伊藤敦樹選手、チーム離脱
昨日(8/10)、伊藤敦樹選手が海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のためチームを離脱する旨が公表されました。
残留争い組との3連戦でわずか勝ち点1しか上げられず、中断期間を経て反攻に転じようとしたら興梠が今季限りでの引退を表明。そして中断明け初戦はなんと雷雨で順延。ただでさえ凹みがちな日々を送っているのに、ダメを押すかのように伊藤の海外移籍の報が飛び込んできて正直ホトホト参りました。
伊藤の移籍話は8/9にソース不明の噂が流れていましたが、翌8/10にスポニチ&報知の2大機関紙から「ベルギー1部ヘントに完全移籍」と噂を裏付けるような報が流れて、当日13時にクラブから公式発表されるというスピード決着でした。
伊藤は「打ってよし、守ってよし」の典型的なBOXtoBOX型CHで、2023年にJリーグベストイレブン選出。また同年日本代表にも選ばれて、6月にデビュー。昨年終盤から今季序盤にかけては故障や疲労もあって不振に陥りましたが、シーズンが進むにつれて徐々に本来の力を取り戻しつつあったので、客観的に見れば欧州へ旅立つ日が来るのは時間の問題だったと思います。実際周囲の同年代の代表に入るか入らないかレベルの選手はほとんど欧州へ行ってますし(そんなレベルですらない選手までホイホイ行ってますが(苦笑))。
ところが、伊藤は今年7月に海外移籍が決まった酒井に代わってキャプテンに就任。従って個人的にはてっきり少なくとも今季中は海外移籍を封印して伊藤は浦和のために全身全霊を尽くしてくれるものと思い込んでいました。そして試合はもちろん、小学校訪問や埼玉県警川口署の一日署長を務めるなど試合外でも伊藤は新しい「浦和の顔」として積極的に活動していました。
しかし、そんな私の思い込みは片思いに過ぎなかったようで、伊藤はキャプテン就任からたったひと月ちょっとで海外への旅立ちを決断。さすがにこの移籍はあまりにもバツが悪いと思ったのか、ふだん多弁とは言い難い伊藤が珍しく長文のコメントを発しました。
伊藤が「浦和で闘いたい、浦和でリーグ優勝したい、そしてその中心に自分がなりたいという気持ち、ならなければいけないという覚悟」からキャプテンを引き受けると同時に、「海外でプレーしたいという夢」との間で心理的に葛藤し、「海外でプレーするチャンスを見送って、個人としての挑戦を先延ばしにした先に、次のチャンスをつかむことは年齢的に現実的な選択肢」ではないので、「自分のこれからのキャリア、選手としてどうなりたいかを考えたときに、日本代表として日の丸を背負って2026年のワールドカップでプレーしたいという気持ちがとても大きく、そのためにはこのタイミングで挑戦するのが一番良いと考え」るに至ったのは、先に述べた客観情勢を見れば判らなくもありません。個人的な「お気持ち論」的なモヤモヤは全く解消しませんが。
伊藤のコメントでは全く触れられていませんが、報知によれば伊藤の移籍に伴って多額の移籍金が発生する模様。「海外へ行くときは何がしかの移籍金を残して行くのが浦和ユース出身者の務め」という原口先輩の遺言を伊藤もちゃんんと守った格好に。
真偽不明の噂では移籍金は200万ユーロ(=約3.2億円)とのこと。浦和FB本部はこのタイミングでの伊藤離脱は全く予想していなかったでしょうが、ようやく「最初から多額の移籍金を払ってくれる先に選手を送り出せた」という点はむしろ評価していいのかも。シントトロ等のしょっぱいクラブに「レンタル+買い取りオプション」みたいな格好で送り出して結局安売りになってしまうよりは遥かにマシ。伊藤も「安売りはしない」ことを念頭に移籍先を選んでくれたのかもしれません。
問題は移籍のタイミングが悪すぎて、多額の移籍金をもらったところで伊藤の代わりになる選手を見つけ辛いこと。もっとも伊藤以前に酒井&ショルツの移籍でたんまりと移籍金をもらっているはずなのに、夏に獲得した選手にその金をつぎ込んだ形跡はなく、浦和はいったい何に金を使っているのかさっぱりわからないのですが・・・
もう若手どころか中堅クラスまで誰がどのタイミングで欧州へ流出しても不思議はない、おまけに有力な高卒・大卒はJリーグには来ないという情勢下でチーム編成は難易度マシマシですが、そんな中で少なくとも「売ることを前提に選手を育てる」→「移籍した際にはそれなりの移籍金を取る」→「その金で即座に穴埋めできるように情報網を広げておく」というプロセスを確保しておかないとなぁ。もっとも一番最後の部分でCFGやレッドブル傘下のクラブに大きく後れを取ってしまう懸念が拭えませんが、今の浦和は。
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