-----
(得点)
37分 岡村
45+2分 鈴木
51分 駒井
57分 鈴木
(交代)
61分 浅野→近藤
78分 馬場→長谷川
78分 大﨑→宮澤
78分 鈴木→サンチェス
84分 駒井→田中
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