ブライアン リンセン選手 契約満了
昨日(11/28)、ブライアン リンセン選手が契約満了に伴い今シーズン限りでチームを離れることが公表されました。
リンセンは2022年6月27日にフェイエノールト(オランダ1部)からの完全移籍加入。当時の浦和にCFらしいCFはユンカーしかおらず、その頼みのユンカーはグロインペイン症候群を患っていてコンスタントな出場が見込めないという残念な状況に置かれていました。
ただその後の西野TDの記者会見によると、リンセン獲得は2022年シーズンのあんまりな得点力不足、決定力不足を鑑みて慌てて探しにいった結果ではなく、その前年の夏から追い続けていたようです。
リンセンは浦和に来る直前の2021-22シーズンで名門フェイエノールトで34試合中26試合に先発出場して13ゴール8アシストを記録。オランダ1部リーグキャリア通算では341試合108得点47アシストを記録しているバリバリの点取り屋。獲得時の浦和のウリ文句には「前への推進力・スピードがあり、テクニックも兼ね備えた得点力高いストライカー。周囲の選手を活かすプレーもでき、守備面での貢献も期待できる。」と頼もしげな言葉が並んでいました。
リンセンは7月23日のパリサンジェルマンとのプレシーズンマッチ、後半頭からの投入でついにベールを脱ぎましたが、右太もも裏を痛めて55分に途中交代。しかもこの故障は案外重くて復帰に時間を要してリンセンの再出場は10月に入ってからのわずか3試合の出場に留まりました。
それでも個人的には2023年ACL決勝に間に合えばいいと楽観視し、スコルジャもリーグ開幕戦&第2戦でリンセンをスタメン出場させてその復活に大いに期待を寄せていた風でしたが、リンセンのコンディションはなかなか上がらず、この年の序盤のCFは大ベテランの興梠に託す羽目に。そして肝心のACL決勝は獲得したばかりでチームにフィットしているとは言い難いカンテが外国人枠に滑り込んでリンセンの出場は叶いませんでした。
その後もなんだかんだとリンセンは故障がちで、2023年もコンスタントなベンチ入りはならず、断続的な出場、さらに過密日程下で思い出したようにスタメンで出る程度に留まりました。そしてこのシーズンのリンセンのリーグ戦出場はたった19試合(うちスタメン5)486分、得点2と同年開幕時にはCFとして絶対的な存在になると期待されていた割にはあまりにも寂しい結果に終わりました。
2024年シーズンも相変わらず故障がちで、リンセンがコンスタントに試合に出始めたのは6月も半ばになってから。監督がスコルジャに代わってからはサンタナを押しのけてCFのファーストチョイスになった感がありましたが、それでもFC東京戦(9/21)で負傷してその後2試合離脱。うーーーん、日程スカスカでもやっぱり怪我をするのか・・・
リンセンは結局今シーズンもリーグ戦出場はここまで16試合(うちスタメン11)815分、そして肝心のゴールはわずか2と、これでは130万ユーロもの移籍金を払って獲得した割には完全に期待外れの烙印を押されても仕方ないでしょう。しかも何かと故障がちな34歳なので、浦和が契約更新を見送ったのは当然でしょう。
しかし、そんな残念な結果しか残せなかった割にリンセンを悪く言う向きが少ないのは、出場機会を得た時のリンセンの献身性を誰もが認めているからでしょう。それがどんなに空回りに終わっていようととも。「プレスバックをさぼらない」みたいな判りやすい献身的プレーだけでなく、相手DFをブロックして味方の得点を助けているみたいな「事実上のアシスト」みたいなプレーも多かったのではないかと。
また得点は多くはありませんが、結構難しいゴールを決めていた気も。身長170cmとオランダ人にしてはえらく小柄なのにポジショニングがよほど良いのかヘディングで点を取っている辺りが印象に残っています。一方イージーに見えるゴールを往々にして・・・
さらにリンセンが愛されたのはその明るいキャラクラー。同郷の舎弟シャルクや謎のコミュニケーション能力を有する明本とは特にウマがあったようで「兄貴」の愛称で親しまれました。全然出番が回ってこなくてもリンセンは練習に手を抜く素振りなんて全然なかった話もそこかしこから。
それだけに「こんなに一生懸命やっている選手なんだから、なんとかゴールという形で報われてほしい」と思う方も少なくなかったようですが、現実は非情でした。そしてリンセンの不幸の始まりはやはりあのキレッキレの「出オチ芸」だったのでしょうなぁ。でも2年半ありがとうございました。
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